2020年8月27日4時29分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR京葉線など首都圏の在来線の高架橋の耐震化工事について、JR東日本が耐震診断を誤り、合わせて270本余りの柱で工事が行われていなかったことがわかりました。
JR東日本によりますと、耐震診断に誤りがあった高架橋の柱は、京葉線、武蔵野線、それに総武本線など、首都圏の6つの在来線の合わせて276本です。
JR東日本は、阪神・淡路大震災をきっかけにすべての柱で耐震診断を行い、このうち揺れによる亀裂で、大きく壊れるおそれがあるおよそ1万2600本の補強工事を優先的に進め、平成20年度までに完了したと発表していました。
しかし去年8月、高架橋の別の工事で耐震診断を行った担当者が過去の診断の誤りに気付き、その後、改めて調べたところ、276本の柱が工事の対象から外れていたことがわかったということです。
このため、10年以上にわたって補強工事が行われていなかったことになりますが、これまでの地震などによる被害は出ていないということです。
JR東日本は、再来年度末までに追加の補強工事を行うことにしています。
高架橋の耐震診断を巡っては、ことし1月に東北新幹線と上越新幹線でも一部の柱で同様の問題が発覚していて、補強工事が進められています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200827/k10012585501000.html
8月26日19時2分にYAHOOニュース(読売新聞)からは、今年1月の新幹線事例を受けて横展開対応で調査していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本は26日、在来線の高架橋の柱276本について、国から求められた耐震補強工事を少なくとも11年間、実施していなかったと発表した。
耐震診断をした際、誤って工事の優先度を低いと判断していた。
2022年度末までに補強工事を完了させるという。
JR東によると、工事漏れがあったのは、京葉線や武蔵野線など6路線の柱276本。
1995~97年に耐震診断をした際、強度面から工事の優先度が高かったのに、図面を読み誤るなどして優先度を低いと判断していた。
いずれも不具合は見つかっていない。
国は95年の阪神大震災を受け、鉄道営業法などに基づいて柱の耐震補強工事を鉄道各社に指示。
JR東は、今回の柱を含む優先度が高いものは09年3月までに完了させると報告していた。
今年1月、東北、上越新幹線の柱計367本で耐震補強工事漏れが発覚し、在来線でも調査していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/53e0753bf3b3f3aae75f4e3abe9b56519c42a41b
8月26日付で乗りものニュース(時事通信)からは、鉄筋の量や種類などで耐震診断しているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本は26日、首都圏在来線の高架橋にある計276本の柱で耐震診断に誤りがあったと発表した。
必要な耐震補強工事が行われていない状態となっており、同社は2022年度までに工事を終えると説明している。
耐震診断をめぐっては今年1月、東北・上越新幹線の高架橋にある計367本の柱で診断ミスが判明。
同社は、在来線についてもミスがなかったか確認を進めていた。
診断ミスのあった柱が見つかったのは武蔵野線(124本)、京葉線(118本)など、首都圏内の6線。
山手線は含まれていない。
JR東によると、耐震診断では柱の鉄筋の量や種類などを分析。
これに基づき、地震の際に大きく破壊される恐れがあるかどうかを判断し、補強工事の優先度を決定する。
今回判明した276本は、1995年に診断が行われたが、当時の分析に誤りがあったなどとして、優先度の低い柱に分類されていた。
本来であれば、09年3月までに補強工事を終えていたという。
これまで地震による損傷は確認されていない。
対象の柱については、鋼板を巻き付けるなどの補強工事を実施する。
https://trafficnews.jp/post/99502
8月26日付でJR東日本からは、せん断破壊先行型の柱を曲げ破壊先行型と誤診断していたという下記趣旨の記事が、図解説明付きでネット配信されていた。
本年 1 月に東北・上越新幹線のラーメン高架橋柱の一部の柱が、耐震診断誤りにより、耐震補強の優先度が高いせん断破壊先行型の柱であることが判明したことをお知らせしました。
在来線ラーメン高架橋についても、新幹線と同様に耐震診断結果の再確認を行ったところ、曲げ破壊先行型と判断していた柱の一部が、耐震診断の誤りにより、耐震補強の優先度が高いせん断破壊先行型の柱であることが判明しました。
弊社といたしましては、継続して様々な構造物に対して、耐震補強工事を進めているところであり、当該高架橋柱に対しても、速やかに耐震補強を実施いたします。
https://www.jreast.co.jp/press/2020/20200826_ho01.pdf
(ブログ者コメント)
〇NHKからは昨年8月に、他のメディアからは今年1月にミスに気付いたと報じられている。
どちらが正か調べたところ、昨年8月に別の工事で気付き、今年1月に新幹線高架橋の診断ミス調査結果を発表した、ということらしい。
詳細は下記記事参照。
記事中、原因はデータ入力ミスとも書かれている。
(2020年1月21日18時51分 時事ドットコム)
JR東日本は21日、東北・上越新幹線の高架橋にある計367本の柱で耐震性の診断ミスがあったと発表した。
10年以上にわたり必要な補強工事が実施されておらず、同社は2020年度末までにおおむね工事を終える見込みとしている。
JR東によると、診断ミスのあった柱が見つかった主な区間と本数は、東北新幹線の上野―大宮68本、大宮―小山50本、郡山―福島20本、仙台―古川10本など。
上越新幹線は燕三条―新潟68本、越後湯沢―浦佐53本、大宮―熊谷52本などとなっている。
新幹線高架橋の柱は、阪神大震災をきっかけに国が耐震補強の対象としていた。
高さや鉄筋の量から、地震の揺れで急激に大きく破壊される恐れがあるものを優先的に補強するよう求めていた。
JR東は08年5月、同社所有の新幹線高架橋の柱約7万7000本のうち、鉄板を巻いたり、張り付けたりする耐震補強が必要な約1万8500本で工事を完了したと発表していた。
しかし、データの入力ミスで対象から外れていたものがあった。
昨年8月に社員が別の工事で耐震診断を実施した際に誤りに気づき、他の柱についても確認を進めていた。
これまで地震による損傷や破断はないという。
JR東は「速やかに耐震補強を実施する。ご迷惑とご心配をお掛けし、深くおわび申し上げる」とコメントした。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012100724&g=soc
〇どのようにしてミスに気付いたのか調べたところ、別の工事で柱の耐震計算をやり直した際に気付いたとのことだった。
詳細は下記記事参照。
(2020年1月21日18時15分 朝日新聞)
JR東日本は21日、東北、上越新幹線の高架橋柱で、耐震補強が不十分なものが計367本見つかったと発表した。
1995年の阪神・淡路大震災を受けた耐震診断の際に計算を誤ったのが原因といい、JR東は「早急に補強工事を実施する」としている。
問題が見つかったのは、複数の橋脚をつないだ「ラーメン構造」の高架橋柱。
阪神大震災では、山陽新幹線の高架橋柱がはさみで断ち切られたように破壊される剪断(せんだん)破壊が起きた。
これを受け、JR各社は耐震補強に取り組み、JR東は2008年までに、剪断破壊が起こりうると判断した約1万8500本について、鋼板を巻き付けるなどの補強を完了したとしてきた。
ところが昨年夏、別の工事で耐震計算をやり直した高架橋柱について、本来必要な補強がなされていなかったと判明。
全線で再計算したところ、計37カ所の高架橋柱367本が補強対象から漏れていたことがわかった。
主な区間と本数は、東北新幹線上野―大宮間が68本、大宮―小山間が50本、上越新幹線大宮―熊谷間が52本、燕三条―新潟間が68本など。
最初に耐震性を計算した際、鉄筋の数や柱の高さなどの入力データが誤っていたのが原因という。
JR東によると、剪断破壊が起こりうると判断しなかった柱も、08年以降に同様の補強を進めてきたという。
今回の367本については20年度末までに対策を終えるとしている。
https://www.asahi.com/articles/ASN1P5W9MN1PUTIL04D.html
2020年8月26日11時30分に熊本日日新聞から下記趣旨の記事が、地図や写真付きでネット配信されていた。
熊本市西区谷尾崎町の住宅街で今年2月以降、少なくとも十数軒の民家が傾いたり、地面が陥没したりしていることが25日、分かった。
住民らは、近くの熊本西環状道路の高架橋工事に伴う大量の地下水噴出が原因ではないかとして、市に原因究明や対策を求めている。
市高規格道路建設推進課によると、現地付近では谷尾崎高架橋(508メートル)の橋脚5本の建設工事中。
このうち1本の基礎部分(直径10・5メートルの円筒形、深さ約28メートル)の掘削工事が、2019年12月下旬から始まった。
今年2月20日ごろ、約13メートルまで掘り進めた時点で大量の水が噴出。
このため、ポンプでくみ上げ、用水路に流しながら工事を続けた。
1時間あたりの湧水量は最大約100トン。
湧水は7月末までに止まった。
複数の住民によると、地面が陥没したり、外構のコンクリートにひび割れができたりなどの異常がみられるようになったのは、今年2月下旬から。
地元住民約40人は7月、「迎平二区住環境を考える会」を立ち上げた。
同会の本田会長(男性、67歳)によると、異常は主に用水路に面した18軒の家屋や宅地で帯状に発生。
「水の大量噴出と宅地などの異常は時期が重なっており、因果関係があるのではないか。市には原因をはっきりさせてほしい」と話す。
一方、現状を把握した市は、7月20日から周辺で宅地内の調査に着手。
9月中旬からは地盤と地下水も調べる。
宅地が工事現場から約200メートル離れていることから、市は「このような距離で、帯状に異常が発生した例は聞いたことがない。工事との関連は現時点では不明で、調査には1年ほどかかる」としている。
熊本西環状道路は、同市南区砂原町と北区下硯川町を結ぶ約12キロの自動車専用道路。
17年3月に花園インターチェンジ(IC)~下硯川IC間の約4キロが開通。
現在、市が谷尾崎高架橋を含む花園IC~池上ICの約5キロの整備を進めている。
https://www.47news.jp/localnews/5181099.html
8月26日11時44分にNHK熊本からは、熊本市ではいたるところに地下水が流れているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地盤工学について詳しい、東京大学の小長井一男名誉教授は、「熊本市は阿蘇山の噴火によってできた透水性が高い地盤で、上水をすべて地下水で賄う世界でも珍しい都市だ。いたるところに地下水が流れているので、工事が原因の可能性も考えられるが、すぐに特定するのは難しい。時間をかけて調査を行う必要がある」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20200826/5000009737.html
8月27日11時0分に熊本日日新聞からは、別の地区でも陥没トラブルが起きているなど、下記趣旨の記事が地図と写真付きでネット配信されていた。
熊本市西区谷尾崎町の熊本西環状道路建設工事現場近くで、一部の家屋が傾いたり地面が陥没したりしている問題で、同市土木部は26日、約700メートル離れた同区池上町の池上インターチェンジ(IC)工事現場近くの住宅地でも地面の陥没が起きていることを明らかにした。
池上町では、昨年10月末に始まった1本の橋脚の基礎部分(直径8メートルの円筒形、深さ17メートル)の掘削中に、1時間あたり最大約170トンの地下水が噴出。
ポンプでくみ上げて排水しながら工事を進めたところ、今年2月以降、約50メートル離れた住宅地で最大約30センチ地盤沈下した。
4軒で地面の陥没が起きたが、家屋の傾きは確認されていないという。
市は4月以降、工事を中断し工法の検討などを進めている。
北区土木センターは、この日、二つの地区で少なくとも17軒の家屋や宅地に異常が発生していることを確認していると説明。
池上町では地質解析を進めており、「地下水の排水や工事用道路建設の際の盛り土など、複合的な原因があると考えている」としている。
9月にも、結果を住民に説明するという。
一方、この日記者会見した大西一史市長は「住民の不安は認識している。調査して原因を突きとめ、市の工事に起因すると分かればしっかり対応したい」と述べた。
https://this.kiji.is/671534957680231521?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の2コマ。
これら以外、フローリング床をビー玉がコロコロと転がっていく映像もあった。
2020年7月12日に掲載した第2報がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正4として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10823/
(2020年8月5日 修正4 ;追記)
2020年7月29日5時16分にYAHOOニュース(東洋経済オンライン)から、加圧泥水式工法を採用した工事で土砂を多く取り込みすぎたことが原因だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2022年度の開業を目指して建設が進む「相鉄・東急直通線」の地下トンネルの真上で今年6月、2度にわたって起きた陥没事故。
1回目の発生から約1カ月半を経て、その原因が明らかになってきた。
直通線の整備主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が設置した専門家らによる検討委員会は7月24日に3回目の会合を開き、陥没はトンネル掘削時に土砂を取り込みすぎていたことが原因だったと結論づけた。
現場のトンネルは、地中を筒状の「シールドマシン」で掘り進める工法で建設。
一般的に、シールドトンネル工事での陥没事故は「切羽」と呼ばれる掘削面の上が崩落して起きることが多いとされるが、今回の陥没は、すでに掘削が終わった部分の上で発生した。
地下約20mで何が起きていたのか。
【掘削後のトンネル上で陥没】
2度の陥没事故は、横浜市の郊外を通る幹線道路「環状2号線」の新横浜駅(同市港北区)付近で起きた。
1回目は6月12日、新横浜駅から北東に約800mほど離れた横浜市営バスの港北営業所近くで発生し、歩道部分から片側3車線の左側車線にかけて大きさ約6m四方、深さ約4mの穴が開いた。
2回目は同月30日、1回目の現場からさらに300mほど北東で起き、大きさ約8×6m、深さ約2mの穴が開いた。
どちらもけが人はなかった。
現場は建設中の相鉄・東急直通線「新横浜トンネル」のほぼ真上。
トンネルは地上から18~19mの深さで、1回目の陥没現場付近は発生の6日前、2回目の現場付近は2カ月前にトンネルの掘削が終わっていた。
鉄道・運輸機構は、1回目の陥没発生を受けてトンネル工事を中断。
大学教授ら専門家9人による「地盤変状検討委員会」を設置し、原因の究明を進めてきた。
検討委の龍岡文夫委員長(東京大学名誉教授)によると、シールドトンネル工事による陥没は、切羽と呼ばれる掘削面の上が崩れて地表が陥没するケースが一般的だ。
だが、2回の陥没は、どちらもすでに掘削が終わった区間で起きた。
当初から委員の間では、陥没現場の地下に空洞があったとの見方が出ていたものの、空洞ができた理由については意見が分かれていた。
6月24日に開いた最初の検討委会合では、「以前から(陥没現場の地下に)空洞があったのではないか」との意見もあったという。
だが、その後、地質調査が進むにつれ、すでに掘削したトンネルの左右と、これから掘削する前方の地盤は異常がない一方で、トンネルの真上に位置する「上総層」と呼ばれる砂を多く含む地層は傷んでいることが判明。
数値が高いほど地盤が固いことを示す「N値」は、本来100以上のところ、トンネルの上は50以下と弱くなっていた。
これらの分析から、検討委は、工事以前から空洞があったとはいえないと判断。
シールドトンネル工事が陥没を招いたとの結論に達した。
現場付近の地盤について龍岡委員長は、固い泥岩層が薄く、砂層が主体で、「非常にいやらしい地盤」と指摘。
砂層は、地中で安定した状態なら、非常に固く強いものの、空隙が生じて水にさらされると流れる性質があるといい、空隙が広がってバランスが崩れ、崩落したのではないかとの見方を示した。
【土砂を多く取り込みすぎた】
工事記録の解析では、陥没地点付近の工事の際に、本来、掘削する分よりも多くの土砂を取り込んでいたことが判明した。
龍岡委員長によると、新横浜トンネルのシールドトンネル工事は、泥水を送り込んで掘削面を安定させながら掘り進める「加圧泥水式」という方式で、掘削した土砂は泥水とともに排出される。
送り込んだ泥水と戻ってきた泥水の量や含まれる土砂の密度を比較することで、どれだけの土砂を取り込んだかがわかるという。
この工事記録を分析した結果、陥没現場付近の長さ10~14mにわたって、少しずつ余分に土砂を取りすぎていたことが判明。
送り込む泥水に含まれる土の密度が十分でなかったために掘削面が安定せず、本来掘るべき量以上に土砂を取り込んだとみられる。
また、過剰に取り込んだ土砂の量は、陥没現場の空洞の体積とおおむね一致した。
土砂を取りすぎていたことが工事中に判明しなかった点について、龍岡委員長は「突然、大崩壊が起きたわけではなく、限定的な量の(土砂の)取り込みを連続して行っていたので、とくに異常はないと判断したようだ」と説明する。
また、土砂を取り込みすぎた場合は、「グラウト」と呼ばれる、セメントをペースト状にしたものを注入して隙間を埋めるが、陥没現場付近では、結果的に注入量が足りていなかったこともわかった。
一般的に充填する量の2倍程度を注入していたものの、龍岡委員長は「今から見れば、もっと入れるべきだっただろう」と指摘する。
本来掘るべき量を上回る土砂を周囲から取り込んでしまい、さらに隙間へのグラウトの充填も足りていなかったことで、空洞が生じて陥没に至ったとみられる。
施工管理が適切だったかどうかについて、鉄道・運輸機構は、検討委から具体的な陥没発生のメカニズムや再発防止策などの最終的な報告を受けたうえで判断したいとの意向を示す。
ただ、委員の間では「より注意すべき場所だったものの、作業のレベルに問題があったわけではない」という見方が多いようだ。
一方、今回の陥没事故は、複雑な地盤でのトンネル工事にさまざまな知見を残すことにもなりそうだ。
「事故について詳細に解析する機会はまれ。今回の事象を踏まえ、今後は1ランク上がった管理方法が普及してもいいのではないか」と龍岡委員長は話す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/634c65f2687a3e7d03f4c5d402d9c034127081d3
(2020年9月3日 修正5;追記)
2020年9月3日1時35分にYAHOOニュース(神奈川新聞)からは、再発防止策をとって工事が再開されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鉄道建設・運輸施設整備支援機構は2日、現場の車線規制を解除し、中断していた相鉄・東急直通線の新横浜トンネルの掘削工事を再開した。
直通線の2022年下期開業には影響が出ない見通しという。
事故は6月12日と同30日に発生し、同12日以降は工事を中断。
検討委員会が陥没原因を掘削工事による土砂の取り込み過ぎと結論付けたことを受け、同機構は再発防止策を検討していた。
これまでに、掘削済み区間約2750メートルのボーリング調査と充塡(じゅうてん)措置などを実施。
今後掘削する約550メートル間は、土砂の取り込み過ぎが生じた場合は速やかな再充塡などの対策を実施するという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/418a003f1861fe978ec2536aad4435d055d09bda
(2020年9月5日 修正6; 追記)
2020年9月4日20時30分にYAHOOニュース(Response)からは、再発防止策の詳細が下記趣旨でネット配信されていた。
公表された再発防止策によると、掘削が完了している区間については、環状2号線直下区間で地盤に穴を開けて行なう「探り削孔(さっこう)調査」を実施し、地盤が弱い箇所に充填材を注入し強化した。
その他の掘削済み区間については、陥没箇所とは地層が異なること、トンネルが深い箇所に位置することから、陥没の危険性はないとしながらも、慎重を期すために過去の掘削データを再検証。
その結果、「空隙(くうげき)」と呼ばれる、地層のすき間が発生していないことが確認されたという。
工事実施前から地盤変状などの監視を行なってきた地盤変動監視委員会による、より詳細な計測でも、同様のことが確認されているとしている。
鉄道・運輸機構では、今後掘削を進める横浜アリーナ手前付近~新横浜駅間については、地盤の空隙が生じないための対策を施すとしており、すでにボーリング調査により地質状況を把握。
続いて、シールドマシン掘削面付近の土圧の適切な管理、土砂取り込み量の正確な把握、「裏込め注入」と呼ばれる、空隙を埋めるためのモルタル材注入における適切な管理を行なうとしており、土砂を取り込み過ぎた場合には、トンネル内から速やかに充填材を再注入するとしている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/677d52e0d3000c556776d7db629369c2fcaebd71
2020年6月19日に掲載した元記事がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10771/
(2020年7月12日 修正2 ;追記)
2020年7月5日5時1分にYAHOOニュース(東洋経済ONLINE)から、下記趣旨の詳細な解説記事がネット配信されていた。
最初の陥没が起きた6月12日は現場から約40m先(新横浜寄り)を掘削しており、陥没現場付近を掘削したのは6日前の6日だった。
2度目の陥没現場は300mほど手前で、シールドマシンが通過したのは約2カ月前の4月30日だったという。
トンネルの土かぶり(地表面からトンネル上までの深さ)は、最初の陥没現場付近が約18m、2度目の現場付近が約19m。
新横浜トンネルは深さが50m以上の区間もあるが、陥没現場付近はすでに地下にある首都高速道路横浜環状北線の上をまたぐため、同トンネルの中では比較的浅い場所を通っている。
【発生前に数mmの変位】
同機構によると、工事中は地表面の測定を毎日行っており、12日の陥没現場付近では発生の3日前から数mmの「微少な変位」が見られたため、道路交通への影響を見極めるために、観測態勢を強化していた。
ただ、この地表面の変位は「シールドトンネルの掘進に伴う一般的なもの」(同機構)だったという。
30日の陥没現場付近では、事前に地表面の変位はなかった。
12日の陥没事故を受け、同機構は専門家らによる「新横浜トンネルに係る地盤変状検討委員会」を設置。
24日に最初の会合を開き、原因についての調査検討を行った。
会合に先立つ22日には、陥没箇所の仮復旧も完了した。
2回目の陥没はその矢先に起きた。
2つの現場はバス停1つ分ほどの距離しか離れておらず、新横浜駅や横浜アリーナにも近い通行量の多い場所だ。
立て続けに発生した陥没に、30日に現場付近を歩いていた男性は「2回も続くと、やっぱりちょっと怖い」と話した。
現時点ではトンネル工事と陥没の関連はわかっていないが、地域住民らが不安視するのは陥没事故の再発だ。
6月12日以降、新横浜トンネルの工事は中断しているが、陥没は2カ所ともすでに掘削が完了した場所の上で起きた。
鉄道・運輸機構は対策について「シールドトンネルの工事による地表面の陥没は通常は起こらないが、当面の対策として詳細な地質調査を行うとともに、地表面の監視を強化している」と説明する。
調査を踏まえて検討委員会で審議し、原因の解明を進める方針だ。
もう1つ懸念されるのは、トンネル工事の中断による相鉄・東急直通線の開業時期への影響だ。
同機構は、「今は(陥没の)原因究明を行っている段階で、現時点でお話しできることはない」とする。
同線は各区間で工事が進んでおり、今年2月には羽沢横浜国大駅―新横浜駅間の「羽沢トンネル」掘進が完了。
同機構のウェブサイトに掲載された「土木工事着手率」は100%だ。
新横浜駅の部分についても「地下の躯体の土木工事はおおむね完了している」という。
【過去に開業時期延期も】
ただ、相鉄・東急直通線は過去に開業予定時期を延期した経緯がある。
同機構などは2016年8月、開業時期を当初予定の2019年4月から2022年度下期に変更すると発表。
延期の理由は、用地取得の遅れや新綱島地区の地質が想定よりも軟弱だったことなどだった。
相鉄・東急直通線の環境影響評価書には「計画路線周辺にはN値(地盤の強度を表す指標の1つ)5以下を示す比較的軟らかい地盤を厚く確認できる地点もあり、特に新横浜駅及び綱島駅周辺で多く確認できます」との記述があり、綱島周辺とともに新横浜駅周辺の地盤の状況に言及している。
工事中断による影響だけでなく、詳細な調査によって新横浜トンネル付近でも新たに地質の問題などが見つかれば、開業に影響する可能性がないとは言い切れないだろう。
相次いで発生したトンネル工事の上の道路陥没。
予定通りの開業はもちろん、再発防止のためにも、工事との関連を含めた早急な原因の解明が重要だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fa63d00ece446ea960c8a6d0233b749f858ba842?page=1
(2020年7月25日 修正3 ;追記)
2020年7月24日21時40分にYAHOOニュース(神奈川新聞)からは、トンネル工事が原因だと結論づけられたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原因を調べていた検討委員会は24日、地下で進められていたトンネル掘削工事の影響と結論付けた。
東京都内で開いた第3回会合後の会見で、龍岡文夫委員長(東京大学名誉教授)は「トンネル工事が陥没を誘発する空洞をつくったと考えられる」との見解を示した。
事故は6月12、30日に発生。
1回目は長さ約11メートル、幅約8メートル、2回目は約300メートル離れた場所で長さ約7メートル、幅約6メートルにわたり陥没した。
直下では2022年開業を目指す相鉄・東急直通線の新横浜トンネルの掘削工事が行われており、工事発注主の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設置した専門家らによる検討委が原因究明を進めていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/88b53bf09a60473673700f9cb4605aba35dd3b1e
2020年6月12日17時0分に神奈川新聞から下記趣旨の記事が、複数枚の現場写真付きでネット配信されていた。
12日午後2時50分ごろ、横浜市港北区大豆戸町の環状2号で、「道路が陥没した」と市港北土木事務所の職員から110番通報があった。
同事務所によると、片側3車線のうち、1車線と歩道が陥没。
範囲は幅約5メートル、長さ約10メートルで、深さは約4メートルに及ぶ箇所もあるという。
横断防止フェンスと街路樹1本が倒れた。
影響で、同区新横浜から鶴見区方面に向かう3車線が通行止めになった。
けが人はなかった。
現場はJR新横浜駅から北東に約800メートルで、横浜アリーナの近く。
付近の地下では相鉄東急直通線のトンネル掘削工事が行われており、地上への影響調査は定期的に実施されていたという。
同事務所は、「先週までの調査で異常はなかったが、今日(12日)の午後2時半ごろ、沈下のようなものを確認したと報告を受けた」としている。
現場を目撃した女性(63)は、「誰かが『危ないぞ』と叫ぶ声が聞こえた。地面は下から持ち上げられているようにえぐれていた」と驚いた様子だった。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-379580.html
6月17日5時0分に神奈川新聞からは、3日前から付近の地表が沈下していたという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
横浜市港北区大豆戸町の環状2号で12日午後に発生した道路陥没事故で、現場付近の地表が発生3日前の9日から沈下していたことが16日、分かった。
現場の地下約18メートルでは「相鉄・東急直通線新横浜トンネル」の掘削工事が行われており、発注主の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は関連や原因を調べている。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-382695.html
※以下は次回報道までのつなぎ記事。確定報道があれば削除する。
(2020年6月24日19時3分 YAHOOニュース;テレビ神奈川)
横浜市内の環状2号線で起きた道路の陥没で、地下の鉄道工事をしていた事業主が24日、原因究明のための検討委員会を開きました。
記者
「現場の路面では、22日に仮復旧の工事が終わりましたが、現在も地盤の沈下がないか、24時間体制での監視と測量作業が続いています」
6月12日に路面が陥没し、現在も片側1車線での規制が続く、横浜市港北区大豆戸町の環状2号線。
この道路の地下では、新たに開業予定の鉄道路線、相鉄・東急直通線のトンネル工事が行われていました。
工事の事業主である、独立行政法人鉄道・運輸機構は24日、原因究明のために外部の専門家を呼んで初の検討委員会を開き、工事の方法には直接の原因となる異常はなかったとしました。
一方、地下のどこかに工事前から空洞があり、工事の振動などによって陥没が引き起こされた可能性が高いとしています。
鉄道・運輸機構東京支社・五十嵐工事部長
「交通規制をして皆様に多大なご迷惑をおかけしたということは、工事をしている者として肝に銘じて、再発防止でできることは実施して、しっかり万全を期して今後掘進を進めていきたい」
道路の規制解除と、工事の再開時期の見通しは立っておらず、鉄道・運輸機構は「万全の対策を取ってできるだけ早く再開する」としています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee697d9146067c8909edcc4e14bbb505a8f21179
(2020年6月30日 修正1 ;追記)
2020年6月30日7時10分に神奈川新聞から、300m離れた場所で、また陥没したという、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
30日午前5時25分ごろ、横浜市港北区大豆戸町の環状2号で、「道路が陥没している」と通行者から110番通報があった。
横浜市港北土木事務所によると、現場周辺では新横浜から鶴見方面に向かう道路を交通規制している。
付近の地下では相鉄東急直通線のトンネル掘削工事が行われており、12日にも今回の現場から約300メートル離れた地点で道路陥没が発生している。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-395039.html
2020年3月24日5時0分に神奈川新聞から下記趣旨の記事が、写真と地図付きでネット配信されていた。
横浜・みなとみらい21(MM21)地区の運河に横浜市が建設している歩行者デッキ「女神橋」の高さが低く架設され、これまで航行していた船舶が通れなくなっていることが、23日分かった。
本格的な行楽シーズンを前に観光船が営業できない事態に直面。
一般のプレジャーボートの安全航行にも支障が生じる恐れがあるが、発注元の市は、設計に問題はなかったとの立場を示している。
女神橋は、横浜港の臨港パークとカップヌードルミュージアムパーク(新港パーク)を海沿いで結ぶ歩行者デッキ。
延長は約75メートル、幅員は6・8メートルで、今年7月の完成を予定している。
計画時の事業費は4億円で、国と市が負担する。
市によると、女神橋の水面からの桁下高は、運河の約100メートル上流に架かる「国際橋」を基準に設計。
同橋橋桁に記された「桁下高3・5メートル」との表示や、市の港湾計画や海図を根拠に、女神橋の桁下高を3・5メートルとして発注した。
架設した今月18日、横浜港内の周遊クルーズなどを手掛ける観光船の運航会社が「女神橋をくぐれない」と市に連絡。
翌19日に市が調べたところ、女神橋の桁下高は、ほぼ設計通りの約3・6メートルだったが、基準とした国際橋は実際には約4・2メートルで、女神橋が約60センチ低かったことが分かった。
市港湾局の成田政策調整課長は、国際橋を実測しないまま発注したことを認めた上で、「女神橋の桁下高を3・5メートルとした設計の考え方に問題はなかった。高さ3・5メートルよりも大きな観光船が通航していることは把握していなかった」と説明。
「現状では架け替えは考えておらず、運航会社とは、今後、個別に協議する」とした。
【桜クルーズ、急きょ運休】
横浜・みなとみらい21(MM21)地区の運河に架設された女神橋を観光船が通過できずに急きょ運休するなど、横浜港で混乱が生じている。
花見のシーズンを迎えたこの時季は、例年、桜の名所として知られる大岡川の遊覧や夜景を眺める周遊クルーズでにぎわうだけに、影響は深刻だ。
新型コロナウイルスの感染拡大で影響が生じる中での新たな問題に、運航会社からは悲鳴が上がる。
MM21地区の運河内を拠点とする観光船は、好天に恵まれた3連休中の21日午後に予定していた桜ミニクルーズの運航を見合わせた。
女神橋をくぐれず、横浜港に出られなかったためだ。
担当者は、「(新型コロナウイルスの感染拡大による)運航自粛から再開した当日の18日に、女神橋で航路を突然ふさがれてしまった。今後どうしたらいいのか」とつぶやいた。
別の関係者は、「(女神橋の架設による)影響がこのまま1年間続けば、年間で半分ほどの便が運航できなくなる。被害は甚大で、市は早急に対応してほしい」と語気を強めた。
新型コロナウイルスの集団感染による風評被害で運休が続いている屋形船の関係者は、「実際にくぐれるかは運航してみないと分からないが、横浜港のにぎわいに水を差す新たな障害になりかねない」と不安を訴えた。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-307366.html
4月1日12時10分に神奈川新聞からは、市はかさ上げ工事を行うという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
横浜・みなとみらい21(MM21)地区の運河に横浜市が建設中の歩行者デッキ「女神橋」が低く架設され、船舶が通航できなくなっている問題で、市が橋のかさ上げ工事を追加発注したことが31日、分かった。
市は橋の計画自体に問題はなかったとの立場をとっており、「将来の観光の発展に向けて対応を図った」と説明。
追加工事の費用は不明といい、開通時期は当初の7月から大幅に遅れる見通しだ。
市によると、女神橋のかさ上げ工事は30日から4月上旬にかけて、ジャッキアップで全体を約60センチ高くする。
同橋は満潮時の水面からの桁下高約3・5メートルの計画で架設されており、かさ上げ後は約100メートル上流に架かる「国際橋」の中央部の桁下高約4・2メートルと同じ高さとなり、船舶が通航できる予定だ。
市は、基準とした国際橋の桁下高を実測しないまま発注し、従来は通航していた観光船などが通れない事態が生じている。
市港湾局の成田政策調整課長は、「計画時の調査や設計は、その時点でできることをしたので問題ない」とした上で、かさ上げについては「(横浜港の)内水面はMM21地区の観光にとって非常に重要。観光船や屋形船などでにぎわいが高まる中、(船舶が通航できないことで)将来に向けて可能性をなくすのはわれわれとしては本意ではない」と釈明した。
追加発注は局内の会議を経て中野局長が判断したという。
当初計画での事業費は4億円で、国費と市債それぞれ1億7500万円、市の一般財源から5千万円を投じる予定だったが、追加工事を含めた総事業費について、市は「算定できない」としている。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-316010.html
(ブログ者コメント)
橋桁から水面まで3.5mで設計した橋の場合、橋桁に「通行可能3.5m以下」といった表示はしない。
そこには、当然、マージンを見込むはず。
女神橋の設計担当者や上司などは、なぜ、そこに気付かなかったのだろうか?
ベテランの退職で経験少ない新人が担当した・・・?とは、一つの可能性だ。
責任を問われるのを避けるためか、市は原因追及に及び腰のように感じられるが、こんなことでは、また同じようなトラブルが起きるかもしれない。
これが市役所と同等規模の民間企業であれば、徹底的に原因を分析し、再発防止に努めると思うのだが・・・。
2020年3月10日19時15分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本県が南阿蘇村に完成した治山ダムで、請け負った天草市の業者の工事に不備が見つかり、県が補修を指示しました。
施工の不備が見つかったのは、県がおよそ2億5000万円をかけて南阿蘇村に建設した治山ダムです。
ダムは、鉄板を何枚も貼り合わせて直径12メートルの円柱を5本つくり地中に埋め込んで、大雨の際に大きな岩や木が下流に流れないようにするもので、去年3月に完成しました。
その後、匿名の複数の通報が県に寄せられ、県が調査をした結果、鉄板の長さが設計よりも2メートルほど短かったり、亀裂が入っていたりしたものが複数見つかり、その後の調査で、ダムの構造に影響を及ぼすおそれがあることがわかりました。
このため県は、10日までに、工事を行った天草市有明町のY組に対し、補修工事をするよう指示しました。
補修工事の費用およそ1000万円は業者の負担とし、調査の費用およそ900万円も請求するほか、何らかの処分を検討しています。
県の聞き取りに対し、業者は「地中に石や岩盤があり、工期に間に合わせるため、鉄板を切断した」などと説明しているということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20200310/5000007672.html
3月10日18時59分に日テレNEWS24からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本県が発注した南阿蘇村の治山ダムの工事で契約と異なる工事が行われていた問題で、県は、ダムの構造に影響を及ぼす恐れがあるとして、工事業者に補修工事を命じた。
問題となっている南阿蘇村の治山ダムは、熊本地震の土砂崩れなどで荒れた森林の再生を目的に、県が県内の建設会社に2億5000万円で発注し、去年3月に完成した。
しかし、完成後、工事関係者から県に、『ダムに使われた鋼鉄製の矢板の一部が設計よりも短く切られた』との情報が寄せられた。
県では、これまで現地を掘り起こすなどして事実確認や原因の調査を進めた結果、工事の事前調査で分からなかった大きな石が見つかり、石を避けるために鋼鉄製の矢板の一部を切断したことが分かった。
また、矢板の継ぎ目を適切に継いでいなかったこと、さらに、矢板の打ち込み不足があったことが分かった。
また県では、この業者について『故意または重大な過失があった』として、ダムの補修工事の後に、対応を考えたいとしている。
http://www.news24.jp/nnn/news86816329.html
3月10日19時12分にYAHOOニュース(熊本放送)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震の復旧事業として県が発注したダムで不適切な工事です。
県は業者に追加の補修工事を指示しました。
「ダムの構造に影響を及ぼす恐れがあることから、補修工事が必要であると判断しました」(県の会見)
県によりますと、不適切な工事が行われていたのは、熊本地震関連の工事として南阿蘇村中松で整備が進む治山ダムです。
外部からの情報を受けて県が去年10月、工事を行った業者に掘削調査をさせたところ、地中に打ち込まれた矢板13本が設計より短く切断されていました。
その後、専門家を交えて検討した結果、設計通りの安定性が確保されておらず、補修工事が必要と判断しました。
業者は切断した理由を「固い岩盤などに当たったため」と説明しているということです。
県は業者に対し、補修工事を5月14日までに終えるよう指示するとともに、「故意または重大な過失として」処分を検討することにしています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200310-00000006-rkkv-l43
(ブログ者コメント)
以下は、日テレNEWS24映像の4コマ。
上から2番目のコマは、矢板?を溶断している人物がボヤケ状態になっていることから考えると、実際の切断時の様子なのかもしれない。
2020年3月10日19時23分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午前11時20分ごろ、金山町本名のJR只見線の復旧工事現場で、北塩原村の会社員、佐藤さん(男性、69歳)が、のり面から落ちてきた岩の下敷きになりました。
佐藤さんは、会津若松市の病院に搬送されましたが、死亡しました。
現場では、9年前の豪雨の影響で崩落した只見線の「第6只見川橋梁」を架け直す作業が進められていました。
JRによりますと、佐藤さんは鉄製のパイプを組んで作った、高さおよそ20メートルの足場の上で、山の斜面をけずる作業をしていたということです。
現場には数人の作業員がいましたが、ほかにけが人はいませんでした。
警察は、岩が落ちた原因や安全管理の状況などを調べています。
JR只見線は、会津川口駅と只見駅の間の27.6キロで不通となっていて、復旧工事は、令和3年度中にも完了する予定になっています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20200310/6050009270.html
3月10日18時47分にテレビ朝日からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR線の復旧工事で山の斜面が崩れ、下敷きになった作業員の男性が死亡しました。
事故があったのは、福島県金山町のJR只見線の工事現場で、10日午前11時ごろ、山の斜面を重機で掘る作業中に約1メートル四方にわたって岩盤が崩れました。
この事故で佐藤さん(69)が崩れてきた岩盤の下敷きになり、死亡しました。
現場では、2011年の新潟・福島豪雨で流された只見線の橋の架け替え工事が行われていました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000178586.html
3月10日19時34分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
県警と消防によると、工事で掘削した山肌の一部に亀裂が生じて岩盤が崩れ、近くで作業していた佐藤さんが下敷きになった。
https://www.sankei.com/affairs/news/200310/afr2003100040-n1.html
(ブログ者コメント)
以下は、テレビ朝日映像の3コマ。
2020年2月20日22時16分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午後4時ごろ、札幌市豊平区平岸1条の地下トンネルの掘削現場で作業をしていた20代の男性作業員が、トンネルから土砂を運び出す電動のトロッコにはねられました。
男性は札幌市の病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。
警察によりますと、現場では豊平川から望月寒川に川の水を流すため放水路の工事を行っていて、男性が土砂を運び出すトロッコのバッテリーを交換する作業をしていたところ、レールを走ってきた別のトロッコとの間に挟まれたということです。
警察は何らかの理由でレールのポイントが切り替わり、トロッコが男性の作業している方向に向かって行ったとみて、現場の作業員から話を聞くなどして、事故の詳しい状況や原因を調べています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200220/7000018141.html
2月20日21時51分に北海道新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午後4時5分ごろ、札幌市豊平区、望月寒(もつきさむ)川放水路トンネルの建設作業現場で、男性作業員が2台の土砂運搬車の間に挟まれているのを同僚の男性が見つけ、119番した。
男性は救助されたが、搬送先の病院で間もなく死亡した。
札幌豊平署によると、現場はトンネル出口から約40メートルの地下部。
男性は当時、運搬車用の線路上で、停車させた運搬車のバッテリーを交換する作業を1人で行っていた。
同署は、男性が作業中のところに別の運搬車が進入し、挟まれたとみて調べるとともに、身元の確認を急いでいる。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/395237/
2019年11月20日6時13分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
奈良県は19日、天理市杣之内町で建設を進めている「なら歴史芸術文化村」について、中核施設の文化財修復・展示施設棟の建物全体が最大約12センチ浮上し、傾斜する変動が確認されたと発表した。
原因が究明されるまで同棟の工事は中止され、令和3年度内を予定している開村時期に影響を及ぼす可能性もあるという。
同村は歴史文化資源の新たな活用拠点として、県が総額約99億5千万円の事業費をかけて整備。
昨年7月に工事が始まり、現在は4棟の建設工事が行われている。
文化財修復・展示施設棟は地上2階、地下1階で、延べ床面積は4棟で最大の約5千平方メートル。
県営繕プロジェクト推進室によると、今月5日に「鉄骨の高さが合わない」という報告が県に寄せられ、建物北側で約12センチ、南側で約1センチが上昇していることが、その後の調査で分かった。
同室の担当者によると、原因は不明だが、何らかの理由で地下水が上昇したとみられ、施工者がボーリング調査などによる原因特定を急いでいるという。
同棟を除く3棟に異常はなく、工事は続行される。
同村は歴史と伝統技術に触れ、芸術を体験できる施設。
文化財修復・展示施設棟では、文化財修理現場の一般公開などが計画されている。
https://www.sankei.com/west/news/191120/wst1911200013-n1.html
2018年3月2日に掲載した第3報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第4報修正5として掲載します。
第3報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8078/
(2019年3月18日 修正5 ;追記)
2019年3月11日20時13分に神戸新聞から、裁判における被告人質問の様子が、下記趣旨でネット配信されていた。
業務上過失致死傷罪で在宅起訴された工事元請け「横河ブリッジ」(千葉県船橋市)の社員の男(45)=当時の現場所長=の公判で11日、被告人質問が神戸地裁であった。
検察側は地盤沈下が事故の一因と主張しており、地盤調査をしなかった理由を質問。
男は「認識の甘さだった」とし、「施工の難易度が高く、架設する作業計画や方法に意識を向けすぎていた」と述べた。
出典
『新名神橋桁落下事故公判 「原因、今も自問自答」元現場所長』
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201903/0012137867.shtml
(2019年4月24日 修正6 ;追記)
2019年4月23日20時20分に神戸新聞から、当時の現場所長に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時の現場所長(45)に対する判決公判が23日、神戸地裁であった。
小倉裁判長は禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮3年6月)を言い渡した。
判決によると、被告は16年4月22日、橋桁(長さ約123m、重さ約1379トン)の架設工事で、国道176号上に橋桁を落下させ、作業員らを死傷させた。
事故原因については、橋桁を支える設備の地盤が不均等に沈下したためと指摘。
「必要な調査を行わず、適切な地盤改良を怠った。極めて軽率で不適切」とし、「前日や当日に沈下を知りながら工事を継続させた判断の誤りが、多数の死傷者を生じることに直結した」とした。
働き盛りで30代の2人が亡くなり、重い後遺症の人も多く、「結果は誠に重大で悲惨」とした。
一方で、事故の要因として、他部門の問題点にも言及。
「被告のみに事故の全責任を帰することには躊躇を覚える」とし、反省の態度などを踏まえて執行猶予を付けた。
判決後、小倉裁判長は「(実刑にするか)相当悩んだが、ぎりぎりの判断で刑を猶予にした」とし、贖罪の気持ちを持ち続けるよう諭した。
同社は「安全施工と事故の再発防止に全力で取り組んでまいります」とコメント。
弁護側は控訴しない意向を示した。
出典
『新名神橋桁落下事故 地裁 元現場所長に有罪判決』
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201904/0012267821.shtml
4月23日17時3分にNHK兵庫からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
これまでの裁判で、被告側は「規模の大きい複雑な工事で、被告1人に責任を負わすのはそぐわない」などとして、執行猶予のついた判決を求めていた。
23日の判決で裁判長は、「必要な地盤調査を行わないなど、被告の判断の誤りが多数の死傷者を出す事故に直結したが、会社の指示のあり方に相当な問題があり、被告のみに責任を負わすのには躊躇を覚える」として、禁錮3年、執行猶予5年を言い渡した。
このあと、小倉裁判長は、「重大な結果をもたらし、執行猶予にするかどうか、ぎりぎりの判断だった。遺族やけがをした人への贖罪は、これで終わりではない」と述べ、被告を諭した。
出典
『橋桁落下事故 元所長に猶予判決』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20190423/2020003701.html
2019年1月19日11時29分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
19日午前9時頃、東京都江東区大島で建設中の保育園(地上3階地下1階)から出火、計約200m2を焼いた。
この火事で作業員8人が煙を吸うなどしてけがを負い、このうち男性3人が病院に搬送された。
警視庁城東署幹部によると、現場では同日朝から作業員計29人が作業をしていた。
地下1階で鉄線を電動工具で切断する際、火花が近くの断熱材に引火して燃え広がったという。
同署は、作業手順などに問題がなかったかどうか調べる。
現場は都営新宿線西大島駅の北東約300mの住宅街。
出火当時、屋上にいた男性作業員(34)は、「『火事だ』という叫び声を聞いて驚いて逃げた。すぐに周囲が煙に覆われ、視界がほとんどなくなった」と話していた。
出典
『建設中の保育園で火事、8人けが…火花が引火か』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190119-OYT1T50043.html
2019年1月11日17時6分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午後2時ごろ、東京都港区新橋1丁目の建設中のビルから出火した。
警察と消防によると、屋上にあった断熱材の発泡スチロール約100m2が焼け、煙を吸って10~60代の男性4人が搬送されたが、いずれも症状は軽いという。
逃げ遅れた人はいないという。
ビルは地下2階、地上27階建てで、新橋駅に近い。
工事を発注したNTT都市開発によると、2017年7月に着工し、今年7月に完成予定で、オフィスやホテルが入る予定だという。
屋上のすぐ下の27階にいた男性作業員によると、屋上には厚さ20~30cmの発泡スチロールの板が10数枚重ねてあり、そこから黒煙と火が上がっているのが見えたという。
屋上から「消火器もってきてくれ」との叫び声が聞こえ、複数の作業員が数10本の消火器を屋上に運び、数人の作業員が火元に向けて消火器を噴射していたという。
地下1階で空調設置工事をしていた50代の男性作業員によると、午後2時ごろから白い煙が地下1階にも充満し始め、ゴムが焼けたような臭いが漂ったという。
建物の外に出ると、屋上から黒煙が噴き出しているのが見え、他の作業員も続々と避難していた。
この男性は「けが人がいなければいいが」と、心配そうな表情で屋上を見上げていた。
出典
『新橋駅近くの地上27階建てビルで火災 けが人複数』
https://www.asahi.com/articles/ASM1C4S37M1CUTIL01V.html
1月11日19時35分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防によると、断熱材30m2が燃え、4人がけがをした。
出火時、屋上付近ではアスファルトをバーナーで溶かす作業をしていたという。
23階にいたという男性作業員は、「焦げた臭いがして、急いで階段で下りて避難した」と話した。
出典
『建設中の27階ビル火災 4人が負傷 JR新橋駅近く』
https://mainichi.jp/articles/20190111/k00/00m/040/124000c
1月11日20時14分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
屋上の断熱材など約100m2が燃えた。
警察によると、屋上付近にいた10~60歳代の男性作業員4人が煙を吸うなどして病院に搬送されたが、命に別条はないという。
警察は、バーナーの火花が断熱材の発泡スチロールに燃え移ったとみている。
ビルは今年7月に完成予定で、約350人が作業していた。
出典
『建築中の高層ビル火災、バーナーの火花が引火か』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190111-OYT1T50074.html
1月11日15時25分にNHK首都圏からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27階にいたという40代の作業員の男性は、「これから作業をしようとしたら上から火のようなものが落ちてきて、あわてて消火器を現場監督に手渡して消火し、急いで階段を降りてきた。落ち着いて避難できた」と話していた。
出典
『建設中の高層ビル火災 4人けが』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190111/0023786.html
2019年1月8日6時30分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事が写真や図解付きでネット配信されていた。
崩れない盛り土を造るために最も重要なことは、水の影響をよく見極めることだ。
対策を誤れば崩壊し、周囲に多大な被害を及ぼす。
2017年10月に和歌山県紀の川市の斜面が豪雨で崩れ、土砂が民家を襲った事故は、斜面上に盛り土をして造った農道が原因だった。
この事故で斜面下の住宅など4棟が被害を受け、男性1人が死亡した。
事前のボーリング調査で地下水は無いと判断し、水の影響をあまり考慮していなかった。
【盛り土無ければ斜面崩れず】
斜面が崩壊したのは17年10月22日。
台風21号による大雨の影響で午後8時30分ごろ、南北方向に傾斜する斜面が幅(東西方向)約80m、長さ約120mにわたって崩れた。
崩れた土砂は1万8000m3に及ぶ。
崩れた斜面の上部には、東西方向に盛り土で造成した農道が通っている。
この盛り土全体が崩れ、斜面を滑り落ちた。
付近の観測所のデータによると、当日の1日当たりの降雨量は219ミリで、観測史上最大を記録していた。
農道を建設した和歌山県は、17年11月に有識者でつくる調査検討会(会長:大西有三・京都大学名誉教授)を設置し、崩壊の原因を調査。
その結果、大量の雨水を含んだ盛り土が斜面崩壊を誘発していたことが分かった。
当日の雨量データを使った解析によると、盛り土が無ければ、斜面は崩れずに済んだ。
県は責任を認め、国家賠償法に基づき、住民らと補償の交渉を続けているが、農道の設計に不備があったとまでは明言していない。
「農道の盛り土が無ければ被災しなかったという意味で、農道を造った県の責任を認めている。ただ、県に過失があったとまでは言えないのではないか」(道路建設課の太田和良課長)。
【専門家は「調査や設計に問題あった」】
農道は15年3月に完成した。
県によると、事前に実施した深さ7mのボーリング調査で地下水は認められず、盛り土の下の強風化岩層も、載荷試験で十分な支持力が確認されていた。
施工に不備はなく、設計通りしっかりと造られていた。
一方、専門家の見方は厳しい。
調査検討会の委員を務めた京都大学防災研究所斜面災害研究センターの釜井俊孝教授は、「事前の調査や設計に問題があったことは明らかだ」と指摘する。
釜井教授が問題視するのが、盛り土の法尻に設置した「補強土壁」だ。
補強土壁とは、補強材を入れて強化した土で垂直に近い壁面を造り、土留めするもの。
この農道では、「ジオテキスタイル」と呼ぶ樹脂製のネットを60cm間隔で層状に敷設した補強土壁を使い、盛り土の法尻を土留めしていた。
補強土壁の断面形状は幅5.6m、高さ7.5mの平行四辺形で、壁面の勾配は「1対0.3」だ。
この補強土壁が地下を通ってきた雨水を遮る形になったことが災いした。
崩壊時には、地下水位が盛り土の地表部まで上昇していたとみられる。
崩壊後の調査の結果、盛り土や補強土壁自体が崩れたわけではなく、その下の強風化岩層を滑り面としていた。
大量の水を含んだ盛り土が上載荷重となって斜面を崩したと考えられる。
【不十分だった排水対策】
補強土壁には、幅30cmの不織布による水平排水材が、上下に1.2m間隔、水平方向に2.4m間隔で千鳥配置されていた。
不織布を通じて補強土内の水を排出する仕組みだ。
釜井教授は、「この程度の不織布では到底、雨が降ったときに排水できるはずがない」と指摘する。
「補強土壁は、欧州の雨の少ない地域で発達した工法だ。日本で施工するのなら、日本の気候に適したモンスーンアジア型の補強土壁を考える必要がある」(釜井教授)。
ジオテキスタイルで補強してあるとはいえ、土なのだから水に弱い。
しっかりとした排水対策が必要だ。
通常、斜面に補強土壁を設置する場合、地山から水が入り込まないように、掘削部の底面と背面には、砕石による排水層や排水パイプといった排水工を設置する。
しかし、この補強土壁では、事前のボーリング調査で地下水が観測されなかったことから、排水工を省略していた。
そこで県は、標準的な排水工を設けた場合を想定して、浸透流解析や安定解析などを実施。
その結果、排水工を設置していても斜面は崩壊したという結果になった。
つまり、もっと抜本的な排水対策が必要だったといえる。
記録的豪雨だったとはいえ、盛り土がなければ斜面は崩れなかった。
水への対策が不十分だったと言わざるを得ない。
水への対策が手薄になった大きな要因は、事前のボーリング調査で地下水が観測されなかったことだ。
そのため、地下水が無いものとして設計が進んでしまった。
【事前に湧水のことを伝えていた】
では、本当に地下水は無かったのだろうか。
「水が無いわけがない。調査のときに、たまたま出なかっただけだ」と釜井教授は断言する。
崩壊現場は小さな谷で、水が集まりやすい形状になっている。
県が崩壊後に地域住民に聞き取り調査をしたところ、崩壊箇所の東側では湧水があり、かつては畑で、その湧水を利用していた。
住民は湧水があることを、農道の計画当初から何度も県に伝えていたという。
盛り土の施工後も、排水が不十分であることを示す兆候は表れていた。
農道の路面と地山との間に挟まれた盛り土天端の平地では、雨が降ると水たまりができ、10日ほど水が抜けなかった。
盛り土の天端にひび割れが生じたため、転圧し直して地山との境界部に側溝を設けたが、それでも雨の際には水たまりができた。
「周りの地形や環境、植生などを見て考えていない。データに依存しすぎる初歩的なミスだ」と釜井教授は批判する。
【想定より著しく弱かった風化岩】
誤算だったのは、水だけではない。
補強土壁の基盤とした強風化岩層の強度も、設計時の想定とは大きく異なっていた。
県によると、盛り土自体が崩れたのではなく、その下の強風化岩層で滑っていたことが、検討委員会で疑問点として挙がった。
強風化岩なので強度はあまり高くないが、それでも100m下まで流れるほど流動化することがあり得るのかという疑問だ。
そこで追加で土質試験を実施したところ、強風化岩層のせん断強度が、設計で想定した値よりも大幅に低いことが分かった。
補強土壁の基盤としての支持力はあったが、斜面の安定に必要なせん断強度は持っていなかった。
当初の地質調査や施工時には確認できなかった脆弱な灰白色粘土層が、強風化岩層に流れ盤構造で分布していたからだ。
斜面崩壊から1年ほどたった18年11月2日、県は調査検討会の報告書を公表した。
「今後の教訓となるように」との委員からの要望を受け、報告書として公表することにした。
報告書は、斜面崩壊のメカニズムを以下のようにまとめている。
「農道盛り土が上載荷重として作用し斜面のバランスを低下させたことや、記録的な豪雨で地下水位が大幅に上昇したことが誘因となり、強風化岩層の潜在的な弱層を滑り面として、滑り破壊が生じた」。
原因が明らかになったこと受け、県は今後、復旧工事に取り掛かる。
路面の位置を下げて盛り土量を減らすことを検討している。
[日経コンストラクション 2018年11月26日号の記事を再構成]
出典
『水を甘くみた盛り土が凶器に 斜面崩れ民家襲う』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3894806014122018000000/
2018年12月9日6時35分に福島民友から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午前11時50分ごろ、須賀川市の工場敷地で、小型トラックに積んであったLPガスボイラー=いずれも建設請負会社H社所有=から出火、ボイラーとトラックを全焼した。
けが人はいなかった。
警察と消防によると、H社の男性社員2人が、同工場敷地内で駐車場の白線を敷設していたところ、白線を引くためのボイラーから出火し、トラックに燃え移ったという。
詳しい原因は捜査中。
出典
『ボイラーから出火...小型トラック全焼 工場敷地内、けが人なし』
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20181209-332498.php
2017年8月22日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正3として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7489/
(2018年11月16日 修正3 ;追記)
2018年11月8日20時26分にNHK沖縄から、社長に有罪判決が言い渡されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年8月、北中城村の駐車場の造成工事で、斜面に積み上げられた岩などが崩れ、作業員1人が死亡、1人がけがをした事故で、工事を行ったうるま市の建設会社の社長、I被告(73)が、安全対策を怠ったとして、業務上過失致死傷などの罪に問われた。
8日の判決で、那覇地裁沖縄支部の安重育裁判官は、「費用や作業期間を抑えるために危険な手法を取り、作業員を死傷させた責任は重大だ」と指摘した。
そのうえで、「安全管理の甘さを顧みて再発防止に向けた取り組みを始めるなど、反省している」として、I社長に禁錮2年、執行猶予4年を言い渡した。
出典
『北中城崩落事故 社長に有罪判決』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20181108/5090004911.html
2018年11月8日13時37分にNHK福岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おととし11月、地下鉄七隈線の延伸工事が行われていた博多駅前の道路が大規模に陥没した事故では、けが人はいなかったものの、停電や断水が続くなど、都市の中枢が大きな影響を受けた。
陥没の穴は1週間で埋め戻されたが、地下鉄のトンネル内は事故で流れ込んだ地下水などで満たされたままとなっていて、そのまま水を抜くと再び陥没が起こりかねない不安定な状態が続いている。
このため、地盤を固める作業が進められているが、年内いっぱいかかる見込みで、トンネル内の水を抜くのは年明けになる見通しだ。
また、水を抜く作業は70日ほどかけて慎重に進めることにしていて、トンネルの掘削工事が再開できるのは来年夏ごろになる見通し。
このため、地下鉄七隈線が天神南駅から博多駅まで開通するのは、当初の2020年度より遅れ、2022年度になる見通しだ。
出典
『博多駅前大規模陥没事故から2年』
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20181108/0002782.html
11月8日10時15分に西日本新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡市のJR博多駅前で2016年11月に発生した大規模な道路陥没事故から、8日で2年。
現場では、原因となった市営地下鉄七隈線延伸工事のトンネルの再掘削に向けて準備作業が進むが、18日投開票の市長選では、3選を目指す現職と新人の無所属2人が、当時の対応を巡り、主張が真っ向から対立している。
6日午後、崩落現場では、上下5車線のうち3車線を規制して設けられたボーリングマシンがドリルを地中に打ち込み、地盤改良の効果を確かめていた。
3人の作業員が様子を見守るが、通行人の大半は気にも留めない。
事故は、地盤が想定以上にもろいことなどが要因とされ、市などは、地中に固化剤を注入するなどして一帯の地盤を強化。
効果を確認し次第、年明けからトンネル内の水抜き作業などに入り、来夏にも再掘削を始める予定で、市交通局建設課は、「今のところ作業は順調」としている。
七隈線は、天神南駅から博多駅まで1.4km延伸する計画。
事故の影響により、延伸開業は20年度から22年度にずれ込み、事業費は49億円追加されるなどして587億円に膨らむ見通しで、今回の市長選では争点の一つ。
「想像もできなかったピンチだった」。
現職の高島氏(44)は告示日の4日、第一声で事故を振り返った。
発生から1週間で陥没を埋め戻した実績を踏まえ、高島氏は「『オール福岡』で危機を乗り越えた。大きな困難も、みんなで力を合わせて乗り越えていく」と強調した。
一方、新人の神谷氏(48)=共産推薦=は10月の出馬表明会見で、「早く直してヒーローみたいになっている。魔法にかけられたんじゃないか」と主張。
公約の一つに「市として組織体質・文化の点で問題がなかったか、検証する第三者委員会をつくる」ことを掲げている。
博多駅から空港線で天神駅へ向かい、七隈線の天神南駅に乗り換え通学している福岡大工学部1年の男子学生(18)は、当初計画なら4年の時、延伸区間を利用できるはずだった。
「便利になると喜んでいたのに。あんな恐ろしい事故が二度と起きないよう、安全を徹底してほしい」と求めた。
【JR博多駅前の道路陥没事故】
2016年11月8日早朝、福岡市のJR博多駅前で道路が幅27m、長さ30m、深さ15mにわたり陥没。
死傷者はなかった。
現場は、市が発注し大成建設などの共同企業体(JV)が受注した、市営地下鉄七隈線延伸工事区間。
国の第三者委員会は昨年3月、地下水対策の不十分さや地盤が想定以上にもろかったことなどを事故要因とする報告書をまとめた。
出典
『博多陥没2年、トンネル掘削へ準備進む 福岡市長選、当時の対応も争点 [福岡県]』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/463889/
(ブログ者コメント)
陥没事故については本ブログでも紹介スミ。
2018年8月30日16時0分に長崎新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
29日午前9時5分ごろ、長崎県諫早市森山町下井牟田の仁反田川橋工事現場で、コンクリート製の橋桁(長さ約25m、重さ約30トン)が傾き、男性作業員2人に接触した。
警察によると、男性会社員(42)=大村市=が重体、もう1人の男性会社員(42)=福岡県久留米市=が重傷。
警察によると、クレーンで橋桁の両端をつり下げ、橋脚に設置作業中、橋桁が傾き、橋脚上にいた2人に接触。
その後、橋桁は中央付近で折れ、約6m下の道路に落下したとみられる。
当時、2人を含む16人が作業中で、道路は通行止めにしていた。
工事を発注した国交省長崎河川国道事務所によると、現場は同市と島原半島を結ぶ地域高規格道路「島原道路」の一部で、国道と並行する形で自動車専用道路(約7.6km)を建設中。
仁反田川橋は、森山町本村と同町井牟田間の全長489m。
工期は今年2月から来年3月中旬。
警察が原因を調べている。
出典
『橋桁落下 作業員重体 1人重傷 島原道路の工事現場 諫早』
https://this.kiji.is/407711423194088545?c=39546741839462401
8月29日13時41分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、橋桁を橋脚につなげる作業をしようとクレーンで運搬中、何らかの原因で橋桁がバランスを崩し、結合作業のため待機していた男性2人に接触したとみられる。
その後、クレーンで引き上げようとした際、橋桁が別の道路上に落下したという。
出典
『クレーンで運搬中の橋桁接触、作業員2人けが 長崎・諫早の道路建設現場』
http://www.sankei.com/west/news/180829/wst1808290064-n1.html
2018年7月30日9時35分に山形新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東北電力は29日、地下に送電線を通す工事に絡み、山形市城南町2丁目の県道が28日に陥没し、走行車両4台が穴にはまってタイヤがパンクするなどしたと発表した。
首に違和感を訴えた人もいるという。
同社によると、陥没部は長さ約3m、幅約1.6m、深さ最大約30cm。
28日午後11時ごろ、はまった車のドライバーから110番通報があった。
同日は、陥没部一帯の地中に送電線の配管を埋設する作業を実施。
夕方には埋め戻してアスファルト舗装をし、車が通れる状態になっていた。
陥没の原因は調査中としている。
現場はJR山形駅から北西に約700m。
同社は、「道路を走行した方をはじめ、関係各位に深くおわび申し上げる。再発防止に努めていく」としている。
出典
『道路陥没、車4台はまる 山形・送電線埋設工事現場』
http://yamagata-np.jp/news/201807/30/kj_2018073000627.php
7月29日13時20分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
現場は、JR山形駅から北西に約1kmの住宅地。
県道18号の地下、深さ3mに送電線を通す管路(約1・8km)を埋設する工事で、東北電力が大成建設、ユアテック、升川建設の3社で組むJVに発注した。
出典
『山形市で道路が陥没、車4台落ちる 現場で送電線工事』
http://www.sankei.com/affairs/news/180729/afr1807290012-n1.html
2018年6月15日6時30分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事が写真や図解付きでネット配信されていた。
「まもなく橋が架設位置に到着! 橋をおろして固定しま
す」。
2018年5月12日から13日にかけて、東京臨海部の道路を封鎖し、重さ1300トンもある巨大な鋼製の橋桁を大型多軸台車で一括架設する夜間工事。
発注者である東京都港湾局は、ツイッターで工事の進捗を逐一、発信していた。
様相が一変したのは、その直後だ。
「橋の架設の際、障害物に接触する恐れが生じたため、(工事は)延期となりました」。
【封鎖した道路を引き返す】
現場にいた作業員らの視線の先にあったのは、架橋地点のそばに立つ1本の支柱だ。
車の通行状況などを観測するため、警視庁が設置した車両感知器だった。
たった1本の支柱が障害となり、1300トンの橋桁は、架設完了まであと一歩のところで引き返す事態となった。
施工していたのは、IHIインフラシステム・JFEエンジニアリング・横河ブリッジ・三井E&S鉄構エンジニアリングの共同企業体(JV)。
東京都江東区有明から、中央防波堤内側埋め立て地、外側埋め立て地を南北に結ぶ「臨港道路南北線」を整備する一環で、外側埋め立て地を東西に走る「東京港臨海道路」の上空を横断する橋を架ける。
【橋桁が支柱にぶつかりそうに】
この橋桁は内部を中空にした箱形断面の鋼製の箱桁(鋼箱桁)で、架設地点から200mほど東側にある臨海道路脇の施工ヤードで組み立てた。
桁の長さは56m、幅も37mと大きい。
左右の張り出し部が長いからだ。
5月12日午後8時、臨海道路の約5kmの区間を通行止めにした後、計176個のタイヤを備えた2台の多軸台車が、鋼箱桁を載せてジャッキアップ。
ヤードから臨海道路まで引き出してタイヤの向きを直角に変え、午後11時ごろから道路上をゆっくりと架設地点まで運んだ。
翌13日午前0時ごろには、多軸台車に載せた鋼箱桁が架設地点に到着。
ジャッキダウンして、道路の左右にあらかじめ施工しておいた橋脚上に下ろすだけとなった。
この時、桁の南西角付近にある張り出し部が、感知器の支柱にぶつかりそうになっていることを現場の作業員らが目視で確認。
JVは架設を諦めて、桁を施工ヤードまで戻した後、予定より3時間も早い13日午前3時に通行止めを解除した。
桁と感知器が接触して壊れるなどの事故はなかった。
【支柱の存在を知っていた】
東京都港湾局港湾整備部によると、JVは感知器の支柱の存在を前もって把握していたという。
JVが事前に提出した施工計画では、桁と支柱が接触する恐れが生じた場合、架設を取りやめて撤収すると書かれていた。
存在が分かっていたはずの感知器の支柱が、なぜ、鋼箱桁の架設当日まで現場に残っていたのか。
JVは、「感知器の支柱は、別工事で事前に数mほど移設する計画だった」と明かす。
ところが、警視庁との協議などに時間がかかるなどして、移設工事が計画よりも遅延。
加えて、JVの担当者は、架設当日までに感知器の支柱が実際に移設されたかどうかの最終確認を怠っていた。
当然、計画通りに移設されているだろう、という思い込みもあった。
失敗に終わった架設工事に要した費用の数1000万円は、IHIインフラシステムJVが負担する。
工期は19年7月末までと余裕があるため、竣工時期に影響はないもようだ。
一連の工事は、「平成27年度中防内5号線橋りょうほか整備工事」として15年7月、鹿島・IHIインフラシステム異工種JVが受注。
契約総額は334億8000万円となっている。
異工種JVは、東西水路横断橋に加え、臨海道路横断橋とそれに取り付く4つのランプ橋の橋梁上下部工事や、道路改良工事の実施設計から施工までを一手に担う。
異工種JVのうち、IHIインフラシステムJVが主に鋼橋の製作と架設を、鹿島・東亜建設工業・竹中土木JVが一般土木工事を、それぞれ手掛ける。
感知器の支柱の移設工事は、鹿島JVの担当だった。
問題の感知器の支柱は5月中に移設。
IHIインフラシステムJVは、予備日としていた6月2日から翌3日にかけて、再度、周辺を通行止めにして鋼箱桁の架設を完了した。
出典
『巨大橋桁、架けられず たった1本の支柱に阻まれ』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31142710Q8A530C1000000/?n_cid=NMAIL007
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。