







今月、高松空港で、管制官が、パイロットの呼びかけに応じず、飛行機の到着が遅れたトラブルは、管制官が居眠りをしたり、勝手に外出したりしていたためだったことがわかった。
このトラブルは、今月17日、高松空港で、勤務中の管制官2人が、およそ10分間、到着機のパイロットの呼びかけに応じず、あわせて2機の到着が遅れたもの。
国交省が調査した結果、このうち40代の主幹管制官は、到着機がしばらくないとしてヘッドホンを外したまま居眠りし、無線のスピーカーのボリュームも絞ったままにしていたという。
また、60代の管制官は、インターネットで理髪店を予約するため管制室を出たあと、夕食のパンを買おうとそのままターミナルビルに向かい、およそ1時間、勝手に外出していたという。
主幹管制官は、「考え事をしているうちに、うとうとしてしまった」と話しているという。
また、60代の管制官は、「到着機が少なく、1人でも大丈夫だと思った。気が緩んでいた」と話しているという。
国交省は、去年9月にも、管制官の居眠りが原因で、飛行機の到着が遅れるトラブルがあったため、その後、必ず2人以上で勤務することを義務づけた。
しかし、再びトラブルが起きたため、トイレや喫煙の場合を除き、外出する際は事前に上司に届け出ることや、勤務状況を抜き打ち調査することなどを決めた。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8034364551.html
ちなみにトラブル時の状況は、2012年12月19日9時36分に四国新聞から、12月20日17時25分に朝日新聞から、下記趣旨でネット配信されていた。
国交省は18日、高松空港で17日午後、40代の男性主幹管制官が日航機からの交信に約10分間応答せず着陸許可が遅れ、同機と後続の全日空機が上空で一時待機するトラブルがあったと発表した。けが人や機体の損傷はなかった。
国交省によると、17日午後6時23分、羽田発の日航1411便(ボーイング737、乗客乗員計81人)が高松空港への着陸前、無線の周波数を切り替えて着陸許可を5回求めたが応答がなく、同28分から上空で待機した。
羽田発の全日空537便(ボーイング767、同156人)も同31分から同様に待機。
日航機から連絡を受けた関西空港の「関西ターミナル管制所」が高松空港との交信を試みたが、専用回線でも応答せず、内線電話でようやく連絡が取れた。
出典URL
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20121219000171
http://www.asahi.com/national/update/1220/TKY201212200637.html
(ブログ者コメント)
那覇空港と同じようなトラブルが、再発防止策を講じていたにもかかわらず、また起きてしまった。
問題は、40代の主幹管制官が居眠りしたことよりも、60代の管制官が1時間近く席を外していたことではないかと、ブログ者は考えている。
この60代の管制官、夕方なのでまさか40代の管制官が居眠りするとは思わなかった?
2人体制になっている理由を真に理解していなかった?
那覇空港の事例を他人事で自分には関係ないと思っていた?
そもそも那覇空港の事例を知らなかった?
様々な理由が考えられるが、その辺は更なる調査で明らかになるだろう。
あと気になるのは、40代の主幹管制官が60代の管制官に対し、「早く帰ってきてください」などと釘をささなかった・・・そんなことがなかったか?ということだ。
もしあったなら、遠慮?それとも権威勾配?
などなど、いろいろなことを考えさせられる事例であった。
那覇空港事例は本ブログで紹介済。
(2013年3月8日 修正1 ;追記)
2013年3月6日9時46分に四国新聞から、関係者が処分されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省大阪航空局は5日、居眠りをしていた男性主幹管制官(45)を減給10分の1(3カ月)、持ち場を離れていた別の男性管制官(64)を同(6カ月)の懲戒処分にした。
国交省によると、64歳の管制官は原則2人勤務の指示に反し、「ちょっと下に行ってくる」と主幹管制官に告げて退室。別棟でインターネットを使い理髪店に予約を入れた後、さらに約200m離れたターミナルビルへ夕食のパンを買いに行き、約1時間後に戻った。
管制塔に1人で残っていた45歳の主幹管制官は、スピーカーの音量を下げてマイクが付いたヘッドセットも外し、居眠りをしていた。
大阪航空局は管理監督責任を怠ったとして、上司の2人も口頭で厳重注意。「職員がこのようなことを起こしたのは誠に遺憾で、深くおわび申し上げる」としている。
出典URL
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20130306000181
松山空港で保安検査を終えた乗客が利用するラウンジに改修工事で使われた金づちやドライバーなどがカギをかけずに放置されていたことがわかり、乗客の保安検査をやり直すトラブルがあった。
国交省の松山空港事務所によると、17日午前8時すぎ、松山空港で、保安検査を終えて搭乗を待つ乗客のための全日空のラウンジ内に改修工事で使われた金づちやドライバーなどの工具が鍵をかけずに放置されていたと、全日空から連絡があった。
当時、空港では出発する2便の保安検査が行われていたが、乗客がラウンジに立ち入って工具などを持ち出して搭乗できる状態だったとして、保安検査を済ませた乗客全員の検査をやり直した。
このため、日本航空によると、乗客37人が搭乗した午前8時40分発の福岡行きの日本エアコミューターの便に30分の遅れが出るなど、検査のやり直しなどの影響で午後3時までに福岡や鹿児島と松山とを結ぶあわせて6便に最大で1時間の遅れが出たという。
全日空によると、改修工事は16日夜から17日朝6時ごろまで行われ、業者は乗客が立ち入るのを防ぐため、工事のために設けたドアに鍵をかけることになっていたが、業者が鍵を閉め忘れたと話しているという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/matsuyama/8003564121.html
(ブログ者コメント)
他の作業現場で工具庫の鍵をかけ忘れても、さほど問題にはならないが、今回は場所が悪かった。同様、安全もTPO次第・・・。そういった事例として紹介する。
格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンが、社内規定を満たしていない整備士に機体整備の最終チェックを任せていたとして、国交省は16日、同社に文書で厳重注意した。
今年は、同社を含め3社の国内LCCが就航したが、同省が国内LCCに厳重注意するのは初めて。
安全保安管理本部長は、「全社を挙げて組織を見直したい」と謝罪した。
同省によると、同社は今年6月と10月、航空機の整備状況を最終確認する「確認主任者」に、同社の整備士2人をそれぞれ選任した。
社内規定で、他社での確認主任者の経験が3年以上必要だと定めていたが、1人は6カ月、もう1人も1年8カ月しか経験がなかった。
2人が安全確認した機体で大きなトラブルは起きていないが、1人の確認件数は91件に上っていた。
同省は、「運航の安全を確保するための組織が有効に機能していない」として厳重注意するとともに、来月中旬までに改善策を報告するよう求める方針。
同社によると、「確認主任者」となるための社内の申請書には、他社経験を書く欄に「経験年数」としか記しておらず、2人は整備士として勤めた期間を書いていたという。
このうち1人については、訓練担当者が7月に不備に気づいたが、上司に報告を怠っていた。国交省の検査で発覚した。
同社は今年7月、成田空港を拠点に就航。関西空港にも拠点を置く計画を表明していたが、「まず原因究明と再発防止策を取りたい」として無期延期した。
関空に整備基地が新設できず、夜間に駐機できなくなるため、今月22日から予定していた深夜早朝の関空―成田便と、12月6日から予定していた関空―沖縄便などが当面運航できなくなるという。
振り替えや欠航の詳細は来週以降に発表する。来年6月までに目指していた国際線の就航も遅れる見通し。
出典URL
http://www.asahi.com/national/intro/TKY201211160945.html?id1=2&id2=cabcbbbh
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121116-OYT1T00756.htm
(ブログ者コメント)
この程度のルール違反でも経営に大きな影響を及ぼす、そういった事例として紹介する。
北九州発羽田行きスターフライヤー92便エアバスA320(乗客・乗員計145人)が11日夜、操縦室の窓にひびが入ったトラブルで、ひび割れの原因はくもり防止用の電熱線ヒーターのショートだったことが12日、分かった。
当初、落雷が原因との見方があったが、着陸後に調べたところ落雷の形跡はなかった。
同社によると窓ガラスは5層構造で、11日午後10時20分ごろ、関西空港付近の上空を飛行中、副操縦士席側にある窓ガラスの外側から2層目のガラスに縦約30cm、横約60cmにわたりクモの巣状のひびが入った。
同社所有の同型機では、今年1月と平成22年12月にも操縦室の窓にひびが入るトラブルがあった。
同社は同型機7機を所有しており、12日から全機の操縦室窓部分の点検を強化する。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121112/dst12111214380008-n1.htm
おととし、福岡空港で韓国の旅客機が、管制官の許可なく滑走路に入り、到着機が着陸をやり直したトラブルで、国の運輸安全委員会は、パイロットが管制官から滑走路手前で待機するよう指示されたのに「待機」という言葉を聞き逃し、管制官もパイロットへの再度の確認を怠ったことが原因だとする報告書を公表した。
このトラブルは、おととし12月、福岡空港で、韓国のエアプサン機が管制官の許可なく滑走路に入り、日本航空の到着機が着陸をやり直したもので、国の運輸安全委員会が、重大な事故につながりかねないとして調査していた。
報告書によると、管制官はエアプサン機に対し、滑走路手前で待機するよう指示したが、パイロットは「待機」という言葉を聞き逃し、離陸が早まったと勘違いして滑走路に進入した可能性が高いとしている。
また、パイロットは管制官の指示をそのまま復唱することになっているが、当時、パイロットは「待機」という言葉を復唱せず、管制官もそのことに気づかず、確認を怠ったという。
このため報告書は、管制官がパイロットの復唱に誤りがないか確実に確認すべきだったとしている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/fukuoka/5014627931.html
(ブログ者コメント)
復唱復命の徹底不足が招いた事例として紹介する。
報告書中、ポイントとなる記述は下記。
□タワーは「HOLD SHORT OF RUNWAY 34 VIA W8」の指示に対するA機の副操縦士の復唱が、後半の「RUNWAY 34 VIA W8」のみであったにもかかわらず、復唱の確認を行っていないことから、何も疑問を持たずにA機が自分の指示どおりに滑走路手前のW8で待機をすると認識していたものと推定される。
復唱の確認は、自分が指示した内容と復唱された内容を比較し、同じであることを確認することであり、管制官は、常にそのような意識を持って復唱の確認を行う必要がある。
本重大インシデントの場合、「HOLD SHORT OF」は待機指示を意味する用語であり、復唱にこの内容を意味する用語が含まれていることを確実に確認すべきであった。
□管制官に対しては平成19年10月、復唱確認等に関して周知されたところであるが、再度徹底する必要がある。
[平成19年周知内容]
(1) 復唱の確認の重要性を再認識し、また、復唱の誤りに対して十分注意するとともに、必要な場合に速やかに訂正・再確認等の対応を行うこと。
(平成19年10月22日付け「航空管制におけるパイロットからの復唱の確認の徹底について」)
(2) 復唱の誤りがある場合はもちろん、復唱が不明瞭である場合その他疑義がある場合には、復唱の確認を確実に行うこと。
管制指示等を発出する際、状況に応じ有益な情報を付すことにより、当該管制指示に係るパイロットの理解がより深まることを認識するとともに、特に、管制指示「HOLD SHORT OF RUNWAY」(滑走路手前で待機)は、意思疎通に齟齬が生じると安全上の問題に直結する指示であるので、到着機等の情報提供をより積極的に行うこと。
(平成19年10月31日付け「管制指示に関する復唱の確認及び情報提供等について」
事故報告書URL
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/pdf/AI12-6-1-HL7517-JA8998.pdf
全日空系のエアーニッポン(ANK)機が2010年秋、旭川空港への着陸態勢中に近くの山肌に約220mまで異常接近した問題で、運輸安全委員会は27日、機長(35)らが山中で低高度へ誘導する管制官の誤指示に抵抗感を覚えながら、管制官に確認していなかったとする調査結果を公表した。
管制の誤指示は、発生直後に明らかになっていた。
安全委によると、10年10月26日、旭川空港への着陸態勢に入っていたANK機が山肌に異常接近。警報音が鳴ったため、機長が機体を上昇させたが、山との衝突まで20~30秒の距離まで高度を下げていたという。
調査結果によると、札幌航空交通管制部の男性管制官(32)が、ANK機に対し、維持すべき最低高度(高度3000m)よりも低い1500mまで高度を下げるよう指示した。
当時、この管制官は9機の航空機とやりとりしており、旭川空港の上空で旋回待機中だった別の飛行機との衝突を避けるため、山よりのルートを指示していたが、この飛行機との距離を置くことに気を取られ、最低高度の確認を忘れていたという。
一方、安全委はANK機側の問題も指摘。
管制官は最低高度を踏まえているだろう、と機長が考える一方、副操縦士(50)は計器で異常接近をいち早く認識したが、後輩が機長だったことに気兼ねし、「自分が出過ぎて、機長の仕事を侵してはいけない」と思っていて、注意喚起できなかったと指摘した。
ANKは操縦士らに「疑問はためらわずに口に出すことが重要」と指導していたが、「十分に実践できていなかった」と安全委は指摘している。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY201201270241.html
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201201270040.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120127-OYT1T00419.htm
(ブログ者コメント)
□管制官が他のことに気をとられて誤指示を出し、機長は抵抗感を覚えつつも最低高度を踏まえての指示だろうと勝手に思いこみ、副操縦士は異常に気がついたのに機長に遠慮して注意喚起しなかったという、3人3様のヒューマンエラーが重なったためのヒヤリ事例。
3つもヒューマンエラーが重なって、よくぞヒヤリで済んだものだ。
□9機の航空機と同時にやりとりすることが管制官にとって普通なのか、ブログ者には分からない。
ただ、ブログ者に同時に9つの事象に対応せよと言われても、それは困難きわまる話だ。
複数の航空機と同時にやりとりする場合のミス防止策はどうしているのだろう?必ず、何かある筈だが・・・。
日航は14日、成田発シドニー行きのボーイング777の座席からライターが原因とみられる炎が出たため、成田空港に引き返したと発表した。
乗客乗員260人にけがはなかったが、再出発は翌朝に延期した。
日航によると、離陸直後の14日午後8時20分ごろ、ビジネスクラスの男性乗客から呼び出しを受けた客室乗務員が、この座席から1cm程度の炎が上がるのを確認。
機長に伝え引き返しを決めた。
座席の隙間にライターが挟まっているのが見つかったが、誰が持ち込んだかは分かっていない。
日航は早期の再出発を目指したが、同社の負担で乗客らは空港近くのホテルに宿泊した。
出典URL
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011401001919.html
なお朝日新聞は、呼び出し時の様子を以下のように伝えている。
旅客が「シートの左側から炎が上がった」と訴えたため、客室乗務員が付近を調べたところ、左側の肘掛けの下付近からライターが見つかった。シートに損傷はなかった。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201201140096.html
(ブログ者コメント)
同様な事例を、本ブログでは過去に1件、紹介している。
それは、無線LANのルーターがシートを動かした際に壊れて発火した、という事例だ。
その時もビジネスクラスだったが、発火した場所は違うようだ。
2011年12月27日21時31分に、読売新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道で7月、航空大学校帯広分校の訓練機が墜落した事故で、国交省は27日、死亡した機長が、抗アレルギー薬を服用していた可能性があると発表した。
抗アレルギー薬は同省の指針で、服用後に一定の時間をあけないと操縦してはいけないことになっている。
薬の服用と事故との因果関係は、運輸安全委員会が調査中だが、同省は、航空大や航空事業者などに対し、パイロットに指針を周知徹底するよう求めた。
発表によると、同委員会の調査で、機長がアレルギー性鼻炎の薬を常用し、朝晩2回服用していたことが判明。
副作用などを確認した指定医が、服用を「適合」としていたが、同省の指針では、適合とされた薬でも、服用後は一定時間、操縦しないよう定めている。
この薬の場合、服用後24時間は操縦できないことになっていたが、機長は薬を常用しながら訓練機を操縦していた可能性もあるとして、同委員会は17日、同省に情報提供していた。
出典URL■■■
(2014年10月11日 修正1 ;追記)
2014年10月8日21時20分にNHK北海道NEWS WEBから、機長が注意義務を怠ったが死亡しているので不起訴になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3年前、航空大学校帯広分校の訓練機が墜落し、3人が死亡1人が大けがをした事故で、釧路地方検察庁は、当時の機長で書類送検された教官が注意義務を怠ったことが事故原因だとしながらも、死亡しているとして、8日、不起訴にした。
この事故は、平成23年7月、航空大学校帯広分校の訓練機が十勝の芽室町の山中に墜落し、教官2人と訓練生1人が死亡、別の訓練生1人が大けがをしたもの。
警察は、訓練機の機長で事故で死亡した当時44歳の教官が、危険を回避するための注意義務を怠ったとして、業務上過失致死傷などの疑いでことし1月書類送検していた。
これについて釧路地方検察庁は、教官が業務上の注意義務を怠り、漫然と雲の中に訓練機を突入させたことが事故の原因で、刑事責任があるとする捜査結果を公表した。
そのうえで、教官が死亡しているとして、8日付けで不起訴にした。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20141008/5234901.html
2011年9月13日17時17分にmsn産経ニュースから、同日19時45分に共同通信から、14日3時6分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省航空局は13日、那覇空港の50代の男性主幹航空管制官が同日未明、勤務中に居眠りをしていたため、着陸・離陸予定の全日空の貨物便2機と一時連絡が取れなくなるトラブルが発生したと発表した。
けが人や機体の損傷などはなかったが、国交省は「管制官の居眠りによるトラブルは記憶にない」として現地に職員を派遣、詳細を調査している。
国交省によると、13日午前3時15分ごろ、那覇空港の南約22kmの上空を飛行中だったバンコク発の全日空8422便が、同空港への着陸許可を那覇飛行場管制所に無線で求めたが、応答がなかったため、着陸を取り止めた。
連絡を受けた那覇市内の別の場所にあるレーダー管制所と、上空で待機した同便が、専用電話や無線で管制塔を何度も呼び出したところ、同27分に応答があった。同便は、主幹管制官の管制で、定刻の17分遅れで着陸した。
また同16分ごろ、上海浦東行きの全日空8431便も離陸前にフライトプランの承認を得るため同管制所に無線で呼びかけたが、応答がなかったという。
当時、同管制所は男性管制官と30代の女性管制官の2人勤務態勢だったが、女性管制官は午前3時ごろから休憩所に行っており、男性管制官1人だった。
無線交信ができなくなったのは約12分間で、男性管制官は「うとうとしていた」などと話しているという。
米国で今春、夜間勤務中の管制官が居眠りでパイロットと音信不通になるケースが相次いだのを受けて、国交省は体調維持などに留意するよう全国の管制官に通知を出していた。
また国内でも、羽田空港の管制官が米大統領専用機の飛行計画などの情報をインターネット上に流出させるなど管制官の不祥事が相次いでおり、国交省は「早急に抜本的な再発防止策をまとめて各所に徹底する」としている。
主幹は管制塔に勤務する管制官48人の中で先任(1人)、次席(7人)に次ぐ立場で現場のリーダー格。
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(ブログ者コメント)
午前3時といえば、確かに睡魔が襲ってくる時間帯。生理現象だけは致し方ない。
しかし、車を運転している場合など、致し方ないでは済まされないこともある。
今回、事故には至らなかったものの、その潜在危険は非常に大きいのだ。
この管制官、主幹という立場にあることもあり、責任感や自覚に欠けていたと責められても仕方がないだろう。
一方、女性管制官が休憩に行った、その後わずか15分で急激に睡魔に襲われたという説明にも、何かひっかかるところがある。
(2011年9月18日 修正1 ;追記)
2011年9月15日14時10分にmsn産経ニュース沖縄から、また14日付の朝日新聞(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
居眠りしていた男性主幹管制官は、ペアで勤務する30代の女性管制官に「休憩していていいよ」と休憩室へ行くよう促していたことが15日、分かった。女性管制官は妊娠していた。
国交省は、主幹管制官が女性管制官の体調を気遣って1人で管制塔の運用室に残り、居眠りしてしまったとみて調べている。
国交省関係者によると、問題が起きた午前3時台は、離着陸が3便程度と忙しい時間ではなかった。当時は、午前3時から主幹管制官と女性管制官の2人が管制業務を担当していたが、女性管制官は隣にある建物2階の休憩室で午前3時から25分程度休んでいた。 通常は、トイレなどを除いて勤務中に運用室を離れることはなく、同省は経緯を調べている
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
自分が眠いのを我慢して女性管制官を先に休ませた・・・そういった経緯でもあったのだろうか?などと思っていたが、その可能性も出てきた。
(2011年12月28日 修正2 ;追記)
2011年12月26日18時40分に、朝日新聞(聞蔵)から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は26日、この男性主幹航空管制官(55)を減給1カ月(10分の1)、上司の男性次席航空管制官(54)を戒告の懲戒処分にした。
通常は2人勤務だが、妊娠中の女性同僚を休憩させようと、次席が主幹の1人勤務を認めたという。
出典URL■■■
2011年9月8日0時14分と1時46分に、朝日新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午後10時50分ごろ、浜松市の南を飛行中の那覇発羽田行き全日空140便(ボーイング737―700型機)が約1900m急降下し、女性客室乗務員2人が軽傷を負った。
トイレのため離席した男性機長(64)が操縦室に戻る際、男性副操縦士(38)が、ドアの鍵を開けるつまみと間違え、機体の左右方向の向きを調整する「方向舵調整スイッチ」のつまみを左に回したため、機体が左に傾き降下したという。 ほかの乗客乗員115人にけがはなかった。
国交省は事故につながる「重大インシデント」と判断し、運輸安全委員会は8日、航空事故調査官3人を羽田空港に派遣する。
操縦室ドアの鍵を開閉するつまみは、左右の操縦席の間の操作盤にあり、「方向舵調整スイッチ」の左斜め隣に位置していて形も似ている。
機長からの合図で、鍵のつまみを左に回して解錠するはずが、副操縦士は誤って「方向舵調整スイッチ」を左に目いっぱい回した。
当時は自動操縦中だったが、自動操縦中でも「方向舵調整スイッチ」は操作できるという。
副操縦士が機体の姿勢を立て直し、機長は自分で鍵を開け戻った。
出典URL■■■
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(ブログ者コメント)
産業現場でも、ヒューマンエラーを起こさないよう、操作スイッチの色とか配列を工夫することがある。
飛行機でも、操縦用のスイッチとそうでないスイッチは、別の操作盤に設置できないのだろうか?スペースがないことは承知しているが・・・。
(2011年9月30日 修正1 ;追記)
2011年9月28日20時37分に、msn産経ニュースから下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日、機体が一時左側に大幅に傾き、ほぼ裏返しの状態となってらせん状に約1900m降下していたことが、運輸安全委員会の調査で分かった。
乗客112人にけがはなかったが、6人が体調不良を訴えていた。
委員会は大惨事につながる恐れがあった事態を重視し、さらに調査を進める。
重大インシデントの状況は、同日開かれた定例会見で委員長が明らかにした。委員長は「(機体は)ほとんど背面飛行といえるまでひっくり返った」と指摘した。
委員会がフライトレコーダーを回収して解析したところによると、6日午後10時50分ごろ、トイレのため席を外していた機長がコックピットに戻ってきた際、副操縦士がドアの解錠スイッチと間違えて尾翼にある左右の方向舵を調整するスイッチを操作した。
機体は少し右に傾いた後、左側に最大131.7°傾斜。同時に機首も左に35°下向きとなった。
約1万2500m上空を航行中だった機体はらせん状に大きく旋回しながら約30秒間にわたり約1900m急降下。右側の主翼が上になり、機体は自らの重力を支えられず、ほぼ裏返しになった。
この際、機内では最大で地上の2.68倍の重力がかかっており、最高速度は国の制限値(マッハ0.82)を超える同0.828に達していたという。
副操縦士が機体の体勢を立て直し終えたとき、機首は当初の進行方向とはほぼ反対になっていたとみられる。
乗客にけがなかったことについて、委員長は「深夜のため乗客がシートベルトをして着席しており、重力で体が(シートに)押さえつけられたことが幸いしたのでは。ジェットコースターと同じ原理で遠心力がかかった状態」などと話した。
運輸安全委はさらに調査を進め、原因についての報告書を公表する方針。
出典URL■■■
(2012年1月27日 修正2 ;追記)
2012年1月24日5時1分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
この問題で、操作ミスをした副操縦士(39)がスイッチの配置を同じB737の旧型機と勘違いしたとみられることが、国交省関係者らへの取材で分かった。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0123/TKY201201230649.html
(ブログ者コメント)
これは、設計が悪い。
別の機種ならまだしも、同機種でスイッチの配置を変えるなど、ヒューマンエラーを誘発してしかるべしだ。
2011年9月2日23時06分と20分に朝日新聞から、同日20時41分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2日午前10時20分(日本時間)ごろ、太平洋上空を飛行中のロサンゼルス発成田行きの日本航空61便の機内で、乗客が持ち込んだ無線機器から炎が上がった。
水をかけるなどしてすぐに消えたが、乗客の男性1人が指先に軽いやけどを負った。運航に影響はなかった。
国交省などによると、炎が出たのはパソコン用の無線LANルーター(縦5cm、横10cm、厚さ1.5cm)からとみられる。
ビジネスクラスにいた40代の男性がトイレに行こうとして、電動リクライニングシートの倒していた背もたれを元に戻そうと動かした際、座面と背もたれの間に挟まって壊れ、炎が出た。座席に約5cm四方の焦げ跡が残ったという。
同省によると、機内での無線機器の使用は禁じられているが、持ち込みに制限はないという。
出典URL■■■
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(ブログ者コメント)
□ルーターからの出火事例をネットで調べた結果、電源アダプターに異常電流が発生して焼けたという事例はあったが、ルーター本体からの出火事例は見当らなかった。
□ただ、同じような大きさの無線LANルーターの紹介記事に「電源内蔵」という記述があった。もし今回のルーターも電源内蔵であれば、壊れた時に電源がショートした可能性がある。
19日午前、小松空港から成田空港に向かっていた定期便が、法律で搭載が義務付けられている航空日誌を積んでいなかったため、小松空港に引き返すトラブルがあり、この便は1時間半あまりの遅れが出た。
小松ー成田便を全日空と共同で運航するアイベックスエアラインズによると、この便は19日午前8時半すぎに小松空港を出発して成田空港に向かった定期便で、航空日誌を積み忘れたことに整備士が気づき、連絡を受けて小松空港に引き返した。
この便は航空日誌を搭載して改めて点検や給油を行った後、再び出発し、定刻から1時間35分遅れて午前11時20分に成田空港に到着した。
この便には42人の乗客が乗っていて、成田空港での国際線への乗り継ぎなどに影響が出たという。
航空日誌は航空機の整備や点検の結果などを記録するもので、安全な運航のため、航空法で機体への搭載が義務付けられているが、今回は、小松空港で整備士が積み忘れ、パイロットも確認を怠ったという。
アイベックスエアラインズによると、航空日誌の積み忘れで運航に影響が出たのは初めてだという。
アイベックスエアラインズは「ご迷惑をおかけして申し訳ない。今後、同様のトラブルがないよう、出発前の確認を徹底したい」と話している。
出典URL■■■
(NHKの記事は、1日か2日でアクセスできなくなりますので、御承知おきください)
(ブログ者コメント)
本ブログにも掲載したとおり、今年5月21日に新千歳空港発の全日空機で同様なヒヤリが起きている。
あれから、まだ2ケ月。アイベックスは、5月の他社事例を、どう取り扱ったのだろうか?知らなかったとは思えないが・・・。
□機長が目標高度を設定し忘れ、自分の意思と逆の指示が出たことに気を取られているうちに、上昇旋回の操作が遅れたとみられる。
□機長は高度約180mを飛行中、視界が悪かったため着陸やり直しを決めた。本来は飛行方向の指示装置に、目指す高度を約1200mと設定しておく必要があったが、機長は約180mにしたまま忘れていた。
□このため、機体が上昇に転じると、装置は高度を下げるよう指示した。機長は自分のイメージした指示が出ないため、気を取られた。
□一方、上昇する際、揚力を得るため、主翼のフラップを上げた。この機体はフラップを上げると重心が変わり、機首が下がる特性がある。下がらないようにするためには、操縦桿で調整する必要があるが、同社は会見で「機長は操縦桿を緩めた可能性がある」と話した。
□この結果、機体は急降下。副操縦士が高度が上がっていないと指摘し、機長は急上昇の操作をした。その直後、対地接近警報装置が作動した。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106110007.html
□機長は、会社側の聴取に「(想定外の表示で)計器の不具合だと思った」などと説明。動揺して操縦桿を引く力が甘くなるなどした可能性もあり、機首が下がって高度が急激に低下、対地接近警報装置が作動したとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110611/dst11061109000009-n1.htm
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/06/11/20110611dde041040038000c.html
国への報告や機体検査も遅れ、安全性を確認しないまま34便の運航を続けたHAC。航空会社としての認識の甘さや管理体制の不備を問う声もある。
□低空飛行から急上昇する場合、通常は目標高度を設定し、エンジンの出力や機首を上げる操作を行う。
他社の操縦士(43)は「今回は目標高度が設定されていなかったため、機体の適切な角度が表示されず、機首を上げる操作をしても、現状の高度を維持する指示が装置から出されたのだろう」と推測。「急上昇する際は複数の作業を数秒以内に行うため、高度設定を忘れることはたまにあるが、普通は地上30mまで降下する前に気付く」と首をかしげる。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/298570.html
http://www.nhk.or.jp/lnews/sapporo/7003465871.html
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106120075.html
□ヒューマンエラー防止をソフト対応だけに頼っている現場は少なくない。今回の事例では「対地接近警報」というハード対応で最終的にカバーされたが、そういったものがない現場では、ソフト対応には限界があるということを、心しておくべきだ。
HACなどは、上昇が遅れた原因の一つとみて、スイッチが入った経緯を調べる。
HACによると、スイッチが入ったのは、上昇を試みてから地上に異常接近するまでの数秒間で、フライトレコーダーに記録されていた。
自動操縦装置が作動した状態で逆らった操作をすると操縦桿は動かしにくく、今回のような着陸やり直しの場面では、装置を切って、手動で操縦する必要がある。機長はHACの調査に「操縦桿が重かった」と話しているという。
(ブログ者コメント)
「解除したはずの自動操縦装置が一時的に作動していたことがわかった」
(2011年7月28日 修正2 ;追記)
2011年7月26日付で北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本乗員組合連絡会議(日乗連)とHAC乗員組合は25日、同社幹部が問題発覚直後の6月11日に開いた記者会見が「乗員に責任を転嫁するもの」だったとして、同社の対応を批判する文書を社長にそれぞれ提出した。
日乗連は、HAC乗員組合を含む国内航空会社の乗員組合などで構成され、大手以外の航空会社に批判的な文書を出すのは異例。
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
6月11日未明に国交省でHAC幹部が会見した内容は、この記事の冒頭に記載した通りだが、それを読み直しても、どこが「乗員に責任転嫁」するものか分からない。
ブログ者が把握している以外の事実が明らかになっているのだろうか?
(2011年7月30日 修正3 ;追記)
2011年7月29日14時6分に、朝日新聞(時事通信)から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
HACは29日、再発防止に向けた改善計画書を国交省東京航空局に提出した。
計画書によると、操縦士の技量を日常的に管理するため、乗員部の教官が運航便に同乗し操縦をモニターする制度を導入する。
また、従来は運航部長が安全推進部長を兼務していたが、専従の安全推進部長を配置。安全教育や訓練体系を見直す。
出典URL■■■
(2011年9月30日 修正4 ;追記)
2011年9月29日8時20分に、NHK札幌から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
パイロットが高度の入力を忘れていたうえ、自動操縦装置の特性を理解していなかったためにトラブルにつながったことが、国の運輸安全委員会の調査でわかった。
委員会によると、パイロットは、着陸のやり直しに備えて高度を設定する装置に、上昇すべき高度を入力し忘れていた。
このあと、パイロットは、機体が降下するなか、高度を入力し直したが、自動操縦装置がオンになっている状態で高度を入力しても受け付けられないという装置の特性を知らず、機体が上昇しないことを不審に思っている間に、高度が下がってしまった可能性があるという。
委員会は、今回のトラブルの原因を航空各社に伝え注意を促すよう、国土交通省に連絡した。
また、トラブルの原因をさらに詳しく調べ、最終的な報告書をまとめることにしている。
同便は航空日誌を積み直して再出発したが、約1時間10分の遅延が生じた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110521-OYT1T00424.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110521/dst11052117270014-n1.htm
その他の主だった対策は下記。
③各地で起きた「ヒヤリハット」の事例を本庁に集約し、専門家の協力も得つつ、事故防止に役立てる。
④衝突防止警報装置など、安全装備面を充実させる。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201105200112.html
(2012年4月4日 修正1 ;追記)
2012年3月30日12時37分にNHK高松から、事故原因に関する調査結果がまとまったという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は、パイロットが送電線への注意を払わずに飛行したことや、送電線があることを知らせるフラッシュライトが木で見えにくかったことなどが事故につながったとする調査報告書をまとめた。
報告書によると、事故機は、瀬戸内海の島の周囲を低空で飛行して不法に捨てられている船がないか調査していたが、送電線は、事故の直前に近づいた2つの島の間にだけに張ってあった上、この2つの島は、もともとの調査予定には入っていなかった。
また、乗組員が行った飛行前の打ち合わせでも送電線に注意するという話が出なかったことから、報告書は、機長と副操縦士が送電線の存在を完全に忘れ、注意を払わずに飛行していて、接触した可能性があるとしている。
一方、島の鉄塔には送電線があることを知らせるフラッシュライトがあるが、電力会社の管理が不十分なため、近くの木が伸びて角度によっては、見えにくい状態になっていた。
報告書は、このことも機長と副操縦士が送電線に気づかなかったことにつながったとも指摘している。
一方、この事故は、船に乗った司法修習生に飛行の様子を見せるデモンストレーション飛行の合間に起きたが、運輸安全委員会は、このことと事故は関係なかったと話している。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8033978091.html
また、3月30日21時47分に朝日新聞からは、若干違う内容の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は、機長らが前をよく見ていなかったため、機体を送電線に引っかけた可能性が高いとする調査報告を公表した。
安全委が調べたところ、墜落現場の手前から、前方に送電線の存在を知らせる鉄塔のライトの光が見えたはずだった。
また、この海域を管轄する第6管区海上保安本部のパイロットの間では、離島間に多くの送電線があることは広く知られていたという。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201203300195.html
また同日付の朝日新聞夕刊(聞蔵)からは、上記とも違う内容の記事がネット配信されていた。
安全委は、事故の直前、近くに未調査の島があることに気付いた機長が急遽、飛行ルートを変更したとみられると指摘。
当初のルートに送電線がなかったため、変更後も送電線がないと思い込んでいた可能性が高いと結論づけた。
(ブログ者コメント)
朝日新聞夕刊の記事によれば、典型的なヒューマンエラーによる事故だったようだ。
しかし、これは単なる「思い込み」ではなく、認知心理学でいうところの「記憶検索の失敗」が原因だったのではないか?
そのように思ったブログ者は、そのメカニズムについて、以下のように考察した。
□脳の中には、変更前ルートの記憶エリアと変更後ルートの記憶エリアが形成されていた。
□変更前ルートの記憶エリアには、事前に飛行ルートを検討した際に、このルートに送電線はないという情報が収納されていた。
□一方、変更後ルートの記憶エリアには、十分に飛行ルートを検討することなく急に変更したため、送電線に関する情報は収納されていなかった。
□そして、変更後の飛行ルートを飛ぶ際、変更後ルートの記憶エリアから情報を検索したのだが、そこには当然、送電線に関する危険情報は含まれていなかったので、危険がない、イコール安全と判断してしまった。
□あるいは、「飛行ルート」、「送電線」というキーワードで検索した結果、飛行前ルートの記憶エリアにたどりつき、そこから「このルートに送電線はない」という情報を引き出してしまった。
事前に練り上げられた計画を、状況が変わったなどの理由で、当初ほどには検討することなく変更して事故に至る。これは、過去にも数多くみられたパターンだ。
事前に計画を練る時は、時間もあり、資料も確認でき、多くの人の意見も反映できる。そうやって出来上がった計画を、安易に変更することは事故のもとだ。
この事例は、ヒューマンエラーに対する警鐘であるとともに、変更管理の重要さをも教えてくれている。
離陸機に気づいたエアコミューター機が着陸をやり直し、乗客らにもけがはなかったが、国交省は、事故につながる恐れのある「重大インシデント」と判断。事故調査官3人を同空港に派遣した。
国交省によると、両便に離陸、着陸許可を出したのは、40歳代の男性管制官。エアコミューター機に着陸許可を出した約1分後、同機が到着していないのに、全日空機に離陸を許可したという。
全日空機が滑走路に入った時点で、エアコミューター機は空港まで約5・6kmに迫っており、着陸までの時間は1分あまりだった。
福岡空港の滑走路は1本で、1人の管制官が離着陸を担当している。
http://www.asahi.com/national/update/0511/TKY201105100587.html
このように、事故に至る前には、さまざまな歯止めとなる場面がある。今回は、その一番最初の歯止めが効いて、事故を防止できた。
逆に考えれば、それらの歯止めを効かなくする要因が重なった時に事故は起きるのだ。今回、たとえば福岡空港に滑走路が1本しかないことにパイロットが気付かず、離陸は別の滑走路で行われると思いこみ、かつ、副操縦士はパイロットに全ておまかせ意識になっていて、しかも空港が視界不良状態だったら、衝突事故が起きていたかもしれない。
まこと、事故とヒヤリは紙一重、偶然に左右されることも、多々あるのだ。
2012年4月27日10時2分に共同通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は27日、管制官が別の業務に気を奪われていたため、JAC機に着陸許可を出したことを忘れ、約1分後に全日空機にも離陸許可を出したのが原因とする調査報告を発表した。
報告によると、男性管制官は、雨のためJAC機の姿が見えず、レーダー画面上でも見逃した。
当時、別の便で機体に鳥が衝突したため滑走路を点検することになり、管制官は「点検のタイミングが気になっていた」と述べた。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012042701001321.html
報告書本文では、以下のような表現になっている。
[事故原因 24/38 ページ]
□滑走路点検のため航務車両が出動しており、タワーは、滑走路点検をどのようなタイミングで行うか気になっていたとしている。
このことから、A機に対して着陸許可を発出した後、タワーは、滑走路点検のタイミング、方法及び関連する航空機の動向に気をとられ、A機の存在を失念した可能性が考えられる。
□タワーは、到着機の処理が一段落して少し時間が空き、早い時期にA機に着陸許可を発出してしばらく時間が経過したため注意力が低下した可能性があり、そのとき、B機からの呼び出しがあったことから、A機の存在を失念し、離陸許可を発出してしまったものと考えられる。
[対策 26/38 ページ]
個人の能力や集中力には限界があることから、管制官が日々の訓練やブリーフィングの段階から、基本
動作の励行を重視するとともに、チーム行動による相互補完を念頭に人的ミスの防止に努める必要がある。
出典URL
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/pdf/AI12-3-1-JA844C-JA602A.pdf
報告書によると、事故の直接の原因は、後部回転翼を操作するラダーペダルと回転翼をつなぐコントロールロッドと呼ばれる金属製の棒が折れ、操縦がきかなくなったこと。
複数の操縦士が同機のペダル操作の違和感を訴え、事故の約2カ月前に整備会社が調査。
だが、製造元のマニュアルの手順に従わなかったため、一部の部品が腐食してさび付いていることに気付かなかった。
この結果、コントロールロッドに繰り返し強い力がかかって飛行中に破断、約20分後に墜落したという。
テール・ローター・コントロール系統の故障探求が航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルの故障探求手順に従って実施されなかったため、ボール・ピボットの点検が実施されず、その固着が発見されなかった。また、テール・ローター・コントロール・ロッドとヨー・アクチュエーターとの締結部が左ねじであることが航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルに記載されているが、締め付けるつもりで反対の緩める方向に回された可能性が考えられる。
本事故以外にも航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルの不遵守が関与した航空事故が発生していることから、国土交通省航空局は、回転翼航空機、小型飛行機等を整備する者に対し、航空機製造者のマニュアル等の内容を十分に把握するよう指導を再徹底するべきである。
(2011年11月13日 修正1 ;追記)
2011年11月9日付の毎日新聞静岡版と読売新聞から、また9日2時19分にmsn産経ニュース静岡から、同日7時9分に静岡新聞から、事故に至る詳しい経緯などが下記趣旨でネット配信されていた。
県警は8日、整備担当者のほか、同社の整備責任者だった当時の整備部副部長(60)を業務上過失致死傷容疑で、事故機の機長(当時57歳)を被疑者死亡のまま、業務上過失傷害容疑で書類送検した。
これまでの捜査結果、墜落原因は、機体のバランスをとる後部回転翼と操縦席を結ぶ「コントロール・ロッド」と呼ばれるシャフトが破断したことで、シャフトを支える部品に腐食があったことなどが破断につながったとみられている。
事故機については、07年夏から、複数の操縦士が機体の向きを変えるペダルを踏んだ際に「ガリガリと異音がする」「ガタガタ感がある」と不具合を申し出ていたが、整備士と副部長は不具合箇所についての修理経験がなく、「定期検査の際に交換すれば」として、一部を解体して中を見るなどマニュアル通りの点検をせずに、修理を先送りしたという。
警察は、この時、マニュアル通りに点検していれば、内部にある異常は発見できたとしている。
機長については、非常時の操縦法を定めた「飛行規程」に従い、「オートローテーション」(エンジンを停止して緩やかに下降する)の操作をしていれば、墜落しなかったと判断した。
機は12月9日、定期検査のため大阪に向かう途中、静岡で墜落した。
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(2011年12月1日 修正2 ;追記)
2011年11月9日付の静岡新聞紙面に、整備士などが業務上過失致死に問われた理由に関する、下記趣旨の解説記事が掲載されていた。
警察は、事故原因が整備士や機長のプロとしての責任や義務の欠如にあると断定した。
業務上過失致死容疑の構成要件は、事故の「予見可能性」と「結果回避義務」の有無。
警察は、整備士らにはこれらが認められ、過失責任が問えると判断した。
警察は、整備士と整備部副部長に「機体を完璧に整備して飛行させる責任がある」との前提で捜査を進めた。
「予見可能性」については、「適切な整備をしなければ機体が墜落する可能性があったにもかかわらず、それを承知で飛行させた。そのまま飛行すればテールローターに問題が起き、墜落することは予見できた」との判断を示した。
「結果回避義務」については、機長がテールローター故障時の最善の操縦とされるオートローテーションを行えば、機体はゆるやかに着陸し、同乗の女性整備士がけがをしなかった可能性があると指摘した。
オートローテーションは、プロの操縦士なら誰でも身につけている技術という。
警察は、機長が死亡したため、女性整備士にけがを負わせた過失のみで立件した。
発表によると、UH1には旧型と改良型の2タイプあり、操縦桿の動きを回転翼に伝える油圧系統のスイッチ操作が異なっている。事故機は旧型で、ホバリング中にスイッチを切ると操縦に障害が発生する構造になっていた。
そのような状況下、空中で停止するホバリング中に副操縦士が誤って当該スイッチを切ったため、機体が不安定になった。そこで副操縦士が機体の姿勢を修正しようとスイッチを再び入れ直したところ、操縦桿に過剰な力が加わり、回転翼が反り返り尾翼を切断、墜落した、としている。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201102040097.html
そのような状態であれば、よほど注意していても、その注意をすり抜けてトラブルが発生する可能性がある。ヒューマンエラーとは、そういうものだ。


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。