2019年11月26日21時15分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、使用した用具の写真付きでネット配信されていた。
神奈川県真鶴町立まなづる小学校で今月7日、体育の授業の走り高跳びの練習中に、6年生の男子児童(12)が左目を負傷し、失明したことがわかった。
担任教諭らが走り高跳びの練習のために用意した棒が目に当たって負傷したといい、町教育委員会は26日に記者会見を開いて、「学校側に責任がある」と認めた。
町教委によると、担任教諭と、授業をサポートする教諭らが7日の体育の授業前、長さ約90センチの手芸用ゴムひもを走り高跳びの「バー」として使うため、園芸用の棒2本(長さ約1・5メートル)に結びつけた。
この自作の教具を二つ用意したという。
授業は体育館で行われ、児童41人を6グループに分け、うち2グループがこの教具を使用。
ゴムひもは地面から30センチ前後の高さにし、左右に立たせる2本の棒は別々の児童が支えた。
棒を支えていた男児の1人の目に棒が当たり、負傷した。
当時、2人の教諭はこのグループから離れた所で相談していて、事故が発生した瞬間を見ていなかったという。
男児は目の出血が確認されたため救急車で東海大学付属病院(伊勢原市)へ搬送され、「左目失明」と診断された。
手術を受けて入院し、13日に退院した。
19日から小学校への登校を再開した。
担任教諭は、走り高跳びの練習にゴムひもを使うことで、「跳ぶ児童の恐怖心を軽減できる」、「跳ぶ機会をより多く持てる」と考えたという。
また、同校には走り高跳び用のバーと、それを支えるスタンドが5セットあるが、着地する際に体を受け止める厚手のマットは2点だけだったことから、正規の教具であるバーとスタンドの使用は2セットにしたという。
同校は今後、教諭の手製の教具・教材について、複数の教員で安全性を確認するという。
浜口校長は会見で、「自作の教材は各担任がそれぞれの判断で作り、管理職は把握できていなかった。教具として適しているかを確認する態勢をつくれていなかった。校長である私の責任」と述べた。
また、牧岡教育長は、「取り返しのつかない結果になった。心よりおわび申し上げます」と謝罪した。
同校は14日に保護者会を開き、再発防止への取り組みを説明。
町教委は、事故原因を調べる第三者委員会を設置するかどうか、有識者らと協議した上で決める。
https://www.asahi.com/articles/ASMCV4T51MCVULOB014.html
11月26日20時39分にNHK神奈川からは、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
小学6年生の男子児童らが体育の授業中、走り高跳びの練習をしていた際、長さ1メートル50センチ、直径1センチの支柱が児童のひとりの左目に当たりました。
学校には本来の高飛びの器具もありますが、この器具は児童の恐怖心を減らし練習の回数を増やそうと、男性教諭らが園芸用品で作ったものでした。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20191126/1050008289.html
11月23日5時0分に神奈川新聞からも、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
器具は先のとがった園芸用の支柱2本を児童が支え、約30センチの高さにバーに見立てたゴムひもを張っていた。
男児が事故に遭った際、担任教諭は別グループを指導していたという。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-210553.html
(ブログ者コメント)
担任が見ていなくても、事故が起きたグループの児童に聞き取り調査すれば、大体の状況は分かりそうなものだ。
児童のうち誰かが原因だったとか、事故時の状況を児童にフラッシュバックさせなくないためヒアリングしていないとか、そういった事情でもあるのだろうか?
再発防止のためには、まずは事故時の状況把握が不可欠だと思うのだが・・・。
2019年10月24日23時51分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都市立堀川高校ソフトボール部の不適切なノック練習で左手小指を骨折し障害を負ったとして元部員の20代の女性が市に慰謝料など1247万円を求めた国家賠償訴訟で、京都地裁は24日、市に578万円の支払いを命じた。
市側は「競技者は(けがの)危険を引き受けて参加している」と主張したが、井上一成裁判長は女性が当時けがをしていたことなどを挙げ「安全面への配慮が欠けていた」と認定した。
判決によると、女性は3年生部員で主将を務めていた2015年6月、顧問兼監督の講師(当時)からノックを受けた際に骨折。
治療を受けたが小指の変形やしびれ、痛みなどが残った。
女性は本来、捕手だったが、講師は他部員の見本とするため三塁でノックを受けさせていた。
判決は女性がその前に練習試合で左手の親指と小指をけがしていたと指摘。
元高校球児で野球経験が豊富だった講師が、けがを認識していたにもかかわらず、強いノックをしたと批判した。
その上で、「高校生の知識・経験では(練習への参加の可否を)的確に判断することは困難。指導教員は生徒の自主判断に任せず、個々の体調などに配慮した適切な指導をする義務がある」と言及。
負傷について聞き取りしたり、ノックの強さを調節したりしなかった点について、「安全面への配慮に欠けるところがあった」と結論付けた。
市教委は「主張が認められず大変残念。判決文を精査し、対応を検討する」とのコメントを出した。
https://mainichi.jp/articles/20191024/k00/00m/040/284000c
2019年10月21日5時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
札幌市の札幌厚別公園競技場(厚別区)で20日に行われたサッカーの全国高校選手権道予選決勝で、優勝した北海高の応援席前方のフェンスが折れ曲がり、グラウンドに落ちた生徒2人が顔などにけがを負った。
午後2時ごろ、表彰式を終えた北海高の選手らがグラウンドであいさつした際、応援席のサッカー部員らがフェンスに押し寄せた。
フェンスは支柱の高さが85センチ、直径5センチのステンレス製で幅9メートルにわたって根本から折れ、弾みで十数人が1・3メートル下のウレタン部分に落下。
1人が左耳付近を3針縫うけがを負い、1人が膝を擦りむいた。
競技場を管理する健康スポーツ・公園緑化コンソーシアム(札幌)によると、フェンスは1985年に設置。
安全点検は年2回で9月に異常は見つからず、この日も日常点検を行った。
競技場を所有する札幌市は「事前の説明に加え、場内アナウンスや表示で注意喚起を徹底する」(スポーツ局)と話している。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/356541/
10月21日0時1分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午後2時ごろ、札幌市の厚別公園競技場で開催された高校サッカーの決勝後、スタンドの観客が選手と握手をしようと最下段の手すりに寄りかかったため折れ曲がり、十数人が落下し、市内の高校2年の男子生徒2人がけがをした。
いずれも軽傷。
競技場を管理する札幌市によると、閉会式終了後、バックスタンド側で応援していた観客や保護者が、あいさつに来た選手と握手やハイタッチを交わそうと手を伸ばし、手すりに寄りかかった。
その際に重みで幅約9メートルに渡りフィールド側に曲がり、観客は約1・3メートル下に落ちた。
この日は「第98回全国高校サッカー選手権」北海道予選の決勝があり、北海(札幌市豊平区)が1-0で札幌第一(同)を下した。
https://www.sankei.com/affairs/news/191021/afr1910210002-n1.html
(ブログ者コメント)
北海道新聞掲載写真を見ると、ステンレスパイプの支柱根元部分がグニャリと曲がっている。
支柱部分の厚さは不明だが、手すり部分のパイプ断面を見ると、もし、その厚さだったとすれば大勢の人の重みを支えるには厚さが足りないような感じを受けた。
大勢の人が寄り掛かることは想定外?
2019年8月22日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事が大外刈りの技の図解付きでネット配信されていた。
柔道の部活動中に大外刈りで投げられ、死亡した中学1年の女子生徒(当時13歳)の父親が、過去に重大な事故も起きている大外刈りを小中学生には禁止すべきだったとして、全日本柔道連盟(全柔連)に3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、福岡地裁であった。
徳地淳(とくちあつし)裁判長は、大外刈りの危険性を認めつつ、「初心者への指導の徹底などで重大事故の抑止は可能。一律に禁止すべきだとはいえない」として、請求を棄却した。
訴えていたのは福岡市博多区の大場さん(男性、53歳)。
判決によると、娘のAさんは2015年4月に福岡市立席田(むしろだ)中に入学し、柔道部に入部。
それまで柔道経験はなく、同5月、かける技を事前に相手に伝えてから投げる「約束練習」の際、大外刈りを受けて頭を強打し意識不明となり、5日後に死亡した。
大場さんは、Aさんの事故が全柔連の公認A級指導員が監督し、練習方法にも問題がないのに起きたことから、大外刈りという技自体に危険性があると主張。
実際に大外刈りによる死亡事故が多く起きていることを踏まえ、全柔連は小中学生には禁止する義務があったと訴えていた。
徳地裁判長も判決で、全柔連が障害補償・見舞金制度を開始した03年からの8年間で報告があった死亡事故や障害が残る重大事故86件のうち、技が判明した59件の中で大外刈りが11件と最多だった点を引き合いに、大外刈りは「他の技と比べ受傷の危険性が高い」と述べた。
その上で、「指導現場で初心者への受け身の指導を徹底したり、受け身の習熟度に応じて大外刈りを禁止したり制限したりすることで重大事故を抑止することは可能」と結論づけた。
判決後、大場さんは控訴しない方針を示し、「最大の目的は柔道事故を起こさないためにどうすべきか関係者に考えてほしい、ということだった。全柔連関係者や指導者の方々には、気を引き締めて指導していただきたい」と訴えた。
【死亡や障害、見舞金36件 13~17年度】
初心者に対する大外刈りの危険性は、全日本柔道連盟も認識している。
今年3月には、「初心者の重大事故の多くは(入学から間もない)5~8月に大外刈りなどの投げ技により発生している」として、改めて注意を促す文書を各都道府県連盟などに通知した。
もっとも、重大事故の原因は大外刈りだけではない。
判決が言及した2003年から8年間の死亡・重大事故のうち、技が判明している59件の内訳には、9件の内股と8件の背負い投げもあった。
全柔連も、指導者への研修会に力を入れるなど対策を取っている。
それでも日本スポーツ振興センターによると、13~17年度に柔道の部活動や授業の事故で死亡したり障害が残ったりして見舞金が支払われたケースは36件あった。
https://mainichi.jp/articles/20190822/ddm/012/040/054000c
(ブログ者コメント)
この事故は今年5月、部活中の事故について紹介した本ブログの記事中、1つの事例として記されている。
2019年8月21日8時50分に京都新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
南陽高(京都府木津川市)で17日に体育館のつり下げ式バスケットゴールが床に落下していたことが20日、分かった。
ワイヤが切れたのが原因で、けが人はなかった。
京都府教育委員会によると、男子バスケットボール部が練習後、ゴールを上部の位置に戻そうとした際に、ワイヤが切れた。
ゴールは1986年に体育館が建てられた時に設置され、定期的に点検をしていたという。
府教委は、「ワイヤの劣化が進んでいたようだ。より点検を強化したい」とし、今後、他校にある同様のつり下げ式バスケットゴールも点検する予定。
https://this.kiji.is/536697071130199137?c=39546741839462401
2019年7月18日18時12分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌市は18日、厚別区の厚別公園競技場内で、維持管理用の作業車両と市内の高校1年の女性が衝突し、生徒は右脚太ももを打撲するけがを負ったと発表した。
命に別条はない。
公園を管理する公益財団法人札幌市公園緑化協会によると、事故は16日午後5時半ごろ発生。
競技場内の草刈り作業を終えた協会の臨時職員(65歳)が倉庫に戻る際、本来通行すべきでない競技用走路のスタート地点から6m付近を走行。
ダッシュの練習をしていた生徒が車両に気づかず、ぶつかった。
協会は、「ご本人やご家族、市民におわびしたい。今後、作業車両が競技場内を横断する場合は利用者が少ない場所を通り、安全確保のため誘導員を配置する」と話す。
出典
『厚別競技場の作業車両と衝突、練習の女子高生けが』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/326464/
7月18日18時35分にNHK北海道からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
16日午後5時半ごろ、札幌市厚別区上野幌の厚別公園競技場で、高校1年生の女子生徒が陸上競技のトラックでスタートダッシュの練習をしていたところ、突然、芝を運搬する車両が前を横切り、そのままぶつかった。
競技場によると、この事故で高校生は右足に全治1か月から2か月のけがを負ったという。
競技場の管理者によると、芝を運搬する車両がトラックを横切る場合には、陸上競技のスタート地点から100mほど離れた場所を通る決まりになっているが、事故が起きたのは6mほどの場所だったという。
管理者は、「安全確認と声かけが不十分なまま車両が横断を始めたことが事故の原因とみられる」とし、今後は、誘導員を配置するなどの再発防止策をとるとしている。
出典
『競技場で車両ぶつかり高校生けが』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190718/7000011950.html
(ブログ者コメント)
管理者は、臨時職員に対し、100m離れた場所を通るなどの決まり事を教えていたのだろうか?
そういった、事故の本質原因という観点から上記2報道の再発防止策をみると、なにか隔靴掻痒の感じがする。
2019年7月2日19時2分にNHK福岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海のレジャーシーズンが本格化するのを前に、人気の高い水上オートバイを安全に乗ってもらおうと、「ジェット噴流」と呼ばれる、水上オートバイが噴き出す水流の危険性を確認するための実証実験が福岡市で行われた。
福岡海保が福岡市東区の沿岸で行った実証実験には、ライフセーバーやマリンスポーツの講師など12人が参加した。
最速で時速100kmにもなる水上オートバイは、短期間で免許を取れることもあり、人気が高まっているが、急発進の際などに後部座席に乗った人が転落し、ジェット噴流が直撃して大けがをするなど、思わぬ事故が発生している。
実証実験では、水上オートバイを急発進させると人形が振り落とされたほか、人に見立てた土のう袋がジェット噴流によって大きく破れるなどして、参加者が危険性を実感していた。
水上オートバイのジェット噴流による事故は、去年までの5年間で全国で12件発生していて、このうち2件が福岡県で起きている。
同海保の田村交通課長は、「水上オートバイを安全に楽しむために、急発進や急旋回は行わず、ジェット噴流による被害を防ぐため、水着などの露出が多い衣服ではなく、ウェットスーツを着用して、操縦者にしっかりつかまるようにして欲しい」と話している。
※以下は音声のみの情報(実験後のダミー人形を指さしながら)
水着の隙間から噴流が入り込む。
ダミー人形の足の付け根は破損しており、かなりのエネルギーがかかっていることが実験からもわかる。
出典
『水上バイク噴流の危険性実証実験』
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20190702/5010004877.html
(ブログ者コメント)
以下は、映像の4コマ。
2019年6月28日8時18分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
野球部の練習中に、穴が開いた防球ネットをすり抜けた硬球が顔面を直撃して大けがを負ったのは、ネットを管理する千葉県が修繕などの処置を怠ったためだとして、千葉県船橋市の県立高校の元野球部員の男性(19)が、県に約820万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こし、26日に第1回口頭弁論があった。
訴状によると、原告の男性が2017年1月4日午前9時ごろ、防球ネットの裏で野球部の練習をしていたところ、投球マシンから放たれた硬球がネットの穴をすり抜けて男性の顔を直撃。
あごや鼻の骨が折れる全治7カ月の大けがを負ったと訴えている。
男性は、この事故の前にも硬球が穴をすり抜けて生徒に当たることがあり、野球部員らが危険性を指摘していたと主張。
事故を予見できたにもかかわらず、ネットを修繕したり、買い替えたりするなどの必要な処置を怠った県に責任があるとして、治療費や慰謝料など計約820万円を求めた。
県教委教育総務課は、「訴状の内容を調べて、追って準備書面で主張を明らかにしたい」としている。
出典
『硬球が顔直撃、顔面骨折 元野球部員が県提訴 千葉地裁』
https://www.asahi.com/articles/ASM6V6G52M6VUDCB02C.html
(ブログ者コメント)
原告の主張は主張として、DIYの精神により部員自身で繕おうとする動きはなかったのだろうか?
漁師のように綺麗に網を繕うのは無理だとしても、球が通過しないよう網の穴を閉じるぐらいはできそうな気がするのだが・・・。
2019年6月22日7時46分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
組み体操の事故件数で、兵庫県が全国ワーストだとご存じだろうか。
昨年度の県教委の調査では、6段以上の「ピラミッド」に挑戦した小中学校は計100校弱あった。
阪神甲子園球場で体育大会を開く同県西宮市では、タワーがそびえ立つと大歓声が起きるという。
近年では「組み体操は危ない」と社会問題化し、見直しの動きもあるが、なぜ兵庫の学校は大技に挑み続けてきたのだろうか?
児童や生徒が四つんばいになって積み重なるピラミッドは最高9段。
肩の上に立つ「タワー」は最高5段。
県教委の昨年度の調査(神戸市を除く)によると、昨年度は小学校37校と中学校59校が6段以上のピラミッドを実施。
小中の計34校が5段タワーを作っていた。
事故が起きた計285件のうち、3割強をこの2種目が占めたが、「高さ」にこだわる学校が多いようだ。
全国的な統計でも、兵庫の事故件数は際立つ。
大阪経済大の西山豊名誉教授(数学)が日本スポーツ振興センター(JSC・東京都)の災害共済給付件数を基にまとめた統計によると、2017年度の全国の小中学校の組み体操中の事故は4418件。
兵庫県は3年連続の全国ワーストとなる566件で、全体の1割強を占める。
組み体操が社会問題になったのは15年秋、大阪府八尾市の中学校で起きた事故がきっかけだ。
スポーツ庁は16年3月、安全が確認できない場合は実施しないよう、都道府県教委に通知した。
県内自治体でも、神戸市が16年度からピラミッドは4段までとするなど、技を制限した。
ダンスに切り替えるなど対策を進める学校が増えた一方、依然として大技に挑む学校もある。
背景の一つに、伝統的な大会の存在がある。
西宮市は1951年から中学校の連合体育大会を開いており、中学3年の男子が組み体操を披露。
記録の残る81年から5段のタワーを実施し、昨年11月も全市立中20校が取り組んだ。
市教委は、「プログラムは毎年、タワーありきでなく検討してきた」とするが、ほぼ前年を踏襲してきたという。
保護者もタワーに取り組んだ経験がある人が少なくなく、会場の甲子園球場はタワーが立ち上がる瞬間に盛り上がるという。
地域の期待を理由に挙げる声もある。
東播磨地方の体育教師は、「猛暑で練習時間の確保も困難。難易度の高い技はやめたい」という。
だが、農村部などは運動会が地域ぐるみの行事になっており、町内会長らから「見どころをやめないで」との声が寄せられる。
それでもなお、事故の多発を重く見た県教委は今年1月に「ピラミッドは小学校で3段、中学校で4段以内」というJSCの目安を考慮するよう、各市町に通知した。
西宮市教委の関係者は、「近年の子どもの体力低下の状況や通知の趣旨を考慮し、今後の演技構成を検討したい」としており、長年の慣習は見直されそうだ。
組み体操事故に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「段数の高いピラミッドやタワーは、命に関わるけがにつながる可能性がある。継続している学校はリスクを過小評価している」と警告する。
「教育の自律性から、国や都道府県に規制を期待するよりも、各市町や学校現場が早急に安全対策に乗り出すべきだ」と指摘した。
出典
『組み体操事故件数、全国ワーストは兵庫県 その理由とは』
https://mainichi.jp/articles/20190621/k00/00m/040/193000c
(ブログ者コメント)
八尾市の事例を含め、組み体操の危険性については、本ブログでも過去に何回か紹介スミ。
2019年6月25日付で河北新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
青森県むつ市の田名部中(生徒629人)で、体育で走り高跳びに取り組んだ複数の2年生の生徒がけがをしていたことが24日、分かった。
着地点に敷くマットの厚みが不足していた可能性がある。
骨折した生徒もおり、和田校長は、「指導方法を改善し、けがのない教育を目指したい」と話している。
同校や生徒らによると、18日、高さ125cmに挑戦した男子生徒が右手首の骨を折った。
21日には、別の男子生徒も左手首の骨にひびが入った。
いずれも着地の際に転倒した。
他に複数の生徒が、尻を打ったり、脚の筋を痛めるなどしたという。
跳び方は、いずれもはさみ跳び。
踏み切った足と反対側の足を振り上げて、またぐようにしてバーを越える。
着地点には、前転などをする際に使う厚さ約5cmのマットが置かれていた。
同校には、より厚みのあるソフトマットもあったが、使用されなかった。
保護者から危険性を指摘する相談も寄せられたが、18日以降も、同じマットを使った指導が行われていた。
青森県教委スポーツ健康課によると、はさみ跳びの場合は、薄めのマットを使うこともある。
高くなればソフトマットを準備するのが一般的だが、個人差があるため、基準はないという。
田名部中の授業で最も高く跳んだ生徒は、バーの高さが145cmだった。
名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は、「安全対策で防げる事故もある。なぜ、けがをしたのか、しっかりと分析してほしい」と話した。
出典
『恐怖の高跳び マット5センチ 中学の授業で骨折者 青森・むつ』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201906/20190625_23024.html
2019年5月19日18時37分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鹿児島県屋久島町で、大雨による土砂崩れのため孤立していた300人余りの登山者ら全員が、19日夕までに下山した。
町によると、大きなけがをした人はいないという。
当初はヘリコプターによる救助が検討されたが、天候が回復しないことなどから、県警が先導などする中、陸路で下山した。
気象庁によると、屋久島では非常に激しい雨が断続的に降り、19日午前7時40分までの24時間に446ミリの雨を観測。
町は町内全域に避難勧告を出していた。
土砂崩れは18日午後、島東部の複数箇所で発生。
登山者たちは、観光名所の縄文杉へと向かう登山口や、国の自然休養林「ヤクスギランド」などへ向かう道路沿いなどに足止めされ、観光バスの車内や小屋などで一夜を過ごした。
町は当初、孤立者は262人と説明していたが、確認を進めたところ、300人を超える登山者らが取り残されていた。
出典
『孤立者300人超、全員が無事下山 大雨の屋久島』
https://www.asahi.com/articles/ASM5M5SXGM5MTIPE01M.html
5月18日18時34分にNHK鹿児島からは、50年に1度クラスの大雨だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州南部は暖かく湿った空気の影響で、東側の斜面を中心に、発達した雨雲がかかっている。
屋久島町では、1時間に50ミリを超える非常に激しい雨が降り続き、屋久島町小瀬田では、午後6時までの6時間には370.5ミリの大雨となっている。
気象庁は午後6時、「屋久島町では、50年に一度の記録的な大雨となっている」という情報を発表した。
出典
『屋久島町「50年に一度の大雨」』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190518/5050006412.html
5月19日20時7分に朝日新聞からは、大雨の予報は出ていたが登山中止の判断はガイドによって異なったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鹿児島県屋久島町で複数の土砂崩れが起き、山中に取り残された登山者らについて、町は19日、一時孤立した人が少なくとも計314人に上ったことを明らかにした。
天候不良が予想されていた中で登山を決めたガイドもおり、ルール整備などの課題が残りそうだ。
気象庁によると、18日の大雨は暖かく湿った風が屋久島を含む九州南部に流れ込んだことが原因だった。
大雨を事前に予測した鹿児島地方気象台は、17日午前の段階で、気象庁のサイトなどで確認できる「大雨に関する気象情報」を発表。
「屋久島などで18~19日に大雨の恐れがあり、土砂災害に警戒を」と呼びかけた。
気象台の担当者は、「週末で登山者も多いと考えられたので、早めの注意を心がけた」と話す。
世界遺産に登録されている屋久島の登山には危険な場所もあり、約200人いるガイドと入山する人が多い。
大雨の予報に、ガイドの判断は分かれた。
屋久島観光協会ガイド部会長の中馬さん(男性、46歳)によると、屋久島町などが定めたガイド向けルールでは、気象警報の発表時にはツアーを実施しないことになっている。
ただ、町に大雨警報が発表されたのは18日午後3時半ごろ。
それ以前のツアー出発はガイド個人の判断に任されていたという。
観光名所の縄文杉までの往復には10時間程度かかるといい、早朝に出発するツアーが大半とされる。
朝の時点で雨が降り、登山道脇の沢の流れが激しいとして途中でツアー中止を決め、引き返したガイドもいた。
一方で、計28人のガイドが同行したツアーの登山者が、18日中に下山できなかった。
ガイドとともにバスの車中で一夜を過ごした30代男性は、「(登山に出発した)18日早朝には、雨の影響についてガイドから何も言われなかった」と話した。
ガイドらは手分けして、倒木をノコギリで切ったり難所にロープを張ったりして、下山の誘導にあたった。
中馬さんは、「ガイドが連携できたことは良かったが、このような事態になった検証は必要だ。ガイド部会で話し合いたい」。
荒木・屋久島町長は朝日新聞の取材に、「今のところ、幸い、大きなけが人はいないが、ガイドの判断基準を見直す必要はあるかもしれない」と話している。
【波打つ濁流、緊迫の救出劇に記者が同行】
記録的豪雨による土砂崩れで、一時は300人を超す登山者らが孤立した屋久島町。
一夜明けた19日、自衛隊員らによる緊迫の救出劇に記者が同行した。
午後2時前、自衛隊員たちとともに、荒川三叉路と呼ばれる場所から南に数kmの地点にたどり着いた。
目の前には濁った激流が波打っていた。
幅5mほどの向こう岸には、100人超の登山者らが土砂降りの中、立ち尽くしていた。
周囲に転がる岩をたたきつける雨音と激流の音が大きすぎて、周囲の話し声もよく聞こえない。
両岸に分かれた自衛隊員らは、登山者たちを助け出す作業を始めていた。
登山者を救助するため用意されたのは脚立。
脚立を180°開いて上に板を乗せ、架設の「橋」を作っていた。
手すり代わりに、ロープを両岸の木に縛り付けていた。
まず、自衛隊員らが「橋」の上を何度も踏みしめて往復しながら強度を確認。
その後、登山者がロープを両手で握りしめ、横向きに少しずつ移動。
こわばった表情で激流を浴びながらゆっくり渡りきると、自衛隊員らに腕をつかまれ、体を引き寄せられた。
激流を渡り終わった登山者らは、バスが待つ場所にたどり着くと、ほっとした様子で仲間とハイタッチしていた。
出典
『大雨予報、分かれたツアー対応 警報前はガイドが判断』
https://www.asahi.com/articles/ASM5M45CNM5MTIPE00N.html
5月19日17時48分にNHK鹿児島からは、登山ルートなどに関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
屋久島観光協会によると、屋久島の山間部を通る主な登山ルートは11あるが、登山者の多くが、屋久島東部の山間部を通る県道592号線を経由して山に入っている。
この県道を進むと「荒川三差路」といわれる分かれ道があり、ここから北上すると「荒川登山口」に至る。
この「荒川登山口」からさらに島の中央部へ向かうと、登山者に人気の「縄文杉」がある。
一方、「荒川三差路」から南西にある自然休養林の「ヤクスギランド」にも、原生林の見学をしようと多くの人が訪れている。
「ヤクスギランド」からは、さらに西へ進んで宮之浦岳に向かった上で、「縄文杉」に向かう縦走するルートもある。
今回、孤立した人たちは、これらのルートからそれぞれの目的地に入った人たちだった。
・・・・・
出典
『1年間に約10万人が登山』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190519/5050006429.htmlhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190519/5050006429.html
(ブログ者コメント)
ガイドとしては、せっかく屋久島まで来てくれたお客さんゆえ、少々の雨でツアーを中止するわけにはいかない・・・といった気持ちが働いたのかもしれない。
今後、行われるであろう検証では、そういったガイド個人でのツアー中止判断をできるだけ排除するような方策についても話し合われるかもしれない。
2019年5月11日8時0分に毎日新聞から下記趣旨の記事が、事故状況などのグラフ付きでネット配信されていた。
鳥のように空を飛ぶ爽快感が魅力のパラグライダーやハンググライダー。
中高年に人気のスカイスポーツだが、死亡事故も多発している。
昨年までの5年間に全国で少なくとも37人が亡くなり、9割(33人)を50代以上が占めた。
年齢が上がるにつれて死亡率が高まるというデータもあり、愛好家団体は中高年向けの啓発を強化する方針だ。
「まさかあの人が落ちるとは思わなかった。心の支えを失った感じだ」。
福岡県篠栗(ささぐり)町で6日、パラグライダーを楽しんでいて墜落死した福岡市の自営業、金子さん(71)の飛行仲間の60代男性はショックを隠せない。
金子さんはパラグライダー歴約30年のベテランで、県内の仲間たちの間でリーダー的存在だった。
金子さんは6日昼、地元の同好会メンバーら5人と篠栗町の米ノ山(594m)を訪れた。
福岡都市圏の市街地を眺めながら飛び降りる米ノ山は、パラグライダーなどの人気スポットだ。
当日は気象条件にも恵まれた。
警察や同行メンバーによると、金子さんは飛行ルートや気流を確認するため、山頂付近から最初に飛び立ち、通常の着陸地点から約400m離れた約2km先の農地に墜落した。
離陸後に飛行が困難になるような風が突然吹いた可能性があるという。
この10連休中、全国では他に大津市や熊本県天草市などでもパラグライダー事故があり、いずれも50~60代の計3人が足の骨を折るなどの重傷を負った。
国内最大の約8000人の会員を抱える「日本ハング・パラグライディング連盟」(東京都)がまとめた事故報告書によると、2014~18年に147人が、パラグライダーやモーターが付いたモーターパラグライダー、ハンググライダーを楽しんでいて墜落や樹木衝突などの事故に遭い、うち37人(パラグライダー20人、モーターパラグライダー13人、ハンググライダー4人)が死亡した。
年代別の死者数は、
10~20代 ゼロ
30代 2人
40代 1人
50代 10人
60代 17人
70代 6人
年齢不詳 1人
で、50代以上が圧倒的に多い。
連盟会員の平均年齢は55歳。
愛好家の年齢層自体が高いため、中高年の死者数が多いのは当然だが、問題は、事故が起きた時に亡くなる率だ。
年齢と共に高まる傾向があり、
30代 13%
40代 6%
50代 32%
60代 34%
70代 38%
だった。
連盟関係者によると、ベテランほど、高く遠くまで飛べる機体を使うようになるが、その分、操作の難易度が増し、壊れやすくなるリスクも高まる。
連盟は、会報誌による事故情報の共有や定期講習で、中高年の安全意識の向上に力を入れていくことにしている。
高齢者の認知機能に詳しい藤田佳男・千葉県立保健医療大准教授(作業療法学)は、事故データの詳細な分析が必要とした上で、「年齢を重ねるごとに判断時間が遅くなる傾向があり、突然風向きが変わった際などの行動が迅速にとれないことも考えられる。加齢の影響を十分啓発するのが望ましい」と指摘する。
【ことば 「パラグライダー」】
山の斜面から飛び立ち、滑空するスポーツ。
化学繊維でできた長方形の布の翼を左右に操り、飛ぶ方向をコントロールする。
高い運動能力を必要としないため、性別を問わず、幅広い年齢層に親しまれる。
パラグライダーも、三角形の翼が付いたハンググライダーも、飛行に必要な国家資格はないが、安全性を確保するため、日本ハング・パラグライディング連盟などが独自に実技や学科試験を課し、合格者にライセンスを発行している。
出典
『事故死の9割 50代以上 ベテラン加齢で判断遅れも パラグライダー』
https://mainichi.jp/articles/20190510/k00/00m/040/352000c
2019年5月10日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
小・中学校の体育の授業で、特に重い事故が目立つのが跳び箱だ。
実は、技の順番によって深刻なけがにつながることがあると、国は注意を呼びかけている。
どんな順番が危険なのか。
「足も指も動かない。跳び箱でこんなことになるなんて」。
2017年5月、横浜市立中学校の体育の授業で、中学2年だった男子生徒(15)は5段の跳び箱を跳ぼうと強く踏み切り、バランスを失った。
手をついたが頭から落ちて首を損傷。
病院に搬送された。
頸椎の脱臼骨折で胸から下が自由に動かせなくなり、手術と1年以上の入院を経た今もリハビリに通う。
ロボットが作りたくて志望していた工業高校はあきらめ、今春、特別支援学校に進んだ。
車いすでの生活に合わせて家族は自宅を改装し、車を買い替えて介助を続ける。
生徒は、柔道部で階級を上げるため、1年で11kg余り体重を増やした。
事故前も跳び箱に失敗することがあり、「中学で跳び箱が苦手になった」と感じていた。
事故当日、教諭は開脚跳びと台上前転の2つの技に取り組むよう指示。
順番や段数は生徒に委ねた。
この生徒は最初に開脚跳び、次に台上前転、再び開脚跳びに挑んで事故に遭った。
文科省が15年に全国の学校に配った「器械運動指導の手引」は、台上前転の後で開脚跳びに取り組むと回転感覚が残って事故につながりやすいと指摘する。
横浜市教育委員会は18年6月、有識者による調査報告書を公表。
手引と違う手順で行われたことを認める一方で、本人がはっきり次の技を意識していたとして、「必ずしも技の順番の問題とは言えない」と結論づけた。
市教委の担当者は取材に、「学校管理下で起きた事故の大きさをしっかり受け止めている。報告書の内容を踏まえ、再発防止に取り組んでいる」と述べた。
報告書の提言に基づき、開脚跳びに先に取り組むよう各校に通知したという。
生徒の母(40)は、「息子は生死ぎりぎりだった。もっと安全性を確立してから指導してほしい」。
生徒は、「もう誰もこんな目にあわせたくない。事故を多くの人に知ってもらい、先生にも注意してほしい」と話す。
【跳び箱事故、体育の種目別で最多】
文科省の手引の作成に携わった松本格之祐・桐蔭横浜大教授によると、台上前転の後に開脚跳びをすると、回転感覚が残って体が回ろうとして腰が高くなり、頭から落ちやすい。
また、苦手な生徒は跳べない不安から助走や踏み切りの勢いを付けすぎることがあるという。
「自治体や学校が行う教員向け講習会は各地で開かれているが、技の習得法に内容が偏りがち。より安全に配慮した指導法を伝えるべきだ」と話す。
学校事故に関する日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付データを産業技術総合研究所が分析すると、跳び箱事故は14~16年度に小学校で年間1万5000件起き、体育の種目で最も多い。
5万円以上が給付された特に重い事故は、小学校と同様に中学校でも跳び箱が最多だった。
分析では、年齢に応じてけがの部位が変わっていた。
手や指の骨折は小学校で約19%、中学約11%、高校約7%と下がる一方で、足関節のねんざは小学校約5%、中学約10%、高校約20%と上がっていた。
事故を減らそうと、産総研などは東京都豊島区の小学2~6年の約140人を撮影し分析。
低学年は腕力が弱くて体の重心を上げられない、身長が低くて跳び箱の奥に手が届かない、などの傾向があった。
対策として、両足で十分に踏み切る練習が大切で、高学年は突き指などが多いことから、両手を広げて跳び箱につくよう意識することが重要という。
練習法を動画で解説するアプリも開発中で、完成すれば小学校に使用を呼びかける予定だ。
【中学体育、柔道の事故は年4000件近く】
中学の体育の授業で12年度から武道が必修化された際、事故の多さが問題になった柔道。
安全対策が進んで事故は減少傾向にあるが、取り組みは続く。
北関東の中学校の武道場で昨年2月、1年の女子28人がチームに分かれ、ひざをついて組み合い、最終的にけさ固めをかける試合形式の授業を受けた。
いずれも初心者で、5回目の授業だった。
女子生徒(14)は背が高く、チームの勝敗がかかる一戦に臨んだ。
相手は自分の体重より7kg重い。
倒されかけると仲間の声援が飛ぶ。
踏ん張りきれず、体をねじりながら左肩から畳に落ちた。
「ポキッ」という音が聞こえた。
左側の鎖骨が折れるなど半年のけがを負い、2カ月はベルトで固定。
3歳から続けるバレエができず、コンクールも断念した。
けがは治ったものの、左肩の骨が盛り上がった。
治すには手術が必要で、傷痕が残る。
母親は、「バレエの衣装は鎖骨が見える。どうしたらよいのか」と悩む。
校長は取材に、
▽意欲を高めるための試合が事故の引き金となった
▽1人だった体育教員は、事故の瞬間は別の対戦を見ていて目が行き届かなかった
▽体重や運動能力の差を考慮しなかった
などが原因と説明。
「二度と同じ事故が起きないようにしたい」と話す。
武道を剣道に代えるには、防具や竹刀の費用が30人分で300万円かかるため断念。
18年度は試合を禁じ、教員2人態勢で受け身の大切さなどを説いたという。
スポーツ庁によると、18年度の中学1、2年の武道の種目(複数回答)は
柔道 61.5%
剣道 35.7%
相撲 3.6%
空手道 2.7%
など。
産総研の分析では、中学の授業の柔道事故は年間4000件近く起き、武道の種目でまだ突出して多い。
【体育の授業で特に重い事故が多い種目】
□小学校 種目 件数
1 跳び箱 88
2 鉄棒 39
3 走り高跳び 27
□中学校 種目 件数
1 跳び箱 97
2 サッカー・フットサル 65
3 バスケットボール 59
□高校 種目 件数
1 サッカー・フットサル 103
2 バスケットボール 94
3 柔道 40
※JSCの2014~16年度のデータをもとに、給付額5万円以上を産総研が集計。件数は年間平均
出典
『跳び箱、頭から落ち車いす生活 手引きと違った技の順番』
https://www.asahi.com/articles/ASM4V6475M4VUUPI004.html
2019年5月6日6時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中学・高校で起きる事故の半分以上は運動部の部活動中で、年間35万件に上る。
特に頭のけがは命にかかわることがあり、学校現場では重大事故を防ぐための模索が続いている。
【硬球直撃 予防策を尽くしていたが】
死球を受けた2年生の男子部員(当時16)は声を上げ、尻から落ちて仰向けに倒れた。
よけようとした球が、ヘルメットの耳当て部分と左耳の下に当たった。
昨年11月18日、熊本県立熊本西高校(熊本市)で行われた野球部と他校の練習試合。
部員らが駆け寄ると、意識がなかった。
翌朝、亡くなった。
野球部は、事故防止に力を入れてきた。
複数箇所で行う打撃練習は、打球が飛び交う。
防球ネットの穴を抜けて投手に当たらないように、37枚のネット1枚ずつに担当を割り当て、点検や補修を続ける。
イレギュラーバウンドを防ぐため、ノックの合間にトンボをかける。
ヘルメットは昨春、各部員に合うように3つのサイズを買いそろえた。
それでも、事故は起きた。
横手監督(43)は、「亡くなった部員は野球が大好きだった。彼も、投手も、誰も悪くないのに……」と声を絞り出す。
地元の軟式野球出身者ばかりの野球部は、昨秋の九州大会で8強入りし、今春の選抜の21世紀枠の県推薦校に選ばれていた。
事故を受け、横手監督は辞退も考えた。
そのチームに、遺族が葬儀で語りかけた。
「前を向いてほしい。21世紀を辞退しないで、甲子園を目指して下さい」。
頭を下げる相手校の投手にも「野球を続けて下さい。夏の藤崎台(球場)で投げる姿を楽しみにしています。本人も同じ思いでしょう」。
参列者のすすり泣きが漏れた。
野球部は今春の選抜に初出場した。
ネット管理をまとめる3年の中本君(17)は、「大変だけど、練習に集中するためにも安全確認が大切」と話す。
事故後、スポーツ用品会社が、ヘルメットの両耳にあたる部分に着脱式の金属板を付けて首や後頭部を守る試作品を持参した。
まだ商品化の見通しはないが、横手監督は「事故をなくそうと動いてくれたことがありがたい」と話す。
日本高校野球連盟によると、死球による死亡は、記録が残る1974年以降で3件目。
事故の直後、熊本県高野連の工木(くぎ)理事長は日本高野連に伝えた。
「硬球を扱う以上、どの学校でも起き得る。不慮の事故で終わらせてはいけない」。
日本高野連は、製品の安全性を管理する協会に事故の調査と予防策の検討を要請。
協会は各ヘルメットメーカーと議論を始めた。
全国の野球部での頭部事故は年間2000件超。
打撃練習やノック時が目立つ。
日本高野連の竹中事務局長は、「防球ネットの点検やグラウンド整備などを徹底すれば防げる事故が、繰り返し起きている。指導者の知見を高める必要がある」と話す。
日本高野連は01年、打撃投手のヘッドギア着用を義務化した。
以来、打撃投手の死亡事故はない。
16年には、女子部員に甲子園大会前の甲子園での練習参加を認める一方で、ヘルメット着用を義務づけた。
昨年3月には、全国の高野連と野球部の指導者を大阪市に集め、事故防止のシンポジウムを初めて開催。
専門家が事故事例や安全対策を説明した。
防球ネットについては適切な補修方法や死角をなくす配置、事故が起きにくい新製品などを紹介。
練習中の野手の顔を覆うフェースガードの着用も勧めた。
その後、各地の高野連は安全対策に関する勉強会を開くなどしている。
【部活中の死亡事故、10年間で152件】
日本スポーツ振興センター(JSC)の学校事故データを、産業技術総合研究所(産総研)が分析。
部活動の事故は2014~16年度、年間平均で35万件あった。
小学校8000件、中学校18万7000件、高校15万6000件。
部員数の多いバスケットボール、サッカー、野球の順。
年間約1万2000件に上る頭のけがでは、野球、サッカー、バスケットボールの順になる。
部活動の死亡事故は、16年度までの10年間に152件。
交通事故が大半の登下校中に次いで多い。
亡くなった原因で最も多いのは、突然死を除くと、頭のけが25件。
柔道が突出し、ラグビー、野球と続く。
ただ、柔道は12年度の中学での武道必修化に伴い安全対策が強化され、近年は大幅に減っている。
【サッカー部の合宿中、ボールが頭に 練習を続け……】
東京都内の私立高校に通う男子生徒(17)は、中学2年だった16年3月、サッカー部の合宿中に頭に大けがを負った。
ゴールキーパーをしていて、コーチが蹴ったボールが右側頭部に当たった。
練習後、頭痛を感じたが、合宿を続けた。
深刻さに気づいたのは合宿後の練習試合。
頭痛がひどく、普段はしないようなミスで失点。
試合途中で交代して早退したが、痛くて家まで帰れない。
母親に助けを求め、自宅近くの大学病院に駆け込んだ。
CT検査で、強い衝撃によって頭蓋内の血管が破れ、血の塊ができる急性硬膜下血腫とわかった。
広がれば脳を圧迫して頭痛や嘔吐、けいれんなどが起き、短時間で意識障害や呼吸停止に至ることも。
空中でヘディングをして地面に頭を打つ例が多いが、角度や強さによっては、ボールが当たるだけでも起きるという。
2日後に血腫が縮小して退院したが、医師からは、体がぶつかるスポーツはやめるように告げられた。
頭に再び衝撃が加われば、深刻な事態になりかねないという。
学校は、合宿参加者から聞き取り調査を実施。
大けがにつながるとは、誰も思っていなかった。
コーチは強めにボールを蹴っており、「生徒の力を踏まえず、未熟だった」と述べた。
学校は生徒と両親に謝罪した。
顧問の教諭は取材に、「異変に気づけなかったことに忸怩たる思いがある」と話す。
生徒は、中学最後の夏の大会にマネジャーとして参加した。
今も、体育の柔道や体育祭の騎馬戦などを控える。
定期的な検査を受け、学校生活を送っている。
取材に、「レギュラー争いをしていて休みたくないと思い、練習を続けて悪化させてしまったかもしれない」と振り返り、自身の経験を予防に役立てて欲しいと話した。
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
【柔道はじめて1カ月、大外刈りで奪われた命】
柔道部の練習中に福岡市立中学1年の大場さん(女子、当時13歳)を亡くした父親(53)は、悔やみ続けている。
「こんなに柔道が危険だとは知らなかった」
2015年5月、大場さんは練習を終えて帰宅すると「練習で打って頭が痛い」と、夕食を残した。
翌日の朝、体調を聞くと「大丈夫」との返事。
「気分が悪かったら先生に言いなさい」と送り出した。
学校を休ませて病院に連れて行っていれば事故は避けられた、との思いは消えない。
この日の夕方、大場さんは中学の武道場で2年の女子部員の大外刈りで倒れ、頭を強く打って意識不明になった。
救急車で病院に運ばれ、手術を受けたが、意識は戻らなかった。
急性硬膜下血腫のため、5日後に亡くなった。
福岡市教育委員会が公表した有識者による調査報告書によると、事故は技を伝えてから投げる「約束練習」で起きた。
相手は大外刈りと伝えたうえで、スピードを緩めてかけた。
大場さんは運動は得意でなかったが、「警察官になりたい」と柔道部に入った。
柔道を始めて1カ月の大場さんに対し、相手は5年目。
身長は6.5cm、体重も12kg上回っていた。
武道場には顧問の教諭とボランティアの指導員2人の計3人がいたが、事故の瞬間は見ていなかった。
報告書は、「体格差や能力差を把握し、きめ細かな指導を行う必要がある」と指摘。
事故を防ぐため、受け身の練習を3、4カ月以上は行い、大外刈りなど危険性のある技で受け身の練習をしないよう求めた。
日本スポーツ振興センター(JSC)が重大事故に限定して公表しているデータを名古屋大学の内田良准教授が分析したところ、17年度までの35年間に、柔道の部活動や授業などで121人が死亡していた(突然死や熱中症なども含む)。
1年生が74人を占めた。
頭のけがで亡くなったのは121人のうち77人で、大外刈りが最も多かった。
近年は、中学の体育の武道必修化に伴い安全対策が強化されるなどして、重大事故は減っている。
それでも16年度、群馬と栃木の中学生2人が大外刈りで一時重体となった。
娘の事故の後に起きたことに衝撃を受けた大場さんは17年、小中学生に限って大外刈りを禁止すべきだとブログで訴えた。
事故の重さを伝えようと、娘の脳のX線写真も掲載。
昨年11月には、大外刈りの危険性を伝えたいとの思いを込め、柔道のルールを決めている全柔連を相手に損害賠償請求訴訟を起こした。
「二度と重大事故が起きないように、指導者の人たちに安全に対する気持ちを持ち続けてほしい」と願う。
【頭のけが「事後の対応が重要」】
頭のけがは、外見上、骨折や出血がなくても注意が必要だ。
運動中の頭部外傷に詳しい東京慈恵会医科大の大橋洋輝講師(脳神経外科)によると、中でも急性硬膜下血腫は、死亡や重い後遺症につながる頻度が最も高い。
頭痛などがあるのに無理してプレーを続けると、命に関わる危険がある。
脳への衝撃で一時的に意識や記憶を失うなどする脳振盪も、状態が万全でないまま競技を続ければ、二次的なけがで急性硬膜下血腫などにつながりかねない。
ほとんどの脳振盪は回復するが、頭痛やめまい、集中力低下といった症状が続くこともあるという。
これらはラグビー、アメフト、柔道など、選手がぶつかり合うスポーツのほか、野球やサッカーなどで幅広く起きている。
産総研の分析では、急性硬膜下血腫は多い年で160件、脳振盪は1800件ほど起きていた。
深刻なけがを防ぐには、種目ごとの対策はもちろん、体調不良時に運動させないことも必要だ。
大橋さんは、「競技によっては、頭のけがを完全に防ぐのは難しく、事後の対応が重要だ」という。
脳振盪の頻度が高いスポーツでの深刻なけがを防ごうと、日本臨床スポーツ医学会(脳神経外科部会)は「頭部外傷10か条の提言」をまとめ、脳振盪を簡易的に判断する方法を紹介している。
同会の「のじ脳神経外科・しびれクリニック」の野地雅人医師は、「頭を打った後に、頭痛、めまい、吐き気など普段と違う様子が見られたら脳振盪を疑い、指導者がプレーから離脱させ、専門医を受診させてほしい」と呼びかけている。
出典
『中高の事故、半数は部活で 柔道技や打球…頭をどう守る』
https://www.asahi.com/articles/ASM4S7RJ2M4SUUPI010.html
2017年4月29日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報修正4として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7045/
(2019年5月4日 修正4 ;追記)
2019年4月26日19時57分にNHK福岡からは、市教委は再発防止策に重点をおいた学校の安全点検に関する報告書をまとめたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大川市教育委員会の調査委員会は、学校の安全点検について報告書をまとめ、26日、公表した。
報告書では、事故の再発防止策に重点を置いていて、マニュアルに基づく学校施設の安全点検を日常的に行うことや、すべての教職員が安全点検の結果をともに把握するといった提言などを盛り込んでいる。
大川市では、事故が起きた1月13日を毎年、「学校安全の日」と定めていて、この日にあわせて市内の小中学校は一斉に安全な学校生活を学ぶ授業を行っている。
市教委の記伊教育長は、「報告書をまとめたから終わりではなく、今後も事故を風化させないような取り組みを続けていきたい」と話していた。
出典
『小学校ゴール事故報告書まとまる』
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20190426/0004268.html
(2019年11月14日 修正5 ;追記)
2019年11月13日19時45分に毎日新聞からは、遺族は市に損害賠償提訴したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
両親が13日、安全管理を怠ったなどとして、市に約4320万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁柳川支部に起こした。
訴状によると、相次ぐゴールの転倒事故を受け文部科学省が13年9月にゴールの固定や点検を徹底する文書を出したが、川口小では少なくとも16年11月から安全点検はしておらず、「重要な事故防止措置を著しく怠った」と主張。
また、市教委の事故調査委員会は委員11人のうち8人を市教委関係者が占めるなど、著しく公平性を欠き、精神的な苦痛を被ったとしている。
提訴後に記者会見した父親(40)は「息子の死を無駄にしないため、市は事故後の調査や検証、遺族との協議の仕方を真剣に考えてほしい」と訴えた。
市教委は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
県警は昨年12月、業務上過失致死容疑で当時の校長ら6人を書類送検している。
https://mainichi.jp/articles/20191113/k00/00m/040/066000c
(2022年6月26日 修正6 ;追記)
2022年6月24日20時39分に毎日新聞からは、市に対し損害賠償命令が出た、文科省から点検などの対策をとるよう通知が出ていたので事故の予見は容易だったと判断された、業務上過失致死に問われた校長ら6人は不起訴になっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
両親が市に約4320万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁久留米支部は24日、市に約3660万円の支払いを命じた。
判決は事故当時、ゴールポストは晴翔さんがぶら下がって地面から外れたのではなく、元々、固定されていなかったと認定。
ゴールポストの転倒による死亡事故が全国で起き、文部科学省が点検などの対策を取るよう通知していたことから、「校長は事故の発生を容易に予見できた」と判断した。
その上で、「固定しておけばゴールポストが転倒することはなかった」と、過失と死亡との因果関係を認めた。
加えて、校長以外の教員はゴールポストが危険との認識がなく、児童にも指導していなかったと指摘。
晴翔さんが体育の授業でのサッカーの試合中、味方がゴールを決めたことに喜んでゴールポストのロープにぶら下がっても「危険性を認識できたとはいえない」と、晴翔さんの過失を否定した。
一方、両親側は、市が事故後に設置した安全調査委員会の調査が不十分と主張していたが、判決は「報告内容として不十分であるとはいえない」などとして、両親側の訴えを退けた。
事故を巡っては、県警が当時の校長ら教員6人を業務上過失致死容疑で書類送検したが、福岡地検が不起訴処分としていた。
https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/287000c
6月24日13時0分にNHK福岡からは、事故調査委員会の構成などは事故発生後3週間の間、遺族に知らされなかったという、、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
また判決は、事故の原因の解明や再発防止などを目的に市が設置した安全調査委員会について、「事故の発生後3週間の間、調査委員会の設置に関して、その目的や構成が遺族に知らされず、少なくとも遺族が理解できる程度の十分な説明はなかった」と指摘しました。
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20220624/5010016190.html
6月24日19時30分にYAHOOニュース(九州朝日放送)からは、市は児童が揺らしたことも原因だとして過失相殺を求めていたが認められなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
市は過失があったことは認める一方で、男子児童がネットにぶら下がり前後に揺らしたと主張し、予見することは不可能だったと過失相殺を求めていました。
24日の判決で、福岡地裁久留米支部は「転倒の危険性について、指導を受けていない小4の児童が認識できたとはいえない」として、過失相殺を認めませんでした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/738510f735031a1affb711757a4c2c52ed18350e
6月24日10時53分に毎日新聞からは、裁判では市の責任の範囲などが争点となった、当時ゴールポストは4台あったが事故が起きた1台のみ固定していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
両親側の弁護士によると、裁判ではゴールポストの固定が不十分で、16年11月以降は安全点検も怠るなど、設置管理に瑕疵(かし)があったことは市側も認めた。
そのため、市の責任の範囲や賠償額などが争点となった。
両親側は、不起訴処分となった6人のうち校長と教員4人(安全点検担当、ゴールポスト点検担当、授業担当2人)には、民事上の安全配慮義務違反はあったと主張。
過去にも全国で同様の事故があり、文部科学省が事故防止策を講じるよう繰り返し通知していたことから、「基準に従って固定されていないゴールポストに児童がぶら下がれば、転倒して死亡するという重大事故が発生すると予見可能だった」などと訴えた。
加えて、事故後に市が設置した安全調査委も、川口小に当時あったゴールポスト4台のうち3台は土台がくいで固定されていたのに、事故が起きた1台のみしていなかった理由などを調べていないと指摘。
「事故原因の究明を怠り、調査報告義務に反する」とした。
https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/014000c
2019年4月26日10時33分にNHK群馬から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おととし、群馬県藤岡市の高校のグラウンドで、陸上部の生徒が投げたハンマー投げのハンマーが別の生徒にあたって死亡した事故を受けて、県教委は、陸上や野球など34の競技ごとに部活動の具体的な安全対策をまとめたガイドラインを作成した。
このガイドラインは、部活動中の事故の再発を防ごうと、県教委が初めて作成したもので、陸上や野球など34の競技ごとに、部活動の具体的な安全対策がまとめられている。
このうち、ハンマー投げなど陸上の投てき種目の部活動は、ほかの競技の部活動とグラウンドを共有することが多く、練習する時間や内容をほかの部と事前に確認し合ったり、コーンなどで危険な場所を明示して、立ち入りを禁止したりすることが必要だとしている。
ガイドラインでは、それぞれの競技で実際にあった「ヒヤリハット」の事例も紹介されていて、県教委は県内の中学校と高校にすでにメールで送ったほか、来月には冊子にしたものを配布する予定だ。
県教委健康体育課の杵渕指導主事は、「さまざまなケースに応じた対策をまとめたので、これを参考に安全管理体制を再確認して事故を防いでほしい」と話している。
出典
『ハンマー投げ事故で部活安全指針』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20190426/1060004374.html
4月20日付で上毛新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
藤岡中央高で2017年12月、陸上競技のハンマー投げのハンマーが当たったサッカー部の男子生徒が死亡した事故を受け、群馬県教委は、部活動中の重大事故を防ぐための安全対策ガイドラインを作成した。
中学、高校の部活動で実施されている34の競技種目別に、特性を踏まえた具体的な安全対策を提示。
事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」も共有し、顧問らの危機管理意識を高める。
有識者でつくる検証委員会が昨年8月、再発防止策を盛り込んだ報告書で競技別のガイドラインを作るよう提言していた。
県立学校や市町村教委に提供し、各校での活用を促す。
過去のヒヤリ・ハット事例と事故事例も掲載した。
「スパイクの練習中、ネットの下に転がってきたボールを着地時に踏んで転倒し、床に頭部をぶつけそうになった」(バレーボール)、「打撃練習の打球が外野フェンスを越えて他の部活動の生徒に当たりそうになった」(野球)など、事例を通して危険な行為や状況をイメージしやすくした。
出典
『種目別に例示 部活事故防止へ指針 ハンマー投げ死亡受け県教委』
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/126365
(ブログ者コメント)
藤岡市の事例は本ブログでも紹介スミ。
2019年4月18日20時14分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
愛知県立高校で2014年、陸上部のハンマー投げの練習中に、ハンマーのワイヤが破断して金属球が女子部員に当たる事故があった。
防護ネットを適切な場所に置いていなかったことなどが事故原因だとして、元部員の女性が県に損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、名古屋地裁であった。
唐木裁判長は、「(対策をしていれば)選手の将来に影を落とすような事故は発生しなかった。県の責任は大きい」と練習場の欠陥などを認め、県に約180万円の賠償を命じた。
判決によると、女性は全国レベルの選手だった。
3年生だった14年12月、防護ネットの外側でハンマー投げの順番待ちをしていたところ、転がってきた金属球がすねに当たり、骨折などのけがをした。
唐木裁判長は、防護ネットが適切に設置されていなかったとし、顧問は配置を変更するなどの義務を怠ったと判断。
また、県は事故防止の手引書などを作っておらず、この高校ではサッカーゴール枠に網をかけるなどして防護ネットにしていたとした。
県は、「当方の主張が一部認められず、遺憾です。判決文を精査し、今後の対応を検討したい」とした。
出典
『ハンマー投げの球でけが、県に賠償命令 有力選手が骨折』
https://www.asahi.com/articles/ASM4L56RHM4LOIPE01Q.html
2019年4月6日付で毎日新聞大阪版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
体育の授業で前屈運動をした際、指導教諭に体を強く押されて腰に重傷を負ったとして、奈良県立郡山高校(同県大和郡山市)の元生徒の男性(18)が5日、県を相手取り、治療費など約663万円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴した。
訴状によると、昨年4月25日、柔軟体操で前屈した際、教諭が頭が膝に付くまで両肩を強く押し続けた。
激痛が治まらず、男性は1カ月後に病院で腰の椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断された。
7月に手術を受けたが現在も通院中で、長時間座るのが困難という。
記者会見した男性は、「教諭の行為で僕の人生は一瞬にして狂ってしまった。元の体を返して」と話した。
県教委の担当者は、「体育の授業中にけがをしたことは把握している。訴訟については訴状が届いていないのでコメントできない」と話している。
出典
『提訴 前屈で重傷、元生徒が県に損賠求め 奈良の高校』
https://mainichi.jp/articles/20190406/ddn/041/040/036000c
4月5日19時0分に奈良テレビからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
去年4月、県立郡山高校の体育の授業で当時高校3年の男子生徒が柔軟体操をしていたところ、男性教諭に身体を強く前へ押された結果、重度の椎間板ヘルニアになったなどとして、当時生徒だった男性らが県におよそ660万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
「教諭本人は家に一度も来ず、正式な謝罪はいまだありません、これから先が不安でしかたありません、僕の人生を台無しにした体育教師を許せません、元の体を返してください」
訴えを起こしたのは18歳の男性とその保護者だ。
訴状によると、男性は県立郡山高校3年だった去年4月、柔軟体操の「前屈」をしていたところ、後ろから来た男性教諭に「痛い」と言ったにも関わらず、強く身体を押された。
男性は足および腰の強い痛みにより、去年7月から休学せざるを得なくなり、国公立大学を志望していたにも関わらず、センター試験、2次試験を受験できなかったという。
出典
『県立高校卒の男性 柔軟体操でヘルニア発症』
http://www.naratv.co.jp/news/20190405/20190405-05.html
2019年3月27日2時16分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日高管内日高町で、当時日高高2年の男子生徒(17)が町営プールに飛び込み重傷を負った事故で、大鷹町長は26日、町の施設と管理体制に問題があったとして、生徒に損害賠償金約1億1000万円を支払う和解案がまとまったと町議会に報告した。
事故は2017年7月、同級生ら6人で町営プールを訪れた生徒がプールに飛び込み、底に頭を打って頸髄(けいずい)を損傷し、四肢まひなどの後遺症が残った。
町の飛び込み禁止の周知が不十分だったことや、飛び込み台のあるプールとしては水深が浅い87cmだったこと、生徒が2度飛び込んだ点などを考慮し、過失の割合を町6割、生徒4割とした。
26日に和解案を町議会が可決。
健常者の平均賃金を基に算定した逸失利益9500万円や将来の介護費5500万円など約1億9千万円のうち、町は6割の約1億1000万円を4月中旬をめどに支払う。
出典
『日高プール事故 男子生徒と和解 町、1億円支払いへ』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/290177/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。