2017年3月2日23時57分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月2日12時10分に産経新聞westから、3月2日21時7分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
鳥取県中部の町立小学校で、昨夏、6年の女子児童(12)が、水泳の課外授業で教諭の指導の下、プールに飛び込んだ際に頭を強打して、頸髄(けいずい)を損傷する事故があった。
学校の事故報告書などによると、昨年7月15日午後5時20分ごろ、女子児童がプールのスタート台(高さ約36cm)から、水中にいる児童が持ったフラフープに向かって飛び込み、プールの底に頭を強打。
自力で上がれず、指導教諭に引き上げられた。
事故地点のプールの深さは90cmだった。
両親によると、女子児童は救急搬送され、6日間入院。
今も手のしびれを訴え、リハビリを続けているという。
学習指導要領は、事故防止のため、小学校の水泳の授業では水中からスタートするよう、定めている。
校長によると、指導教諭は、この点を理解していたが、課外授業だったことや、飛び込みスタートの水泳大会の練習だったことから、飛び込みを練習させたという。
校長によると、事故前日も、課外授業の水泳練習で飛び込んだ5年の女子児童が、プールの底に頭を打った。
この時は別の教諭らが指導していたが、気づかず、女子児童が後日、頭の痛みを担任に訴えた。
担任が報告せず、校長は12月になって把握したという。
女児の保護者は、事故直後に学校が救急車を呼ばなかったことや、調査委設立の遅れなどに不信感を募らせている。
校長は取材に、指導が一部不適切だったと認め、「対応が後手に回った部分もある。保護者とは誠意を持って話し合う」と回答。
町教委は、調査委設置が遅れた理由について「順調に回復していると報告を受けていたため」としている。
町教委は2日に、事故原因や再発防止策を検討する調査委員会を初開催。
指導が不適切だったことなどが指摘された。
町は、調査委を第三者委員会と位置付け、6人で構成。
町教委が選んだ県内の他の町立小校長や救急救命士らの他、女児の親が推薦した地元の児童館長1人をメンバーとした。
親側は他にも2人を推薦したが、認められなかった。
出典
『プールに飛び込み頸髄損傷 小6、課外授業で練習中』
http://www.asahi.com/articles/ASK3254FHK32PUUB00G.html
『小6女児が水泳の授業でプールに飛び込み頸髄損傷、学校は直後に救急車呼ばず 鳥取』
http://www.sankei.com/west/news/170302/wst1703020042-n1.html
『小6学校プールで頸髄損傷 水中に飛び込み、鳥取』
https://this.kiji.is/209895687269695497?c=39546741839462401
3月4日18時57分に朝日新聞からは、飛び込みに失敗した他の児童を教師が揶揄していたことが心理的負担を与えていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月4日19時59分に毎日新聞から、3月4日19時6分にNHK鳥取からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
指導教諭が、飛び込みの苦手な別の児童4人について、「腹打ち三銃士」「腹打ち女王」などと呼んでいたことが、町教委などへの取材でわかった。
町教委は、「発言は不適切だった」としている。
指導教諭は発言について、「児童との信頼関係があるなかで、励ますつもりだった」とし、深く反省しているという。
町教委が2月、課外授業に参加した4~6年の児童など計95人に実施したアンケートでは、33人が発言を聞いたと答え、うち7割以上が「かわいそうだと思った」と回答。
「言われた人は泣いていた」という記述もあったという。
また、自由記述では、「自分が言われたら転校してしまう」とか、「周りの先生が注意していなかったのが疑問だった」などと書かれていた。
学校側は、児童4人にからかわれた認識はなかったと説明しているが、土海教育長は、「頑張っていた子供に不適切な発言だった」と話している。
町教委は、この発言が女児に心理的負担を与え、事故につながった可能性もあるとみて、調査委員会で検証する方針。
女児の両親は取材に、「(女児は事故当時)『もし失敗すると、同じような言葉をかけられるのではないか』と思いながら飛び込んだようだ」と話している。
出典
『飛び込み苦手児童「腹打ち三銃士」 プール事故時の教諭』
http://www.asahi.com/articles/ASK344QZ8K34PUUB004.html
『鳥取 教諭が「腹打ち三銃士」 飛び込み苦手な児童に』
http://mainichi.jp/articles/20170305/k00/00m/040/034000c
『プール事故 教員が不適切発言』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4044446831.html?t=1488660594899
(1/2から続く)
3月6日17時21分にNHK鳥取からは、この小学校では安全な飛び込みマニュアルを作成するという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
町教委によると、当時、指導をしていた20代の男性教員は、県外の小学校でフラフープを使った飛び込みの指導を行っていたが、正式な指導方法の研修は受けていなかったという。
このため、この小学校では、水泳連盟に相談しながら、安全な飛び込み練習の指導方法を記した独自のマニュアルを今月(3月)中にも作って、ほかの小学校にも活用を呼びかけることにしている。
マニュアルには、プールの中でジャンプをして飛び込みの姿勢を学んだり、プールサイドに座った状態で飛び込みの練習を行ったりするなど、段階的な指導の徹底を盛り込んでいるという。
一方で、学校での事故の問題に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授は、「そもそも、小学校のプールは飛び込みを行うには浅すぎるので、水深の深いプールを借りて練習できないか検討するべきだ」と話している。
出典
『飛び込み練習 マニュアル作成』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4044460611.html?t=1488834102644
3月8日12時21分にNHK鳥取からは、県教委は実態調査のため公立全小中校にアンケート実施という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教委会は県内の全ての小中学校を対象に実態を調べるアンケートを行うことを決めました。
この事故を受けて、県教育委員会では、県内にあるすべての公立の小中学校を対象としたアンケートを行うことを決めた。
この中で各学校に対して、
・これまで飛び込みによって事故が起きていたかどうか
・課外授業の際の指導態勢や指導方法
・プールの深さや飛び込み台の高さ
などについて調査することにしている。
県教委では、このアンケート結果をもとに、各学校で水泳が始まる今年6月までに安全対策の指針をまとめ、教員を対象にした研修会を行うことも検討することにしている。
県教委体育保健課は、「授業では行わなくても、課外授業で飛び込みの練習を実施している学校は多いと思われるので、実態把握に努めるとともに、飛び込みの指導については、引き続き、注意を呼びかけていきたい」と話している。
出典
『プール事故受けアンケート』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4044544291.html?t=1489002384189
(ブログ者コメント)
〇過去の同種事故ならびに飛び込み禁止の動きがあることは、本ブログでも何件か紹介済。
〇学習指導要領で水中スタートと定められているのに、なぜ、事故が起きた小学校では安全な飛び込みのマニュアルを作ろうとしているのだろうか?
水泳大会向け?
児童の安全を考え、学習指導要領では水中スタートと定められているのだから、課外活動や大会でも禁止すべきではないだろうか?
学校体育実技指導資料第4「水泳指導の手引き(三訂版)」には、以下のように記されている。
第4章第2節 水泳の安全指導
6 スター卜の指導での留意点
水泳プールの事故には、スタート時に、逆さまに深く入水し、水底に頭部を打ちつけて死亡等の事故が起きています。
スタートの指導は個人の能力に応じた段階的な取扱いを重視し、指導者の指示に従って実施すること、水深や水底の安全を確かめ入水角度に注意することなど、安全に配慮した指導が大切です。
なお、小・中学校では、水中からのスタートのみを指導し、授業での跳び込みによるスタート指導は行いません。
学習指導要領解説では、スタートの指導について次のように明記しています。
小学校 水中からのスタートを指導するものとする。
中学校 泳法との関連において水中からのスタート及びターンを取り上げること。
高等学校 スタートの指導については、段階的な指導を行うとともに安全を十分に確保すること。
2017年1月13日19時29分に時事通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月13日22時59分に毎日新聞から、1月14日6時9分に西日本新聞から、1月14日20時3分に産経新聞westから、1月14日22時55分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
13日午前9時40分ごろ、福岡県大川市のK小学校(児童数257人)から、「児童がゴールにぶら下がって転落した」と119番があった。
警察などによると、4年の男児(10)が校庭でゴールの下敷きになり、意識不明の状態で病院に搬送されたが、約4時間後に死亡が確認された。
同校や市教委などによると、事故は、体育の授業で行われていたサッカーの試合中に発生した。
警察などによると、ゴールは高さ約2m、幅約3m。ハンドボール用だが、授業でサッカーのゴールとして使用していた。類似品から推定した重さは約130kg。
男児はゴールキーパー役で、味方が相手ゴールに得点したことを喜び、自陣のゴールネットにぶら下がったところ、バランスを崩し地面に落下。
直後に前に倒れてきたゴールの下敷きになり、首や肩を挟まれた。
事故当時、4年生の2クラス計38人が男女4チームに分かれて試合をし、各クラスの担任の講師と教諭の計2人が審判をしていた。
男児のチームの試合は担任の女性講師が審判を務めていた。
事故の瞬間は目撃していなかったという。
市教委によると、事故のあったゴールは5カ所で固定。
このうち3カ所は金属製の留め具で直接地面に固定するタイプで、これらが全て外れていた。
教諭の一人は学校の調査に対し、昨年12月に校庭を清掃中、留め具による固定を確認したと説明。
数週間の間に外されたとみられ、市教委は、校庭の利用状況を調べる。
留め具は校庭の隅にある物置で用務員が発見し、学校に報告した。
何者かが故意に外して物置にしまった可能性がある。
ゴールはさらに、ロープで別の杭2本と結び付ける仕組みになっていたが、事故直後にはロープが途中で切れていた。
切れた時期はわからないという。
ゴールは学校側が月に1回点検することになっているが、昨年10月を最後に実施していなかった。
事故を受け、記者会見した市教委の記伊教育長は、「授業中の事故で、大変遺憾。このような事故が二度と起きないよう、設備の安全点検をしっかり徹底していきたい」と話し、謝罪した。
文部科学省は2013年、サッカーなどのゴールについて、くいなどで固定するよう通知している。
[不測の事態常に想定を 学校安全全国ネットワーク副代表の細川潔弁護士の話]
小学生は、学校内で何をするか予想できない。
学校や教育委員会は、常に不測の事態を想定した対策を取る必要がある。
出典
『ゴール下敷き、小4死亡=体育授業でサッカー中に-福岡』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011300541&g=soc
『事故 サッカー授業中、ゴールの下敷き…小4男児が死亡』
http://mainichi.jp/articles/20170114/k00/00m/040/052000c
『ゴールの下敷き小4死亡 体育授業中、切れた固定具放置 大川市の小学校』
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/301270
『ゴール固定の留め具、故意に外された疑い 業務上過失致死容疑視野に捜査 福岡・下敷きの小4男児死亡』
http://www.sankei.com/west/news/170114/wst1701140079-n1.html
『ゴールの杭3本、事故時は外れていたか 福岡の小4死亡』
http://www.asahi.com/articles/ASK1G5WN4K1GTGPB008.html
1月15日22時15分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警筑後署は15日、司法解剖の結果、死因は背部打撲による出血性ショックだったと明らかにした。
男児が前向きに倒れたところに、後ろからゴールが倒れかかり背中を強く打ったとみられる。
出典
『福岡・ゴール下敷き 死因は背中強打』
http://mainichi.jp/articles/20170116/k00/00m/040/073000c
1月16日18時48分にNHK福岡NEWS WEBからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて県教育委員会は、きょう、県内すべての市町村の教育委員会と県立学校に対し、事故防止の徹底を求める文書を送付した。
通知された文書では、サッカーやハンドボールのゴールといった移動式の設備や用具が固定されているかどうか再点検するよう求めるとともに、日ごろからの安全点検や教職員への研修を徹底するよう求めている。
出典
『ゴール事故で再発防止を通知』
http://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20170116/3055551.html
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
1月18日19時0分にNHK福岡NEWS WEBからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて18日、大川市議会の全員協議会が開かれ、倉重市長が「二度とこうしたことが起きないよう、学校だけでなく、市のすべて公共施設で安全点検を徹底したい」と述べた。
このあと教育委員会の担当者が、事故のあと市内すべての小中学校を調査した結果を報告した。
ほかにも2つの学校で、あわせて5つのゴールが固定されず、16日までにくいを打つなどの対応を終えたという。
出席した議員からは、事故原因の究明などを求める意見が相次ぎ、これに対し教育委員会は、今月中に専門家を含む安全調査委員会を発足させる方針を示した。
出典
『ゴール事故 安全調査委発足へ』
http://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20170118/3073951.html
(ブログ者コメント)
出典元とした朝日新聞の掲載写真によれば、「直接地面に固定するタイプの金属製留め具」とは、ゴールの下枠をU字形の鉄製の杭のような器具で挟み、地面に打ち込むもの。
一方、テレビ映像によれば、大人が上部ネットを軽く引っ張っただけでゴールが浮き上がっていた。それほど倒れやすかった模様。
(2017年2月23日 修正1 ;追記)
2017年2月20日22時21分に産経新聞westから、安全担当だった教職員が関係者に安全点検表を渡し分担して点検するのを2ケ月間忘れていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月21日付で読売新聞九州版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
大川市学校安全調査委員会は、20日、市役所で会合を開催し、同小の安全管理担当者だった男性教職員(28)のミスで、昨年11、12月はゴールの安全性を確かめる定期点検が実施されなかったことが報告された。
市教育委員会の下川学校教育課長が、会合後の記者会見で明らかにした。
市教委によると、川口小では年度ごとに安全管理担当者を決め、月初めに複数の教職員が「運動場及び周辺の異常」など、34項目を手分けして点検することになっていた
しかし、平成28年度の担当者は、市教委の聞き取り調査に、昨年12月までの2カ月間「点検表を他の教職員らに配布するのを忘れていた」ことを明らかにした。
このため、点検が実施されなかった。
点検表にはゴールの固定状況を確認する項目はなく、担当者はゴールを手で揺さぶって安定性を確かめていたという
出典
『担当者ミスで点検実施せず ゴール下敷き事故 福岡・大川』
http://www.sankei.com/west/news/170220/wst1702200077-n1.html
『小学校ゴールポスト事故 担当者が点検失念』
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20170221-OYS1T50016.html
(ブログ者コメント)
これも、定期的に実施することをチェックリスト化しておき、実施の都度、実施日と担当者サインを書くなどしていれば、防げた事故だったかもしれない。
ただ、点検内容として「問題ないか?」といった記述だと、点検していたとしても、事故は防げなかったかもしれない。
具体的に「問題ない」ことをどのように確認するか、その方法を書いておかないと、毎回違う人がチェックする今回のような場合は、チェック内容に差が出てしまう。
2017年1月6日16時16分にNHK神戸から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月6日13時41分に朝日新聞から、1月7日11時5分に読売新聞から、1月6日18時2分に神戸新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
5日正午ごろ、宝塚市立花屋敷グラウンドで、サッカー大会に参加していた市内の中学1年生の生徒が練習していたところ、突然、ベンチ用のテントが後ろ向きに倒れ、下敷きになった。
教師ら数人が持ち上げて引き出そうとしたが、重さに耐えられず、再び生徒の左足に落ちたという。
生徒は左足の甲とすねを骨折し、全治4カ月のもよう。
花屋敷グラウンドは、小高い丘の上にある、野球やラグビーでも利用される人工芝のグラウンドで、市スポーツ振興公社が指定管理者。
宝塚市によると、倒れたテントは、横5m、高さ2.5m、奥行き2.4~2m、重さがおよそ200kgある。
鉄柱にビニール製の屋根が付いており、下部にはキャスターが付いた移動式のもので、ふだんは、グラウンドの隅に置いてあって、利用者が自由に動かせるようになっていたという。
グラウンドの指定管理者が「強風時転倒注意」の貼り紙をしていたが、砂袋などの重しはなかった。
市教委スポーツ振興課によると、ベンチは試合中のチームの控え選手らが利用。
ベンチとつながっていない可動式の屋根だけが、強風にあおられて倒れた。
当時、強風注意報などは出ていなかったが、もう一つのベンチを覆っていた屋根も風で動き、選手が押さえるなどしていたという。
現場にいた教師は、「並んでいた2台のテントが風にあおられて傾き、1台はみんなで抑えたが、もう1台は抑えきれず倒れた」と話しているという。
テントを使う際に、風に対する制限やおもしを置くなどの使用規定はないということで、宝塚市は、安全対策をとるまで、テントの使用を中止することを決めた。
大会は、市中学校体育連盟サッカー競技部の主催。
昨年末から今月6日まで開かれ、市内の中学サッカー部と中学生クラブチームの計13チームが参加していた。
市によると、過去に転倒事故はないという。
出典
『風でテント倒れ中学生大けが』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025820631.html?t=1483735125792
『移動式ベンチ屋根、強風で倒れる 下敷きの中1男子骨折』
http://www.asahi.com/articles/ASK1645G1K16PIHB00Y.html
『重さ200キロの可動式屋根の下敷き、中1重傷』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170107-OYT1T50010.html
『ベンチ用テント倒れ中学生重傷 宝塚のグラウンド』
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken_chiiki/201701/0009807909.shtml
2016年12月26日20時46分にNHK首都圏NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
社会人サッカーの試合中に接触プレーで骨折した男性が相手の選手を訴えた裁判で、東京地裁は、「相手が強引にボールに挑む必要があったのか、はなはだ疑問だ」などとして、240万円余りの賠償を命じる判決を言い渡した。
この裁判は、4年前に行われた東京都社会人サッカーリーグの4部の試合に出場した男性が、相手チームの選手と接触し左足のすねを骨折したとして、賠償を求めたもの。
男性が左足でボールを蹴ろうとしたところ、相手が前の方から足を伸ばしてきたため、相手の靴底がすねにあたったが、試合ではファウルではないと判定されていた。
26日の判決で東京地裁の池田裁判官は、「サッカーという競技は危険性を含んでいるので、相手にけがをさせても違法性が否定される余地がある」と指摘した。
一方で、今回のけがについては、「男性が足を振り上げることは予想できたのに、靴の裏側を向けるのは危険な行為で、強引にボールに挑む必要があったのか、はなはだ疑問だ。退場処分も考えられる行為で、常識的に考えて、競技中に通常生じるようなけがとは認められない」として、240万円余りの賠償を命じた。
相手選手の弁護士は、「プレー中の不可避な行為で、違法ではない。控訴する方針だ」と話している。
出典
『サッカーでけが賠償240万円』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20161226/5613891.html
12月29日9時55分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
サッカーの試合中に足を骨折した男性が接触した相手チームの男性に約690万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、東京地裁であった。
池田裁判官は、「故意ではないが、過失の程度は軽くない」として、接触相手に慰謝料や治療費など、約250万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、2人は2012年6月に都社会人4部リーグの試合で、原告がボールを蹴ろうとした際に接触。
原告は左足を骨折し、計29日間入院した。
判決は、審判が反則と判定しなかったことなどから「故意とは認められない」とする一方、「原告がボールを蹴るため足を振り上げることは予見できた。強引にボールに挑む必要があったのか疑問」と指摘。
「社会的相当性を超える行為で、違法性がある」とした。
出典
『社会人サッカーで骨折、接触相手に250万円賠償命令』
http://www.asahi.com/articles/ASJDV636DJDVUTIL03M.html
(2017年1月14日 修正1 ;追記)
2017年1月13日7時5分に読売新聞から、判決が波紋を呼んでいるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
社会人サッカーの試合で30歳代の男性選手の足を骨折させたとして、東京地裁が昨年12月、相手選手に約247万円の賠償を命じた判決が波紋を呼んでいる。
男性は、足に着けていた防具が割れ、左すねが折れ曲がる重傷だったが、選手同士が接触するスポーツにけがはつきものともいえる。
「危険なプレーなら仕方ない」
「選手が萎縮してしまう」
判決に対する現場の賛否は割れている。
「今も痛みがあり、小学生から続けてきたサッカーができなくなった。あのプレーが認められれば、子供に勧められる競技でなくなってしまう。危険なプレーを減らしたい思いだった」。
今月7日、東京都内で取材に応じた男性は、訴訟に踏み切った理由をそう語った。
判決によると、男性は2012年6月、千葉市で行われた東京都社会人4部リーグの試合に出場。
センターライン付近でボールを右ももで受け、左足で蹴ろうとしたところ、走り込んできた相手の左足が男性の左足すね付近にぶつかった。
審判はファウルをとらなかったが、男性が倒れ込み、試合は一時中断。
男性は左すねの手術などで計約1か月間入院し、15年5月、「スパイクの裏側で故意に蹴られた」などとして、相手選手らに計約689万円の支払いを求めて提訴した。
訴訟で相手選手側は、「男性の足元から離れたボールに向けて左足を伸ばした。けがは予見できなかった」などと主張した。
しかし判決は、「勢いを維持しながら左足の裏側を突き出しており、男性の負傷を十分予見できた」と指摘。
「故意」は否定したが、「退場処分が科され得る行為だった」として過失責任を認定した。
相手選手側は既に控訴。
相手選手と代理人弁護士は、いずれも「裁判中なので答えられない」としている。
今回の判決は現場や専門家の間でも注目されており、賛否両論が出ている。
「選手生命を絶つほどのプレーなら仕方がない」(サッカー少年団の20歳代男性コーチ)
「サッカーは接触が当たり前。賠償を恐れれば、レベルが下がりかねない」(社会人チーム代表の40歳代男性)
判例などでは、賠償責任が生じるか否かは、
〈1〉プレーがルールや常識の範囲内か
〈2〉重大なけがの発生を予見し、回避できたか
〈3〉競技者の「危険の受け入れ度合い」を上回ったか
などがポイントとなる。
第一東京弁護士会のスポーツ法研究部会の部会長を務める合田雄治郎弁護士は、「最近は、スポーツを楽しむ権利が重視されてきたことを背景に、ルールの範囲内でも、注意義務違反があれば賠償責任を認める傾向にある。今回は、こうした流れに沿った判断だろう」と指摘。
これに対し、スポーツを巡る訴訟に詳しい片岡理恵子弁護士は、「賠償責任の認定は特に危険な行為に限定されるべきで、今回がそこまでの行為だったのか疑問だ。判決は負傷の程度を意識し過ぎたのではないか」と話している。
出典
『サッカーで接触の相手が重傷、賠償命令に賛否』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170113-OYT1T50029.html
2016年11月30日18時48分にNHK札幌から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月30日18時29分に産経新聞から、12月1日11時9分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌市の弓道場で、高齢の利用者が放ったアーチェリーの矢が100m離れた住宅の壁に突き刺さっていたことがわかり、市ではネットを張るなどの対応を取ることにしている。
札幌市などによると、ことし9月17日、豊平区にある月寒屋外競技場の弓道場から100m離れた住宅外壁にアーチェリーの矢が突き刺さっているのを住民が見つけた。
相談を受けた警察が矢の持ち主を調べたところ、80代の利用者が使っていた物だとわかったという。
市スポーツ部施設課によると、弓道場は弓道とアーチェリーの共用。
男性が矢を上向きに引いたため、軌道を外れたとみられる。
男性はアーチェリー歴34年。
回収時に矢が見つからず、9月13日に施設に紛失届けを出していたが、敷地内で紛失したと報告していて、その時期も明らかにしていなかったという。
記憶があいまいで、誤射の認識はなかったという。
矢は、弓道場の高さ9mの壁を越えて敷地の外に飛んでいたということで、札幌市内のアーチェリー競技者を管理する札幌アーチェリー協会では、矢を紛失した際に十分な捜索を行わず、適切な報告もしなかったとして、練習や試合を行う際に必要な会員証の剥奪などを検討しているという。
地域の住民からは、今回のほかにも過去3回、近くの駐車場の地面に矢が突き刺さっていたと報告があったということで、施設を管理する札幌市などでは、ネットを設置して矢が敷地の外に飛び出さないよう対策を取ることにしている。
再発防止策を完了するまで、弓道場を閉鎖する。
出典
『住宅に洋弓の矢 対策実施へ』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161130/4835141.html
『80代男性がアーチェリーの矢を誤射 約100メートル離れた住宅の壁に刺さる 札幌』
http://www.sankei.com/affairs/news/161130/afr1611300040-n1.html
『アーチェリー 矢が民家外壁に刺さる 札幌の弓道場』
http://mainichi.jp/articles/20161201/k00/00e/040/157000c
(ブログ者コメント)
11月30日付で札幌市などからプレスリリースされた文書によれば、過去に3回誤射があった件は、地域住民への事情説明会で、初めて申し出があった由。
飛び出した矢を発見した住民の方は、なぜ、発見した時に弓道場に申し出なかったのだろう?
突き刺さることなく落ちていた・・・などの理由で、まさか弓道場から飛んできたとは思わなかったのだろうか?
『月寒屋外競技場弓道場における矢の暴発事故等について』
https://www.city.sapporo.jp/somu/koho/hodo/201611/documents/acheribohatsu.pdf
2016年11月25日19時10分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸市須磨区にある県立高校のグラウンドで2012年3月に開かれたサッカー大会で移動式フェンスが倒れ、M高校サッカー部コーチの40代男性が下敷きになり、胸椎圧迫骨折などのけがを負っていたことが、25日、県教育委員会への取材で分かった。
県教委によると、フェンスは高さ約3.5m、幅約4mで、風で倒れた可能性があるという。
男性は後遺症を負ったといい、13年8月、県と大会を主催した県サッカー協会を相手に、神戸地裁に損害賠償を求める訴訟を起こした。
このほど示された和解案は、県と同協会がそれぞれ800万円を男性に支払う内容で、県は受け入れる方針。
12月5日開会の県議会定例会に関連議案を提出する。
県教委体育保健課は「体育施設の安全管理を徹底したい」としている。
出典
『サッカー大会中 フェンス倒れコーチ下敷きに』
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201611/0009698210.shtml
2016年11月25日4時10分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水泳授業での重大な事故を防ぐため、東京都教育委員会は24日、来年度から都立校でプールへの飛び込みを原則禁止し、水中でのスタートとする方針を決めた。
他県でも同様の動きがあり、文科省も適切な指導方法を検討する。
都教委によると、飛び込み禁止は、体育の授業や校内の水泳大会、文化祭でのシンクロザイズド・スイミングの演技など。
水泳部の活動では、顧問教員らの指導を条件に認める。
都立校では、2000年までの2年間に飛び込みによる死傷事故が3件続き、今夏も男子高校生が首を骨折。
今夏の授業で飛び込み指導をしたのは7校だけ。
一方、人気映画「ウォーターボーイズ」の影響もあり、11校で男子のシンクロ演技が披露されたという。
都教委の担当者は、「重大な事故を防ぐ必要がある」と話す。
長野県でも昨年7月、授業で生徒が首を骨折し、下半身不随の後遺症が残る事故があり、県立高校で飛び込み指導を禁じた。
岐阜県多治見市では、すでに飛び込み禁止としていた昨年6月、市立中学で男子生徒が頭を打って入院する事故があり、指導の徹底を図るように各校に周知した。
学校での指導方法を示す国の学習指導要綱では、小中学校は「水中でのスタート」とする一方、高校は飛び込み指導を認めている。
しかし、松野文科相は、今月16日、国会で内容の変更を検討する考えを明らかにした。
今後、都道府県教委から現状を聞き取る方針だ。
飛び込み指導について議論した24日の都教委の会合では、委員から「危険だからといってやめればいいという話ではない」との意見も出た。
一方、学校での体育事故に詳しい名古屋大大学院の内田良准教授によると、13年度までの31年間に、学校のプールに飛び込んで後遺症の残るけがを負った事故は169件あり、大半がプールの底で頭を打つ形だという。
「生徒が溺れるのを防ぐため、学校は十分な水深のないプールが多い。自治体の判断で禁じるべきだ」と指摘する。
出典
『都立校、プール飛び込み原則禁止へ 他県でも同様の動き』
http://www.asahi.com/articles/ASJCS5Q76JCSUTIL04J.html
(ブログ者コメント)
学校プールでの飛び込み危険性については、本ブログでも、事例を含め、何件か情報を紹介している。 (URL等添付省略)
2016年11月2日0時54分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
卒業した奈良県の高校の水泳部の練習に参加中、頭を打って重い障害を負ったのは、学校が安全策を怠ったためとして、元水泳部員の女性(24)が県を相手取り、2億1504万円の損害賠償を求めた訴訟が、大阪高裁で和解した。
10月17日付。県が女性に1億円の和解金を支払う。
訴訟記録によると、女性は大学2年生だった2012年8月、母校の高校(橿原市)の水泳部の練習に参加。
プール脇から飛び込んで底に頭を強く打ち、首の骨を負傷し、手足にまひが残って、車いすが必要になった。
一審・奈良地裁判決は、日本水泳連盟のガイドラインを引用。
今回の飛び込み地点の水深は1m以上、1.1m未満で、水面から30cmを超える高さから飛び込みをさせてはいけなかったと指摘し、学校の管理ミスがあったとして、6691万円の支払いを命じた。
しかし、女性にも過失があったとして賠償額は抑えられ、女性が控訴していた。
出典
『高校プール事故で重い障害 奈良県、1億円支払いで和解』
http://www.asahi.com/articles/ASJC15G70JC1PTIL017.html
(ブログ者コメント)
学校プールでの飛び込み危険性については、本ブログでも何件か紹介スミ。
その1つの事例として紹介する。
2016年9月27日付で東京新聞朝刊から図解付きで下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月27日19時47分に朝日新聞から、9月28日付で毎日新聞東京版朝刊からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都の高校(江東区)で、7月、水泳の授業中に3年生の男子生徒(18)がプールに飛び込んだ際、底で頭を打って首の骨を折る大けがをしたことが、東京都教育委員会への取材で分かった。
生徒は現在も入院中で、胸から下にまひのような症状があり、リハビリのため入院している。
都教委によると、事故は7月14日午前10時ごろに発生。
保健体育の男性教諭(43)が、「頭から飛び込むため」として、スタート位置から1m離れたプールサイドで、足元から高さ約1mの水面上にデッキブラシの柄を横に掲げ、生徒に柄を越えて飛び込むよう指示。
生徒は指示通り飛び込み、急な角度で入水して水深1.1mのプールの底に頭を打ち付け、救急搬送された。
生徒は、1,2年時に授業で飛び込みを経験したことがなく、3年で飛び込みの練習を始め、この日が5回目の授業だった。
プールは、満水時は約1.2mの深さになる構造だが、学校側は「注水に時間がかかる」との理由で、水を減らしていた。
教諭は都教委の事情聴取に、「飛び込みを上達させたかったが、危険な行為だった」と話したという。
都教委側は取材に、「水深が浅いプールで指導をした上に、生徒の習熟度に応じた授業を行っていなかった。不適切だった」と認め、教諭の処分を検討している。
都教委は事故後、都立校に再発防止を求める通知を出した。
日本スポーツ振興センターによると、2005~14年度の10年間、全国の小中高校でのプールの飛び込み事故で後遺症があったケースは33件。
うち約9割に当たる29件は、プールの底で頭や首を打っていた。
文部科学省は、12年度から小中学校の授業では飛び込みを禁止したが、高校の授業については禁止せず、段階的に指導するよう定めている。
学校事故に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「文科省は高校の授業でも飛び込みを禁止すべきだ」と訴えている。
出典
『墨田工業高の水泳授業で生徒が首骨折 教諭が飛び込み指示』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201609/CK2016092702000127.html
『高校生、プール飛び込み首骨折 教諭が不適切指導』
http://www.asahi.com/articles/ASJ9W44GKJ9WUTIL00Y.html
『首骨折 飛び込み練習で高3 都立高校プール』
http://mainichi.jp/articles/20160928/ddm/041/040/146000c
(ブログ者コメント)
学校のプールへの飛び込みで重大事故が起きていることは、今年7月にも紹介済。
2016年7月29日掲載
2016年7月22日報道 日本スポーツ振興センターによれば、学校のプールに飛び込み重い後遺症の残る重大事故が最近18年間で30件発生、名大の内田准教授も昨年指摘 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6128/
(2018年4月18日 修正1 ;追記)
2018年4月16日16時45分にNHK首都圏から、プール水深に関する若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも若干修正した)
都教委は、45歳の男性教諭が飛び込みを指示したとして、16日付けで停職6か月の懲戒処分とした。
都教委が調べたところ、教諭はプールの水深が通常より10cmほど浅い1mほどだったことを知りながら、注水しなかったという。
この事故を受け、都立高校では昨年度から、原則として水泳の授業での飛び込みを禁止し、水中からスタートするよう指導することや、水深の確認を十分に行うことなどを学校側に求めている。
出典
『水泳飛び込み指示の教諭停職処分』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180416/0010587.html
(2021年7月10日 修正2 ;追記)
2021年7月9日19時9分に産経新聞からは、事故直前に別の生徒が頭をプールの底にぶつけていたが、けががなかったため、教諭は次も大丈夫だろうと軽信したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
危険な飛び込み方法を指導したとして業務上過失傷害罪に問われた高校教諭、松崎被告(男性、48歳)の初公判が9日、東京地裁(鏡味薫裁判官)で開かれ、松崎被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、高く飛びすぎるとプールの底に衝突する危険性があると認識していたにも関わらず、松崎被告が前方に差し出したデッキブラシを越えて飛び込むよう生徒たちに指示したと指摘。
事故直前には別の生徒が額をプールの底にぶつけたと申告していたが、「けがをしなかったから次も大丈夫だろうと軽信した」と主張した。
松崎被告は昨年12月に略式起訴されたが、東京簡裁が今年1月に略式命令は不相当と判断し、正式な裁判を開くことを決めた。
https://www.sankei.com/article/20210709-WIGWNNRV2RPEVEOV7EWGASMAZQ/
7月9日19時47分にNHK首都圏からは、元生徒は水泳部だったので飛び込まないと何を言われるか分からないと思い飛び込んだなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
検察官が読み上げた元生徒の供述調書によりますと、元生徒は「水泳部だったので、飛び込まないと教諭に何を言われるか分からず、飛び込んだ。就職も諦めざるをえなくなり、介助無しでは生活できなくなった」と述べていたということです。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210709/1000067086.html
2016年7月22日7時4分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『学校プール、飛び込みで事故多発…浅い水深多く』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160721-OYT1T50152.html
学校のプールに飛び込み、重い後遺症の残る重大事故が最近18年間で31件発生したことが、日本スポーツ振興センター(JSC)の統計で分かった。
プールの底に頭をぶつけ、頚椎を損傷するケースがほとんどで、スポーツ庁などが注意を呼びかけている。
JSCは、1998~2015年度、学校管理下で発生した災害共済給付事例を調査。
脊髄損傷109件のうち、プールへの飛び込みが原因とされる事故が最多の30件に上った。
学校のプールは文部科学省の水深基準がなく、溺れることを防ぐために、約1mと浅いものが多い。
名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「水深1mでは、上級者も頭を打つ恐れがある」と指摘する。
内田准教授によると、飛び込みによる重大事故は、83~13年度の31年間で169件あった。
(ここまで346文字 / 残り214文字は有料)
(ブログ者コメント)
○内田准教授といえば、本ブログで、以前、組み体操の危険性を前から指摘してきた人物として紹介した人だ。
YAHOOニュースには、組み体操と同様、学校プールでの飛び込み危険を指摘する氏の数件の投稿?記事が掲載されている。
以下は、記事の一例(冒頭のみ転載)。
『学校のプールでまた飛び込み事故 授業では全面禁止を!!』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20150719-00047677/
いったい何回「コピペ」の事故が続けばよいのだろう。
学校のプールでまた、まるでいつものことのように、重大事故が起きた。
被害者は、長野県立の高校に通う3年生の男子生徒。14日午前の出来事であった。
水泳の授業中に、スタート台からプールに飛び込んだ際に、頭部をプールの底にぶつけて、首を骨折したという。
昨年の7月、名古屋市立の中学校で、水泳の授業時に2年生男子生徒がスタート台から飛び込みをして首を骨折し、首より下に麻痺が残った。
今年6月には、岐阜県多治見市立の中学校で、体育の授業中にスタート台からプールに飛び込んだ3年生の男子生徒が、プールの底に頭部を打ち、全身がしびれた状態となった(詳細は不明)。
水泳の授業時に、スタート台から飛び込み、頭部を底に打ちつけて、重度障害・傷害を負う。
日付と学年を書き直しただけの、まるでコピペの事故が続いている。
生徒には、車いすや寝たきりの生活が待っている。
・・・・・・・
○一方、文科省からは、下記の通知が平成15年6月2日付で出されている。
『水泳等の事故防止について』
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20030602001/t20030602001.html
二 プールにおける事故には、スタート時に、逆さまに深く入水し、水底に頭部を打ちつけて起こるものが少なくないので、スタートの指導については、個人の能力に応じた段階的な取り扱いを重視し、教師等の指示に従い、水深や水底の安全を確かめ、入水角に注意するなど、安全に配慮した慎重な指導を行うこと。
さらに、最近、一定の技能を身につけている児童・生徒がスタート時の重大事故に遭った事例が報告されていることにも留意すること。
また、入水の際、無理な息こらえや必要以上に深呼吸を繰り返し行わせることなどによる重大事故事例も報告されているので十分注意すること。
2016年8月5日19時16分にNHK東海NEWS WEBから、内田氏の飛び込み事故調査結果に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『学校プール飛び込み事故相次ぐ』
http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20160805/4460301.html
学校のプールで子どもが飛び込んだ際に頭を打つなどして後遺症を負った事故が、おととしまでの32年間に172件にのぼることが、名古屋大学の調査で分かった。
この調査は、名古屋大学教育学部の内田良准教授が、日本スポーツ振興センターの資料をもとにまとめた。
それによると、学校のプールに飛び込んだ子どもが後遺症を負う重大な事故が、おととしまでの32年間に172件起きていたことが分かった。
事故の多くがプールの底にぶつかったことによるもので、9割にあたる154件は頭や首を損傷して、まひなどの障害を負っていた。
頭や首の事故を分析したところ、学校別では中学校での事故が最も多く50.6%、高校が32.5%、小学校が16.9%だった。
また、事故の半数近くが授業中に起き、3分の1が部活動中だった。
文部科学省は、学習指導要領で、小中学校では「水中からスタート」するよう求めていて、飛び込みについては、高校で初めて「段階的な指導を行う」と記している。
調査を行った内田准教授は、「学校のプールは水深が浅く、少しでも飛び込み方を間違えると頭を打って重大な事故になる。授業では飛び込みの禁止を徹底することが大事だ」と話している。
2016年6月11日15時47分にNHK山口から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6月10日23時37分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午後6時前、周南市徳山の岐陽中学校で、陸上部の男子生徒4人が一緒に鉄製のローラーを引いて運動場の整備をしていたところ、1人が転倒し、ローラーの下敷きになった。
この事故で、3年生で14歳の男子生徒が病院に運ばれて手当を受け、頭や足を骨折する大けがをした。
警察や学校によると、ローラーは幅が1m30cm、直径が46cmで、けがをした男子生徒が別の生徒の足につまずいて、うつぶせに転倒したという。
当時、運動場には陸上部の顧問の教諭がいたが、別の生徒の指導にあたっていたということで、中学校の高田教頭は、「生徒に痛く、怖い思いをさせてしまい申し訳ない。状況を分析して再発防止に努めたい」と話していた。
他の3人にけがはなく、このうちの1人から知らせを受けた学校が通報した。
警察は、当時の状況を詳しく調べている。
出典
『ローラーにひかれ中学生重傷』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4063057211.html?t=1465681987750
『中学生が整地用ローラーの下敷き 重傷、山口・周南』
http://this.kiji.is/114010671166832643?c=39546741839462401
2016年6月8日付で東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都練馬区の区立中学校で、5月31日、3年の女子生徒が運動会の組み体操の「ピラミッド」を練習中に最上段から落下し、右肘骨折で2カ月の重傷を負っていたことが分かった。
組み体操では各地で事故が多発し、国が3月末に、全国の教育委員会に注意喚起の通知を出していた。
同校や区教委によると、31日午後2時ごろ、女子生徒は校庭で14人で4つんばいに積み重なる「ピラミッド」の練習中、最上段4段目で膝立ちの状態で両手を挙げる際、バランスを崩して、約2mの高さから落下した。
教員は、ピラミッドの後ろと左右に計3人がつき、今年から安全対策として、ピラミッドの前後には畳のマットを敷いていた。
女子生徒は右肘を固定して通学しており、6月4日の運動会当日は、別の生徒が代役をしてピラミッドを行った。
ピラミッドの段数は昨年より1段下げるなど、規模を縮小したという。
今年の運動会の練習期間は4月上旬から約2カ月で、別の技でも3年男子が打撲のけがをしたという。
校長は本紙の取材に、「子どもの体力が落ちていることを実感しており、来年に向けて組み体操の内容を見直したい」と話した。
組み体操を巡っては、東京都教育委員会が、本年度、都立の高校などでピラミッドや肩の上に立つ「タワー」を休止。
国も、三月末に注意喚起を促した。
しかし、技の制限など安全対策は自治体によって異なり、練馬区は実施内容を各学校に任せていた。
出典
『組み体操の練習中に落下し骨折 注意喚起の通知後、練馬の区立中で』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016060802000117.html
6月8日付で毎日新聞東京版夕刊からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
区教委では、今年4月、事故につながる危険性などを検討のうえ、組み体操を実施するかを判断するよう各校に通知。
事故のあった中学では、昨年よりピラミッドを1段下げ、前後に畳を敷いたうえで教員2人が付く計画を立てていた。
組み体操については、実施を巡って各地で対応が分かれている。
東京都教委は、今年度、ピラミッドや肩の上に立って円塔をつくる「タワー」は危険性があるとして、都立の学校で休止している。
市区町村教委に対しても、実施するか検討するよう、求めている。
出典
『組み体操 落下、骨折 中3女子がピラミッド最上段から 東京・練馬』
http://mainichi.jp/articles/20160608/dde/041/040/044000c
(ブログ者コメント)
ピラミッド関連の記事については、これまで何件か本ブログに掲載済。
本件、八尾市での事故がメディアに大きく取り上げられたこともあってか、全国的に実施の是非などが検討されてきた。
この学校でも、検討の上、安全策を強化して実施継続と決めたようだが、それでも事故は起きてしまった。
必然性のあることなら、多少のリスクを覚悟で実施するのは当然なのだが・・・・・?
2016年2月10日5時6分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
学校の運動会で組み体操による事故が多発していることを受け、文部科学省は、対策に乗り出す方針を決めた。
春の運動会シーズンに間に合うよう、3月末までに、各地の教育委員会などに安全確保策を求める考え。
「人間ピラミッド」などでの負傷件数が年8千件を超える現状の改善をめざす。
馳浩文科相は、9日の記者会見で、「組み体操は危険な状況になる可能性のある教育活動」と指摘。
四つんばいになった人の背中に人が乗り、段を重ねてつくる「ピラミッド」について「、(崩れた時に)十分に体のできあがっていない中学生が圧迫を受けたらどうなるのかは、想像すれば分かる。(文科省として)一つの考えを示す必要がある」と話した。
同省は、今後、過去の事故の分析などを進め、安全確保策をまとめて教委などに対策を求める考えだ。
日本スポーツ振興センター(JSC)によると、2014年度に災害共済給付を支給した小中高校の組み体操の事故は8592件で、記録のある11年度から毎年度8千件を超す。
14年度の事故の校種別の内訳は、小学校6289件、中学1885件、高校418件。
負傷の種類別では、2095件(24.4%)が骨折だった。
JSCの記録をもとに,松戸市立病院(千葉県)の庄古知久医師がまとめた資料によると、14年度は頸髄(けいずい)損傷も3件あった。
国会でも、組み体操問題に関する超党派の議員連盟が近くでき、文科省に対策の提言などをする予定だ。
■「今に大事故起こる」「達成感味わえる」 教師や保護者に賛否
「生徒の身体能力が以前と変わった。教師の指導で補えるレベルではない」。
東京都北区立稲付中の武田校長(55)は、そう話す。
14年に、前年まで続けていた組み体操を中止した。
受け身を取れず顔を打ちつける生徒らを見て、「今に大事故が起こる」と判断。
保護者らから、「大けがを負ったわけでもないのに、やめてほしくない」との声も出たが、理解を求めた。
代わりの種目は、空手の演武など。
「危険を冒さなくても、感動や達成感は得られる」と武田校長は話す。
都内の女性(49)は、「国が禁止する勇気を持たないと事故はなくならない」と言う。
14年に小6の長女が4段タワーの最下段で下敷きになり、左ひじを骨折した。
昨年4月に人間ピラミッドを取り上げた本紙「フォーラム面」で、長男が中学時代に組み体操で骨折した経験を投稿した熊本市の女性も、「組み体操に感動するという人がいるが、そのために子どもを危険にさらしてはいけない」と言う。
一方、都内の公立小に勤める男性教員は、「組み体操は盛り上がる種目。学校の判断ではやめづらい」。
小学生の娘2人を持つ愛知県の会社員男性(44)は、「皆で力をあわせて達成感を味わえる貴重な経験。けがを心配して甘やかしすぎじゃないか」と話した。
都内の小中学校でPTA会長を務めた男性(72)は、こう語る。「体育にけがはつきもの。安全な範囲で続ける努力が要るのでは」
■大阪市はピラミッド禁止、愛知県は上限通知
国に先駆け、独自の対策に乗り出す教育委員会も出てきている。
大阪市教委は、9日、市立の小中高校での組み体操のうち、ピラミッドと、立った人の肩の上にさらに人が立つ「タワー」を禁じることを決めた。
文科省によると、全国初の試みとみられるという。
市教委は、昨年9月、相次ぐ事故を重くみて、ピラミッドは5段、タワーは3段までとする上限を決定。
しかし、以後も小中学校で、ピラミッドなどの事故で7人が骨折したため、禁止に踏み切った。
市教委の大森委員長は、「これは人権問題。達成感や一体感を味わう子もいるが、強制になっている子もいる」と話す。
愛知県教委も、昨年末、県内の公立学校に、ピラミッド5段、タワー3段との上限を通知。
事故防止のため、教職員ら補助員の配置やマットの使用も求めた。
13~15年度に県内の小中学校で、組み体操で骨折をした子どもは396人おり、事態を重視して対策に踏み切った。
東京都教委も、1月、学校向けのガイドラインの作成を始めた。
騎馬戦や棒倒しなど、危険を伴うほかの種目も含め、指導時に配慮すべきことなどをまとめる。
大学教授らによる検討委の初会合では、「若手の教員が多く、安全な指導の要点が広まっていない」などが指摘された。
「組み体操をやるかどうかは学校などの判断だが、種目を選ぶ際の参考情報を提供したい」と担当者は話している。
千葉県松戸市教委は、ピラミッドなどについて、禁止も視野に入れて対策を検討中だ。
本郷谷市長が、昨年12月、「安全性が確保されるガイドラインができるまでは、組み体操をやらないように」と市教委に要請したのがきっかけ。
今年度、組み体操で負傷した市内の小中学生は64人で、うち10人は骨折だった。
■子どもの安全が最優先
名古屋大の内田良准教授(教育社会学)の話
組み体操は、運動が得意な子もそうでない子も全員参加を強いられる取り組みなのに、あまりに危険だ。
最優先するべきは、子どもの安全だ。
大阪市教委の決定は高く評価できる。高さ制限しても事故が多発したという実際のデータに基づく判断は、何より尊重されるべきだ。
漫然と問題を放置してきた行政・学校の責任は重い。
大阪市教委の動きは、全国の教育現場に影響するのではないか。
本来は、学校が自主的にやめなければならなかった。
各校は真摯に、組み体操の危険性に向き合うべきだ。
■あまりに管理主義
関西大の赤尾勝己教授(教育学)の話
大阪市教委の決定は、けがを回避するという観点から、一定の理解はしたい。
しかし、子どもの達成感や保護者の期待と安全性を勘案して、学校が決めるのが筋ではないか。
各校ごとに安全への取り組みは異なるはずだ。
教育委員会で画一的に決めてしまうのは、あまりに管理主義が過ぎる。
市教委の委員は、「運動が得意な子、苦手な子がいるのに全員参加が強制されている」と指摘した。
やりたい子どもには段数を制限した上で有志でやれるようにしたり、教員の補助を増やしたりして続ける選択肢があってもいいのではないか。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASJ294SV3J29UTIL01Y.html
2015年10月12日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5281/
(2016年2月8日 修正2 ;追記)
2016年2月1日20時56分に毎日新聞から、八尾市の検証委は高さ制限を提言することを決めたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
八尾市立の小中学校で組み体操の最中に骨折などの事故が相次いだ問題で、市教委の検証委員会は、1日、組み体操の高さの上限を「ピラミッド」は5段、肩の上に立つ「タワー」は3段と提言することを決めた。
他市町村の対応を調べ、大阪市教委などを参考に同様の上限を定めた。
近く、報告書を市教育長に提出する。
市教委は、3月までに再発防止のガイドラインを作成し、各学校に通知する方針。
同市では、昨年9月、中学校で10段ピラミッドが崩れ、1年の男子生徒が右腕を骨折した。
その後の調査で、過去10年間に市内の小中44校のうち36校で139人が骨折していたことが判明した。
検証委が全小中学校に実施したアンケートでは、市内の小6男女の57%、中3男子生徒の66%が「組み体操に危険を感じている」と回答。全学校の70%が「高さ制限が必要」と答えた。
ピラミッドを5段で実施している学校では事故が少ないことや、多くの学校のタワーが4段であることも分かった。
座長の伊藤教育次長は記者会見で、「単純な高さを競うのではなく、技の完成度の高さを競う方向に変えてほしい」と話した。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20160202/k00/00m/040/079000c
2月2日20時1分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
原因を分析した検証委は、学校側が各生徒の体力や体格差を考慮していなかったほか、周りにいた教師の補助も不適切だったとし、研修の徹底を提言した。
段数制限は、既に導入している大阪市教委の取り組みを参考にした。
中学校のピラミッド事故は、8段以上で実施した場合に目立ったという。
検証委の伊藤座長(教育次長)は、「過去の事故や他市の取り組みを参考に安全対策に取り組みたい」と話した。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160202-OYT1T50017.html
2016年1月24日3時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
学校でのスポーツ活動などで子供が死亡したり障害を負ったりした事故について、文部科学省は、原因究明を迅速化するルール作りを進めている。
現状では、調査委員会の設置が2割に満たず、真相解明を求める被害者家族らが裁判に訴えることもある。
このため文科省は、3月末までにまとめる事故対応の指針に、調査委設置を盛り込む方針だ。
日本スポーツ振興センターによると、2005~13年度に全国の学校で発生し、同センターが見舞金を給付した死亡や障害が残る重大事故は832件。
これらについて、文科省が14年度に行った実態調査では、558件の有効回答を得た。
事故が起きる場面は部活動中が34%で、授業中が22%で続く。
部活動別では柔道、野球、ラグビーの順で事故が多い。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160123-OYT1T50119.html?from=ycont_top_txt
(ブログ者コメント)
日本スポーツ振興センターでは、他にどのような調査を行っているのだろうか?
気になって調べてみたところ、以下のような調査研究を行っていた。
・体育活動における頭頸部外傷の傾向と事故防止の留意点
・学校における固定遊具に関する事故防止対策
・課外指導における事故防止対策
http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/tabid/57/Default.aspx
2015年10月5日5時30分にNHK関西NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし9月27日、大阪・八尾市の大正中学校の運動会で、組み体操の発表中、1年生から3年生の男子生徒157人が参加した10段のピラミッドが崩れ、下から6段目にいた1年生が右腕を骨折したほか、5人が軽いけがをした。
この学校では、去年から運動会で10段のピラミッドを実施していたが、去年は10段のピラミッドが完成した後、上の方にいた生徒が降りている途中に崩れ、6段目にいた3年生が右足首を骨折したほか、前日の練習でもピラミッドが崩れ、一番下の段にいた3年生が足の指を骨折したという。
このほか、肩の上に立ち円形の塔を作る「タワー」の練習中に3年生が落ちて足の指を骨折するなど、去年、組み体操であわせて4人が骨折していたことが分かった。
学校では、ことしの組み体操について9月3日に教員の間で議論したが、生徒に達成感を味わってほしいとして、ピラミッドの周りに配置する教員を増やすなど安全対策を強化した上で10段のピラミッドを継続することなどを決めたという。
横川校長は、「組み体操で起きるけがへの認識が甘かった。生徒に申し訳ない。リスクの高い技に挑戦させてしまったことは判断が誤っていたと反省している」と話している。
組み体操をめぐっては、子どもたちの信頼関係をはぐくむ効果があるなどとして多くの学校が運動会で取り入れる一方で、平成25年度に全国の小・中学校や高校であわせて8500件あまりの事故が起きていて、大阪市教育委員会が、9月、ピラミッドの段数を5段までに制限することを決めるなど、内容を見直す動きが出ている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20151005/5422491.html
2015年10月3日15時37分に産経新聞westから、奈良県でも組み体操時に事故が起きているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運動会・体育大会で披露される「組み体操」の事故防止対策として、大阪市教育委員会が「ピラミッド」の高さに規制を設けたことを受け、奈良県教委が県内公立学校を対象に実施状況を初めて調査した結果、平成26年度は小中学校で7人が骨折していたことが分かった。
県教委は、安全性に配慮するよう、市町村教委などに注意喚起を行うとともに、児童、生徒の体力や状況に応じた適切な指導を行うよう要請した。
調査は小学校202校、中学校104校、高校41校、特別支援学校10校に実施。
昨年度、組み体操を実施したのは小学校182校、中学校30校、高校6校、特別支援学校2校。
実施校の多くで、四つんばいで重なる「ピラミッド」や、肩に乗る「タワー」が取り入れられていた。
具体的な事故内容は、「ピラミッド」で小中学校で21人が負傷し、うち2人が骨折。「タワー」では25人がけがを負い、5人が骨折したという。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/151003/wst1510030044-n1.html
(ブログ者コメント)
組み体操の危険性については、名古屋大学の内田准教授が、昨年5月からYahooニュースに連載記事として寄稿中。
最新の寄稿記事は下記。八尾市の事故についても言及されている。
一方、組み体操の危険性については、八尾市の事故を契機として、毎日新聞社説など、数多くのメディアで取り上げられるようになった。
(2015年9月30日5時30分 Yahooニュース)
『10段の組体操 崩壊の瞬間と衝撃-2人の生徒教師に抱えられて退場 ▽組体操リスク(13)』
この秋も、全国の学校で巨大組体操が繰り広げられている。
ヤフーニュースをはじめ多くのメディアで、巨大組体操の危険性に関する情報が発信されているなか、この秋の体育祭で人間ピラミッドの中学校最高タイ記録「10段」にチャレンジした公立中学校(関西地域)がある。
(略)
9段目までは、比較的順調に積み上がっていった。
だが、最後の10段目の生徒が頂点にたどり着くや、ピラミッドはゆがみ始める。
頂点の生徒はなんとか立ち上がろうとするが、揺れが大きく立ち上がれない。その瞬間、10段のピラミッドは一気に崩れ落ちた。歓声は悲鳴に変わった。
(略)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20150930-00049999/
以下は、主だった関連記事。
(2015年10月2日5時30分 Yahooニュース)
『ハイリスクの巨大組み体操――警告のなかで起きた八尾市中学校の事故』
※ライターの松谷創一郎氏の寄稿記事。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20151002-00050074/
(2014年9月16日18時49分 JCASTニュース)
『巨大化する組体操ピラミッド、最大200キロの負荷 大学准教授「これのどこが『教育』なのか」と指摘』
http://www.j-cast.com/2014/09/16215983.html
(2014年9月16日6時45分 Yahooニュース)
『組体操 高さ7m、1人の生徒に200kg超の負荷 10段・11段…それでも巨大化 ▽組体操リスク(3)』
※上記記事中にある、内田氏の寄稿記事。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20140916-00039130/
(2015年10月31日 修正1;追記)
八尾市での事故が報道されて以降、全国各地の組み体操事故の実態が、しばしば報道されるようになった。
以下は、その一例。
また、数多くの自治体などで禁止や指針作りの動きが広がっている。
(2015年10月30日 NHK北海道)
『組み体操事故4年で約500件』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20151030/3107451.html
(2015年10月30日 伊勢新聞)
『鈴鹿市教委 組み体操事故4年で92件 骨折は32件、小学校調査』
http://www.isenp.co.jp/news/20151030/news04.htm
2015年9月25日16時4分に朝日新聞から、「小さな木片で大けがも・・・体育館の床板が刺さる事故相次ぐ」というタイトルの図解付き記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
体育館で床に滑り込むプレーの際、床の木片がはがれて体に刺さり、けがをする事故が相次いでいる。
「小さな床のささくれが大事故になりかねない」として、消費者庁の消費者安全調査委員会(事故調)は、近く、対策に向けた調査を始める。
事故の多くは、バレーボールのフライングレシーブなど、ボールに向けて飛び込むプレーで発生している。
飛び込んだ床面にささくれや亀裂があると、ウェアが引っかかり、その衝撃でめくれ上がった木片が体を突き刺すケースもあった。
大きなけがにつながった事故は、確認されただけでここ10年で8件。「軽傷だったために表面化していないケースはかなりある」(事故調関係者)とみられる。
富山県立大の男子学生(21)は、今年4月、体育館として使っている講堂でフットサルの試合中に大けがをした。
ボールに向けて滑り込んだ際、木片(長さ30cm)が背中に刺さった。傷は肝臓に及び、緊急手術を受けた。
トップ選手が使う施設でも、事故は起きている。
2013年5月に大阪府立体育会館であったバレーボールの黒鷲旗全日本男女選抜大会で、Vリーグ・パナソニックパンサーズの男子選手(当時25)が試合中、腹部に刺さった木片で5針を縫うけがをした。
海外では、死者も出ている。
ブラジルでは、10年3月にあった室内フットサルの試合で、足から入った木片が腹部まで達し、男性が死亡した。
床のささくれや亀裂は、床材の老朽化や表面をなめらかにするワックス剤の塗布不足などが原因と考えられている。
だが、改修数年後に事故が起きていたケースもあり、断定はできていない。
相模原市南区の中学校では、11年7月、12年4月と2年連続して、バレーボールの練習中にはがれた床板が生徒の胸に刺さる事故があった。
最初の事故後に周辺の床板を張り替え、体育館の床を全面点検したにもかかわらず、2度目の事故は別の箇所で起きたという。
いずれの体育館でも、学校や委託業者が定期点検をしていて、清掃の際にもささくれなどの異変は見つかっていなかった。
事故調の関係者は、「一歩間違えると命に関わりかねないが、危険性についてほとんど知られていない。まずは事故のメカニズムを調べて対策につなげるようにしたい」としている。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASH9L66KNH9LUTIL07M.html
9月25日22時48分に産経新聞westからも、同趣旨の記事が掲載されていた。
消費者事故調は25日、体育館でバレーボールやフットサルをプレー中に床に滑り込み、床板から剥がれた木片が体に突き刺さる事故が起きているとして、調査することを決めた。
床板のささくれに服や体が引っかかり、めくれる可能性が考えられる。そうした事故発生のメカニズムを解明し、予防策につなげたい考えだ。
事故調が報道などで把握している国内の事故は、平成18年8月~今年4月にバレーボールで6件、フットサルで1件。ほかに、発生時期が分からないバレーボールの事故も1件あった。
事故調によると、バレーボールでは、上半身から飛び込むフライングレシーブをした際の事故が目立った。
18年8月には、岐阜市の高校で男子生徒がレシーブの練習中に、長さ約8cmの木片が胸に刺さって負傷。
25年5月には、大阪市で社会人の男性選手が練習中、約20cmの木片が腹部に刺さった。
フットサルでは、今年4月、富山県射水市の大学で男子学生の背中に約30cmの木片が刺さり、肝臓にまで達するけがをした。
床板の老朽化などが原因との見方もあるが、新しい体育館でも事故が起きているという。
畑村洋太郎委員長は、25日の記者会見で、体育館を利用する際の注意点として「(床板にささくれや亀裂、浮きなど)異常がないか確認することが重要だ」と呼び掛けた。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/150925/wst1509250095-n1.html
(ブログ者コメント)
今年4月の富山県での事例は、下記参照。
当該記事中、他の事例2件も紹介している
2015年5月6日掲載
2015年4月28日 富山県射水市にある富山県立大学の講堂でフットサル中に学生が滑りこんだところ床材の一部が剥がれて刺さり、肝臓にまで達する大けが
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4844/
2015年4月30日18時22分に北日本放送から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月30日18時7分にチューリップテレビからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
28日、射水市にある富山県立大学の講堂で、フットサルをしていた男子学生が床に滑り込んだ際、床板の一部がはがれ、体に刺さっていたことがわかった。
命に別状はないという。
先ほど、県立大学の山本事務局長らが県庁で会見し、説明した。
それによると、28日午後8時半ごろ、県立大学の大谷講堂でフットサルのサークル活動をしていた21歳の男子学生が床に滑り込んだ際、床板の一部がはがれ、上半身に刺さった。
はがれた床板は長さおよそ30cm、厚さ2cmほどで、背中側から体に刺さり、肝臓まで達していたという。
男子学生は手術を受け、容態は安定しているが、2、3週間の入院が必要だという。
大谷講堂は短大時代の昭和39年(1964年)に建てられ、平成2年(1990年)の県立大学開学に合わせて、床板が張り替えられていた。
大学側は施設の老朽化が原因とみていて、「直前の清掃などでは異常は見られなかったが、大学側に施設の管理責任があると考えている」と話し、当面の間、講堂の使用を禁止するとともに、再発防止策を検討するとしている。
出典URL
http://www.knb.ne.jp/news/detail/?sid=7305
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20150430180741
(ブログ者コメント)
この種の事故は過去にもあり、本ブログでも紹介済。(どういうわけか、みな4月だが・・・)
2014年4月13日掲載
2014年4月5日 宮崎県都城市の総合体育館でバレーボールの大会中、レシーブで滑り込んだ際に床の集成材がめくれて脇腹に刺さる (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3826/
2012年4月8日掲載
2012年4月4日 相模原市の中学校体育館でバレーの練習で飛び込んだ際に床板が胸に刺さる、昨夏にも同様な事故
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/1632/
ただ、本来、産業安全とは異なる分野の事故につき、今後は特段のものでない限り、紹介を省略する。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。