2018年4月6日18時50分にテレビ山梨から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午後3時過ぎ、南アルプス市の白根御勅使(しらねみだい)中学校で、生徒がけがをしたと通報があった。
警察などによると、校庭のハンドボールのゴールが倒れ、サッカー部の男子生徒の足を直撃し、生徒は左足打撲のけがをした。
当時、県中・西部には強風注意報が出されていた。
御勅使中では、風が強い日の部活動は、サッカーやハンドボールのゴールに重りを乗せているが、6日はその対策を怠り、部員4人と顧問2人で練習をしていたという。
6日は甲府で最大瞬間風速19.7mを記録し、強風の影響でJR中央線は小淵沢と富士見の間で一時運転を見合わせた。
出典
http://www.uty.co.jp/news2/news2.htm
4月6日20時13分にNHK山梨からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午後3時すぎ、南アルプス市百々の白根御勅使中学校のグラウンドで、高さ2m余り、幅3m余りのハンドボール用のゴールが強風にあおられて倒れ、ゴールを使って練習をしていたサッカー部の14歳の男子生徒の左足に当たった。
警察によると、生徒は病院で手当てを受けたが、けがの程度は軽いという。
事故当時、南アルプス市には強風注意報が出ていたが、学校側によると、ゴールが倒れないようにするための重りを当時は設置していなかったという。
警察は、学校側が必要な安全対策を取っていなかった可能性があると見て、関係者から話を聞くなどして調べている。
浅利校長は、「同じような事故が二度と起きないように、本来やるべき対策を徹底して再発防止に努めていく」と話している。
出典
『強風でゴール倒れる 中学生けが』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20180406/1040002224.html
(ブログ者コメント)
〇NHKの映像には、コンクリート製だろうか、両側に取っ手がついた平べったい直方形の重し4ケが映っていた。
〇風によるゴールなどの転倒事例は、本ブログでも過去に何件か紹介スミ。
2017年10月21日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第6報修正9として掲載します。
第5報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7687/
(2018年4月2日 修正9 ;追記)
2018年3月27日7時18分に朝日新聞から、上下2層の雪雲から違う種類の雪が降ったことが雪崩の原因だったという、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
那須町で登山講習中の高校生ら8人が死亡した原因となった雪崩の発生メカニズムを、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の研究員が解明した。
当時の現場上空には層状の雪雲ができ、上層の雲から滑りやすい雪が降り、その後に下層の雲から短時間に大量の雪が降り積もった結果、雪崩が起きたという。
同研究所予報研究部の荒木研究官が、観測値をもとに250m四方単位でシミュレーションした。
発達した低気圧が関東の南海上にあり、昨年3月27日午前0時前後には、茶臼岳上空約10kmに雪雲が広がり、「板状結晶」と呼ばれる雪が降った。
その後、同日未明から午前にかけて、茶臼岳の北東斜面を上昇した湿った空気が現場上空数100mに雪雲をつくり、上下二層からなる雪雲を形成。
下層部からは大粒の雪が降り、10時間で34cmと、3月としては記録的な大雪をもたらした。
最初に降った板状結晶の積雪は滑りやすく、その上に大量の雪が積み上がり、雪崩が起きたとみられるという。
荒木研究官は、「3月でも短時間で大量の降雪をもたらすことがあり、注意が必要だ」と話す。
出典
『二層の雪雲が雪崩の原因に 栃木・生徒ら8人死亡事故』
https://www.asahi.com/articles/ASL3T4J0LL3TUJHB007.html
(2018年5月22日 修正10 ;追記)
2018年5月16日付で毎日新聞栃木版から、ビーコンが県教委に寄贈されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本山岳救助機構合同会社(東京都新宿区)は15日、登山教育に役立ててもらおうと、「冬山三種の神器」の一つとされる電波受発信器のビーコン20台を県教委に寄贈した。
県教委は、昨年3月に那須町の茶臼岳で起きた雪崩事故を受けて冬山登山を実施していないが、生徒や教諭の研修などで活用する予定。
同社は会員制の山岳遭難対策制度を運営する会社で、昨年秋には、雪崩事故を受けて高校生にビーコンの貸し出しを検討していた長野県教委へも20台を寄贈している。
寄贈されたビーコンは1台約6万円でスイス製。
若村代表社員(76)は、「多くの人に事故への対応やそのための機材を知ってもらうことが私たちの会社の仕事だと思い、寄贈した」と述べた。
宇田教育長は、「雪山でビーコンを使用することは想定せず、研修の場で安全登山を学習するための教材として活用していく」と話した。
出典
『日本山岳救助機構合同会社 県教委にビーコン寄贈 教材に活用』
https://mainichi.jp/articles/20180516/ddl/k09/040/107000c
5月20日11時58分にNHK栃木からは、教員対象の研修会が始まったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
栃木県那須町で雪崩に巻き込まれて高校生ら8人が死亡した事故を受けて、登山部の顧問など高校の教員を対象に、登山の知識や技能を高める研修が始まった。
この研修会は、去年3月、栃木県那須町で登山の訓練中の高校生ら8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故の再発防止策の一環として、栃木県教育委員会が初めて開いた。
高校の山岳部の顧問などおよそ30人の教員が参加し、国立登山研修所で講師を務める瀬木紀彦さんが指導役として招かれた。
参加者は、地形図を読み解いたり、登山の行程をわかりやすく表現したりする方法を学び、生徒を引率して登山に臨む際の注意点について考えていた。
研修会は、今年度、このあと2回開かれ、雪崩に巻き込まれた人などの位置を知らせるビーコンという装置の使い方なども学ぶという。
参加した男性教諭は、「学んだことを生徒たちに伝えて、事故のない登山をしたい」と話していた。
栃木県教育委員会スポーツ振興課の田代課長は、「痛ましい事故を2度と起こさず、部活動での安全な登山に生かしてほしい」と話していた。
出典
『雪崩事故受け 教員対象に研修会』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20180520/1090001785.html
(2018年12月22日 修正11 ;追記)
2018年12月18日19時42分に時事ドットコムから、県教委はスポーツ庁よりも厳しい内容の登山計画立案指針を策定したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教育委員会は18日、安全な登山計画を立てるための指針を策定したと発表した。
スポーツ庁が原則禁止する積雪期の登山に加え、歩行などの雪上訓練も禁止しており、一歩踏み込んだ内容となった。
ただ、積雪や危険箇所がない低山は、ルートを限定した上で登山を認める。
同日までに県立学校に送付し、徹底を求めた。
スポーツ庁は、歩行やテントを張るといった雪上訓練を一定の条件下で認めているが、県教委は、高度な技術を持つ指導者の確保が困難と判断し、全面禁止とした。
一方、冬季でも標高約1000m未満で積雪のない山については、専門家との協議の上、県内や近隣県の14ルートを指定し、登山を認める。
積雪期以外の登山は、登山指導歴5年以上で指導員資格を持つか、県指定の研修などに参加した人の引率を必須とし、生徒10人当たり1人以上置く。
難易度の高い山に登る場合は、アドバイザーの同行を推奨する。
出典
『冬山登山と雪上訓練禁止=雪崩事故受け指針-栃木県教委』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121805124&g=soc
12月18日17時32分にNHK栃木からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
高校生の冬山登山をめぐって、スポーツ庁は原則禁止とする一方、都道府県が設置した専門家などで作る組織が登山計画を承認した場合などは例外的に認めている。
これに対しガイドラインでは、山に雪が積もっている状況では、歩行訓練を含めて高校生の登山を全面的に禁止することを定めている。
そのうえで、雪がない時期の登山の安全対策として、1つのパーティーに指導経験が5年以上ある引率者を最低2人つけることや、難易度の高い山に登る場合は専門的な知識や技術を持つアドバイザーを同行させることなどが盛り込まれている。
栃木県教育委員会学校安全課は、「ガイドラインに基づいた登山の適正な計画作成を行い、安全を徹底させたい」と話している。
出典
『高校生の積雪登山 全面禁止へ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20181218/1090003443.html
2018年2月27日14時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福島県喜多方市立高郷中学校で、2015年3月、部活動中に女子生徒2人(当時2年)が目にけがをした事故で、同市はうち1人に対し、2500万円の損害賠償を支払う方針を決めた。
現在治療中のもう1人に対しても、損害額が確定した後に賠償する予定だ。
市は3月1日開会の市議会定例会に、損害賠償額を定める議案を提案する。
市教委によると、事故が起きたのは、ゴムチューブを使った負荷トレーニングの最中。
男子生徒が引いたゴムチューブが切れ、反対側で支えていた女子生徒2人の顔に当たった。
今回賠償の対象となる元生徒は、視力の低下や視野が狭くなるなどの障害が残ったという。
事故の原因はゴムチューブの劣化と見られる。
江花教育部長は、「事故を受けて、練習器具を定期的に点検し練習を始める前に安全性を確認するよう、各学校に伝えた」と話している。
出典
『部活中の事故で目に障害、元生徒に2500万円賠償へ』
https://www.asahi.com/articles/ASL2W3VDXL2WUBQU007.html
2月27日16時30分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
市によると、事故は2人がゴムチューブの片側を握って固定し、もう片方は2年の男子部員が腰につけたまま前に走るトレーニング中に発生。
伸びたチューブが切れて勢いよく縮み、2人の目に当たって視力が低下するなどした。
市は、04年に購入したチューブが劣化していたことが原因として、器具の管理責任を認めた。
出典
『部活中けがに2500万円、福島 喜多方市が賠償へ』
https://this.kiji.is/341120352196789345?c=39546741839462401
2018年2月26日付で紀伊民報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
和歌山県白浜町の富田中学校体育館で、部活動中に雨漏りで足を滑らせて転倒し大けがを負ったのは、建物の安全管理に問題があったためだとして、男子生徒(当時)が町を提訴した裁判の和解が成立する見通しになった。
町が損害賠償金を支払う内容。
和歌山地裁田辺支部で、27日に弁論準備協議が予定されている。
事故発生から2年10カ月、提訴からだと1年7カ月での決着。
町側は「管理上の問題はない」として争う姿勢を示していたが、主張はほぼ退けられた形になる。
町は23日、この裁判で和解するための議案を町議会に提案、議会は全会一致で可決した。
損害賠償金として町が支払う1200万円を盛り込んだ補正予算案も認めた。
全国町村会の総合賠償補償保険金で全額を賄う。
訴えなどによると、バレーボール部に所属していた生徒は2年生になる2015年4月1日、レシーブをしようとした際に雨漏りでぬれていた床面に足を滑らせて転倒、右大腿骨を折る大けがを負った。
翌日に手術を受け、同年5月下旬まで入院。
以降も通院が続いた。
このけがで、生徒は右足が1.5cm短縮する後遺症を負った。
出典
『富田中学の体育館事故和解へ 白浜町が損害賠償』
http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=347984&p=more
(ブログ者コメント)
以下は、濡れた床面で滑って・・・という点で似たような事例。
[昔の事例の顛末] 2009年8月 東京都新宿区のみずほ銀行四谷支店で出入口の足拭きマットの裏面がやや湿っていたため滑って転倒し負傷した事故で、高裁は銀行に賠償命令
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3754/
2018年2月23日付で毎日新聞神奈川版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月23日9時57分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
横須賀市教育委員会は22日、市立小学校の校庭で今月7日の放課後、アスレチック遊具で遊んでいた小学2年の女児(8)が遊具の不具合で地面に転落、左手首骨折などの重傷を負ったと発表した。
遊具は、高さ約3mからつるした18本のロープを上り下りして遊ぶもので、1988年に設置。
踊り場(高さ約2.5m)に座っていた女児がバランスを崩してロープをつかんだところ、ボルトごとロープが抜け落ちた。
接着剤が劣化し、ボルトが緩んでいた可能性があるという。
点検は専門業者が2年に1度、教職員が不定期に目視で行い、業者が2016年度に点検した際に問題はなく、同校の教諭が昨年10~11月に目視で確認した時も異常は見つかっていなかった。
同校は遊具の使用を禁止し、業者が修理と点検を行った。
市内36校にある同様の遊具38基についても、3月に点検を行う。
市教委は、保護者の意向を理由に校名を明らかにしていない。
出典
『遊具事故 不具合で転落し小2骨折 横須賀の小学校』
http://mainichi.jp/articles/20180223/ddl/k14/040/114000c
『校庭の遊具破損、小2女児が転落し重傷』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180223-OYT1T50035.html
2月22日付で横須賀市のHPには、下記趣旨の記事が掲載されていた。
5.事故の内容
児童が遊具のロープを掴んだ際に、ロープを吊っている接続金具のボルトが抜け、ロープとともに約2.5mの高さから地面に転落した。
6.事故の原因
接続金具のボルトが緩みロープとともに転落したものである。
ボルトが緩んだ原因は不明ですが、ボルトに塗られていた接着剤が劣化して、ロープの揺れの振動などで徐々に緩んでいったものと推測されます。
7.遊具点検の状況
専門業者による遊具の安全点検は2年に1回実施しており、当該校は平成28年6月24日に実施。
その他の点検として、学校による安全点検は、平成29年5月30日に実施したほか、不定期で目視等の点検を行っていた。
出典
『市立学校での負傷事故について』
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/8140/nagekomi/20180222.html
2018年1月26日12時44分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月25日付でテレビ静岡からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
静岡市は24日、同市清水区の市立清水第七中学校のグラウンドで、体育の授業中に突風でゴールが倒れ、2年の男子生徒(14)が右ふくらはぎに2週間のけがをしたと発表した。
ゴールは移動式で、おもりで固定されていなかったという。
市によるとゴールはハンドボール用で、重さ約50kgのアルミ製。
23日午後2時10分ごろ、サッカーの授業で使用中に倒れた。
当時、グラウンドには男子生徒約40人がいたという。
市教委は、担当教諭の認識不足だったとして、市内全ての小中学校に、授業前には複数の職員でゴールの固定を確認するよう指示した。
静岡市の中学校では2004年に、倒れたゴールが当たり生徒が死亡する事故が起きている。
出典
『突風でゴール倒れ中2けが 静岡市で体育の授業中』
http://www.sankei.com/affairs/news/180126/afr1801260029-n1.html
『ゴール倒れ男子生徒ケガ』
http://www.sut-tv.com/news/2018/01/post-2778.php
(ブログ者コメント)
本ブログでは、移動式ゴールが倒れてケガした事例や関連情報を、これまでに何件か紹介している。
また静岡市では、過去にもゴールが倒れて死亡した事故が起きている由。
しかし、またしても同じような事故が起きてしまった。
他県で起きた事例どころか、地元で起きた事故ですら、人が変わるなどして風化し、教訓にならないことがあるということかもしれない。
2018年1月12日11時11分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡県大川市の市立川口小学校校庭で男子児童が転倒したハンドボール用ゴールの下敷きとなり死亡した事故から13日で1年。
風化させないようにと、1月13日をゴールが十分に固定されているか点検を広く呼び掛ける日とし、啓発活動を進める動きが出ている。
活動するのは、子供の傷害事故の予防に取り組むNPO法人「セーフキッズジャパン」。
平成16年1月の同じ日にも静岡市の中学校でサッカーゴールが倒れ男子生徒が亡くなったこともあり、「サッカーゴールなど固定チェックの日」と定めることにした。
同日から2月13日まで、学校やスポーツ団体などの関係者からゴールが固定されているか確認する様子を撮影した写真を募り、ホームページで公開する。
大川市の遺族も、これらの取り組みに賛同しているという。
セーフキッズジャパンなどによると、ゴールは前面に重量が集中する不安定な構造。
固定するには、硬い土にハンマーでくいを打ち込むといった数人がかりの作業になるが、設置場所を移す中で、十分に固定されないケースもあるという。
大川市の事故では、男児がゴール上部にぶら下がった直後に倒れた。
金属製の留め具などが外れており、福岡県警が業務上過失致死容疑で調べている。
大川市内の小中学校では12日、安全について考える集会などを開いた。
事故が起きたのとは別の三又小学校では、全校児童約160人が亡くなった男児に黙とうをささげた後、校舎内外で見つけた危険箇所を発表し、注意を呼び掛けた。
出典
『ハンドボール用ゴール下敷き死事故1年 ゴール点検呼び掛ける日に』
http://www.sankei.com/west/news/180112/wst1801120031-n1.html
(ブログ者コメント)
〇大川市での事例は本ブログでも紹介スミ。
〇セーフキッズジャパンとは、いかなる団体か?HPには、法人設立趣旨が以下のように掲載されている。
日本では、1歳以上の子どもの死亡原因の第1位は「不慮の事故」となっており、この状況は1960年から変わっていません。
入院や外来受診が必要な事故は、日々、全国いたる所で同じように起こっています。
すなわち「事故による傷害」は子どもの健康問題として最も重要な課題となっているのです。
しかし、日本では組織だった啓発活動は行われていませんでした。
米国では、1988年、事故による子どもの傷害を予防するためのNPO法人が設立され、チャイルドシートの着用指導が開始されました。
2005年にはSafe Kids Worldwideという名称の国際組織となり、米国内には500ヶ所以上の支部、世界では25ヶ国が加盟する組織となりました。
現在、WHO(世界保健機関)の傷害予防部門、CDC(米疾病予防センター)、CPSC(アメリカ消費者製品安全委員会)などと連携して活動しています。
この度、わが国でもSafe Kids JapanというNPO法人を設立しました。
Safe Kids Worldwideや国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所などと連携して、子どもの傷害予防に関する様々な活動を行うことといたしました。
傷害を予防するためにはいろいろな領域の人々が関わることが不可欠です。
言い換えれば、すべての人に傷害予防についての役割があるのです。
皆でいっしょに子どもの傷害予防に取り組もうではありませんか。
http://safekidsjapan.org/about/
2017年12月21日0時53分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午後6時25分ごろ、群馬県藤岡市の県立藤岡中央高校のグラウンドで、陸上部だった3年生の男子生徒(17)が投げた陸上競技用のハンマーが、サッカー部の2年生のOさん(17)の頭に当たった。
同校の男性教諭(27)が119番通報した。
警察によると、Oさんは同県高崎市内の病院に搬送されたが、午後8時過ぎ、死亡した。
警察によると、ハンマーの鉄球は重さ約4kg、直径約10cm。
Oさんは、サッカー部の練習用具の後片付け中だった。
ハンマーを投げた生徒は、隣接したハンマー投げの練習場で練習をしていた。
ハンマーは約48m飛び、両練習場の境界付近でOさんに当たったとみられる。
練習場には、誤って危険な方角にハンマーが飛ぶのを防ぐ防護ネットが設置されていたという。
出典
『投げたハンマー当たり死亡 サッカー部の高2男子』
https://mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/040/100000c
12月21日1時2分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ハンマーを投げた男子生徒は元陸上競技部員で、後輩を指導していたという。
出典
『陸上競技用のハンマー、頭を直撃…高2男子死亡』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171220-OYT1T50083.html
12月22日8時41分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ハンマー投げ練習場には、3年生の男子生徒(17)のほか、陸上競技部の後輩の女子生徒2人がいた。
投げる前に3人は、声を出して周囲に注意を呼びかけたり、前方の安全を確認したりした。
しかし、約48m離れたサッカー場北側のゴールポスト前にOさんがいたことに気付かなかったという。
男子生徒が投げた女子用のハンマーは左にそれ、Oさんの頭部を直撃した。
事故が起きた時、陸上競技部の顧問は近くにいなかった。
部員たちに練習を終えるよう指示し、学校を離れた後だった。
同校では、ハンマー投げ練習場とサッカー場が隣接しているため、同時に使う際は安全を考慮し、サッカー部は練習場から離れた南側の半分だけを使うようにしていた。
Oさんは、北側に転がったボールを拾おうとしていたとみられる。
日本陸上競技連盟は「安全対策ガイドライン」などをつくり、種目ごとの対策を示している。
投てきの練習については、
〈1〉他の部活動等と時間帯や練習場を分ける
〈2〉投げる前に大声で知らせる
などを挙げている。
一方、県教育委員会は、これまで投てき種目に関する指針などを定めていない。
◇投てき種目の主な安全対策
▽他の部活動や種目などと、時間帯や練習場を分ける
▽十分な広さと、360°の安全を確保する
▽投げる前に、大声で「投げます」などと知らせる。
周囲の安全が全て確認できてから投げる
▽周囲の人は、投てき物が落下するまで目を離さない
※日本陸上競技連盟の指針・ガイドブックをもとに作成
出典
『陸上部顧問が帰宅後に発生、校長「責任を痛感」』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171222-OYT1T50010.html?from=ycont_top_txt
12月22日付で朝日新聞群馬全県版(聞蔵)からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同校は21日、記者会見を開き、事故の状況などを説明した。
同校などによると、事故があった20日は、陸上競技部、サッカー部ともに、事故があった午後6時半ごろで部活を終了する予定だった。
陸上部の顧問の女性教師が練習を終えるように指示し、グラウンドを立ち去った直後だった。
同校3年の男子生徒が後輩の指導のために投げたといい、顧問は報告を受けて現場に駆け付けたという。
警察によると、周囲の安全を確認する役目についていた女子部員2人は、投げられたハンマーが何かにぶつかる音で、Oさんが倒れているのに気付いたという。
ハンマーは、防護用のネットの中から投げられたが、本来、落とすべき区域より左側のサッカーゴールのほうに落ちた可能性がある。
日本陸上競技連盟が作成した「陸上競技安全対策ガイドブック」には、ハンマーが落ちる場所はコーンなどで区切って周囲から分かりやすくする必要があると記載されているが、同校では仕切りや目印は置いていなかった。
12月22日17時46分にNHK群馬からは、県教委が部活の安全対策確認通知を出したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて、県教委は22日付けで、県立高校や各市町村の教育委員会に対して、部活動などでの安全対策がきちんと行われているかどうか確認するよう求める通知を出した。
この中で、県教委は、部活動や体育の授業で安全対策がきちんと行われているかどうか改めて確認することや、万一、事故が起きたときに備えて、救急処置を的確に行える態勢を整備することなどを求めている。
出典
『ハンマー死亡事故で県教委が通知』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20171222/1060000754.html
(ブログ者コメント)
日テレの夕方ワイドショー「ニュースエブリー」では、女子用のハンマーは軽いため、男子が投げると、たとえば女子で50mなら70mとか飛ぶ・・・などと解説されていた。
また、近所の人だろうか、サッカー練習場と近いので見ていて危ないなあと思っていたと言っていた。
(2018年2月16日 修正1 ;追記)
2018年2月16日付で上毛新聞から、サッカー部の生徒らは事故前から危険性を認識していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故原因や再発防止策を考える県教委の検証委員会の初会合が15日、同校で開かれた。
生徒や教員は事故前からハンマーの危険性を認識していたことが明らかにされた。
県教委によると、同校では過去にハンマーがサッカーのゴールポストの網を突き破ったことがあり、陸上部、サッカー部の顧問教諭と生徒が危険性を認識していたことが報告された。
事故時に投てき練習中だったことを「知らなかった」と答えたサッカー部員がいたことも明らかになった。
出典
『危険性を以前から認識 ハンマー投げ事故で検証委員会 初会合』
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/33817
2017年12月16日0時46分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪府立高校の器械体操部の練習中に鉄棒から落ちて後遺症を負ったのは、コーチが安全配慮を怠ったのが原因として、元部員の男性(25)と家族が府に計約2億5000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は15日、府に計約2億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
1審・大阪地裁判決は請求を棄却しており、男性側の逆転勝訴となった。
判決によると、男性は高校3年だった2010年4月、練習中に鉄棒から落下し、床に頭や首を強く打ちつけ、胸から下が動かない後遺症を負った。
府側は、「危険な体勢になった際には鉄棒から手を離して着地するよう、危険回避の方法を指導していた」と主張した。
しかし佐村裁判長は、「事故当日、コーチは大会が近いため、本番同様に失敗しても手を離さず最後まで演技を続けるよう指導した。落下しても受け止められるように補助すべきだったのに怠った」と指摘し、男性側の訴えを認めた。
男性の母親は、「判決を生かし、府と学校には同じような事故を二度と起こさないでほしい」とコメントした。
松井知事は「重く受け止める。今後の体育指導を左右することになる」と報道陣に話し、府教委は「判決を精査し今後の対応を検討したい」としている。
出典
『部活事故 大阪府に2億円賠償命令 大阪高裁が逆転判決』
https://mainichi.jp/articles/20171216/k00/00m/040/210000c
12月15日22時4分に日本経済新聞からは、判決理由に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐村裁判長は判決理由で、回転中の男性の手が鉄棒から離れた原因について、外部のコーチが男性の技量に応じた危険回避方法を指導しなかったためだと指摘。
当時、コーチは鉄棒から約10m離れて男性の演技を見ていたが、「鉄棒の下に立ち、事故防止対策をとる注意義務を怠った」と判断した。
2016年6月の一審・大阪地裁判決は、「コーチは危険を回避するために必要な方法を指導し、男性もその技量を習得していた」と指摘。
男性側の訴えを退けた。
出典
『鉄棒で落下、1.9億円賠償 大阪高裁命令 部活事故で障害残る』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2471594015122017AC8Z00/
12月16日5時59分に朝日新聞からは、判決理由に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
一審・大阪地裁は、演技失敗の際、鉄棒からすぐ手を放して足から着地するなどの危険回避方法を男性が身につけていたと判断し、コーチの責任を否定。
しかし高裁は、コーチが適切な方法を指導していなかったと認定。
10m離れて見ていた点についても、落下に備えて鉄棒下に立って事故を防ぐべきだったのに、その義務を怠ったと判断した。
出典
『府立高部活で鉄棒落下し後遺症 府に1.9億円賠償命令』
http://www.asahi.com/articles/ASKDH52XDKDHPTIL012.html
2017年12月8日20時31分に日刊スポーツから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
甲子園に出場経験がある横浜隼人高校(横浜市瀬谷区)の硬式野球部で、11月、打撃練習中に1年生の男子部員の頭に打球が直撃し、意識不明の重体になっていることが、8日、高校への取材で分かった。
高校によると、校内のグラウンドで11月25日午前、打撃投手を務めていた部員の右後頭部に、打者が打ち返したボールが当たった。
救急搬送され、現在も集中治療室(ICU)で入院中だが、容体は安定している。
部員は頭を守るヘッドギアを着用し、前方には防護用ネットも設置していた。
練習には部員約30人が参加し、コーチ1人が指導していたという。
神奈川県高校野球連盟には事故の概要を報告。
他の野球部員にも事情を説明したという。
部長を務める榊原教諭は、取材に「責任を感じており、再発防止に努めたい」と話した。
横浜隼人高校は2009年夏の全国高校野球選手権大会に初出場した。
出典
『野球部練習中に打球直撃、1年部員が意識不明の重体』
https://www.nikkansports.com/general/news/201712080000744.html
2017年6月9日に掲載した第4報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第5報修正7として掲載します。
第4報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7199/
(2017年10月21日 修正7 ;追記)
2017年10月15日18時11分にNHK栃木から、事故の最終報告書がまとまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
検証委員会は、生徒らへの聞き取りをもとに、事故の問題点などを指摘する最終報告書をまとめ、宇田教育長に提出した。
県教委は来年1月をめどに、再発防止策をまとめることにしている。
最終報告は、およそ200ページにのぼり、ことし6月の中間報告以降、遺族からの要望で行った再調査で新たに判明した事実のほか、再発防止に向けた提言も盛り込まれた。
最終報告では、7年前の同じ訓練でも生徒たちが雪崩に巻き込まれたことについて再調査を行った結果、生徒らが頭まで雪に埋もれる重大な事故だったことが明らかになったとしている。
しかし、けが人がいなかったことから、県の高校体育連盟に報告されず、文書としても引き継がれなかったとしている。
訓練の内容を当日の朝に変更したことについては、悪天候の際の訓練の代替案が事前に準備されず、当日の朝、雪をかき分けて進む内容に訓練を変更した際に、教員や生徒に具体的な訓練の内容や行動してもよい範囲などが示されなかったのは問題だとしている。
訓練内容の変更は、客観的な気象データや専門家の助言に基づいたものではなく、危険性の十分な認識を欠いた状態だったとした。
また、教員の1人は出発前に学校の教頭に対し、「悪天候であれば訓練は中止する」と話していたことも新たに分かった。
生徒を引率した教員については、隊列の先頭付近にいて、常に雪崩などの危険に細心の注意を払うべきだったと指摘した上で、「上に行きたい」という生徒の意向に従って訓練を続けたことは、安全配慮に欠けていたと指摘した。
さらに、別の高校の教員が引率していた班もあり、生徒の名前もわからず、十分な指導・監督が行えない可能性があったとしている。
事故の発生後の対応については、訓練の本部となっていた旅館にいた教員が無線機から離れたため、現場から連絡がとれずに救助の要請が遅れ、安全への配慮が希薄だったとしている。
そして、「訓練を主催した県の高校体育連盟の危機管理意識の欠如が事故の根源的かつ最大の要因」だと指摘し、県の教育委員会のチェック体制が整備されていなかったことも要因の1つだとした。
また、生徒を引率した教員については、「斜面を進むに従って雪崩が起きる危険性を認識できたはずで、適切な状況判断に欠けるところがあった」と指摘した。
これらを踏まえて、再発防止に向けた提言として、教員への研修を専門家の協力を得て、登山の技術だけでなく気象の知識も含めてきめ細かく行うことや、県の教育委員会が各高校の登山計画を厳しくチェックすること、それに県内の教員や今回の事故経験者、専門家によって指導者と生徒向けのハンドブックを作成することなど、7つの提言を盛り込んだ。
出典
『雪崩 最終報告「危機意識欠如」』
http://www.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20171015/1090000273.html
(ブログ者コメント
報告書は下記参照。
第7回平成29年3月27日那須雪崩事故検証委員会
平成29年10月15日(日)に開催した「第7回平成29年3月27日那須雪崩事故検証委員会」の結果及び配布資料については、別紙(リンク)のとおりです。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/m01/kensyouiinkai.html
(2018年1月10日 修正8 ;追記)
2018年1月10日7時6分に産経新聞から、県教委が再発防止策を発表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教育委員会は9日、危機管理体制を強化するため、各学校への指導やチェックを行う新たな組織を県教委内に設置するなどの再発防止策を発表した。
県教委が設置した検証委員会が、昨年10月に最終報告書で指摘した組織運営における「危機管理意識の欠如」やマンネリズムなどに対応し、学校活動での安全管理の徹底を図る。
再発防止策は、学校教育活動全般と登山活動に関する5分野23項目。
新組織とは別に、高校生の登山の実施状況を確認するため、毎年3月と10月に専門家らによる連絡協議会を設置することや、教員の資質向上に向けた研修の実施、ビーコンなどの装備貸し出しなどを盛り込んだ。
昨年3月の雪崩事故から約10カ月。
県教育委員会が9日にまとめた再発防止策は、学校教育活動全般と登山活動の2つを柱に取り組みを示した。
検証委員会は、慣行に従って登山講習会が実施された「関係者全体のマンネリズム」を背景的な要因にあげており、登山活動を含めた包括的な対応も必要と判断した。
「新たに設置する組織は一元的に、広く、学校行事などに対して専門的に指導助言を行い、安全危機管理体制の強化をはかる」
宇田教育長は同日の記者会見で、雪崩事故を教訓にした学校教育活動全般の安全管理の必要性を強調した。
新組織設置のほかに、学校における危機管理マニュアルの見直しや、安全危機管理研修の充実などがあげられ、同講習会を主催した県高体連などに対する指導や助言の充実を図るとした。
一方、登山活動については、7年前に同講習会で起きた雪崩で、複数の生徒が雪に覆われるなどしたにも関わらず、高体連や県教委に報告されず、文書の引き継ぎがなかったことなどから、「高校生の登山等の安全確保に関する連絡協議会」(仮称)を設置することで、実施状況を確認し、安全な登山活動に生かす仕組みをつくるとした。
雪崩に巻き込まれた生徒らは雪崩の危険性の高い斜面を登っており、引率教員の資質が問題視されたことを踏まえ、登山部顧問らの研修会の開催や国立登山研修所への顧問の派遣などが明記された。
また、事故の教訓を伝えるため、安全登山に関する啓発の場を設けることや、スクールカウンセラーの配置などによる被害者らへの対応についても盛り込んだ。
出典
『那須雪崩 危機管理体制強化へ新組織 栃木県教委が再発防止策』
http://www.sankei.com/region/news/180110/rgn1801100025-n1.html
2017年9月7日11時56分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
滋賀県立北大津高校(大津市)で2011年、硬式野球部員の元生徒の目に打球が当たり眼球が破裂する事故があり、元生徒が申し立てていた民事調停で、県が過失を認めて調停案に応じる方針であることが分かった。
県は4100万円の損害賠償を支払う方向で、20日開会予定の県議会に関連議案を提出する。
県教委によると、事故が起きたのは、元生徒が2年生で野球部のマネジャーだった11年10月。
打撃練習中、バックネット裏にいたところ、打球がネットを突き破り、元生徒の右目を直撃した。
緊急手術も含め4回手術を受けたが、視力が0・01に低下し、後遺症が残ったという。
元生徒は14年6月、県を相手取り、損害賠償を求める民事調停を大津簡裁に申し立てた。
簡裁は調停案を示し、県教委は「老朽化したバックネットを放置した安全管理責任を認め、調停案に合意する判断をした」という。
北大津高校野球部は、春夏合わせて甲子園に6回出場している。
出典
http://www.asahi.com/articles/ASK9735ZVK97PTJB004.html
9月7日23時10分に京都新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教委によると、11年10月、ティー打撃の練習中に打球が防球ネットの枠をそれてバックネットも突き破り、バックネット裏を歩いていた当時2年生だった生徒の右目に当たった。
出典
『元マネジャー側と滋賀県和解へ 北大津高野球部の打球事故』
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170907000200
2017年8月17日0時44分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟県の加茂暁星高校の野球部でマネジャーをしていた女子生徒(16)が練習直後に倒れ、今月5日に死亡した。
家族によると、生徒は倒れた時に心室細動を発症していた。
自動体外式除細動器(AED)を使えば、救える可能性がある症状だ。
AEDの設置が広がっても突然死が後を絶たない背景には、AEDの性能についての理解が深まっていないことや、卒倒などの場面に遭遇すると落ち着いて使いこなせない実態がある。
【認知度低い「死戦期呼吸」】
「AEDを使ってほしかった。助かったかもしれないと思うと、つらくて悔しい」。生徒の父親(42)は朝日新聞の取材に、苦しい胸の内を語った。
明るくて面倒見のいい性格。部活が大好きだったという。
生徒は7月21日午後、練習があった野球場から学校まで約3.5kmを走った後に倒れた。
野球部の監督は「呼吸はある」と判断し、AEDを使わずに救急車の到着を待った。
しかし、その呼吸は「死戦期呼吸」というものだった可能性がある。
心停止の状態になっても、下あごだけが動いたり、しゃくり上げるようなしぐさをしたりして、呼吸をしているように見えることがある。
生徒が搬送された新潟市内の病院の医師は、「心室細動が起きていた」と生徒の家族に説明したという。
AEDは、心臓がけいれんしたような状態(心室細動)になり、血液を送り出せなくなっている状態を、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための機器だ。
校内のAEDは、生徒が倒れた玄関に近い事務室の前など計3カ所にあった。
警察によると、病院に運ばれた生徒は今月5日、低酸素脳症で死亡した。
日本救急医学会の指導医の太田医師は、「死戦期呼吸と普通の呼吸とを見分けるのは、一般市民には難しい」と指摘する。
死戦期呼吸の認知度が低いことも、AEDでの素早い処置に思いが至らない要因の一つとみる。
日本AED財団によると、心臓が原因の突然死は、国内で年間約7万人。
倒れる瞬間を他の人が目撃した中で、AEDによる電気ショックが行われたのは4.5%にとどまる。
「呼吸をしているように見えた」など、心停止かどうかの判断に迷うケースが多いとみられている。
同財団の理事で、東京慈恵会医科大学救急医学講座の武田聡主任教授は、「AEDは、電気ショックの必要性を自動的に判断する。人間が見極める必要はなく、呼吸がない、または呼吸の有無に迷ったら、胸骨圧迫を始め、AEDを使ってほしい。正常な人にAEDを付けても、電気ショックは行われないし、体に害を及ぼすこともない」と話す。
学校での心停止は、倒れるのに出くわす人がいる場合がほとんど。
武田主任教授は「AEDで救命できる可能性も高い」という。
【AED「1分1秒でも早く」】
「心臓がけいれんしている状態の時だけ電気ショックが流れます。必要なければ流れません」。
今月10日、新発田消防署(新発田市)で行われた一般向けの救命講習で、救急救命士の松田さん(41)が受講者に強調した。
こうした講習会は各地の消防署で行われており、救命処置の方法やAEDの機能を順を追って説明していく。
倒れた人がいたら、まずは呼吸をみる。
判断に迷う場合は、普段通りの呼吸がない心停止と考え、すぐに胸骨圧迫と人工呼吸。
AEDは、ふたを開けたり電源を入れたりすると音声ガイドが流れるので、それに従って操作する――。
この日の講習には14人が参加。
高齢者施設で働く緒形さん(54)は、「お年寄りが多く、いつ何が起きるか分からない。AEDを使えるかどうかで生死が決まると思って参加した」。
音声ガイドに従えば使いこなせると感じた一方、「夜勤は職員が少なく、1人で判断しなければならない時もある。講習のことが頭に浮かべばいいけれど、気が動転してしまうかも」と不安も口にした。
加茂暁星高校によると、数年前に教員向けの講習会を実施。
2年前には防災訓練の一環で、全校生徒を対象に消防団員による実演を見せたという。
飯沼和長は、「改めてAEDの使い方を徹底し、研修も実施したい」と話す。
松田さんは、「AEDで蘇生する人は何人もいる。若い人でも、野球のボールや空手の突きが胸に当たって心停止することもある。現場はパニック状態で騒然となっていることが多いが、1分でも1秒でも早く、勇気を持って使ってほしい」と話した。
・・・・・
出典
『女子マネジャー死亡、「呼吸」誤解? AED使ってれば』
http://www.asahi.com/articles/ASK8G31QDK8GUOHB001.html
事故当時の状況は下記参照。
(8月6日17時5分 朝日新聞)
同校によると、女子生徒は7月21日午後5時半すぎ、同校から約3.5km離れた野球場での練習に参加。
午後7時半ごろに練習を終え、男子部員と一緒に走って学校に戻った直後、玄関前で倒れたという。
女子生徒は普段、球場を行き来する際は、用具などを積み込むマイクロバスに乗っていた。
この日は、けがをした部員がバスに乗るなどしたため、監督が「マネジャーはマイペースで走って帰るように」と指示していた。
女子生徒が倒れた直後、駆けつけた監督は「呼吸は弱いけれどある」と判断し、救急車が来るまでの間、AEDは使用しなかったという。
女子生徒は救急搬送された病院で治療を受けていたが、5日午後6時すぎに亡くなった。
出典
『練習後走り倒れた女子マネジャー死亡 新潟の高校野球部』
http://www.asahi.com/articles/ASK8656TGK86UOHB00S.html?iref=pc_extlink
2017年8月14日19時48分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
登山中に死亡した人の死因や状況などを分析した研究結果がまとまり、救助隊の到着時に生存していた人の割合は、わずか2.5%だったことがわかった。
分析にあたった医師は、滑落による外傷など致命的なケースが目立つ一方で、登山者自身の適切な対応により生存の可能性を高める余地もあるとしている。
分析を行ったのは、登山者のけがや病気を専門とする「山岳医」の国内での草分けで、札幌市にある北海道大野記念病院に勤務する大城和恵医師。
大城医師は、平成27年までの5年間に登山中の死者が多かった10の道と県で、警察の協力を得て、御嶽山の噴火を除いたあわせて553人の死因や死亡した状況などを分析した。
このうち、死因は滑落などによる外傷が最も多く45.4%、次いで低体温症が15.2%、心臓発作が13.2%と雪崩や脳卒中などよりも多く、これらが「登山中の3大死因」だった。
また、救助隊の到着時に生存していた人の割合は、わずか2.5%だったことがわかった。
外傷や心臓発作は致命的なケースが目立ち、事前の対策が重要となる一方、低体温症は時間をかけて症状が悪化するため、登山者自身が体調の変化に早く気づき適切な対応をとることで、生存の可能性を高める余地もあるとしている。
こうした研究は国内ではこれまで例がなく、大城医師は「山は救急医療から隔絶された厳しい場所なので、登山者は自分を守る力を身につけてほしい」と話している。
【道内で遭難事故相次ぐ】
道警本部によると、ことし7月末までに道内の山で起きた遭難事故は90件で、昭和38年以降、過去最悪の事故の数となった去年の同じ時期を上回るペースで推移している。
道警本部では、増える山岳遭難に備えるため、今年度から捜索や救助に当たる専門の部署を設置した。
月に1回のペースで訓練を行って専門的な技能を磨くほか、遭難防止に向けた啓発活動なども担当するという。
道警本部では、気象条件や自分の体力に合った安全な計画を立てるよう、呼びかけている。
出典
『救助隊到着時の生存は2.5%』
http://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20170814/3024431.html
2017年8月10日17時27分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
サッカーゴールは中学生1人でも簡単に倒れることが、研究者らによる実験でわかった。
クロスバーにぶら下がって揺れることで、転倒する力が生じる。
ゴールの転倒事故防止に向け、「絶対にぶらさがらないで」と呼びかけている。
実験をしたのは産業技術総合研究所や弁護士らで作るグループ。
27日に早稲田大学(東京都新宿区)で開かれる、学校事故の防止をテーマにしたシンポジウムで実験結果を発表する。
実験では、アルミ製のサッカーゴール(約100kg)をロープで引っ張り、倒れるのに必要な力を繰り返し計測。
重りなどで固定されていない場合、最小約25kg重で倒れた。
一方、中学生の男女10人(体重38~55kg)がゴールに見立てた装置に1人ずつぶら下がり、振り子のように体を揺らして水平方向にかかる力も測定。
平均約29kg重になり、ゴールの転倒に必要な力を上回った。
このグループが日本スポーツ振興センターの2014年度の記録を分析すると、サッカーゴールの転倒による負傷事故は29件だった。
ゴールと地面に挟まれた場合の衝撃力は、頭蓋骨が骨折する値の約3.9~5.4倍になるという。
突風で倒れる可能性もあり、重りなどでゴールを固定する対策を求めている。
シンポジウムは27日午後1時半から。
サッカーゴール転倒のほか、組み体操やムカデ競走の事故から子どもを守る方法について、学校現場で生かせる対策を提言する。
出典
『ゴール転倒、ぶら下がり1人でも 頭蓋骨折5倍の衝撃』
http://www.asahi.com/articles/ASK8941R8K89UTFL00C.html
(ブログ者コメント)
ぶら下ったりしてサッカーのゴールが倒れた事故は、本ブログでも過去に何件か紹介スミ。
2017年8月2日16時27分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
子どもがけがをする事故が相次いでいる組み体操について、技によっては土台となる1段目の人に瞬間的に最大で体重の4倍を超える力がかかることが専門家による実験でわかり、今後、実験結果を分析して、より安全な方法の提言につなげることにしている。
この実験は、子どもの事故防止に取り組んでいる産業技術総合研究所や東京工業大学、それに日本体育大学などの研究グループが行った。
特に事故が多いと指摘されている「ピラミッド」と「タワー」と呼ばれる2種類の技について、全身にセンサーを付けた大学生が10人ひと組となって組み体操を行い、力のかかり方などを調べた。
その結果、4段の「ピラミッド」の場合、1段目の人にかかる力は、完成した状態でおよそ180kgと、体重の3倍に及んでいたほか、上に乗っていた人が降りようとして一段目の人に足をかけた際は、瞬間的に体重の4倍を超える250kgに達していた。
この状態でバランスを崩すと、骨折などのけがに結びつくおそれがあるということで、研究グループでは、今後、体の動きをコンピューターで詳しく解析したうえで、体を密着させて互いに支え合うようにするなど、より安全な組み体操を提言したいとしている。
産業技術総合研究所の西田さんは、「技を完成させるまでに気をつけるのはもちろん、完成して『できた』という達成感のあとに気を抜くと大きなけがをする恐れがあることが分かったので、十分注意してほしい」と話していた。
出典
『組み体操 瞬間的に体重4倍の力』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170802/5584101.html
(ブログ者コメント)
組み体操時の事故については、過去に何件か記事を掲載している。
2016年7月29日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6128/
(2017年7月11日 修正2;追記)
内田准教授の寄稿記事?中、「詳細不明」と記されていた多治見市の事例に関し、下記趣旨の記事が2017年7月3日21時59分に毎日新聞からネット配信されていた。
岐阜県多治見市立小泉中学校で2015年6月、当時3年生だった男子生徒(17)が水泳授業中にプールに飛び込んで頭を打つ事故があり、同市は3日、再発防止策の実施や賠償金の支払いで生徒側と大筋合意した。
生徒の代理人弁護士らが記者会見して明らかにした。
弁護士らによると、生徒は15年6月、高さ約30cmのスタート台から飛び込み、プールの底で頭を打って頸椎骨折などの重傷を負った。
今も自律神経・感覚神経のまひや上下肢の運動障害などの後遺症が残っているという。
生徒側は、プールの水深が1.35m未満で、日本水泳連盟が公認規則でスタート台の設置を禁止していることなどを挙げ、市に昨年6月、
(1)事故の原因を公表し、再発防止策を講じる
(2)生徒と両親に対して約2750万円の賠償金を払う
ことなどを求める要望書を提出した。
市は先月30日、謝罪要求を受け入れ、損害賠償について「誠実に補償交渉に応じる」と回答した。
会見で望月弁護士は、「スタート台への禁止の貼り紙など、今できることをすぐに実施してもらいたい」と市に訴えた。
古川市長は、「再発防止、安全対策を徹底していく」とコメントした。
出典
『岐阜・プール事故 多治見市賠償へ 賠償金の支払いなど』
https://mainichi.jp/articles/20170704/k00/00m/040/082000c
2017年3月9日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報として掲載します。
第1報(2/2)は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6865/
(2017年7月6日 修正1 ;追記)
2017年6月29日12時34分にNHK鳥取から、事故報告書が提出されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故の調査にあたった調査委員会の報告書がまとまり、28日の夜、小林委員長が土海教育長に報告書を提出した。
報告書では、飛び込みの目標として水面に浮かべていたフラフープとスタート台の距離が1mあまりと近く、現場にいた男子児童が危険だと申し出たにもかかわらず、現場の教員が無視して女子児童に飛び込みをさせるなど、「不適切な指導が事故を招いた」と指摘している。
さらに、事故後の学校の対応についても、「児童自らが起こした『不慮の事故』として処理しようとした」と指摘した上で、事故の発生自体、一部の教職員にしか伝えず、「事故の隠蔽とも疑われる態度に終始した」と厳しく批判している。
また、教育委員会による学校への指導も不十分だったと指摘している。
出典
『プール事故 調査報告書提出』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4044556391.html
6月29日付で日本海新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によると、事故は、男性教諭の指示で飛び込み台からプールの中にいた別の児童が持ったフラフープめがけて飛び込みをしたが、フラフープが飛び込み台に近く、垂直に近い形で飛び込んだことが事故の原因となったと言及。
危険性は明らかだった上、女子児童が不安な気持ちを抱えながら飛び込むことになった男性教諭の言動も看過できないとした。
学校に対しては、事故後も児童自らが起こした「不慮の事故」として処理しようとし、正確性を欠いていると批判。
「隠蔽と取られかねない態度に終始した」と指摘した。
「重篤な事故」という認識がなく、町教委も、学校に注意、指導するなどの本来の機能を発揮しなかったと結論付けた。
出典
『教諭の不適切指導原因 湯梨浜プール事故』
http://www.nnn.co.jp/news/170629/20170629047.html
(2017年7月23日 修正2 ;追記)
2017年7月21日21時18分にNHK鳥取から、日本水泳連盟が定めたガイドラインは鳥取県内の小学校に浸透していないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年7月の事故を受け、NHKは鳥取県内126の小学校すべてにアンケート調査を行い、106校から回答を得た。
それによると、事故後、原則禁止となった飛び込みは、県教委が特例で認めた講習を受けた教員の指導で、依然として半数近い50校で行われていることがわかった。
また、飛び込みを行うプールについては、日本水泳連盟が平成17年に飛び込み台の高さやプールの深さなどのガイドラインを定めているが、これを満たしていない浅すぎるプールや高すぎる飛び込み台で飛び込み練習をしている学校が16校にのぼった。
個別の取材に対し学校側は、「ガイドラインの存在を知らなかった」とか「知っていたが、詳しい基準まで把握していなかった」などと答え、ガイドラインが学校現場に浸透していないことが浮き彫りになった。
出典
『規格外プールで16校指導』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4045366111.html
2017年6月23日18時19分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4年前の平成25年8月、東大阪市内のプールで開かれた障害者向けの水泳教室で、Kさん(男性、当時24歳)が意識を失って死亡した。
Kさんの両親は、「死亡したのは熱中症のためで、指導者が適切な配慮を怠った」として、水泳教室を運営していた大阪・生野区のNPO法人などに、およそ5500万円の賠償を求め、法人側は、「原因はてんかんの発作で、指導者に責任はない」と主張していた。
23日の判決で、大阪地裁の山地裁判長は、Kさんは熱中症で亡くなったとしたうえで、「水泳教室の指導者は、水泳でも熱中症になることがあり、水分補給が重要だという知識があったのに、練習生をプールから上がらせ水を飲ませるなどの対策を怠った」と指摘した。
そのうえで、「Kさんに知的障害があったことを考えると、指導者が適切な措置をとらなかった責任は重い」として、法人側に770万円の賠償を命じた。
判決の後、Kさんの59歳の父親は記者会見で、「熱中症は、指導者の無知や怠慢で起きることを裁判所が認めてくれた。スポーツの指導者は深く自覚してほしい」と述べた。
また、58歳の母親は、「プールに入っていても熱中症になることがある。そのことを多くの人に知ってほしい」と述べた。
両親の代理人の平川弁護士は、「相当深く踏み込んだ判決で、勝訴だと思う」と述べた。
一方、NPO法人の弁護士は、「判決文を読んでいないので、コメントを控える」としている。
熱中症に詳しい医師は、プールなどでも運動を続けると熱中症になる場合があるとして、注意を呼びかけている。
「神戸市立医療センター中央市民病院」の水副医長によると、プールでは、運動して汗をかいていても気付きにくく、水分の補給を怠りがちになるという。
また、湿度の高い屋内や、水温が高いプールの中で運動を続けると、汗が蒸発しにくくなって体に熱がこもりやすく、脱水症状を起こして熱中症になりやすいという。
水副医長によると、プールの水温と気温の合計が65℃以上になると熱中症のリスクが高まるとされ、水泳には適さないという。
水副医長は、「水の中でも熱中症のリスクがあることを認識してもらい、こまめに休憩をとったり水分補給をしたりして、予防に努めてほしい。異変を感じたら涼しい場所で体を冷やし、医療機関を受診してほしい」と話している。
出典
『プールで熱中症死亡 賠償命令』
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20170623/4462051.html
6月23日17時50分に時事通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
裁判長は、てんかんの発作とする被告側の主張を退け、熱中症と推認。
一定時間ごとにプールから上げ、水分補給させる義務を怠ったと認めた。
一方で、救急搬送の依頼など、相応の対処をしたと指摘した。
判決後の記者会見でKさんの父親は、「熱中症と認められて意義はあるが、練習メニューが過酷とは認められず、満足がいかない」と語り、控訴する考えを示した。
出典
『水泳教室主催者に賠償命令=男性死亡「熱中症予防怠る」-大阪地裁』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062300999&g=soc
2017年4月28日22時2分に朝日新聞からは、事故時の詳しい状況などが、下記趣旨でネット配信されていた。
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知的障害・発達障害のあるKさんは、給食会社で働く傍ら、障害者専門の水泳教室に通い、ジャパンパラリンピックに7回出場していた。
両親が見守る中、東大阪市の室内プールでの練習は、午後6時に始まった。
空調はなく、サウナのようだった。
母親は何げなく水に触り、「ぬるい!」と言ったのを覚えている。
クロール100mを10本、バタフライ100mを7、8本泳いだところで、コーチからフォーム修正の指示が出た。
Kさんはプールから上がり、鏡を見ながら約5分間、シャドーストロークをした。
ここで初めて水分補給をし、水中に。
指示されていたバタフライではなく、クロールで泳ぎ出した。
100m泳いでもやめない。異常行動だ。
仲間が足をつかんで止めたが、手はかき続けていた。
引き上げられると、けいれんが始まった。
午後6時55分に救急搬送。病院で亡くなった。
体温は41.9℃あった。
死体検案書には、熱中症にかかり、重いてんかんの発作を引き起こしたことが死因と書かれた。
一見、意外かもしれないが、プールでも熱中症は起こる。
14年7月には、京都市の中学の水泳部員13人が救急搬送された。
同年8月にも、東京都の中高の水泳部の合同練習で15人が病院に運ばれた。
日本水泳連盟の指導教本では、水温と室温を足して60℃前後が水泳に最適で、65℃以上は「不適」とされる。
Kさんの事故当日の午後6時の水温は32.7℃、室温は36.0℃で、計68.7℃だった。
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出典
『プールでも熱中症の危険 水温と室温に注意が必要』
http://www.asahi.com/articles/ASK4W72GBK4WUTQP02F.html
2017年6月21日17時49分にNHK信州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3年前、坂城町の県立高校で、ハンドボール部の試合中に相手チームの選手と衝突したあと、再び試合に出場させられたことで記憶障害などの後遺症が残ったとして、当時2年生の男子生徒と両親が、学校側の安全管理に問題があったとして、県と高校の顧問の男性教諭らに対し、8400万円余りの損害賠償を求める訴えを長野地裁に起こした。
訴えによると、男子生徒は平成26年12月、ハンドボール部の試合中に相手チームの選手の膝が左の頬にぶつかって倒れ、動けなくなったという。
生徒はコートの外に運ばれたが、顧問の男性教諭に再び試合に出場させられ、帰宅後も体のしびれがおさまらず、脳震とうや頸椎損傷などと診断されて入院した。
21日会見した男子生徒の母親は、「もう二度と同じことを繰り返さないよう、指導者として知識を持ってほしい」と話していた。
出典
『部活中の事故で損害賠償請求訴訟』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/1014434111.html
6月22日付で信濃毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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原告側は、男性が入部から事故までに足首4カ所を疲労骨折し、顧問からは「ぶつかってくる相手をよける者は勇気が足りない」などと指導されたと主張。
事故の際に救急車を呼ばず、試合に再出場させたのは「不適切な指導」で、その結果、重い障害が起き、現在も後遺症がある―としている。
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出典
『14年の坂城高ハンドボール部事故 元部員男性と両親が提訴』
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170622/KT170621FTI090022000.php
2016年10月26日付で毎日新聞長野版からは、詳細な状況などが下記趣旨でネット配信されていた。
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坂城高校の事故報告書によると、2014年12月28日、同校の体育館でハンドボール部の練習試合があった。
午後1時45分ごろ、ゴール前で守備をしていた男性が、シュートを放とうとジャンプした相手選手の膝を顔に受け、倒れた。
男性にその後の記憶はないが、報告書では、他の選手に担がれてコート外に出され、男性顧問が意識の有無などを確認。
1人で約3分休んだ後、出場できることを顧問に伝え、約2分間、再出場したという。
試合後、顧問は家族に連絡し「脳震とうの可能性が高い」と伝え、駆けつけた家族に男性を引き渡し、病院へ行くことを勧めた。
同日午後7時半ごろ、顧問は男性宅に電話を入れ、症状に改善が見られないことを知って病院へ行くよう伝えた。
家族が男性を病院へ連れて行くと、緊急入院することになった。
病院では、男性が脳震とうを起こし、顔面を骨折、頸髄(首の神経)損傷を負っていたことが判明。
事故直後や再出場した時の記憶がないことも分かった。
男性は転院も含め約8カ月、入院。
その間、記憶力など脳の機能に障害が出る高次脳機能障害も発症した。
運動中に頭を打つ事故が起きた時の指導者の対応について、文科省の「学校における体育活動中の事故防止について」(12年7月)や日本スポーツ振興センターの「体育活動における頭頸部外傷事故防止の留意点」(13年3月)は、「脳が再び強い衝撃を受けると、危険度が極めて高まる(セカンドインパクトシンドローム)ため、正常な場合でも1日から数日は練習を休み、安静にし、状態を観察する」などとしている。
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日本体育大の南部さおり准教授(スポーツ危機管理学)は、「再出場はさせるべきではない。セカンドインパクトシンドロームがなくても、一度頭を打てば、外見上は問題が無いように見えても容体が急変する可能性がある。首から上への打撃を受けたら、急性硬膜下血腫など脳へのダメージを疑い、可能な限り動かさず経過を観察することが必要」と指摘する。
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出典
『坂城高 部活動ハンドボール 脳しんとう、試合再出場 識者「指導不適切」 /長野』
http://mainichi.jp/articles/20161026/ddl/k20/040/111000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。