2017年6月21日11時54分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
スポーツの事故で重大な障害を負った少年の暮らしは壮絶だった。
2014年3月、沖縄県豊見城(とみぐすく)市にある町道場の柔道教室での練習中に急性硬膜下血腫となった男子の母親は、「指導者には、子どもを守る知識を備える責任がある」と、再発防止を訴える。
大阪府岸和田市に住む中学1年のH君(13)は、車いす生活で特別支援学校に通う。
脳を損傷し、左手が動かず、左目の視野が極めて狭い。
リハビリを通じ、会話はできるようになったが、歩行は短い距離に限られ、食事も介助が必要だ。
2年前からてんかんの発作が頻発。
倒れると自力で起き上がれず、母親(32)は目が離せない。
母親は事故後、H君の将来のことで意見が食い違った夫と離婚して岸和田市の実家に戻り、両親の助けを得ながら、H君と長女(6)、次男(4)を育てる。
「息子は、生きてはいるけど、あったはずのものがすべてなくなった。半分、殺されたと思っています」。
世話に追われ、次男が歩けるようになったことを、しばらく知らなかった。
事故は、1分間交互に相手を投げ続ける稽古で起こった。
小学3年のH君が組んだのは、5年生の男子。
体重差は大きくなかったが、柔道を始めて半年だったH君とは、経験、実力とも差があった。
母親が道場長から受けた説明によると、1本目の稽古が終わり、H君が泣いた。
「頭を打ったのか」と指導者が聞くと、H君が「痛い」とうなずいたものの、相手の道着をつかんで練習を続ける意思を示したために再開。
2本目、投げられた後に自分が投げる番になると、ふらふらと歩き出し、倒れた。
H君が受けた技は、大外刈り。
過去の事故事例が多いことから、全日本柔道連盟が、受け身の能力などを慎重に見極めて受けさせるよう、指導者に注意を促している技だった。
母親は病院の医師から、H君の頭には打撲の痕がなかったと聞いた。
「頭を打ったのではなく、強く揺さぶられたことで静脈が破れる加速損傷が起きて急性硬膜下血腫を発症し、さらに再び衝撃を受けて悪化したのだろう」と説明された。
道場長は朝日新聞の取材に、「(H君は)大外刈りの受け身はしっかりできていたが、実力差のある組み合わせにしたことを反省している。事故後は、学年と柔道歴を考慮して、慎重に組ませている。全柔連の指導者講習会に出るようにしている」と話した。
鏡に映る自らの姿を見て、H君が涙を流していたことがあった。
母親が思わず「一緒に死のうか」と言ったこともある。
柔道では、H君の事故後の15、16年にも、全国の中高の部活動中の事故で計3人が亡くなり、計3人が意識不明になっている。
母親は言う。「このままでは、何のためにこの子がけがをしたのか、わからない。末端の指導者が知識を持ち、教訓として生かしてもらいたい」
柔道の重大事故は頭部外傷が多い。
2003~15年に全柔連に報告された頭部の重大事故は44件。そのうち、19件が死亡している。
全柔連が分析した頭部重大事故の特徴は以下の4点。
①受け身が未熟な初心者に多い
②組んだ相手との体力差、体格差が大きい場合に発生しやすい
③回転で頭が揺さぶられて脳損傷が起きる
④事故の前に頭痛を訴えている事例がある
H君の事故は、このすべてが当てはまる。
全柔連は近年、ホームページや冊子で事故の特徴の周知を図り、「初心者の時期の指導を安全に行うことで重大事故をゼロにできる」と訴えている。
また、受傷時にかけられた技をみると、03~14年の頭部外傷の重大事故で技が判明している29件のうち、大外刈りが15件で最も多かった。
全柔連は、「初心者に大外刈りをかけて投げるのは極めて危険」と、大外刈りを受ける力量があるか、受け身の習熟についての慎重な見極めも求めている。
重大事故総合対策委員会の野瀬委員長は、「事故にあわれた方やご家族にとって『事故は終わっていない』という感を強くしている。今の目的は一つ。重大事故をゼロにして、安全、安心な柔道を確立すること。現場の指導者の中には冊子を読まない人も多いようなので、さらにわかりやすい冊子が作れるかを検討中」と話す。
全柔連には、今年4月にも、経験者の高校1年男子が後頭部を打ち、急性硬膜下血腫で緊急手術をしたという報告が入っている。
出典
『大外刈りで脳損傷、車いすの中1 母「一緒に死のうか」』
http://www.asahi.com/articles/ASK6D41T8K6DUTQP00J.html
2017年6月15日12時1分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
オリンピックなどを目指す選手の強化拠点になっている東京・北区の「ナショナルトレーニングセンター」で、バレーボール男子の19歳の選手が練習中に剥がれた床板が足に突き刺さって、全治1か月の大けがをしたことがわかった。
施設を管理するJSC=日本スポーツ振興センターによると、6月10日、ナショナルトレーニングセンターでバレーボール男子の21歳以下の日本代表の強化合宿中に、19歳の選手が滑り込んでレシーブをした際に木の床板が長さおよそ26cm幅およそ2cmにわたって剥がれ、右ひざ付近に突き刺さったという。
この選手は、およそ30針を縫う全治1か月の大けがをした。
JSCによると、このコートは、バレーボールのほか、バスケットボールやバドミントンなど、それぞれの競技で、メインのコートが使えないときに利用されているという。
毎日、練習をした選手がモップをかけたり業者が清掃をしたりしていたが、異常の報告はなく、JSCでは詳しい事故の原因を調べている。
スポーツ庁によると、国内の体育館で床板が剥がれて重傷を負った事故は、おととしまでの10年間で7件起こっていて、5月末から6月初めにかけて、JSCなど各スポーツ関係団体に定期点検などを求める通知を出していたという。
JSCの担当者は、「大変残念なことで、再発防止のために取り組んでいきたい」としている。
出典
『五輪強化拠点床はがれ選手大けが』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170615/4278071.html
6月15日8時35分に読売新聞からは、下記趣旨の記事が事故時のイメージ図付きでネット配信されていた。
剥がれた床板が太ももに刺さる大けがを負っていたことが14日、明らかになった。
スポーツ庁などが先月末に同様の事故防止を関係者へ通知したばかりで、五輪選手の強化拠点での事故発生は、関係者の危機管理の甘さが問われそうだ。
出典
『バレー合宿、剥がれた床板がももに刺さり大けが』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170615-OYT1T50018.html
(ブログ者コメント)
本件、6月5日に本ブログで消費者事故調の調査結果を紹介したばかりだ。
モップがけする選手や清掃業者に、剥がれそうな場所がないかよく見ておくことなど、注意事項を説明していたのだろうか?
『2017年5月30日報道 体育館でプレー中に滑り込んだ際、床板の一部が剥がれ突き刺さる事故は本来は禁止されている水拭きやワックス掛けをしていたことが原因だと消費者事故調が発表』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7186/
2017年4月1日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6949/
(2017年6月10日 修正2 ;追記)
2017年6月2日19時39分にNHK石川から、施設設置の翌年に設けられた安全基準を市の担当者が把握していなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6月2日12時57分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
金沢市はその後、事故の原因を調べていたが、飛び込みの練習施設の底に厚さ30cmから50cmのマットを敷くという、日本水泳連盟が「公認プール施設要領」で定めている安全基準を満たしていなかったことが分かった。
金沢市によると、「金沢プール」を設計した平成25年には、この基準はまだなく、翌26年4月、日本水泳連盟が「練習場にはスポンジを敷き詰め、底に厚さ30~50cmのマットを敷く」と定めた基準を設けたが、金沢市の担当者は、このことを把握していなかったという。
女子生徒はすでに退院しているが、現在も治療を続けているということで、金沢市では、今後、けがをした女子生徒への補償を進めたいとしている。
また、市は事故後、使用を中止している飛び込みの練習施設について、6月中にマットを設置し、なるべく早く使用できるようにしたいとしている。
出典
『金沢プール事故安全基準満たさず』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3023937721.html
『金沢の飛び込み練習場、水連規定満たさず 3月に女子中学生が骨折』
http://www.sankei.com/west/news/170602/wst1706020049-n1.html
(ブログ者コメント)
日本水泳連盟からのお知らせを、平成26年4月から8月分までチェックしたが、新基準に関するお知らせは見つからなかった。
http://www.swim.or.jp/info/index.php?pageID=44
もし、あったとしても、市の担当者がそういったHPを常時チェックしているとは限らない。
今回、新基準制定を把握していなかったとされる市の担当者だが、組織として新基準制定を把握するには、誰が何をどうすればよかったのだろうか?
これが産業界であれば、業界団体や監督官庁からの連絡、業界紙購読や講習会への参加など、情報を得る機会はいくつかあるのだが・・・。
2017年5月6日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第4報修正5として掲載します。
第3報(2/2)は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7074/
(2017年6月9日 修正5 ;追記)
2017年6月1日付で毎日新聞東京版から、足元の雪面に亀裂が見えてそこから流されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大田原高関係者によると、1班の複数の生徒は「前に(雪面の)亀裂が見えて、そこから流された」「足元あたりから崩れた」などと証言しているという。
雪崩の専門家であるアルプス雪崩研究所の若林隆三所長は、「樹木の少ない急斜面で、たくさんの人が衝撃を与えれば雪崩が起きる可能性は十分にある。衝撃が伝わり、ガラスのひび割れのように雪面にひびが入ったのではないか」と説明している。
密集した状態でラッセル訓練を実施したことで、降り固まった古い雪の上の新雪が崩れる「表層雪崩」を誘発した可能性がある。
出典
『栃木・那須の雪崩 「足元の雪面に亀裂」 生徒証言 訓練強行で誘発か』
https://mainichi.jp/articles/20170601/ddm/041/040/122000c
6月3日20時53分に毎日新聞からは、7年前の事故時に対応さえしっかりしていれば・・・といった趣旨の記事がネット配信されていた。
第2回検証委員会が3日、宇都宮市内で開かれた。
7年前にも同時期に実施した講習会で高校生が雪崩に巻き込まれた後、引率教諭らが周辺での講習会を今後実施しないことを県高体連登山専門部内で決めながら、事故の事実を含めて県教委や県高体連に報告していなかったことを明らかにした。
「どこの記録にも残っていない」という。
7年前の事故では、長さ100~200m程度の雪崩が発生。
座って休憩していた生徒が腰まで埋もれて流されたという。
ある遺族は「報告があれば事故は防げたのではないか」と話している。
また、講習会での雪上訓練が雪崩を誘発した可能性について、雪崩研究の専門家の委員が「(訓練の)刺激は400m程度なら広がる。それがつながり、支えきれなくなって上から雪崩が起きた可能性はある」との見方を示した。
出典
『栃木雪崩 7年前の事故「記録なく」 検証委』
https://mainichi.jp/articles/20170604/k00/00m/040/076000c
(2017年9月18日 修正6 ;追記)
2017年9月17日7時35分に産経新聞からは、2人の教員がアンケートの「教員や生徒に反対や不安の声があったか」という設問に「あった」と答えたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
講習に参加した一部の教員が、当日の訓練実施について「教員や生徒に反対や不安の声があった」と遺族に伝えていたことが、16日、学校関係者への取材で分かった。
関係者によると、遺族の一部が講習に参加した教員を対象に独自のアンケートを実施。
13人が回答し、うち2人が「教員や生徒に反対や不安の声があったか」との設問に「あった」と答えた。
いずれも講習の責任者ではなく、若手教員という。
講習を主催した県高等学校体育連盟登山専門部の猪瀬委員長(当時)は、事故後の記者会見で、訓練実施の判断について、「教員や生徒から危険という意見はなかった」と説明。
県教委が設けた第三者による検証委員会が6月に公表した1次報告書も、参加した教員や生徒の見方には触れておらず、遺族は再調査を求めている。
出典
『那須雪崩、訓練実施に「教員や生徒に反対や不安の声があった」』
http://www.sankei.com/affairs/news/170917/afr1709170007-n1.html
『那須雪崩の当日「反対や不安」 訓練参加教員に遺族が調査』
https://this.kiji.is/281708505009947745?c=39546741839462401
2017年5月30日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全国の体育館で、本来避けるべき水拭きやワックス掛けによる清掃が一般的に行われ、事故の原因になっているとの報告書を、消費者安全調査委員会(消費者事故調)が29日、まとめた。
水拭きなどの水分で木製の床板が変形、木片が剥離して利用者の体に刺さる事故が起きていることから、事故調は文部科学省に対し、各施設に適切な管理方法を改めて周知するよう求めた。
事故調がこれまでに把握した重大な事故は7件。
バレーボールやフットサルをしていた利用者が床に滑り込んだ際、はがれた床板が体に刺さって大けがをした。
長さ30~40cmの木片が肺や胃を貫通する例もあった。
完成から2年の、新しい施設でも起きていた。
事故があった体育館を調べたところ、
▽水拭きやワックス掛けを行っている
▽雨漏りがある
▽湿気がこもりやすい
など、水の影響が確認された。
木は水分を吸収すると膨張し、乾くと収縮する。
この繰り返しにより、床板が反ったり割れたりし、はがれやすくなったと考えられる。
長期使用による老朽化が原因とみられるケースもあった。
木製板の体育館の水拭きやワックス掛けは、日本体育施設協会がガイドラインで禁止している。
一方、事故調が全国の学校と、学校外の公共体育館計2800施設(有効回答数2242施設)を対象にアンケートをしたところ、学校では半数近い46%、公共体育館の42%がワックス掛けをしていた。
定期点検を行っていない学校も20%、公共体育館は49%あった。
【体育館の床板による主な負傷事故】
2006年8月 岐阜市の県立高体育館
バレー部のレシーブ練習中、男子生徒の胸に刺さり、10日間入院
2011年7月 相模原市の中学校体育館
バレー部のレシーブ練習中、女子生徒の胸に刺さり、7日間入院
2013年 東京都内の中学校体育館
レシーブ練習中に生徒の腹部に刺さり、胃や腸を貫通し、27日間入院。手術後に腸閉塞(へいそく)発症
2013年5月 大阪市内の体育館
レシーブ練習中、社会人の男性の腹部に刺さり、4日間入院
2014年4月 宮崎県都城市の体育館
バレーの大会でレシーブをした高3の男子生徒の腹部に刺さり、12日間入院
2015年4月 富山県射水市の大学の体育館
フットサルの練習中、男子学生の背中に刺さり肺を貫通し、24日間入院
※事故調の報告書や過去の報道に基づき作成
出典
『体育館 床はがれ事故 水拭きやワックスがけダメ 内臓貫通も』
https://mainichi.jp/articles/20170530/ddm/012/040/081000c
5月29日20時22分に朝日新聞からも同趣旨の記事が、不具合の生じた床板の写真3枚付きでネット配信されていた。
学校や公共体育館を対象に16年に実施したアンケートでは、学校と公共の体育館それぞれ5%で日常的に水拭きをしていたという。
出典
『体育館、水拭きはしないで はがれた床材が刺さる事故も』
http://www.asahi.com/articles/ASK5Y4HN7K5YUTIL01N.html
(ブログ者コメント)
〇消費者事故調が調査を開始するという記事、ならびに毎日新聞に掲載された最近の事例のうち東京都以外の事例は、本ブログでも過去に紹介している。
〇この問題については、これで一段落した感があるので、今後は特段のものでないかぎり、掲載を割愛する。
2017年1月4日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6627/
(2017年5月30日 修正2 ;追記)
2017年5月23日23時34分に朝日新聞から、下記趣旨の続報記事がネット配信されていた。
サッカーの試合中、接触プレーで足を骨折した選手が裁判を起こした。
一審は、けがをさせた相手に250万円の支払いを命じ、現在は控訴審で係争中。
選手間で「公にけんかせず」に沿ってきたサッカー界に一石を投じている。
発端は、趣味でプレーする人が多いサッカーの東京都社会人4部リーグ。
一審判決などによると、男性が球を蹴ろうとした左足に、相手選手のスパイクシューズの裏が接触した。
ファウルにならなかったが、男性はすねを骨折し、手術などで計約1カ月間入院。
2015年5月、相手選手らに約690万円の損害賠償を求めて提訴した。
昨年12月の東京地裁判決は、故意とは認められないとする一方、「走り込んで来た勢いを維持しながら、ひざの辺りの高さまで足の裏を突き出しており、何らかの傷害を負わせることは予見できた」と指摘。
「退場処分が科されることも考えられる行為だった」として、相手選手に慰謝料や治療費など約250万円の支払いを命じた。
相手選手側は不服として控訴。
東京高裁の控訴審では、支払いに応じられないとする相手選手側と、請求した賠償金全額を求めるけがをした男性側の主張が対立した。
その裁判を日本サッカー協会の関係者が傍聴するなど、サッカー界の関心は高い。
【「提訴してはならない」規則に定め】
協会の基本規則には、例外を除き、加盟する団体やチーム、選手に対して「サッカーに関連した紛争を通常の裁判所に提訴してはならない」と、国際サッカー連盟に準じて定められている。
提訴した男性が所属する東京都社会人4部はアマチュアリーグだが、協会への選手登録が必要。
規定に沿えばルール違反といえる事例で、賠償金の支払いを命じられたことは周囲を驚かせた。
協会は今回の事例について、「係争中のため、コメントは差し控えたい」(広報)としているが、ある幹部は、「Jリーグでこれをやり出したら、プロの試合として成り立たなくなってしまうのではないか」と懸念する。
Jリーグによると、けがをした選手が相手選手に対して裁判を起こしたケースは聞いたことがないという。
都社会人3部リーグでプレーする30代の男性選手は、判決をニュースで知り「衝撃だった」。
チーム内でも話題となったという。
「自分たちも相手にけがをさせたらこうなる可能性があるのか、と少し心配になった」と話す。
【規定、競技によってまちまち】
試合中に選手同士の接触で発生したけがに関する規定は、競技団体でまちまちだ。
日本バスケットボール協会は、サッカーと同様に裁判所への提訴を禁じているが、接触プレーが多い日本ラグビーフットボール協会にはない。
同協会広報は、「専門の委員会もあり、協会内で収束できるようにする、という考えがある。裁判までのケースを想定していない」としている。
関東医歯薬大学ラグビーリーグで、ジャージーをつかまれて引き倒された選手が地面に頭を打ち、脊髄損傷で重い後遺症を負った事例では、東京地裁は14年12月、「通常生じうる範囲を超える危険までは引き受けていない」と指摘。
相手選手に約9700万円の支払いを命じている。
プロ、アマを問わず、激しい動きを伴うスポーツでは、接触プレーでけがを負うことも珍しくない。
スポーツ事故などに詳しい望月浩一郎弁護士は、「避けられない身体接触による負傷については、相互に法的責任を負わないという合意がある」と語る。
その前提で、「かみつきなど、ルール上許されない行為で法的責任を負うのは当然。今回のサッカーの訴訟の場合、一審判決は退場処分に相当する行為だったと認定した以上、賠償責任を認めたのは妥当な判断だ」と話している。
スポーツを巡る訴訟に詳しい片岡理恵子弁護士は、「中学生や高校生からプロ選手など、年齢やレベルを巡って許される行為の範囲は違い、判決にもぶれがある。これまでの判例を見ると、重いけがの場合は考慮される傾向にあるのではないか」とみている。
出典
『サッカーでけが、賠償命令の波紋 協会は「提訴禁止」』
http://www.asahi.com/articles/ASK5K1V7HK5KUTQP001.html
2017年5月5日8時39分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月4日2時42分に日テレNEWS24からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午後3時40分頃、那覇市の沖縄県立高校のグラウンドで、陸上部の部活動で槍投げの練習をしていた2年生の男子部員(16)の投げた槍(長さ約2m)が、前方にいた同部1年の女子生徒(15)の左太腿に刺さった。
ケガの程度は軽く、病院で治療後に帰宅した。
警察が原因を調べている。
発表によると、槍は女子生徒の左太腿の内側を貫通していた。
男子生徒は、女子生徒から約20m離れた場所で練習をしていたという。
出典
『やり投げ練習中、高1女子を直撃…太もも貫通』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170505-OYT1T50003.html
『陸上部のやり、女子部員の足を貫通 沖縄』
http://www.news24.jp/articles/2017/05/04/07360581.html
(ブログ者コメント)
槍投げ練習中の事故は過去にも起きている。
2014年8月2日掲載
[昔の事例] 2014年5月7日 兵庫県尼崎市の高校のグラウンドで陸上部員の投げた槍がサッカー部員の脚に当たり数針縫うけが
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4149/
2012年7月22日掲載
2012年7月16日 福山市の大学で陸上部員の投げた槍が着地予定地そばを通っていた女子高生のこめかみに刺さり重傷 (修正2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2061/
(2017年7月23日 修正1 ;差し替え)
2017年6月5日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の詳しい記事が図解付きでネット配信されていたので、先に紹介していた5月2日の朝日新聞記事と差し替えた。
体育の水泳の授業で、学校のプールに飛び込んだ児童・生徒が首の骨を折るなどの事故が近年相次いでいる。
プール開きを前にスポーツ庁は、4月、全国の小中学校と高校に再発防止の徹底を求める通知を出した。
小中学校の学習指導要領は、授業中の飛び込みを認めていない。
事故を受け、高校でも全面禁止にする動きが広がっているが、禁止に懐疑的な意見もあり、都道府県教委の対応はばらついている。
スポーツ庁の通知は4月28日に出された。
例年、設備の点検など事故防止策の徹底や、指導上の注意などを通知で周知している。
しかし、今年度は「スタートの指導での留意点」と題した別紙で、初心者と熟練者にそれぞれ見られる危険な飛び込みの例をイラストで示し、「あごを引きすぎる」「腰が大きく曲がる」などと原因を詳しく説明した。
【11年間で36件発生】
日本スポーツ振興センターによると、2005~15年度に小中高の授業や部活などでプールに飛び込み、障害が残るけがをした事故は、少なくとも36件ある。
今回、スポーツ庁が改めて通知で注意を呼びかけたのは、昨年度、通常と異なる指導が原因の事故が相次いだためだ。
昨年7月、鳥取県湯梨浜町の町立小学校で、6年の女子児童が地域の水泳大会に向けて放課後の課外授業で練習中、プールの底で頭を打ち、頸椎捻挫の重傷を負った。
スタートの練習で、水面に浮かべたフラフープを目がけて飛び込んだという。
【小中、授業では禁止】
小中学校の学習指導要領は、水中からのスタートを指導するよう明記し、飛び込みを認めていない。
部活動や課外授業は指導要領の適用外だが、今回の通知では、高校の授業と同じように、個人の能力に応じて段階的に指導するよう求めた。
東京都江東区の都立高校でも昨年7月、3年の男子生徒がプールの底に頭をぶつけて首の骨を折った。
水泳の授業中、保健体育の教諭が、プールサイドから約1mの高さに掲げたデッキブラシの柄を越えて飛び込むよう指示し、生徒は従った。
施設の不備が原因となったケースもある。
12年8月、奈良県橿原市の県立高校で、水泳部の練習に参加した卒業生の女性が、水深1.06mのプールに37cmの高さがあるプールの端から飛び込み、頭を打って頸髄を損傷し、重度の障害が残った。
日本水泳連盟のガイドラインは、安全なスタートとして、水深が1~1.1mの場合は、スタート台の高さを20~30cmにするよう求めている。
女性は、重い障害が残ったとして県に損害賠償を求めて提訴し昨年10月、大阪高裁で、県が女性に1億円を支払うことで和解が成立した。
【対応割れる高校】
事故があった都道府県では、再発防止のため、飛び込みを原則禁止する通知を出している。
小学校で事故が起きた鳥取県教委は、今年5月に、公立小の授業での飛び込みを禁止した。
高校で起きた奈良県、東京都、長野県の教育委員会も、高校の授業での飛び込みを原則禁止とした。
一方で、事故を受けて禁止したものの、解除した例もある。
福島県教委は08年6月、会津美里町の県立高校で1年の男子生徒が死亡した事故を受け、同年7月に県立高での飛び込みを全面禁止した。
その後、プールのある70校のうち、日本水泳連盟のガイドラインに適合していない58校のスタート台を撤去し、10年度に飛び込みを再び認めたが、事故の報告はないという。
スポーツ庁は、「段階的な指導」をするよう求めている高校について、実際にどのように指導をしているのか、近く全国調査をする。
水深やスタート台の高さなどの設備面も含めた調査結果を基に、規制の是非を判断する。
「全面禁止 もやしっ子生む」 「質の高い教員確保が優先」
飛び込み禁止を巡っては、さまざまな意見がある。
今年3月には、1988年ソウル五輪競泳男子100m背泳ぎ金メダリストの鈴木大地・スポーツ庁長官が東京新聞のインタビューで、高校での全面禁止に疑問を呈し、物議を醸した。
鈴木長官はインタビューの中で、相次ぐ事故について「水深が浅く、プールの構造上の問題があった。飛び込みを思い切りできる環境や指導者の資質整備が大事」と指摘した。
その上で、高校でも禁止が広がる現状について「なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子を育てあげていくのはどうかなと思う」と述べた。
これに対し、ツイッターなどで「現実的に安全に飛び込みができる環境にない」「飛び込みができることと、もやしっ子は関係ない」などの意見が投稿された。
水泳競技の普及を目指す日本水泳連盟の立場も複雑だ。
石井事務局長は、「鈴木長官の発言もあり、何か行動に移さなければいけないのは分かっている。まずは指導者のレベルを把握することから始めたい」としている。
校内での事故のリスクに詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「質の高い教員のもとで正しく飛び込めば事故は起きないが、そうした教員や生徒が全員ではない以上、事故は起きてしまう。水深が十分に確保されたプールを除き、暫定的に全面禁止すべきだ」と警鐘を鳴らしている。
【プールでの主な飛び込み事故】
出典
『教育の窓 プールの事故防げるか 飛び込み指導、スポーツ庁通知』
https://mainichi.jp/articles/20170605/ddm/013/100/062000c
(ブログ者コメント)
学校プールにおける飛び込み時の事故は、本ブログでも過去に何件か紹介済。
2017年4月13日に掲載した第2報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6991/
(2017年5月6日 修正3 ;追記)
2017年4月27日17時0分にNHK栃木から、7年前の崩落後も訓練内容が見直されることはなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7年前の登山訓練の講習会で生徒を引率していた教員が、当時の状況を初めて証言した。
その時の状況について、この教員は、「無線を通じて『雪崩があった』と連絡があり、緊迫した状況になった。けが人はいなかったが、10人ほどの生徒が巻き込まれ、顔まで雪に埋まった生徒がいたり、ピッケルなどの装備が流されたりした」と話した。
また、その後の対応について、「教員どうしで集まって、雪崩があったという報告と、注意喚起が行われた。参加した生徒たちにも、雪崩に気をつけようと改めて注意した」と話した。
しかし、事故の報告は県の教育委員会には行われず、翌年以降の講習会の内容や開催場所は、特に見直されなかった。
男性は、「県の教育委員会への報告は、責任者の教員が行ったと思っていた」と述べた。
県が設置した事故の検証委員会は、過去の事故の教訓が生かされていないとみて、報告や引き継ぎが十分だったのか調べることにしている。
出典
『登山講習7年前の雪崩後変更せず』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096070291.html
2017年4月27日17時0分にNHK栃木からは、事故時の詳細な経緯について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月27日付で毎日新聞東京版朝刊からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
雪崩事故が起きるまで、どのような経緯があったのか、県による教員への聞き取り調査や生徒などへの独自の取材で、詳細が明らかになった。
3月27日は、午前中に茶臼岳への登山を行う予定だった。
しかし、当日の朝5時ごろ教員らが起床した際、15cmほどの積雪を確認。
午前6時から6時半の間に、登山経験が豊富な3人の教員が話し合って登山を中止し、かわりに雪をかき分けて進むラッセル訓練を行うことを決めた。
教員の1人は、安全と判断した根拠として、「風が弱く、15cmほどの積雪で、樹林帯の尾根なら雪崩の危険はないと思った」と話している。
そして、午前7時半に集合し、訓練の実施を決めた教員3人が、ほかの教員に、ラッセル訓練への変更や雪崩の危険箇所などを説明した。
訓練を周知された時の状況について、複数の生徒や教員はNHKの取材に対し、「朝の段階で積雪もかなりあり、本当にやるのかという声もあがっていた」と証言している。
そして、午前8時前には、5つの班に分かれて訓練が始まった。
この際、教員は生徒たちに、雪崩の危険箇所には近づかないよう説明したという。
先頭の1班は、大田原高校の生徒12人と教員2人の、あわせて14人で、ゲレンデのふもとから尾根の方向に登り始めた。
2班以降も、続々と出発した。
1班は、後続の班と徐々に距離を離し、30分ほどで尾根に到達し、一度休憩をとった。
その際、引率教員の1人は、雪崩の危険性を調べるため、生徒らに雪を掘らせて、雪の層にゆるみがないか状態を確認させたと、県の調査に対して答えている。
その後、1班は樹林帯を抜け、樹木がまばらなところに到達する。
教員の1人は、「視界は、前方からふもとまでよく見えた。風もほとんどなかった」と証言している。
教員の1人は、県の調査に対し、斜面が急になることなどから、引き返すかどうか考えたタイミングが2回あったと答えている。
このとき生徒からは、「天狗の岩」と呼ばれる岩まで進みたいという声があがり、教員は、雪の状態や天候から大丈夫だろうと判断し、岩まで行って引き返すことにしたという。
その直後、午前8時半ごろに雪崩が発生。
1、2班に加え、1班から100mほど後方に、ほぼ一緒にいた3、4班も雪崩に巻き込まれた。
「7、8m流された」と証言している3、4班の教諭もおり、全員が互いに助け合うなどして脱出したという。
中には、2mほど雪に埋まった生徒もいた。
各班を引率していた教員は、本部となっているふもとの旅館に無線で何度も呼びかけたが、応答がなく、5班の教員が旅館までおりて、警察に通報した。
現場にいた教諭や高校生は、スマートフォンを持っていたものの、「寒さで作動しなかった」と話しているという。
今回の事故で、犠牲者が出た班を引率していた教員の1人が「途中で引き返そうと考えたが、天候の状況から進めると判断した」と話していることについて、自然体験での安全管理に詳しい静岡大学の村越真教授は、「部活動は正規の教育活動ではないが、引率する以上、教員には子どもの安全を守る義務があり、そこで止めるべきだった」と話している。
一方、現場で生徒から「上に見える岩まで進みたい」という声が出ていたことについては、「学校教育では、達成感や努力で得られる喜びを重視するため、生徒から『上に行きたい』という声が出たその時に、無理やり止めるのは難しい」と指摘したうえで、「雪崩の危険は、斜面の傾斜や雪の量からある程度判断できるので、あらかじめ『ここまでで帰る』というラインを設定しておく必要があったのではないか」としている。
・・・・・・
出典
『雪崩1か月 詳細な経緯明らかに』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096070301.html
『栃木・那須の雪崩 訓練目的地で発生 教諭ら「視界悪くなかった」』
http://mainichi.jp/articles/20170427/ddm/041/040/105000c
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
4月29日14時7分に読売新聞からは、2班は引き返すことを決めて戻り始めた時に雪崩に遭ったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ラッセル訓練中、県立真岡高校の生徒らの2班の引率教諭が、風の異変に気づき訓練を中止して戻る判断をしたと県教育委員会に話したことが、学校関係者への取材で分かった。
各班がどのコースを進むかは、それぞれの引率教諭が決めていた。
2班は、1年生5人、2年生3人、引率教諭1人の計9人。
県立大田原高校の1班より、やや北側の斜面で訓練を行っていた。
複数の関係者によると、2班を引率していた教諭は、県教委の聞き取り調査に対し、「風が嫌な感じになっているから訓練を打ち切り、引き返すことを決めた。戻り始めたとき、雪崩に巻き込まれた」と話したという。
もっとも、聞き取り調査に対し、「風はそれほど強くなかった」などと話す参加者もいるため、県教委は引き続き、当時の状況把握に努めている。
出典
『雪崩事故、2班は「嫌な風感じ」訓練中止の判断』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170428-OYT1T50054.html
4月27日10時45分に産経新聞からは、地元関係者は雪崩危険のある場所だと知っていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
雪崩事故の現場について、地元関係者の間では、もともと雪崩が起きやすい場所と指摘する声が多い。
専門家が注目する当日の気象条件に加え、場所としても警戒区域と認識されていたことが分かった。
地元関係者は、「何であそこに行ったんだ」と口をそろえる。
那須温泉ファミリースキー場もよく利用していたというスキーヤーの男性は、「那須温泉ファミリースキー場付近で雪崩といったら、あの辺りしかない。場所はすぐ想像できた」。
地元猟友会に加盟している70代男性も、「あの場所は雪崩が発生するところで、みんな知っていた。今は鳥獣保護区だが、昔はウサギが多く、猟も行われていた。ただ、春先は雪崩が多く、誰も足を踏み入れなかったらしい」と話す。
那須山岳救助隊の大高隊長(88)は、事故防止策について「立ち入り禁止しかない」と苦渋の表情。
「春先には、毎年、大小は別にして表層雪崩が起きている。あんなところは入るルートじゃない」と語った。
出典
『地元関係者ら、口々に危険性指摘 「何であそこに行ったのか…」』
http://www.sankei.com/affairs/news/170427/afr1704270008-n1.html
(2017年5月31日 修正4 ;追記)
2017年5月27日付で下野新聞から、訓練実施の判断経緯について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
捜査関係者によると、3人は「ゲレンデの中で訓練を行おうと話し合った」などと供述しているという。
班を引率した副委員長、前委員長は「自分の判断で樹林帯を登り始めた。本部には連絡しなかった」などと説明。
現委員長は本部に残っていた。
樹林帯を抜けた斜面で副委員長は「危ないので戻ろうとした」とも説明しているというが、最終的にはさらに上部へ登り始め、雪崩が直撃したことを認めているという。
出典
『8人死亡那須雪崩事故 「現場判断で樹林帯へ」 栃木県警に責任者ら3人供述 発生から2カ月』
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20170527/2703499
2017年5月28日22時50分に産経新聞からは、地元の隊長に指示を仰がなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
犠牲者の出た班の引率教員が、危険を感じても地元の山岳救助隊長に助言を求めずに急斜面を登っていたことが28日、遺族への取材で分かった。
講習会では以前、天候が変化した際などは同隊長の指示を仰いでいたという。
遺族によると、県高等学校体育連盟登山専門部が同日、大田原高で開いた遺族や被害者への説明会で、引率教員が明らかにした。
理由について「隊長が高齢で現場に来るのが難しくなったため」などと話した。
この教員は登山歴が長いベテラン。
「(雪崩が起きた急斜面は)危ないと思ったが、生徒の意向も聞き、登ることを決めた。積雪は約15cmで、天候も晴れていたため大丈夫だと思った」と説明したという。
出典
『引率教員は危険感じても助言求めず 那須、雪崩起きた斜面で』
http://www.sankei.com/affairs/news/170528/afr1705280019-n1.html
(2017年6月2日 修正5 ;追記)
2017年6月1日付で毎日新聞東京版から、足元の雪面に亀裂が入って流されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大田原高関係者によると、1班の複数の生徒は「前に(雪面の)亀裂が見えて、そこから流された」「足元あたりから崩れた」などと証言しているという。
雪崩の専門家であるアルプス雪崩研究所の若林隆三所長は、「樹木の少ない急斜面で、たくさんの人が衝撃を与えれば雪崩が起きる可能性は十分にある。衝撃が伝わり、ガラスのひび割れのように雪面にひびが入ったのではないか」と説明している。
密集した状態でラッセル訓練を実施したことで、降り固まった古い雪の上の新雪が崩れる「表層雪崩」を誘発した可能性がある。
出典
『栃木・那須の雪崩 「足元の雪面に亀裂」 生徒証言 訓練強行で誘発か』
https://mainichi.jp/articles/20170601/ddm/041/040/122000c
2017年4月25日8時43分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
奈良県生駒市のO中学校で、昨年8月、1年の男子生徒がハンドボール部の練習中に熱中症の症状を訴えて死亡した事故で、市教委は24日、外部調査委から提出された「事故調査結果報告書」を公表。
報告書は、「適切な給水時間が確保されず、気象条件が把握されていなかった」と指摘し、再発防止策を提言した。
外部調査委は弁護士や医師計5人で構成し、昨年11月から計12回、関係者への聞き取り調査などを実施してきた。
報告書では、事故当日、男性顧問が練習前に各生徒の体調確認や気温を把握せず、通常の30分間よりも5~10分長く無給水でランニングさせたと指摘。
各生徒への聞き取りで、「給水は禁止されていなかったが、飲める雰囲気ではなかった」などの声があがったとし、「生徒が自ら休息を申し出やすい環境が構築されていなかった」などと課題を示した。
再発防止策として、
▽生徒個々の体力に応じた練習計画の設定
▽練習場所の暑さ指数の観測
▽指導者と生徒間の信頼関係の構築
▽安全対策への定期的な点検評価
などの必要性を提言している。
中田教育長は、「安心安全であるべき学校で、あってはならない事故だった。提言をもとに、再発防止策をすぐ実施していきたい」と話した。
出典
『「部活顧問が水飲ませずランニング」奈良・ハンドボール部熱中症死亡事故で
調査委指摘』
http://www.sankei.com/west/news/170425/wst1704250020-n1.html
4月24日18時26分にNHK奈良からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
去年8月、生駒市のO中学校で、ハンドボール部の練習でランニングをしていた男子生徒が熱中症で倒れ、翌日、死亡した。
この男子生徒は、練習中、全く水を飲んでいなかったという。
生駒市は、この事故を受けて第三者による調査委員会を設置し、関係者への聴き取りを行うなど検証を行い、その結果を報告書にまとめた。
それによると、事故につながった要因として
▽顧問の教師が生徒一人ひとりの体力や体調を把握せず、実態に合わない練習を行わせていた
▽生徒との間に信頼関係が築かれておらず、生徒が水を飲んだり休憩したいと発言できない雰囲気だった
ことなどをあげている。
そのうえで、
▽適切な休憩時間を設ける
▽生徒が話しやすいよう、教師が努力してコミュニケーションをとる
ことなどを提言している。
生駒市教育委員会の中田教育長は、「事故の結果を重く受け止めている。報告書をもとに,再発防止に向けた具体的な取り組みを検討していきたい」と話している。
出典
『生駒熱中症事故で調査結果公表』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/2055651991.html
2017年4月22日付で毎日新聞奈良版から、この事故を受け県教委は学校体育で起きる事故防止策をまとめた指針を公表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教委は21日、昨年8月に生駒市の中学校で男子生徒が死亡した熱中症事故などを受け、学校体育で起きる事故防止策をまとめた指針を公表した。
重大事故に至らずに済んだ軽微な事案の報告を、各学校に求める。
県教委のホームページに掲載したほか、校長会などで配布して周知を図る。
昨年12月から事故防止策を検討してきた有識者委員会の報告を受け、県教委が先月まとめた。
これまでは、県立学校に重大事故の報告を求めるだけだったが、来月以降、市町村教委の協力も得て、国立を除く小中学校や高校などでの軽微な事故も把握し、重大事故の防止に役立てる。
指針では、教職員らに課せられた法的な安全配慮義務について、詳しく解説。
熱中症になった児童・生徒への対応を、意識の有無などの場合に分けて流れを説明する図も付けた。
県教委保健体育課は、「運動をする限り、事故をゼロにするのは現実的に不可能だが、重大事故は起こしてはならない。指針の作成で終わらず、明記した取り組みを学校現場に浸透させたい」としている。
出典
『県教委 軽微事案も報告を 熱中症など体育事故防止へ指針』
https://mainichi.jp/articles/20170422/ddl/k29/100/651000c
(ブログ者コメント)
〇この教師の方は、熱中症についてどの程度の知識があった
のだろうか?
〇報告書は、生駒市HPに掲載されている。
http://www.city.ikoma.lg.jp/cmsfiles/contents/0000009/9735/170424.pdf
2017年1月20日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6675/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6674/
(2017年4月29日 修正2 ;追記)
2017年4月22日付で朝日新聞筑後版(聞蔵)から、市の調査委員会から事故調査報告書が提出されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月13日23時7分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
市の学校安全調査委員会は、13日、報告書をまとめ、市教育委員会に出した。
同委員会によると、同校では安全管理担当者が他の教職員らに点検表を配布し、月1回の作業を分担させていたが、昨年10月を最後に配布していなかった。
委員会は、こうした事情を踏まえ、「点検表を受け取らなかった教職員から疑問の声がなく、学校全体として安全点検に対する意識が低下していた」と指摘。
その上で、再発防止策として、安全点検の結果を学校の管理職や市教委に報告することなどを提言した。
また、事故直後、現場に駆け付けた養護教諭が自ら職員室に担架などをとりに行き、現場を離れたことも課題とされた。
本来なら、事故の具体的状況を把握し、消防などに連絡する役割を担っているからだ。
提言として、養護教諭としての任務の周知徹底などを求めた。
ゴールなど、学校の施設は多くの団体が利用する。
学校は、貸し出す際、使用者に扱い方を守るよう求めているが、安全管理について積極的に関わるよう求めていなかったため、このことも課題として指摘された。
学校施設を外部にも開放している以上、校内に限らず、利用する市民にも、施設を安全に利用してもらうことについて共通認識を求めるべきだ、と提言書は指摘する。
提言書には、これら16の課題を挙げ、それに対する提言を記している。
調査委が指摘した主な課題と提言は下記。
【課題】安全管理・緊急対応マニュアルの存在が、教職員に徹底していなかった。
【提言】学校の管理者は、様々な危機に対応できるよう、安全管理・緊急対応マニュアルを作成し、全教職員が、その重要性や内容、方法を認識し、実行できるよう、訓練などを通じて十分に周知徹底する必要がある。
【課題】学校の授業では使わないゴールが、他校でも数多くあった。
【提言】使用しないゴールは、教委と連携して整理する。
必要なゴールは、使用時には専用の杭や砂袋で確実に固定する。
【課題】日常的な安全点検がされていなかった。
【提言】安全点検マニュアルに、ゴールの固定に関する項目を明示する。
安全点検は、授業ごとの日常的なもののほか、学校行事の前後にも実施するようにする。
【課題】教育委員会は、安全点検の結果の報告を待つという、受け身的な対応をとっていた。
【提言】教育委員会は、学校の自己点検、自己評価を踏まえ、結果について指導助言を行う。
【課題】学校安全に関する校外研修の内容が、全教職員に徹底されていなかった。校内研修も計画、実施されていなかった。
【提言】研修は、安全教育担当教員だけでなく、校長、教頭、主幹教諭にも義務付けるべきだ。
研修後は、全教職員が内容を共有できるように十分な報告を行い、校内研修も実施する。
出典
『「学校の安全意識低下」ゴール下敷き事故で調査委 福岡・大川』
http://www.sankei.com/west/news/170413/wst1704130091-n1.html
(2018年12月24日 修正3 ;追記)
2018年12月22日6時0分に西日本新聞から、校長ら6人が書類送検されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警は21日、安全点検を怠ったとして、業務上過失致死の疑いで、校長(59)や教頭(53)ら学校関係者6人を福岡地検に書類送検した。
ほか4人は、安全教育主任(30)と安全点検実施者(41)、授業担当2人。
6人は「点検を忘れた」などと話し、容疑を認めているという。
安全であるはずの学校でゴールポストが倒れて子どもが犠牲になる事故は、全国で相次いでいる。
文科学省は2009年以降、4回も安全点検を呼び掛ける通達を出したが、抜本的対策ではなく、悲劇は繰り返された。
事故防止に取り組む団体は、「安全な用具で代用するべきだ」と指摘する。
文科省は09年3月、ゴールポストが強風や児童の力で転倒しないよう、「くいや砂袋で固定する」などの防止策を通達。
だが、その後も事故は起き、同様の通達を10、12、13年に出した。
子どもの事故予防に取り組むNPO法人「セーフキッズジャパン」(東京)の山中龍宏理事長(71)は、「通達は具体性がなく、学校現場で徹底されていないところも多い」と強調。
ホームページなどで、固定する重りの重さなど、詳細な点検項目を紹介している。
男児が亡くなった「1月13日」は04年にも同様の死亡事故が起き、「サッカーゴール等固定チェックの日」と定めた。
山中理事長は、「小学生なら鉄製ゴールを使う必要はない。三角コーンでも代用でき、ゴム製ゴールもある。国は抜本的対策を検討してほしい」と話した。
出典
『男児死亡、小学校長ら書類送検 福岡・大川ゴール下敷き 業過致死容疑』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/474947/
2017年4月3日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
(1/4)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6955/
(2/4)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6954/
(3/4)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6953/
(4/4)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6952/
(2017年4月13日 修正1 ;追記)
2017年4月5日9時4分に読売新聞から、現場から本部に雪崩発生の連絡を何度もしたが通じなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月4日18時16分にNHK栃木からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
引率教諭が、現場から講習会本部に雪崩発生の無線連絡を何度もしたが、応答がなかったと話していることが、県関係者への取材で分かった。
その後、教員の1人が走って旅館に向かい通報したという
講習会の現場責任者で同校のI教諭(50)は雪崩発生当時、本部の旅館にいた。
3月29日の記者会見では、無線機を手元に置いていなかった時間帯があったと説明し、無線連絡があったかは「分からない」と話した。
出典
『雪崩発生の無線連絡、講習会本部の「応答なし」』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170405-OYT1T50021.html
『「無線で救助も応答なし」情報』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096063081.html
4月5日14時15分に産経新聞からは、ラッセル訓練が雪崩を誘発したことはないと思うという専門家の意見が、下記趣旨でネット配信されていた。
現地を調査したNPO法人日本雪崩ネットワークの出川あずさ理事(56)に、雪山での活動で注意すべき点を聴いた。
出川理事は、「雪崩の起きそうな場所を見極めることが大事」と強調する。
出川理事によると、見極めは、
(1)30~45°の傾斜
(2)風の影響
(3)植生
(4)地形
がポイント。
「(現場は)斜度35°以上、風の影響を受けた雪もあり、木もまるっきりない。典型的な発生しやすい場所。春でも雪は降る。今回のような雪崩はシーズン中に何度もあり、特別な物ではない。雪崩の起きそうな場所を見極めることが大事」と、警鐘を鳴らす。
雪をかき分けて進む「ラッセル」訓練に切り替えた判断については、「I教諭の記者会見を一部見た限りでは、安全で適切な判断とみられる。登山をやめ、安全なスキー場の近辺でやろう、危ない場所へは近付かない、安全な木がある方でやろうと。適切な場所さえ選べば、ラッセル訓練には良い日だったと思う」と話し、ラッセル訓練そのものが問題ではないとしている。
ラッセル訓練が雪崩を誘発するということは考えられるのか。
「生徒たちが休憩していた辺りで、上から来た雪崩に被災したのであれば、その斜度も緩く、斜面下の方から誘発するような雪のコンディションでもない。誘発はないと思う」とみている。
出典
『「雪崩の場所 見極めが大事」現地調査のNPO理事が指摘 栃木』
http://www.sankei.com/affairs/news/170405/afr1704050015-n1.html
(2017年4月23日 修正2 ;追記)
2017年4月22日8時17分に読売新聞から、7年前に現場近くで訓練中に雪庇が崩れるトラブルがあったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月21日11時31分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
引率した教諭の1人が、現場近くで7年前に行われた講習会で、庇状の雪の塊(雪庇)が崩れ落ち、生徒の体の一部が雪に埋まったと話していることが、21日、県教育委員会への取材で分かった。
けが人はなかった。
引率教諭たちに事故という認識はなく、県高校体育連盟や県教委への報告は行われなかった。
この時に引率していた教諭が、今回の講習会も引率していた。
教諭は県教委の聞き取りに対し、「当時の事故はけが人が出ていなかったため、報告していなかった」と話しているという。
県教委によると、雪庇が崩落したのは2010年3月に行われた講習会の2日目。
8人が死亡した現場から北北東に約1kmの「郭公沢」と呼ばれる沢付近の雪上で、登山用具の使用法などを訓練中、生徒らの足元で雪庇が崩れた。
下にいた数人が影響を受け、腰の辺りまで埋まった生徒もいた。
これ以降、雪庇が崩れた現場では講習を行わないようにしたという。
県高体連は、毎年行われてきた講習会で一度も事故はなかったと説明していた。
出典
『7年前の登山講習会でも雪庇崩落…那須雪崩』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170421-OYT1T50176.html
『7年前も雪崩、報告されず 那須雪崩事故と同じ講習会で』
http://www.asahi.com/articles/ASK4P3HGPK4PUUHB001.html
2017年4月4日13時19分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月4日14時43分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前11時55分ごろ、松江市東津田町の大橋川で、松江工業高等専門学校ボート部の女子学生5人が乗った競技用ボート(全長約13m)が岸の近くで転覆し、全員が川に投げ出された。
近くにいた漁協職員が船で助けたが、うち1人の学生(16)が低体温症の恐れがあるとして病院に搬送されたが、症状は軽く、帰宅した。
他4人にけがはなかった。
警察によると、この日は午前10時半ごろから部員6人で、県ボート協会に所属する保護者の下で自主練習をしていた。
転覆の状況について学生たちは、強風のために練習を切り上げて岸に戻ろうと流れに対し直角に進んでいたと話しているといい、警察は、強風にあおられたかオールの操作を誤ったとみている。
岸に残って練習を見ていた4年生部員が、県ボート協会を通じて119番通報と漁協に連絡した。
部員は救命胴衣は着用しておらず、この日の練習をボート部の顧問には伝えていなかった。
松江地方気象台によると、市内の同日午後6時までの最大瞬間風速は毎秒12.6mで、午前10時20分ごろに県東部などに強風波浪注意報を発令していたという。
現場近くで大工作業をしていた30代の男性は、5人について「騒がずに落ち着いていた。転覆したボートにしがみつき川の中で救助を待っている様子だった」と話した。
出典
『5人乗りボート転覆 大橋川』
http://digital.asahi.com/articles/CMTW1704043300001.html?rm=172
『女子部員5人のボート転覆、1人軽症…自主練で』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170404-OYT1T50036.html
2017年3月29日17時3分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月29日20時16分にNHK宮崎からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
宮崎県延岡市で、平成22年、市立小4年の女児が校外学習として実施した遊泳の際にプールで溺れ、その後、死亡した事故で、両親が、死亡したのは学校側が安全管理を怠ったことが原因だとして市と県に約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宮崎地裁延岡支部は29日、学校側の過失を認め、計約5000万円の支払いを命じた。
判決で塚原裁判長は、「引率の教諭らは、児童をプールから上がらせる時に児童の点呼を取らず、女児は約5分もの間、教諭らの近くを溺れたまま流されていた」とし、教諭らの監督態勢は非常に不十分だったと認定した。
さらに、両親側が事故状況に関する報告書の提出を再三求めたにもかかわらず、学校側は不適切な対応を取ったと指摘。
「最愛の娘を失った両親の精神的苦痛は甚大だ」と述べた。
判決によると、事故は22年5月、同市にあるレジャー施設の流れるプールで発生。
溺れて流されている女児を施設の監視員が見つけ、引き上げたが、既に心肺停止の状態だった。
女児はそのまま意識が戻らず、13年10月に死亡した。
判決後に記者会見した父親は、「事実認定には納得しているが、学校と教諭から納得できる説明や謝罪がなく、誠意が感じられない。教諭や校長から直接、事故についての説明や謝罪を受けたかった。学校には、事故は起きるものだという前提で、子どもをどう守るか真剣に考えてほしい」と話していた。
首藤市長は、「判決を真摯に受け止め、二度とこのような事故を起こさないよう、児童生徒の安全管理を徹底していく」とコメントした。
出典
『女児死亡プール事故で賠償 学校側の過失認め 宮崎県と延岡市に5千万円』
http://www.sankei.com/west/news/170329/wst1703290058-n1.html
『小4プール事故で賠償命じる』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/5064718841.html
3月30日3時0分に朝日新聞からは、両親の思いに関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「国賠法で済まされたら、やっちょれん」。
延岡市立東小学校の遠足中に市関連施設のプールで4年生女児がおぼれ、後に死亡した事故を巡る訴訟。
29日、宮崎地裁延岡支部の判決後の記者会見で、女児の父親は憤った。
裁判で求めてきた引率教諭らの説明や謝罪は、最後まで実現しなかった。
原告は父親(58)と母親(59)。
2010年5月、市の第三セクターが運営するヘルストピア延岡の流水プールで末娘(当時9歳)がおぼれ、意識が戻らないまま、13年10月に12歳で死去した。
両親は、「訴訟で学校や教師の責任を明らかにしたい」などとして、14年4月に市を提訴。
教諭らを採用した県も訴えた。
原告側代理人の松岡弁護士によると、「賠償金額の問題じゃない。当事者の生の声が聞きたい」(父親)として、裁判で教諭や校長の証人申請を2度試みたが、裁判所に認められなかった。
一昨年10月と昨年10月には、裁判所から和解案を提示され、当事者の責任を明示した謝罪文または非公開手続きによる直接謝罪の条件を付けたところ、行政側に拒まれたため、和解に応じなかったという。
国家賠償法は、職務上の過失で公務員個人は不法行為の責任を負わないと定める。
父親は、「公務員個人の責任を問うのが難しいことは分かるが、我々一般人から見るとギャップが大きい」と指摘。
松岡弁護士は、「法制度と両親が求めるものがフィットしなかった」と話した。
判決では、事故を引き起こした教諭や校長の過失のほか、原告側から再三求められた事故状況報告書を提出しないなど、事故後も学校側の対応が不適切だったと認定し、計約5087万円の支払いを命じた。
判決について、松岡弁護士は「両親が一番気にしていた引率教諭の不手際や事後対応の不誠実さは、ほぼ事実認定されたが、少し疑問も感じる」、父親は「まだ何とも言えないが、遺族の心の中では裁判は終わっていない」。
控訴するかは、結論が出ていないという。
出典
『宮崎)プール女児死亡事故判決 両親の願いに法の壁』
http://digital.asahi.com/articles/ASK3Y6FVBK3YTNAB00K.html?rm=306
(ブログ者コメント)
朝日新聞の記事は、「国家賠償法の定めにより、引率教諭個人の責任は問われない」と読める。
それは何故だろう?
疑問に思い調べたところ、国家賠償法には、報道されたような記述はなかった。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO125.html
朝日新聞の記事は、「第一条;公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」という条文を意訳したものかもしれない。
もしそうだとすると、それは、損害賠償上の責任が問われないだけ。
民間団体が主催したイベントで同様のことが起きたら、引率者は業務上過失致死あるいは安全配慮義務違反に問われそうな気がする。
よって、今回事例の引率教諭も、そういった責任が問われそうな気がするのだが、ご両親のコメントから推測すると、問われていないのかもしれない。
それは何故だろう?
責任を問われるほどの過失はなかったということだろうか?
2017年3月28日0時21分に朝日新聞から、事故発生を知らせる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午前8時30分ごろ、栃木県那須町湯本の那須温泉ファミリースキー場で雪崩が発生し、登山の講習会に参加していた県立大田原高校の16~17歳の男子生徒7人と男性教員1人の計8人が搬送先の病院で死亡した。
雪深い山で雪をかき分けて進む「ラッセル訓練」の途中で雪崩に巻き込まれたという。
県警によると、死因はいずれも圧死だった。雪の重みで呼吸ができなくなったとみられるという。
県教委によると、講習会は県高校体育連盟主催の春山安全登山講習会。
積雪のある時期の登山の理解を深め事故防止に役立てる目的で、25~27日の日程で、大田原を含む県内7校の山岳部の1、2年生と教員計62人が参加していた。
記者会見した県教委の宇田教育長によると、27日は茶臼岳への往復登山を予定していたが、雪が激しく降る悪天候のため、午前6時に中止を決定した。
その後、午前7時半になって、ゲレンデ周辺で、当初の予定にはなかったラッセル訓練をすることにした。
生徒40人と教員8人の計48人が、午前8時から5班に分かれて訓練していたが、その途中に雪崩に巻き込まれた。
大田原高校の班が先頭で進んでいたとみられる。
栃木県は、27日午前10時に災害警戒本部を設置。
陸上自衛隊に災害派遣を要請し、福島県やさいたま市の消防も救助活動に加わった。
栃木県内の災害派遣医療チーム(DMAT)も出動し、県の消防防災ヘリやドクターヘリが緊急搬送にあたった。
宇田教育長によると、講習会は毎年この時期に開催し、「これまで10年以上はこうした事故はなかった」と述べた。
講習会を主催した県高体連の橋本会長は、「春山は残雪が多く非常に危険なため、講習会は重要だ」と説明した。
県警によると、死亡した8人のほかに、訓練に参加した生徒と教員の計40人全員が負傷した。
うち男子生徒2人が重症で、男子生徒4人と教員1人の計5人が骨折などのけがをした。
宇都宮地方気象台によると、スキー場のある那須町には、26日午前から27日にかけて雪崩注意報や大雪注意報が発令されていた。
8人が死亡した大田原高校は、全国大会に連続出場する実力校。
今回の講習会には、男子生徒12人と教員2人が参加していたという。
出典
『高校生7人と教員1人の死亡確認 栃木の雪崩事故』
http://www.asahi.com/articles/ASK3W5F5ZK3WUTIL02L.html
3月28日7時17分に産経新聞からは、事故発生当時のやや詳しい状況が下記趣旨でネット配信されていた。
3月28日6時16分に読売新聞から、3月29日付で毎日新聞東京版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
また、4月3日付で毎日新聞東京版からは、隊列などの図解付きで、まとめ的な記事がネット配信されていた。
27日は2泊3日の講習会の最終日。午前5時に起床した。
未明からの大雪で、6時ごろに茶臼岳への登山が中止されることが決まった。
7時半ごろ、登山の代わりに、隊列を組み雪をかき分けて斜面を登るラッセルと呼ばれる冬山技術の訓練をすることに決定。
生徒40人と教員8人が、ゲレンデ下部にあるロッジを出発した。
15°から20°、25°。
どんどん斜度を増していくゲレンデ脇の林の中を、列になって進んだ。
400~500m登ったところで、グループに分かれて雪の塊を乗り越える訓練になった。
雪崩が起きたのは、参加者の隊列の先頭を大田原高校の部員たちが2年、1年の順に進んでいた時だった。
突然、引率の教員が「雪崩だっ」「伏せろっ」「逃げろっ」と叫んだ。
だが、すでに足元の雪は動き出していたといい、生徒たちは雪とともに滑り落ち、のまれた。
一方、参加した男子生徒の1人は28日、毎日新聞の取材に応じ、「吹雪で会話は通じる状況じゃなかった。周りは何も見えなかった」と明かした。
出典
『生徒「怖すぎて記憶飛んだ」 白い塊、隊列を襲う』
http://www.sankei.com/affairs/news/170328/afr1703280012-n1.html
『「雪崩だっ、伏せろ」…教員叫び足元の雪動く』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170328-OYT1T50002.html?from=ycont_top_txt
『栃木・那須の雪崩 訓練中、スキー場外で被災 吹雪の中、山側へ』
http://mainichi.jp/articles/20170329/ddm/041/040/162000c
『検証 栃木・那須の雪崩 議論なく「絶対安全」』
http://mainichi.jp/articles/20170403/ddm/041/040/151000c
4月1日18時47分にNHK栃木からは、樹林帯を抜けたところで雪崩に遭ったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8人が亡くなった1班は最も標高の高い所にいたとみられているが、1班は、木が生えている樹林帯の最上部付近の、木が少なくなっている所まで登っていたことが、救助隊などへの取材でわかった。
身を隠す場所がないまま雪崩に襲われた可能性があるという。
出典
『樹木の少ない場所で被害か』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170401/5213301.html
(2/4へ続く)
(1/4から続く)
3月28日付で毎日新聞東京版からは、今回の講習会の位置づけや体制などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月28日10時26分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
登山講習会は、昭和38年以降、今回の事故が起きたスキー場で毎年実施されており、登山経験がある教員が生徒を指導。
県高体連の登山専門部委員長で山岳指導員の免許を所持し、大田原高などで山岳部顧問を20年以上務めた男性教諭が、ここ数年の責任者だった。
事故当時、この教諭は「現地登山本部」の町内の旅館にいたという。
県教委は、山岳部の生徒らが4、5月に登山をするためには講習を受けさせるよう各校に伝えており、夏の高校総体を目指す部員らには重要なイベントだった。
県高体連は、「残雪が多い春山は技術をしっかり習得させ、安全対策をしっかりさせた上で登山をさせたいということで、講習会を毎年やっている」としている。
出典
『クローズアップ2017 雪崩8人死亡 訓練続行判断、なぜ』
http://mainichi.jp/articles/20170328/ddm/003/040/105000c
『県高体連、講習内容変更を把握せず 現場に一任』
http://www.sankei.com/affairs/news/170328/afr1703280019-n1.html
20171年3月30日18時13分にNHK栃木からは、ラッセル訓練を実施すると決めた経緯について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
29日、県の高体連登山専門部の会見で、講習会の責任者の1人で大田原高校の教員I委員長が、講習の目的は生徒たちに雪に触れてもらうことで、可能であれば雪をかき分けて進むラッセル訓練で雪上を歩かせたいという思いがあったと述べた。
I委員長は、登山経験が長い2人の引率教員と話し合って、訓練は可能だと判断したという.
出典
『「雪上歩かせたい」の思いあった』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1095137791.html
3月29日23時51分に産経新聞から3月29日22時30分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
「どうしようか」
「(登山予定の)茶臼(岳)は無理だね」。
発生当日の午前6時ごろ、現場となったスキー場から車で数分の本部にいたI氏は、天気予報を見て、現地でテント泊していた古参の引率教諭2人と携帯電話で相談した。
1人は副委員長のS氏、もう1人はI氏の前任委員長、W氏。
2人の話では、雪はさほど強くなく、風もほぼない。
中止基準とされる「雨や風がかなり強い状態」には程遠く、むしろ30cmの積雪は「雪上訓練に向いている」との考えもあった。
「ラッセルはできるよね」との話でまとまったという。
I氏によると、講習会では、天候不良で登山を中止することが3年に1回ほどあり、ラッセル訓練に切り替えたこともあった。
ラッセルを行う場所は事前に概ね決まっており、顧問歴23年のI氏も、過去1、2回、今回と同じ場所で行ったことがあるという。
ただ、訓練場所を登った先にある尾根の上部には、現地調査した専門家が「典型的な雪崩発生地形」と分析する急斜面がある。
I氏らは、この急斜面付近を「非常に安全」と認識していたという。
I氏は、「雪崩が起きやすいところに近寄らなければ安全と判断していた」と振り返った。
危険と考えた場所は避けていた。
雪崩が起きた場所については、「過去の経験則から、雪崩はない」と判断していたという。
出典
『歩行訓練過去何度も…発信器は不要 判断は正しかったのか?』
http://www.sankei.com/affairs/news/170329/afr1703290037-n1.html
『「経験則で雪崩ないと判断」 訓練決行、教諭3人で判断』
http://www.asahi.com/articles/ASK3Y733KK3YUTIL05Y.html
4月1日付で毎日新聞東京版からは、登山不可な場合の計画未作成、1班の引率に登山歴の浅い教諭が配置されていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
訓練実施要項は講習会前に作られたが、「荒天でない限り茶臼岳まで往復」とのみ記され、予定の登山を悪天候でできなくなった場合の代替訓練の記載はなかった。
代替の訓練は、ルートも事前に決めず、引率者任せで行われた。
しかも、同専門部は訓練に当たり、力量に応じて生徒らを5班に編成したが、十分な経験が必要とされた「1班」に、登山歴の浅い同校教諭のKさん(29)=死亡=を配置していた。
要項の講師欄にもKさんの名前はなかったという。
出典
『栃木・那須の雪崩 計画変更、事前準備なし 県警、体制の不備捜査』
http://mainichi.jp/articles/20170401/ddm/001/040/159000c
4月3日付の毎日新聞東京版(『検証 栃木・那須の雪崩・・・』;1/4参照;)解説図によれば、1班の隊列は下記。
列の先頭には、20~30年以上の登山経験のある副委員長。
その次に2年生6人(うち3人死亡)と1年生6人(うち4人死亡)が続き、最後尾に死亡した教諭。
(3/4に続く)
(2/4から続く)
4月3日3時0分に産経新聞からは、現場付近では毎年雪崩が起きていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
那須山岳救助隊の男性は、「雪崩があった斜面は、毎年、春先に表層雪崩が起きている」と証言。
自身もゲレンデで雪崩に巻き込まれた経験があるといい、「なぜあそこを(訓練場所に)選んだのか分からない」と話した。
この男性などによると、昭和40~50年代には、近くにある那須ロープウェイの職員が事故現場近くで雪崩に巻き込まれ、死亡する事故も発生しているという。
出典
『事故現場、雪崩毎年発生の「危険な場所」か 地元関係者が証言』
http://www.sankei.com/affairs/news/170403/afr1704030003-n1.html
3月29日18時0分にNHK栃木からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
現場の第2ゲレンデ近くの斜面は、雪崩が起きやすいため、スキー場では斜面の下にあるゲレンデをたびたび封鎖していたことが、那須町への取材でわかった。
今回の事故の前には、2月25日から3月1日までの間、雪崩の危険性があると判断し、封鎖していたという。
しかし、今回の講習について、スキー場側には「トイレを貸してほしい」という連絡はあったものの、スキー場のすぐ近くでラッセルの訓練を行うという連絡はなかったという。
那須町の職員は、「ゲレンデよりも標高が高い場所では、これまでも雪崩が毎年のように発生していた。前日に大雪が降り、雪崩の危険は大きかったと思うので、もし、その場にいたら訓練を止めたと思う」と話している。
出典
『ゲレンデは「雪崩危険性」で封鎖』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096061041.html
4月1日23時46分に日本経済新聞からは、現場は雪崩危険個所に指定されていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月31日16時10分にNHK栃木からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
林野庁が現場一帯の国有林を「雪崩危険箇所」として指定していたのに、県が山岳関係者らに周知していなかったことが、1日、県などへの取材で分かった。
県がホームページ(HP)で明示している危険箇所には含まれておらず、県は、見直す方針を明らかにした。
林野庁は、国有林に立ち入る際は入林許可の申請を求めていたが、講習会を毎年主催していた県高等学校体育連盟登山専門部が、少なくとも5年間は、塩那森林管理署に申請を出していなかったことも分かった。
林野庁などによると、1997年度に現場一帯を危険箇所に指定し、県に伝達。
県は防災計画には明記したが、住宅や集落のある地域で県が独自に危険地域を調べて図示しているHPには反映していなかった。
担当課の間で情報が共有できていなかったのが原因で、県は「改善を検討する」としている。
入林許可は、個人の登山では不要だが、団体の訓練などの場合は申請を求められる。
森林管理署は、「届けが出ていれば、その際に雪崩のおそれがある場所だと伝えることができたかもしれない」としている。
出典
『現場は「雪崩危険箇所」 那須事故、栃木県が周知せず』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG01HCE_R00C17A4CC1000/?n_cid=NMAIL003
『高体連 林野庁に届け出さず訓練』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096061561.html
3月30日15時48分にNHK栃木からは、雪崩の発生条件がいくつも重なっていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの小杉健二雪氷環境実験室長は、翌日の28日、雪崩が発生した現場付近で調査を行い、その結果を詳しく分析した。
それによると、雪崩が発生した現場付近では、短時間で新たに積もったとみられる柔らかくて崩れやすい雪が深さ30cm程度積もっていたことが確認できたという。
さらに、現場は斜面の傾斜が30°から40°と雪崩が最も発生しやすい角度だったことや、雪崩の勢いを止めるような樹木がなかったことなどから、小杉室長は「雪崩が発生する条件がいくつも重なっていた」と分析している。
そのうえで小杉室長は、「雪崩の発生を予測することは研究者でも難しいが、今回のような条件では、少なくとも斜面に近づかないという判断はできたのではないか」と述べ、安全管理に疑問を呈した。
出典
『雪崩の専門家「安全管理に疑問」』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096061281.html
(4/4へ続く)
(3/4から続く)
3月28日19時31分にNHK栃木からは、ビーコンを携帯していなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
講習に参加していた生徒と教員の全員が、遭難した際や雪崩に巻き込まれた際に居場所を発信するビーコンを持っていなかったことが、県などの関係者への取材でわかった。
救助にあたった地元の民間の救助隊「那須山岳救助隊」の渡部副隊長は、「雪崩に巻き込まれた人の居場所を確認する棒と、雪をかき出すためのスコップ、そしてビーコンは『三種の神器』とも言われ、これらを持っていないということは、雪崩についての知識と経験が不足していると言わざるを得ない」と指摘している。
出典
『雪崩 全員が発信機不携帯』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1095054811.html
3月29日15時39分にNHK首都圏からは、宮城を除きビーコンは持たせていないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全国の高体連を調査した結果、登山講習などを開く場合にビーコンを生徒に持たせているところは、宮城県の高体連以外はないことが分かった。
出典
『全国の高体連もビーコン持たせず』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170329/5121461.html
4月3日付で毎日新聞東京版からは、雪崩に備えた教育や事前調査未実施という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
主催者の県高体連登山専門部が、雪に埋まった際に呼吸空間を確保する生存法を周知せず、事前に表層雪崩を予測する「弱層テスト」も怠っていたことがわかった。
関係者によると、座学が初日にあり、「山の魅力」をテーマに学んだが、雪崩や巻き込まれた際の対処法の説明はなかった。
雪に埋まると、雪の圧力で短時間のうちに窒息する危険が高まるため、流されている時に浮上を試みるか、口の周りを手で覆うなど呼吸できる空間を作れるかが、生存時間を延ばすカギとなる。
生徒らは、雪崩に対する心構えがないまま、訓練に参加したとみられる。
また、雪の斜面では弱層と呼ばれる積雪内のもろい層が表層雪崩を誘発しやすく、数10cm程度掘って弱層の有無を確かめることが、危険回避の有効策とされる。
しかし、関係者によると、過去の講習会では弱層テスト後にラッセル訓練をしていたが、今回は事前確認がなかった。
出典
『栃木・那須の雪崩 呼吸空間確保法教えず 予測テストも怠る 県高体連』
http://mainichi.jp/articles/20170403/ddm/001/040/167000c
3月29日11時34分にNHK首都圏からは、教員がふもとの本部に降りてきて通報したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月30日6時38分にNHK栃木からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察に通報があったのは午前9時半ごろで、雪崩が起きた現場から直接、警察や消防に通報できず、教員1人がふもとの旅館まで歩いて降りてきて通報していたことが、警察への取材でわかった。
雪崩の発生から通報までは1時間ほどがたっていた。
県などによると、ふもとの旅館は今回の講習会の本部になっていて、雪崩が起きたとき、I氏1人が待機していた。
現場とこの旅館との間では、無線や携帯電話で連絡を取る態勢になっていたが、雪崩が起きた時は、現地からの通信手段が使えなかったとみられるという。
この点に関し、29日、県の高体連登山専門部が会見し、I氏が旅館からチェックアウトのため荷物を運び出した際、現地で生徒を引率する教員と連絡を取る無線機を車の中に置いたまま、一時、離れていたことを明らかにした。
この間、現地から無線連絡があったかわからないものの、連絡を受けられなかった可能性もある。
出典
『現場で通報できず 通信装備調べ』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170329/5086881.html
『雪崩の危険性どの程度認識か捜査』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096061121.html
4月3日付の毎日新聞東京版(『検証 栃木・那須の雪崩・・・』;1/4参照;)にも、関連記事が掲載されていた。
午前9時ごろ、管理事務所近くで待機していた5班の教諭は、2班にいた教諭から被害を知らされたという。
約15分後、5班の教諭は現地本部のある旅館へ駆け込んだ。
3月31日付で毎日新聞東京版からは、登山家の野口さんの意見が下記趣旨でネット配信されていた。
高校生の登山のあり方を見直す動きが始まっている。
冬山登山禁止の徹底が前提となるが、春山との線引きがあいまいなことに加え、過度の自粛は状況判断能力の低下につながるとの指摘もある。
こうした点に関し、世界的な登山家、野口健さん(43)は、雪崩のリスクは冬より春の方が高いことから、季節で区切ることに疑問を呈し、「今回の事故は、責任者が現場を見ることもなく急きょ予定を変更するなど、責任者に基礎知識が欠けていた。問題の本質は判断ミスで、冬山だからというわけではない」と言い切る。
野口さんは、夏山でも暴風雨による低体温症の遭難が起きる可能性があることなどを指摘したうえで、季節ごとの一律の規制よりも、状況を見極める能力を重視している。
出典
『栃木・那須の雪崩 8人死亡 雪山登山、一律規制に賛否 安全管理見直し必要、判断能力の低下招く』
http://mainichi.jp/articles/20170331/ddm/041/040/166000c
(ブログ者コメント)
事前調査不足、計画不備、緊急事態想定の甘さ、変更管理の失敗、安全意識の欠如、責任者の判断ミスなど、いくつものキーワードが頭に浮かんでくる事故だ。
大事故というもの、1つや2つの要因で起きるものではないということを改めて認識させられた。
2017年3月31日5時0分にgooニュース(中日新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月30日20時5分にNHK金沢から、3月30日19時29分に石川テレビから、3月31日付で朝日新聞NHK石川全県版(聞蔵)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
金沢市は30日、4月9日にオープンする金沢プール(同市磯部町)の飛び込みトレーニング室で、「ピット」と呼ばれるスポンジのプールに飛び込んだ石川県内の中学1年の女子生徒(13)が右足すねの外側と左足首を骨折する重傷を負ったと発表した。
4週間ほどの入院が必要だという。
市によると、25日午後3時ごろ、生徒が高さ1.5mの飛び込み板の上から、飛び降りるような姿勢で足から飛び込んだところ、3.3m下のコンクリートの底に両足を打ちつけた。
深さ1.8mのピットは、水の代わりに20cm四方のスポンジでいっぱいに満たしてあったが、隙間に落ち込んだとみられる。
市によると、この日はオープンに向けて施設の調整を行うため、市水泳協会が県内の中高生の選手10人を集め、飛び板などの調整を実施していた。
女子生徒は指導者の指示通りに飛んでいたといい、生徒の前に飛び込んだ数人の中高生にけがはなかった。
市職員は立ち会っていなかった。
トレーニング室は、水を使わずに飛び込みの練習ができる、国内初の施設。
海外の施設や体操の練習ピットを参考に、業者がスポンジを活用する設計をした。
市によると、この練習台は、どんな体勢で飛び込んでもスポンジの下のコンクリート部分までは到達しないよう設計されたという。
市の担当者は「事故は想定外」と説明したが、スポンジを入れたばかりで隙間ができやすかった可能性もあるという。
市は事故の原因を調べ、オープンまでに底にマットを敷くなどの対策をとるとしている。
29日に協会から市に報告があり、市は生徒の保護者に謝罪した。
「事件性がないため、通報義務はない」として、警察に連絡はしていない。
報告の遅れについて、協会は市に対し「プールのオープン前ということもあり、どう対応するのがいいのか分からなかった」と説明したという。
山野市長は、「原因の究明と安全性の確保に努めている」とのコメントを出した。
同プールは、金沢市が東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿を誘致しようと、金沢市磯部町に新たに建設したもの。
出典
『オープン目前の金沢プール 板から飛び降り中1骨折』
https://news.goo.ne.jp/article/chuplus/region/chuplus-CK2017033102000093.html
『新プール施設で中学生が骨折事故』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3025154561.html
『金沢プールで事故』
http://www.ishikawa-tv.com/news/main.php
(ブログ者コメント)
海外の施設や体操の練習ピットを参考に設計した国内初の施設ということだが、どこまで安全性を考慮して設計したのだろう?
外見だけを真似して・・・ということはなかったのだろうか?
(2017年4月7日 修正1 ;追記)
2017年4月5日12時59分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受け、市は、ピットを当面使用中止とすることを決めた。
当初は、オープンまでに対策をとる予定だったが、時間をかけて原因を究明することとした。
市は、施設の運営を委託する市水泳協会などの指定管理者と安全対策を協議する。
設備の利用開始時期のめどは立っていない。
同様のピットは中国などにあるが、国内では市が初めて採用した。
スポンジの量や飛び込み台の高さなどは,海外の施設を参考にして決めたという。
出典
『国内初の飛び込み練習設備、使用中止…中1骨折』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170405-OYT1T50041.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。