







(1/2から続く)
4月13日15時59分に読売新聞からは、土日で作業員が集まらなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東は、10日深夜に支柱の傾きを確認して作業員を手配したが、週末を挟んでいたために作業員を十分に集められず、工事を3日後に先延ばししていたことが、関係者への取材で分かった。
関係者によると、同社は10日深夜に神田―秋葉原駅間で支柱付近を工事した際に傾きに気付き、施工会社に緊急手配をかけた。
しかし金曜日だったため、必要とされる数10人の作業員が確保できず、週明けの13日に工事を行うことを決めた。
緊急度が高いと判断したケースでは、施工会社以外にも要請して人手を集めることもあるが、今回は「倒れるほどの傾きではない」と判断して、先延ばししたという。
JR東は、土日に作業を行わなかったことについて、「判断が甘かった。迷惑をお掛けして申し訳ない」と話している。
また同社は13日、倒れた支柱などと同じ構造を持つ約5万か所を中心に緊急点検をするよう、支社に指示を出した。
JR品川駅付近では、作業着姿の社員ら数人が、柱の傾きの有無などを目視でチェックしていた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150413-OYT1T50079.html
4月13日22時16分に毎日新聞から、傾いている情報が総合指令室に伝わっていなかったなど、下記趣旨の記事が、倒壊に至る経緯説明図付きでネット配信されていた。
4月13日21時8分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
倒れた電化柱が傾いていることを最初に確認した工事担当部署の情報が、列車の運行を管理するJR東日本東京支社の東京総合指令室に伝わっていなかったことが、13日、JR東への取材で分かった。
情報共有の遅れがトラブルの原因となった可能性が出ている。
JR東によると、工事部門の社員が10日夜、現場付近の工事の際に、電化柱2基が傾いていることを確認し、上司に報告していた。
しかし上司は「すぐには倒れない」と判断し、総合指令室を含む他の関係部署に情報を伝えず、13日に改修工事を行うことにしていた。
また11日午後8時半ごろには、勤務を終えた山手線の乗務員から同様の情報が総合指令室の輸送の担当者に伝えられたが、付近を通過する電車の運転士らに現場の状況を確認させるなどの指示は出なかった。
さらに、電力系統の担当者に情報が伝わったのは約5時間半後の翌日午前2時ごろで、電化柱が倒れたとみられる時刻の約4時間前だった。
情報が共有され、電気系統などの担当者が早期に現場を確認していれば、補修などの対処が早くできた可能性がある。
総合指令室は、首都圏の路線を走る列車の運行を管理する。
通報する危険度の基準はなく、社員本人の認識に委ねられている。
同社は今後、小さな異常でも総合指令室に情報を上げ、共有する仕組みを検討する。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20150414k0000m040098000c.html
http://www.asahi.com/articles/ASH4F635MH4FUTIL02V.html
4月18日0時3分に朝日新聞からは、マニュアルに反し強度計算を怠っていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月18日2時29分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本は17日、支柱の上部にあった鉄製のはりを事故の18日前に撤去した際、社内マニュアルに反し、事前の強度計算を怠っていた、と発表した。
はりの撤去で架線からの張力への強度が落ち、倒壊を招いた可能性がある。
同社のマニュアルでは、電化柱などの構造物にかかる力が工事により変化すると予想される場合、破損などを避けるために、あらかじめ工事後の強度を計算することを定めているが、今回その形跡はなかった。
理由は調査中だが、工事計画の承認までに経る設計管理者など複数のチェックも素通りしていた。
同社広報は,「事前に強度不足が分かっていれば、今回の工事手法はとらず、事故を防げたかもしれない」と話す。
JR東は社員らへの聞き取り調査を進め、5月上旬にも中間報告として発表する。
工事中だったり、工事が計画されていたりする、同様の構造の支柱がある管内の247カ所では、いずれも正しく強度計算が行われていたという。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASH4K5J5MH4KUTIL03R.html
http://mainichi.jp/select/news/20150418k0000m040073000c.html
(2015年5月5日 修正1 ;追記)
2015年5月4日19時24分にNHK首都圏NEWS WEBから、支柱は大きく傾いていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トラブルの前に支柱が基礎の部分から大きく傾いていたことが、当時、現場で撮影された写真で明らかになった。
専門家は、「現場が直ちに緊急事態だと認識しなかったのは問題だ」として、教育や訓練のあり方を見直す必要があると指摘している。
この問題では、トラブルの2日前に工事の担当者らが支柱が傾いていることに気づいたが、当時、すぐに倒れる危険はないと判断し、改修は行われなかった。
現在、国の運輸安全委員会やJR東日本などが、トラブルの原因や経緯を調べているが、トラブルの前に支柱が傾いていた時の状況が、当時、現場で撮影された写真で明らかになった。
写真では、支柱がワイヤーに引っ張られる形で基礎の部分から傾き、支柱のうしろに見える工事用の車両や建物と比べると傾きが大きいことが分かる。
これについて、電気鉄道に詳しい工学院大学の高木亮・准教授は、「この状態を見て現場が直ちに緊急事態だと認識しなかったのは問題だ。大きな力がかかる場所であり、ここから先は倒れるスピードが急速に早まると考えて緊急な措置を講じるべきだった。現場の人たちが危険を予知する感覚を研ぎ澄ませるように、教育や訓練のやり方を再考しなければならない」と指摘している。
こうした状況について、JR東日本は、「緊急性がないと判断し、その後、改修する計画にしていたが、結果的に判断が甘かったと考えている」としている。
また、その後のJRなどの調べで、社内の情報共有に問題があった可能性があることも分かった。
これまでの調べで、倒れた支柱と別の支柱とをつなぐはりを撤去したことで、支柱が単独で立つ状態となり、強度が弱まった可能性があるほか、はりを撤去したあとの支柱の強度を事前に計算していなかったことが分かっている。
その後の調べで、設計の担当が支柱が単独の状態となることを認識していなかった一方、施工の担当は、支柱が単独の状態になると問題があるとは認識せずにはりを撤去していたことが分かった。
運輸安全委員会では、施工と設計の担当の間の情報共有についても調べを進めることにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20150504/4529251.html
2015年4月13日7時2分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12日午前6時10分ごろ、千代田区神田須田町2のJR神田-秋葉原駅間の線路内で、架線を支える支柱が倒れているのを、走行中の京浜東北線の運転士が見つけた。
影響で、山手線全線、京浜東北線の大宮-蒲田間上下線が運転を見合わせ、約9時間半後の午後3時48分までに順次再開した。
運休は計715本、影響人員は約41万人に及んだ。
倒れた支柱の一部は山手線内回りの線路に接触しており、電車が通過していれば大事故につながった可能性がある。
JR東日本は、支柱が傾いていることを10日深夜に確認したが、撤去は13日深夜の予定だった。
同社の福田常務は、「社員と工事会社が確認し、当面は大丈夫と判断した。過去に支柱が倒れた事例はない」と説明。「結果的に対策を取る前に倒れてしまった。誠に申し訳ありません」と謝罪した。
同社東京支社によると、倒れた支柱は山手線内回りと外回りの線路間に設置されていた。
2本1組で、高さ約7m、直径約20cmの鋼鉄製。
重さ約3トンのコンクリート製の土台上に2本が直立する形状だったが、土台ごと、線路に沿うように倒れた。
倒れた原因は、問題の支柱より神田駅側寄りにあった支柱が傾き、支柱同士をつなぐワイヤによって引っ張られたとみられる。
神田駅寄りの支柱が傾いた理由は、架線がたるまないよう横向きに約五トンの力で引っ張る「引留(ひきとめ)装置」の張力などで、バランスを崩した可能性があるという。
倒れた支柱は、線路をまたぐ形で反対側の支柱とつながっていたが、3月25日からの更新工事のため、梁(はり)状のつなぎ部分が撤去され、安定性が弱まったとみられる。
倒れた支柱の一部は、山手線内回りの線路に接触していた。
通過する電車を直撃したり、後続電車が乗り上げる可能性があり、あわや大惨事だった。
山手線は、平日のラッシュ時には、2分半おきに運行する過密ダイヤ。
仮に、こうした時間帯に支柱が倒れていれば、危険性がより高かった。
JR東日本によると、12日午前6時10分、支柱が倒れているのを京浜東北線の運転士が発見。
緊急停止ボタンを押し、周辺1kmの電車が緊急停止した。
現場では、約1分前に山手線内回り電車が通過したとみられる。
発見時、この電車は約250m先の秋葉原駅に到着していた。
また、後続電車は、神田駅の一つ手前の東京駅に到着しており、約3分後に現場通過の予定だった。
同社の福田常務は、「際どいタイミングだった。(電車の)手前で倒れた場合は、止まり切れたかどうか」と危ぶんだ。
支柱の傾きは、10日深夜に、社員と工事会社が気付いていた。
支柱は2001年に交換したが、コンクリートの土台は古く、設置時期は不明。
土台は約3トンの重さがあり、線路間に置かれた状態で、基本的には何にも支えられていない。
同社は、同様の支柱の撤去工事を東海道線と横須賀線でも進める予定で、約5万カ所を緊急点検する。
出典URL
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041390070228.html
4月13日1時1分に朝日新聞から、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
同社が異常を初めて認識したのは、10日夜、架線設備工事の際のことだ。
支柱は肉眼でわかるほど傾いていた。
だが、1987年の同社発足以降、地震以外で支柱が倒壊したことはなく、現場の社員は、すぐに倒れる可能性は低いと判断。
作業員の手配がつく13日に撤去すればよいと決めた。
11日午後8時ごろにも、現場近くを通った列車の運転士が、支柱の傾きを指摘した。
この報告が12日午前2時には工事担当部署に伝わったが、ここでも4時50分ごろの山手線の始発列車に職員を乗せ、現場の傾きを確認するにとどめた。
重さ1.3トンの支柱は、その約1時間20分後に倒れた。
パンタグラフを介して電車に電力を送る架線は、1本の長さが500~1000mあり、5トンの力で両端から張って,たるまないようにしている。
倒れた支柱は秋葉原寄りの端にあり、架線を引っ張る隣の支柱を3本のワイヤで支えている。
3月25日の工事で、線路をまたいで別の支柱とつなぐ鉄製のはりが外され、強度が落ちていたという。
コンクリート製の基礎(3トン)の重みで固定する構造で、反対の端から引っ張られる張力に耐えきれずに倒れたとみられる。
柱そのものは01年に古いものと取り換えられ、比較的新しいという。
これらの架線設備工事は、周りの老朽架線や支柱の更新に合わせ、複雑に張られた架線をシンプルにするのが目的。
問題の支柱2基も、新しい支柱に架線を付け替え、撤去する予定だった。
山手線のほか、東海道線、横須賀線など、計百数十kmの区間でも実施しており、山手線で建て替えている支柱は数100基ある。
基本的な工事手順は同じで、JR東は、同様の危険箇所がないか洗い出しを進める。
出典URL
(2/2へ続く)
2015年4月10日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4761/
(2015年4月16日 修正1 ;追記)
4月7日付で産経新聞から、今後の避難誘導方法について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
太田国交相は、7日の閣議後記者会見で、「1年後には北海道新幹線の開業が予定されている。避難誘導も含め、万全の体制を取るよう指示したい」と述べた。
JR東日本の冨田社長も同日の定例記者会見で、「避難誘導の在り方を、JR北海道ともう一度よく検討したい」と話した。
今回のトラブルで乗客の避難完了までに約5時間半かかっており、太田国交相は、「青函トンネル内で事故があった時にどうすればいいか、今回の状況を詳細に確認し、避難の在り方を検証したい」と話した。
原因については、「そんなに古い車両ではないが、過電流が発生したとの報告を受けた。全力を尽くし早急に究明すべきだ」と強調した。
冨田社長は、JR北海道と連携して安全対策や訓練を進める考えを示し、「北海道新幹線の線路はJR北海道の区間だが、乗客はかなりの部分がJR東日本のエリアから行く。乗客が不安を持ったまま開業することのないように取り組みたい」と語った。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/150407/afr1504070022-n1.html
4月8日21時53分に毎日新聞から、異常表示が点灯し間もなく消えたことがトンネルに入る前に3回あったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
函館駅を出て緊急停車するまでの間、モーターの制御装置の異常を示す表示が運転席で4回点灯していたことが8日、JR北への取材で分かった。
過電流が流れたモーター4個が熱で変色していたことも判明。
過電流の状態でモーターが動き続けていた可能性もあり、JR北は発煙との関係を調べている。
JR北によると、モーターの回転数を制御する「主変換装置」の異常表示が、青函トンネルに入る前に3回、非常ブレーキをかけた際に1回、点灯した。
走行中の3回は間もなく表示が消えたため、運転を続けたという。
難波・車両部長は、「表示が消えれば正常に戻ったことを意味するため、運転継続に問題はなかった」と説明。
一方で、発煙原因が判明するまで、走行中に同様の警告が出たら緊急停車して車両を点検するよう4日付の文書で乗務員に指示した。
また、発煙車両を函館運輸所(函館市)で詳しく調べたところ、白煙が出た5号車の台車で配線だけでなく4個あるモーター全ても赤く焼け焦げ、モーターから伸びた配線計12本と周囲のゴム製部品も焼損していた。
JR北は、10日に車両を苗穂工場(札幌市東区)に移し、過電流の原因をさらに詳しく調べる。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20150409k0000m040094000c.html
4月9日付で読売新聞から、避難誘導方法を見直すという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故の後、初めて行われたJR北・島田社長の記者会見。
島田氏は、北海道新幹線の開業に向けて、青函トンネルから乗客を避難誘導するためのマニュアルを改定する方針を明らかにした。
島田社長は会見の冒頭、「お客様に深くおわび申し上げる」と謝罪した。
そのうえで、北海道新幹線の開業後に青函トンネル内で異常が起きた場合は、別の新幹線車両が、対向する線路を走って乗客の元に向かうなどして救出する方法が中心になる、との見通しを示した。
島田社長は、今回の事故を受けて、青函トンネルからの避難誘導方法などを再検証する社内委員会を7日に設置したことを明らかにし、「社外の有識者のアドバイスもいただき、対策をとりたい」と語った。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20150409-OYTNT50001.html
(2015年6月13日 修正2 ;追記)
2015年6月9日21時34分に毎日新聞から、営業運転前の訓練時に行ったスイッチ操作が不適切だっという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は9日、運転前に不適切なスイッチ操作を行ったため、モーターに過剰な電流が流れ配線などを焦がしたとする調査結果を発表した。
同社によると、事故が起きた特急は、営業運転前、見習運転士の訓練を行っていた。
その際、指導役の運転士が訓練のため、5号車の「前進指令スイッチ」を切った状態で走行。
乗客を乗せて出発する前までには再びスイッチを入れたが、モーターへの電流を制御する「主変換装置」は、進行方向を実際とは逆に認識したという。
このため、モーターの回転数を検知する装置が故障していないにもかかわらず、故障と誤認識。基準の約1.4倍の電流が流れ、モーターが過熱し約200℃の排気が配線の膜などを焦がした。
訓練マニュアルでも、スイッチを切り替えるタイミングについて明確に規定されておらず、記者会見した西野副社長は、「メーカーも我々も今回のような事態は想定していなかった。検証が不足していた」と陳謝した。
今後は、主変換装置が故障と認識した際にはモーターへの電流を遮断するよう、同じシステムを持つ14両を6月末までに改修する。
一方、事故の際、全乗客が避難を終えるのに5時間以上かかったことを受け、避難方法などを定めたマニュアルを7月末をめどに改定する。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20150610k0000m040097000c.html
関連記事
6月9日 NHK青森
特急の発煙は過電流による発熱
http://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6085400441.html?t=1433883624843
4月6日3時23分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午後5時45分ごろ、渡島管内木古内町のJR江差線札苅―木古内間で、架線に並行して張られ、変電所からの電気を架線を通じて電車に供給する「き電線」がショートし、停電するトラブルがあった。
約3時間後に復旧したが、函館―新青森間の特急2本を含め4本が運休、6本に最大4時間15分の遅れが生じ、約500人に影響が出た。
JR北によると、架線の斜め上に張られたき電線を電柱などからつり下げている磁器製の絶縁体「碍子」が破損。垂れ下がったき電線と架線が接触したという。
同社は、碍子が破損した原因を調べている。
木古内駅―知内信号場(同管内知内町)間では、約160人が乗った函館発新青森行き特急スーパー白鳥38号が停止し、車内は停電で真っ暗になり、トイレも使えない状態に。
列車はいったん引き返し、停止から約3時間後に木古内駅に到着。定刻より4時間以上遅れて青森へ再出発した。
函館―新青森間は、3日に特急スーパー白鳥が発煙トラブルを起こし、青函トンネル内で緊急停止したばかり。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0120069.html
4月8日7時20分に北海道新聞から、原因に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は7日、停電トラブルの原因について、電車に電気を供給する「き電線」を電柱からつり下げていた磁器製の絶縁体「碍子」が老朽化と塩害によって破損したためと発表した。
同社は、江差線五稜郭―木古内間と津軽海峡線木古内―青函トンネル出入り口間に計約750カ所ある同様の設備について、13日までに緊急点検を行う。
JRによると、碍子は1984年製で、88年の津軽海峡線開業当時から交換されていなかった。
2年に1回のペースで点検を行っており、昨年4月の点検では異常はなかったという。
碍子は直径25cmの皿状。5個をつないでいた金属が老朽化と潮風で腐食したという。
碍子が破損した結果、き電線が垂れ下がり、架線を支える金具と接触し、ショートしたとみられる。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0120916.html
2015年4月4日0時32分と11時45分に朝日新聞から、事故の状況を伝える下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午後5時15分ごろ、北海道と本州を結ぶJR津軽海峡線の青函トンネル(約54km)内で、函館発新青森行き特急「スーパー白鳥34号」(6両編成、定員345人)の車両から火花が出て、緊急停止した。
乗客124人と乗員ら5人が乗っていた。
乗客は列車を降り、乗員の誘導で、停止位置から約1.2km函館側の旧竜飛海底駅に歩いて避難した。
青森地域広域事務組合によると、78歳と50代の女性計2人が体調不良で病院に救急車で運ばれた。
JR北海道によると、車掌が異臭に気づいて窓の外を見たところ、前から2両目の5号車床下のモーター付近から火花が出ているのを確認し、運転士に連絡して緊急停止した。
火花が出続けたため、運転士が消火器で消し止めたという。
車両は2002年製造。モーターに電気を送る配線の被膜が3本とも焦げており、モーターの回転数を制御する「主変換装置」の異常で過電流が流れて膜が焦げ、発煙した可能性が高い、という。
乗客は午後5時40分ごろから降車し、旧竜飛海底駅の避難場所に到着。午後7時35分ごろからケーブルカーで地上に避難し、バスで青森市に向かった。
1988年の青函トンネル開業以来、乗客がトンネルから避難したのは初めてという。
津軽海峡線は同日、木古内―津軽今別間で上下線とも運転を見合わせ、特急や急行の計9本の運休が決まった。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASH4362LWH43IIPE01Z.html
http://www.asahi.com/articles/ASH44351VH44IIPE003.html
4月4日23時55分に読売新聞からは、トンネル内の車両火災早期検知装置に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は4日、トンネル内の熱による火災検知装置では車体の異常を覚知できなかったと明らかにした。
発表によると、青函トンネルには、トンネル内での列車の火災事故を防ぐため、トンネル入り口や青森県外ヶ浜町の旧竜飛海底駅付近など、複数地点に熱で火災を検知する装置が備えられている。
通過列車の車軸付近の温度を遠隔で測定し、220℃に達すると火災と判断して、停止信号を示す仕組み。
今回は、トンネルに入ってから車掌が火花に気付き、非常ブレーキをかけて旧竜飛海底駅から青森側に約1.2km進んだ地点で特急は停止した。
同駅付近の火災検知装置のデータを調べたところ、車軸付近の温度は通常の2倍程度の約160℃まで上昇していたが、220℃に達していなかったため、異常を覚知できなかったという
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150404-OYT1T50098.html?from=ycont_top_txt
4月5日0時30分に朝日新聞からは、乗客の避難状況に関する下記趣旨の記事が図解と写真付きでネット配信されていた。
乗客124人はトンネル内を2.4km歩き、ケーブルカーで地上に逃れた。脱出完了まで5時間半余り。
1988年の青函トンネル開業以来初の脱出劇は、乗客らの落ち着いた対応がパニックを防いだ。
「乗客のみなさん、1号車に移ってください」
車掌が車内放送で、5号車から最も離れた最後尾へと乗客を誘導。乗降口にはしごがかけられ、乗客は荷物を車内に残して降りた。
地上への避難設備のある旧竜飛海底駅をめざし、備え付けの懐中電灯を頼りに線路づたいに歩き始めた。
「高い所がありますよ」。
照明器具のない箇所もあり、乗客は声を掛け合いながら障害物に気をつけて歩いた。
停車場所から同駅まで直線で約1.2km。全員が着くまでに降車から約30分かかった。
さらに連絡誘導路を進み、ケーブルカーが発着する避難場所に到着。
1時間ほど待った後、子どもや70代以上の高齢者、体調の悪い人を優先して15人ぐらいずつケーブルカーに乗り込んだ。
1往復17~38分。9往復し、全員が地上に出たのは午後11時前だった。
出典URL
4月5日10時42分に北海道新聞からは、トンネル火災対応の問題点に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全長53.85kmの海底トンネルで火災などが起きた場合、本当に乗客の命を守れるのか。
青函トンネルで特急列車から発煙した事故は、幸いにもけが人はいなかったが、発生から乗客全員の退避まで5時間以上かかり、地上への避難が現実の課題として急浮上した。
1年後、特急列車に代わりトンネルを走る北海道新幹線は、乗客定員が2倍以上に膨らむ。
トンネル内の消火設備は避難用の海底駅にしかなく、離れた場所で事故が起きれば、より深刻な事態につながりかねない。
JR北によると、青函トンネル内には地上と行き来できる避難用の旧竜飛海底駅と旧吉岡海底駅があり、両駅には上下から水を噴射するスプリンクラーが設置されている。
トンネル内には、列車の火災を検知する設備も複数ある。
火災が起きれば列車を駅まで走らせた上で消火する、というシナリオだ。
ただ、トンネルの最深部から海底駅までは約11kmある。
2011年5月に石勝線トンネルで脱線炎上したディーゼル特急列車は、発生から瞬く間に炎が広がった。
青函トンネルを走行する特急列車や新幹線はすべてモーターを動力とする電車で、危険な燃料は積載されていないが、火災の状況によっては、列車を駅まで向かわせるのが難しい事態も想定される。
煙対策として、旧駅には強制的に排気する設備があるが、その他は通常の換気に限られる。
(後は有料記事)
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0119887.html
2015年2月28日10時29分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午後9時35分頃、名古屋市西区庄内通の市営地下鉄鶴舞線庄内通駅で、停車中の柏森発豊田市行き電車(6両編成)が、乗降用の扉を開けたまま約50cm後退した。
乗客約70人にけがはなかった。
市交通局の発表によると、男性運転士(41)がブレーキハンドルに誤って腹部を当て、ブレーキが緩んだのが原因。
後続電車への影響はなかった。
市交通局は、「指導を徹底し、再発防止に努める」としている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150228-OYT1T50022.html
(ブログ者コメント)
通行時に人体や荷物などが接触する恐れのある場所には、できるだけスイッチなどは設置しないことが望ましい。
極端な例としては、昨年、下記の事例があった。
2014年11月16日掲載
2014年11月9日 愛知県名古屋市の立体駐車場で乗用車が柱に設置されている消火設備に衝突し始動レバーに触れたため、消火設備が作動して付近の道路が泡まみれ
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4428/
2015年2月21日20時1分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午後0時半頃、滋賀県高島市安曇川町のJR湖西線安曇川駅で、網干発敦賀行き新快速電車(12両)の前から5両目に乗っていた乗客4人が降り、「喉が痛い」「息苦しい」などと訴えた。
駅員が119番し、30~70歳代の男女3人が市内の病院に搬送されたが、間もなく回復した。
JR西日本や警察が近江今津駅で調べたところ、車内に不審物などはなく、その後も運行は続けられた。
警察の発表などによると、車内にゴムの焦げたような臭いが残っていた。
ブレーキをかける際、車輪と制動装置の摩擦で同様の臭いが発生することがあるという。
5両目には当時、約60~70人が乗車し、3人は連結部に近い4人掛けのボックス席に座っていた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150221-OYT1T50102.html?from=ycont_top_txt
2013年10月5日に掲載した元記事(第2報)がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3287/
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3314/
(2015年2月4日 修正2 ;追記)
2015年1月29日11時5分に産経新聞から、運輸安全委員会から最終報告書が出されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月29日19時16分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は29日、最終調査報告書を公表した。
本来、迅速に補修すべきレール幅の広がりを放置したことが事故原因につながったと、ほぼ断定。
その上で、保線担当者らの基本認識の欠如に加え、本社を含む上部組織の管理体制の不備も指摘した。
同駅での脱線事故をめぐっては、大沼保線管理室の担当者によるレール検査データの改竄が発覚。
国交省と運輸安全委が鉄道事業法違反などの罪で刑事告発し、北海道警が捜査している。
改竄データが提出され調査に遅れが生じた運輸安全委の後藤昇弘委員長は、「データの改竄は言語道断であり誠に遺憾」と厳しく批判し、データの厳正管理を求めた。
脱線事故は25年9月19日に発生。
報告書によると、事故現場付近は左カーブで、事故の約3カ月前の時点では内側のレールが外側より10mm高く、レール幅の広がりも補修基準値(19mm)を大幅に超える40mmに達していた。
さらに、レールが外側に最大70mmゆがみ、列車走行時に車輪がレールを外側に押し出す横圧も通常より強くなりやすい状態だった。
事故は、貨物列車が現場を走行した際、大きな横圧でレールが外側に傾き、6両目後ろ側の台車の左車輪がレール内側に落ち、脱線したとみられる。
レール幅の広がりが補修基準値を超えた場合、15日以内に補修する必要があるが、少なくとも過去3年間の記録がなかった。
運輸安全委のヒアリングに対し、大沼保線管理室の担当者は、本社を介し、「本線を優先したため、(事故現場の)副本線の整備計画をたてる余裕がなかった」と回答したが、運輸安全委は、「担当者として基本認識が欠如していた」と指摘した。
脱線現場は、1日数本の貨物列車しか通らない「副本線」。
管理室の担当者は、検査結果を受け取った別の副本線でも、整備計画を立てていなかった。
報告書は、「管理室全体で検査結果に基づきレールの整備をするという基本的な認識が欠如していた」とも指弾。
検査に責任を持つ上部組織の函館保線所長も、管理室の検査結果や整備状況を確認せず、各地の保線所を管轄する本社保線課には整備状況を確認する手段もなかったとした。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/150129/afr1501290008-n1.html
http://www.asahi.com/articles/ASH1X7HTPH1XUTIL056.html
(2015年12月23日 修正3 ;追記)
2015年12月22日23時45分に毎日新聞から、幹部ら19人と会社が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日、幹部ら19人と法人としての同社が、鉄道事業法違反などの容疑で書類送検された。
役員は含まれなかったとみられるものの、北海道警幹部は、「単に(社員)個人がやった話ではなく、会社としても責任がある」と、組織ぐるみの可能性を示唆した。
捜査関係者などによると、検査記録は、各保線管理室の助役がチェックした上で、パソコンによるオンラインシステムで本社工務部の保線課に送信される。
2013年9月の貨物列車脱線事故後、レールのズレが最大70mmあったとする報告書を受け取った本社工務部幹部は、「これは何だ。おかしい」などと指摘。
その後、大沼保線管理室は改ざんしたデータを再提出した。
同室は、本社の意向をおもんぱかって改ざんした可能性もある。
また、記録の改ざんは、社内調査で20年以上前から行われていることが明らかになっており、社内には、「(安全統括管理者の)鉄道事業本部長や工務部長が改ざんを知らないはずはない」という声も漏れる。
14年2月の国交省などの刑事告発を受け、道警は、社長や役員を含む社員ら数百人から事情聴取。
捜査が長期化した理由について、道警は、「捜査対象者と関係資料の数が膨大で時間を要した」と説明している。
JR北の安全対策を監視する第三者委員会の委員を務める向殿政男・明治大名誉教授(安全学)の話;
検査データの改ざんを行った本人が悪いのは当然だが、何人かの社員らを罰しても、あまり再発防止の効果はない。
それよりも、JR北の企業風土など、改ざんしなければならなかった根本的な原因を明らかにし、対処していくことが重要だ。
JR北は、書類送検を機に経営改革を加速させ、風通しのいい企業に再生する必要がある。
鉄道ジャーナリスト、梅原淳さんの話;
一連の改ざん事件は、JR北海道の赤字体質に伴う人員不足が一因にあり、人員不足を解消しなければ、同じようなことが起きる可能性がある。
来年3月26日の北海道新幹線開業を控え、JR北の負担はさらに増えることが予想され、新幹線でのトラブルや事故の発生も懸念される。
改ざん事件の責任をJR北だけに押しつけるのではなく、国も何らかの対策を講じる責任があるのではないか。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20151223/k00/00m/040/115000c
以下は、関連報道。
(2015年12月22日18時32分 朝日新聞)
JR北と社員ら書類送検 レールの検査データ改ざん問題
http://www.asahi.com/articles/ASHDQ4VPFHDQIIPE014.html
(2015年12月22日19時3分 NHK北海道NEWS WEB)
JR改ざん社員19人書類送検
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20151222/4506811.html
2015年1月14日付で毎日新聞北海道版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月14日6時30分に北海道新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌−函館を結ぶJR北海道の特急北斗が約1カ月間にわたり自動列車停止装置(ATS)が作動しても非常ブレーキが利かない状態で走行していた問題で、同社は13日、整備担当社員がブレーキの開閉を切り替えるコックを取り違えたのが原因と推定されるとの調査結果を明らかにした。
コックの点検にあたった別の社員も見逃していたという。
JR北海道によると、非常ブレーキは空気弁で作動する仕組みで、通常はコックを開いて針金で固定して運行する。
昨年11月28日、函館運輸所での運行前の検査で、整備担当の社員が誤って約13cm手前にある別のコックを開けた状態で固定し、本来開けるべきコックを閉じたまま整備を終了した。
別のコックが開いた状態となっていたため、コックを取り違えたとみられる。
点検担当の社員も、問題なく整備したと記録していた。
非常ブレーキを巡っては、一昨年10月にも札幌−網走を結ぶ特急オホーツクでコックが閉じていた同様の問題が見つかり、対策として針金による固定などを実施していた。
再発防止策としては、コックの開閉を行った場合はATSを作動させて非常ブレーキの動作確認を行い、また、2つのコックを判別しやすいように表示を改める。
札幌市の本社で記者会見した西野副社長は、「重く受け止めて再発防止に取り組む」と謝罪した。
整備担当と点検担当の社員の処分はしないという。
問題は昨年12月28日、札幌運転所で、この特急のコックがある運転席床下の機器室の封印シールがはがれていたため発覚した。
封印シールは運転手の靴でこすれたり、雪でふやけたりしてはがれた可能性があるという。
特急は43回運転し、約1万3800kmを走行、乗客約1万人が乗車した。
出典URL
http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20150114ddr041040003000c.html
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/585724.html
(ブログ者コメント)
JR北海道からのプレスリリースは、下記。
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150113-2.pdf
写真を見ると、床下に2つのコック弁が並んで設置されており、両バルブともに銘板が取り付けられていたが、取り付け場所がバルブの側面だったため、上からは見にくい?見えない?状態だった模様。
恒久対策としては、銘板の位置変更ならびに、作業終了後のチェックを確実に行うため、現場現物を見ないとチェック表に記載できない仕組みに改める由。
2014年12月3日11時0分に産経新聞から、『「流線形」がアダ、新幹線よじ登り25000ボルト感電自殺の"衝撃想定外"』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東海道新幹線新横浜駅構内で11月15日、新幹線の車両の屋根によじ登った男性(25)が高圧電線に触って感電し、大やけどを負った事故をめぐり、鉄道業界に衝撃が走っている。
男性はその後、搬送先の病院で死亡したが、JR東海の広報担当者は「まさか電圧2万5千ボルトの電線に触って自殺を図るとは…」と驚きを隠さない。
同社を含め鉄道業界では、「車両の屋根の上」は運行トラブル対策上の盲点となっているのが現状で、鉄道各社は新たな対策が求められそうだ。
「始発前にとどろく衝撃音、車両最後尾の屋根の上には焼けた男性 『ドカーン』」
11月15日午前5時40分ごろ。早朝の静寂に包まれた始発前の新横浜駅構内に衝撃音がとどろいた。
東海道新幹線の車掌らが、音がした方向に急いで向かうと、発車準備中の新横浜発広島行き「ひかり493号」(16両編成)最後尾の車両の屋根の上で、髪や着衣が燃えた男性が倒れていた。
車掌らが消火器で消し止めた際、男性は3.5m下の線路に転落した。
警察によると、倒れていたのは無職男性。防犯カメラの映像などから、男性は入場券で改札を通り、運転席のボンネットから屋根によじ登る姿が確認されている。
駆けつけた警察官に「死にたい」と漏らしており、車両の屋根の上にある高圧電線に触れて自殺を図ろうとしたとみられている。
詳しい状況については、警察が男性の回復を待って聴取する予定だったが、男性は11月24日に搬送先の病院で死亡した。
一方、JR東海では、新幹線車両の屋根の上で男性が架線に触れて感電したことに困惑の声が広がる。
同社によると、屋根の上での作業は感電死のリスクが非常に高いため、必ず送電を止めたのを確認してから行うという。
広報担当者は、「まさかあんな危ない高圧電線に近づく人がいるとは…」と今でも驚きを隠さない。
「過去には6万6千ボルトで存命も」
電流が体内を瞬時に流れて死傷する感電事故は、低い電圧でも危険だ。
日本電気協会(東京都千代田区)によると、人体が著しくぬれている状態や金属製の電気設備などに人体が常時触れている状態では、25ボルトでも感電死する可能性はあるという。
とすれば、東海道新幹線の屋根の上で男性が触れた2万5千ボルトの電線は完全に「致死の領域」といえるが、奇跡的に助かるケースもあるという。
例えば、高圧の場合、電線に触った瞬間や接近しただけで体が吹き飛ばされ、感電死を逃れることがあるからだ。
「トラックの荷台で作業員が気づかないうちに6万6千ボルトの送電線に接近して吹き飛ばされ、背中に大やけどを負いながらも一命を取り留めたことがあった」。
感電防止を長年研究する独立行政法人「労働安全衛生総合研究所」(東京都清瀬市)電気安全研究グループの冨田一部長は、偶然助かったケースを説明した。
ただ、高圧電線をめぐる事故ではほとんどは感電死しており、「絶対に高圧電線に近づかないでほしい」と注意を呼びかける。
家庭用などの600ボルト以下の低圧でも注意は必要だ。
厚労省の統計資料によると、平成22年までの5年間で感電死した81人のうち、低圧の電気を取り扱う作業員らの死亡者数は69%、56人に上る。
低圧での感電死が多い点について、日本電気技術者協会(文京区)の担当者は、「取扱者が高圧に比べて低圧を扱うことが多いのも理由だが、低圧に対し高圧より警戒感が少ないことも背景にあるのではないか」と話している。
「流線形がアダ? 再発防止に頭抱えるJR東海」
新横浜駅での感電事故で東海道新幹線は、品川-小田原駅間が一時停電して上下153本が最大1時間26分遅れ、約16万人に影響した。
JR東海によると、列車が遅れた場合、遅延原因をつくった責任者や関係者に対し、
○乗客への特急料金の払い戻し分
○設備や車両の修理代
○トラブル処理に携わった社員の残業代
などを損害賠償請求するのが通例だが、今回の遅延時間については特急料金の払い戻し義務が生じる2時間より短いため、払い戻し分は損害賠償請求には含まれない。
ただ、JR東海によると、こうした運行トラブルは昭和62年の民営化以降初めてといい、社内でも想定外のトラブルへの再発防止策が見当たらない状況だ。
駅員らがホームを定期的に見回っているが、先頭や最後尾は監視の目が届きにくいのも事実で、しかも、車両編成の両端の形状はなだらかな流線形となっており、「ボンネットを伝って屋根まで簡単に登れる」(鉄道関係者)という声もある。
今年10月に開業から半世紀を迎えた東海道新幹線。
「安全・安定輸送」を至上命題とするJR東海は、今回の運行トラブルを契機に、いま一度リスクを洗い直す必要がありそうだ。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/141203/afr1412030001-n1.html
(ブログ者コメント)
半世紀に一度、新幹線の車両に登って自殺を試みる人間がいたとしても、それはリスク管理の対象外にしてよさそうな気がするのだが・・・。
2014年11月4日付で読売新聞北海道版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月5日7時0分に北海道新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道稚内市のJR宗谷線で3日朝、稚内発札幌行きの特急「スーパー宗谷2号」(4両編成、乗客36人)が、社内規定で運行中止の基準となる風速30mの強風が吹いていたにもかかわらず、通常運行をしていたことが分かった。
JR北海道は、事故につながる恐れがある「インシデント」に当たる可能性があるとして、国交省北海道運輸局に報告した。
同社によると、3日午前7時15分頃、特急が抜海―勇知間を走行していたところ、抜海駅の風速計が風速30mを観測した。
同区間を管轄する名寄市内の指令センターのパソコンのモニター上には警報を示す表示が出たが、警報音が鳴らなかったため、指令員が気づかず、特急に運行中止の指示を出さなかった。
観測結果は札幌や旭川の指令室にも届いていたため、約10分後、札幌から旭川経由で名寄に問い合わせたことで警報に気づいたが、特急は規制区間をほぼ通過していたため、そのまま通常運行させた。
幌延発稚内行き普通列車(1両編成、乗客1人)は規制区間を走行中だったため、停車させた。
警報装置のスピーカーに不具合があったという。
事故やけが人はなかったが、国交省は、脱線事故につながる恐れがあり、「インシデント」に該当するとして、JR北に対策などを報告するよう求めた。
3日の道内の天候は大荒れで、稚内地方気象台は当時、稚内市に強風注意報を出していた。
山形県庄内町のJR羽越線では2005年、特急電車が突風を受けて脱線し、5人が死亡する事故が起きた。
北海道新得町でも1994年、暴風で特急列車が脱線し、けが人が出た。当時は風速30m以上で運行見合わせと定めていたが、現場付近の風速計が故障していた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20141104-OYTNT50029.html
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/572529.html
(2014年11月14日 修正1 ;追記)
2014年11月12日16時25分に産経新聞から、警告表示が見えにくい場所にあったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道が強風下で特急列車の運行を続けた問題で、同社の島田社長は12日、札幌市の本社で記者会見し、「さらに風が強まれば重大事故になりかねなかった。お客さまにあらためて深くおわびする」と陳謝した。
JR北海道によると、この問題は3日に発生。稚内発札幌行き特急列車スーパー宗谷2号(4両編成)が稚内市の宗谷線抜海-勇知間を走行中、近くの風速計が風速30m以上の強風を観測した。
しかし、運行管理に当たっていた宗谷北線運輸営業所指令室(名寄市)では指令員が防災システムの警告表示を見逃し、機器の不調で警報音も鳴らなかったという。
島田氏は、警告表示が室内で指令員から見えにくい場所にあったことを明らかにし、「警告表示を指令員の近くに移したり、警告と同時にランプを点滅させたりする対策を検討したい」と述べた。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/141112/afr1411120018-n1.html
2014年10月28日13時17分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前5時半ごろ、大阪府摂津市東一津屋の大阪モノレール摂津−南摂津間で、門真市駅に向かっていた回送列車(4両編成)が、レール沿いの足場の上に置かれていた工事用の脚立(高さ約2m)に接触し、停止した。
脚立は列車の先頭部分にめり込み、脚立を外して列車を動かした直後の午前6時半ごろ、接触部分付近から出火した。
約40分後に消えたが、始発から約2時間半、全線で運転を見合わせた。けが人はいない。
大阪高速鉄道によると、この日は午前1〜5時、委託業者がレールの塗装作業をしていた。
作業後に脚立を足場に置き忘れたとみられる。
脚立の一部が車両に残っており、摩擦などで出火した可能性が高いという。
モノレールは午前8時から南茨木−門真市間を除いて運転を再開。
正午現在、約4万4000人に影響した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20141028k0000e040169000c.html
10月28日10時18分に産経新聞westからは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前6時半ごろ、大阪府摂津市東一津屋(ひがしひとつや)の大阪モノレール南摂津駅の北側約150mで、事故のため停車中の回送車両(4両編成)下部から出火。約45分後に消し止められた。
運営する大阪高速鉄道などによると、1両目と2両目のゴム製タイヤが燃えるなどした。
男性運転士(30)ははしご車で救助され、けがはなかった。
車両は門真市駅に向かっていた28日午前5時半ごろ、軌道上にあった脚立と接触して停車。
脚立を撤去した後、送電を再開したところ出火したという。
現場付近では、始発前の午前4時ごろまで橋桁の塗装作業が行われており、脚立は業者が置き忘れたとみられる。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/141028/wst1410280022-n1.html
10月28日12時53分に共同通信からも、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
復旧作業中に車両から出火した。間もなく消し止められ、けが人はいなかった。
大阪高速鉄道などによると、午前1~5時に実施したレールのさび止めの塗装工事で、脚立を置き忘れた可能性がある。
接触で停電が発生し、復旧作業をして通電したところ、車両の下部から煙が出た。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102801001346.html
2014年9月11日2時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月10日23時9分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道の島田社長は10日の定例記者会見で、スピードアップを目指し2006年から進めてきた新型特急車両の開発を中止すると発表した。
鉄路の安全向上と1年半後に迫る北海道新幹線の開業に集中投資する経営方針に照らし、在来線に今以上に高性能な車両は必要ないと判断した。
新型車両は、
①振り子装置と空気バネによる車体傾斜システムを組み合わせ、曲線区間でも速度を落とさず走行できる
②ディーゼルエンジンとモーターの組み合わせによる燃費向上
が大きな特徴で、これまで25億円を投じて開発してきた。
しかし、特急出火など重大事故が相次いだことから、同社はすでに、優先課題を車両の高速化から安全対策へ転換しており、量産化への費用や保守の負担などから開発中止を決めた。
JR北は183、261、281、283系の4種類の特急気動車を所有している。
今後、車両を更新する際には「スーパーとかち」「スーパー宗谷」に使われている261系を採用し、10年ほどかけて261系に一本化する。
車種を減らすことでメンテナンスにかかる労力やコストを減らすことができるほか、車検や故障などの場合に必要な予備車両として保有する台数を30両減らせる見通しだという。
観光客の多い路線とビジネス客主体の路線では、車両に求める性能や仕様は異なる。
島田社長は、「客のニーズにこたえたいという努力があったのも事実。だが、結果としてはもう少しシンプル化しておくべきだった」と話した。
約25億円を投じた試作車3両は完成し、今月下旬に納品の予定だった。
島田社長は、レール異常を調べるマヤ車(高速軌道検測車)に試作車を転用することを検討するとした。
出典URL
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/562076.html
http://www.asahi.com/articles/ASG9B6KGVG9BIIPE02N.html
2014年8月25日20時23分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR九州は25日、九州新幹線が7月14日に緊急停止したトラブルについて、コンプレッサー関係の弁に約0.2mmの鉄粉が挟まり、空気圧が低下したことが原因と発表した。
鉄粉はコンプレッサーの除湿装置の弁に付着し、弁が開いた状態となり、空気が漏れて自動非常ブレーキが作動した。
メンテナンス作業で、弁を覆うカバーを取り付ける際に、カバーに付着した鉄粉が弁に入ったとみられる。
同社は対策として今月22日から、微細な異物を確実に取り除けるように、メンテナンス時にカバーを洗浄液で洗う方法を取っている。
トラブルは14日夜、新水俣(熊本県水俣市)~出水(鹿児島県出水市)間で、博多発鹿児島中央行き「つばめ」のブレーキが作動し、出水駅の約1km手前で立ち往生した。
乗客にけがはなかったが、車内で約1時間待機させられるなどの影響が出た。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140826k0000m040084000c.html
(ブログ者コメント)
設備に不具合が生じた場合、安全サイドに設備が作動する。
これが、フェイルセーフの考え方だ。
2014年8月13日7時30分に毎日新聞から、「コンクリ劣化:鉄道で落下相次ぐ 人に当たったケースも」というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トンネルや橋、駅などの鉄道施設で、劣化したコンクリート片などが落下する事案が相次いでいる。
東日本にある11の主な鉄道事業者によると、昨年度以降で計32件あり、このうち15件は駅構内など職員以外の一般客らが出入りする場所で、重さ約8.5kgのコンクリート片が落ちたこともある。
幸い、人的被害はないが、専門家は「頭を直撃すれば命を奪われる可能性もある」と指摘する。
防止にはハンマーでたたき、音で異常を確かめる「打音検査」が有効だが、ほとんど実施していないのが実情だ。
毎日新聞がJR東日本、東日本の大手私鉄9社、都営地下鉄の11事業者に取材し、結果をまとめた。
落ちたのはコンクリート片、モルタル片などで2013年度に27件、今年度も5件あった。
原因は、雨水や鉄筋の腐食、経年などによる劣化が17件で、寒冷地でコンクリートの内部で水が凍って膨張する「凍結融解」の10件が続く。
今年度の5件のうち4件は一般客らの出入りする場所で発生した。
東京都江戸川区臨海町6では6月21日、JR京葉線の高架橋からコンクリート片が約10.5m下の駐輪場に落ちているのが見つかった。1984年に建設された高架橋の経年劣化が原因とみられる。
コンクリート片は複数あり、最も大きなものは縦横各約20cm、厚さ約9cmで、重さ約4.2kg。自転車の車輪に衝突した形跡があったが、けが人はなかった。
日本大大学院の櫛英彦教授(救急医学)は、「10mの高さから4kgのコンクリート片が落ち、頭にぶつかったら、即死する可能性が高い。体の他の部位に当たっても死に直結する危険性がある」と指摘する。
6月8日には、東京都足立区の東武スカイツリーライン北千住駅で、重さ約5.8kgの天井板が落下した。
乗降客が行き交う駅の地下通路で、天井板を留めるネジの緩みが原因とされる。
5月1日にも、東京都東大和市の西武拝島線東大和市駅で、高架橋から重さ約8.5kgのコンクリート片が剥がれ落ち、コンコースの天井を直撃。天井板の一部とともに約5m下の階段わきに落下しているのが見つかった。
80年建設の高架橋の施工不良が原因とみられる。
利用者に当たったこともある。
4月30日には東京都世田谷区の京王線下高井戸駅で、雨水によって劣化した重さ約3.6kgの天井板が落下した。乗降客の肩に当たったが、けがはなかった。
これら4件について、JR東は13年6月、東武は今年5月、西武は12年3月、京王は13年2月に目視点検をしたが、いずれも異常は見抜けなかった。
国交省によると、鉄道施設のうちトンネルの一部については、中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故(12年12月)を受け、13年3月までに打音などによる緊急点検を実施した。
しかし、トンネル以外の場所の打音検査は、目視で異常が見つかった場合に限られている。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140813k0000m040165000c.html
(ブログ者コメント)
コンクリート片などの落下は、鉄道に限らず、道路橋などでもしばしば起きており、本ブログでも、目についたものは紹介してきた。
高度成長期に数多く作られた橋やトンネルなどが一斉に寿命を迎え始めると言われている現状、今後とも起き続けることだろう。
そういった事故・トラブルに関し、今回の報道では、原因面を含め、よくまとめられており、これで事例紹介としては一区切りした感がある。
よって、今後は特段のものでない限り、この種の事故・トラブルの事例掲載は、省略することにする。
2014年7月14日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
(新情報入手に伴い、タイトルも修正しました)
2014年7月29日22時8分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
JR北海道HPにも同趣旨のお知らせが掲載されていた。
7月29日19時38分にNHK北海道NEWS WEB新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は29日、ブレーキの作動で生じた火花が車両床下の隙間に吸い込まれ、4本のセンサー用配線を束ねたゴムチューブなどを焦がしたことが原因とみられる、配線は4本のうち2本の被覆に焦げ痕があるだけで電線の電気的異常は認められずショートではないと判断した、と発表した。
JRによると、この車両の床下から車内へ通る配管3カ所の周りに5〜12mm程度の隙間があり、ここから車輪とブレーキ部品の摩擦で生じた火花やタンポポの綿毛、草の切れ端、ほこりなどが入り込み、燃え移ったとみられる。
ほこりなどは、約800gたまっていた。
発煙箇所周辺に堆積していた鉄粉の成分分析を行ったところ、制輪子(鋳鉄製)と類似した成分が検出された。
この車両は1993年製造。隙間は、車両の製造段階でパテで埋めて処理することになっているが、所有する同型車両のうち、この車両を含む同一メーカー製の12両で隙間が空いたままになっていたという。
床下のごみを取り除き、隙間をパテで埋める対策を取った。
難波・車両部長によると、床下は定期点検の項目に含まれておらず、隙間に気付かなかった。今後は車両の完成前に社員がメーカーに出向いて行う検査で、隙間の有無を点検項目に入れるという。
記者会見した西野副社長は、「最終的な責任はJR北海道にある。利用客に心配と迷惑をかけたことをおわびする」と陳謝した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140730k0000m040105000c.html
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140729-3.pdf
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/553915.html
(ブログ者コメント)
車両の製造段階で隙間をパテ埋め処理するという件、それは、今回のようなトラブルを防止するためのことだろうか?
2014年7月18日18時38分にYAHOOニュース(時事通信)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
18日午後1時40分ごろ、東海道新幹線新横浜―小田原間で、列車自動制御装置(ATC)の信号がつかなくなったことに新幹線の指令職員が気付き、近くを走っていた東京発新大阪行きのぞみ355号を停車させた。
JR東海が原因を調べたところ、神奈川県綾瀬市の線路際で除草作業中だった関係会社の作業員が、線路脇の地表に設置されたATC用の信号ケーブルを誤って切断したことが分かった。
ケーブルを交換する約2時間半の間、現場を通過する列車は上下線とも徐行したため、34本の列車に最大で78分の遅れが発生。乗客約3万2000人が影響を受けた。
出典URL
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140718-00000142-jij-soci
2014年7月14日16時53分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、JR北海道の特急列車で走行中にドアが開いたトラブルについて、国の運輸安全委員会が原因を調べたところ、ドアを閉めるために使う空気が誤って別の配管に流れ込み、必要な空気圧がかかっていなかったとみられることが、関係者への取材で分かった。
運輸安全委員会は、配管の取り扱いにミスがあったと見て、近く調査結果を公表することにしている。
去年1月、JR北海道の根室線を時速およそ90kmで走行していた特急列車でドア1か所がおよそ30cm開くトラブルがあり、国の運輸安全委員会が原因を調べている。
問題のドアは空気圧をかけて閉める仕組みで、ふだんは、空気を送る2本の配管のうち、空気中の水分を取り除いて凍結を防止する除湿装置が取り付けられている1本の配管を使っている。
しかし、これまでの調べで、当時、除湿装置がないもう1本の配管のコックが開いていたことが関係者への取材で分かった。
また、配管の途中に水がたまっていることが確認されたということで、除湿装置がない配管に空気が誤って流れ込み、さらに空気中の水分が凍って目詰まりしたため、ドアを閉めるのに必要な空気圧がかかっていなかったとみられるという。
運輸安全委員会は、配管の取り扱いにミスがあったと見て、近く調査結果を公表することにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140714/k10013000101000.html
(ブログ者コメント)
計装用などの空気配管立ち下がり部に水が溜まり、あるいは今回のように溜まった水が凍ることで空気流れが阻害されトラブルに至る事例は、過去、たまに発生している。
そういったトラブルを防止するため、定期的に水抜きする、あるいは自動的に水を抜き出す装置を設置している事業所もある。
今回の事例と直接の関係はないが、ご参考まで。
(2014年7月27日 修正1 ;追記)
2014年7月25日14時19分にmsn産経ニュースから、調査報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は25日、床下の配管にたまった水が凍って目詰まりし、開閉に必要な圧縮空気を送れなくなり、ドアの閉鎖を保てなくなったのが原因とする調査報告書を公表した。
報告書によると、特急スーパーおおぞらが時速約90kmで走行中、5両目の前寄り右ドアが開いた。
戸締まりを示すランプが消え、運転士が緊急停車させた。けが人はいなかった。
ドアは空気圧で開閉する仕組みで、圧縮空気が供給されなかったことで閉める力が低下し車両の揺れなどで約30cm開いたという。
配管に水がたまったのは、除湿装置を通らない予備の配管の栓が閉まっておらず、湿った空気が入り込み水分が凝縮したとみられる。
予備配管の栓は閉じて針金で縛り固定するが、車両保守部署への指示や引き継ぎが不十分で周知されていなかった。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140725/dst14072514190003-n1.htm
(ブログ者コメント)
運輸安全委員会の報告書は下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1833
予備配管の栓が開いていた件については、以下の表現になっている。
本来、「閉」位置で緊縛固定されているはずの除湿バイパスコックが開いていたことについては、北海道旅客鉄道株式会社の車両保守関連部署への指示伝達及び車両転属配置時の引継ぎが不十分かつ不適切であったため、除湿バイパスコックを「閉」位置で緊縛固定することが、車両の定期検査の実施工場及び車両転属配置先などに周知されていなかった状況において、何らかの理由により誤って除湿バイパスコックが開いたままとなった可能性があると考えられる。
2014年7月11日23時50分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東急東横線の元住吉駅(川崎市)で2月、乗客19人が負傷した列車の追突事故で、東急電鉄は11日、レールに塗られた潤滑油が一因で、非常ブレーキが利かなかった可能性があると発表した。
事故当時は記録的な大雪で、油がレール脇に積もった雪に混ざり、車輪に押し当てられるブレーキパッドに付着したという。
同社は、車輪との摩擦が強くなる急カーブなどで、車輪がレールに乗り上げて脱線するのを防ぐため、一部の列車につけた自動装置で、レール上部の内側の角に潤滑油を塗っている。
しかし事故当時は大雪のため、レールの油が雪に混じり、その雪が車輪に巻き込まれていったとみられる。
さらにブレーキパッドに付着していたゴミも、ブレーキの能力を低下させた一因と判断した。
追突した列車のブレーキパッド付近に、油分を含んだゴミなどが確認されたという。
同社はすでに、大雪時の制限速度を40~60km以下に下げた。
今後、降雪期には、最低でも10日に1度行う定期検査で、ブレーキパッドに付いたゴミを取り除く。
事故原因は国土交通省の運輸安全委員会が調査しており、同社はその結果を踏まえ、追加の対策をとる。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG7C63HKG7CUTIL03K.html
(ブログ者コメント)
雪国の鉄道では、こういったトラブルは過去に起きていなかったのだろうか?
起きていたとしたら、その情報は他社に伝わっていなかったのだろうか?
(2017年2月7日 修正1 ;追記)
2017年2月6日18時39分に朝日新聞から、管理上の責任を問われ運行責任者と運転士が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月6日17時37分にNHK横浜から、2月6日20時8分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
川崎市の東急東横線元住吉駅で、2014年2月15日の大雪の際、停車中の列車に後続列車が追突して乗客65人が重軽傷を負った事故で、神奈川警は、6日、現場の運行責任者だった当時の電車区長(60)と後続列車の運転士(36)を、業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで書類送検した。
捜査1課によると、元住吉電車区の電車区長だった男性は、大雪の影響で過去に多数のオーバーランが起きたことを知っていたのに、徐行など運行を規制する対策を取らなかった疑いがある。
運転士の男性は、雪でブレーキの利きが弱まっていることに気づきながら、速度を落とさず運転した疑いがある。
事故現場は、当時、約20cmの積雪があり、2人は「通常の速度では止まれないかもしれないという認識はあった」と話しているという。
このうち運転士は、「この日、別の駅でオーバーランしたが、元住吉駅では停止できると考えていたが、追突してしまった」と説明しているという
国の運輸安全委員会は、15年5月、再現実験などから、ブレーキの力を車輪に伝えるブレーキパッドに付いた油やちりが雪と混ざり、ブレーキの利きが弱まったと結論づけた。
今回、運転士らが書類送検されたことについて、東急電鉄は「安全を使命とする公共交通機関として重く受け止めている。全社一丸となり、お客様の安全が最優先の行動を取れるよう対応力を高めていく」というコメントを出した。
出典
『東横線追突、運転士ら書類送検 速度落とさなかった疑い』
http://www.asahi.com/articles/ASK264TW0K26ULOB00S.html
『雪の東横線事故 2人書類送検』」
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/1053651681.html?t=1486415706987
『東横線元住吉駅脱線、運行指示責任者ら書類送検』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170206-OYT1T50101.html?from=ycont_top_txt
(2017年10月6日 修正2 ;追記)
2017年10月5日17時43分にNHK神奈川から、不起訴になったという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は、雪を考慮してただちに徐行運転などの対策をとらなかったことが事故の原因だったとして、当時37歳の電車の運転士と運行を指示した61歳の責任者を、業務上過失傷害などの疑いで書類送検していたが、2人について横浜地方検察庁川崎支部は、5日、不起訴にした。
処分の詳しい内容や理由は明らかにしていない。
出典
『大雪の東横線事故運転士ら不起訴』
http://www.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20171005/1050000256.html
2014年7月7日23時52分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7月8日7時55分に読売新聞からも、同趣旨の記事が図解と写真付きでネット配信されていた。
6日午後9時半ごろ、北海道長万部町のJR室蘭線静狩~長万部間を走行中の札幌発函館行き特急スーパー北斗18号(7両編成)で、1号車の後方デッキ床下から白煙が上がり、緊急停止した。乗客約230人にけがはなかった。
JR北では2011年5月〜13年7月、特急列車で出火・発煙するトラブルが相次いで発生しており、整備時間を確保するためのダイヤ改正をするなど安全対策を取ってきたが、再発を防げなかった。
JR北によると、煙が出ているのに気づいた乗客が非常通報ボタンを押し、運転士が煙を確認した。
エンジンを停止すると発煙は止まったが、煙が客室に流れ込んだため、1〜3号車の乗客は後方車両に一時避難した。
列車の運転は、午後11時50分ごろに再開。乗客は約2km先の長万部駅で別の列車に乗り換え、約3時間半遅れの7日午前2時半ごろ函館駅に到着した。
JR北は7日、札幌市の本社で記者会見し、発煙したのは配電盤とエンジンをつなぐ配線などを収納した機器室(高さ174cm、幅70cm、奥行き30cm)で、塩化ビニール製の配線の被覆の一部が焦げていたと発表した。
配線同士が擦れるなどして被覆が摩耗して破れ、配線がショートした可能性もあるとみて、車両を函館運輸所に運んで原因を詳しく調べている。
床下には、エンジンの排気温を感知するセンサーの配線束と、空調や自動ドアなどに使われる配線束の2束があった。
配線は約20年使われていたが、耐用年数は30年程度で問題はないという。
配線は、直近の5月22日に検査した際は、異常はなかったという。
JR北は、構造が同じ9両の配線を緊急検査したが、不具合はなかった。
原因が判明するまで、90日ごとに行う配線の検査を45日ごとに短縮する。
JR北の難波・車両部長は、「漏電などが起こるとブレーカーが落ちて電源を遮断するので、最悪の場合でも火災には至らない」と説明。今回の事故でブレーカーは作動していなかったという。
西野副社長は、「お客さまに心配と迷惑を掛けたことを深くおわびする。最悪のケースを考えて対応を検討し、安全性の向上に取り組む」と謝罪した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140708k0000m040103000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140708-OYT1T50021.html
7月7日付でJR北海道のHPにプレスリリースが掲載されており、その中で、検査については、以下のように記されている。
床中など目視での確認ができない配線を含め、車両全体の配線状況の確認は、交番検査(90日毎)、要部検査(約1.5年毎)、全般検査(8年毎)で、絶縁抵抗試験を行っている。
当該車両の直近の交番検査は5月22日に実施しており、異常なかった。
出典URL
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140707-1.pdf
7月9日17時50分にmsn産経ニュースから、配線ではなく配線を束ねていたゴム製のチューブが焦げていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道の島田社長が9日、札幌市の本社で定例記者会見を開き、6日に起きた特急列車の発煙について「あらためて深くおわびする」と陳謝した。
以前から相次ぐ車両からの出火や発煙を念頭に、「一連の事故を思い出させる事象だ。深刻に受け止めている」とも述べた。
また同社は、これまで「1号車デッキの床下にある配線が焦げていた」としてきた説明を撤回。「約80本の配線を束状にして収めていたゴム製のチューブが焦げた」と訂正した。
配線の被覆に残った黒い部分を当初は焦げ跡と判断していたが、その後、実際にはチューブが焦げ、被覆に付着していただけだったと判明したという。
チューブが焦げた原因は調査中という
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140709/dst14070917500014-n1.htm
7月9日19時4分にNHK北海道NEWS WEBからは、ゴム製のバンドが焦げていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
焦げたのは、配線の束を保護するために巻かれていたゴム製のバンドだったことがわかった。
7月10日2時51分に日本経済新聞からは、ゴム板が焦げていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
島田社長は9日、定例記者会見で、エンジンと配電盤を結ぶ複数本の電気配線を束ねるゴム板に焦げ跡が見つかったと発表した。発煙の原因はまだ分かっていない。
8日夕の調査で、電線を束ねる横11cm、縦10cmのゴム板の表面に長さ約4cmの焦げ跡が見つかった。
既に発表していた塩化ビニール製の電線カバーの焦げについては、ゴム板の焦げカスの付着だったと修正した。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO74036570Q4A710C1CC1000/
(ブログ者コメント)
○読売新聞の写真を見ると、床板を取り外せば見える位置にある部分が焦げていた模様。
5月の検査では、床板を取り外して目視点検しなかったのだろうか?
それとも、目視点検はしたが、当時は臭いとか変色などの焦げる前兆は見られなかったということだろうか?
○「チューブ」か「バンド」か「板」か表現は異なるが、いずれにせよ、ゴム製の平べったいもので配線が覆われていた模様。
とすれば ケーブルから発せられた熱がこもって・・・という可能性も考えられる。
被覆ではなくゴムが焦げたのは、種類によってバラツキがあるのでなんともいえないが、ゴムのほうが発火点が低かったから、ということかもしれない・
○団子状に置かれていた電線が熱をもって発火する事故はしばしば起きており、本ブログでも何件か紹介済。うち3例を以下に示す。
2013年12月 つくば市の高エネ研で束になった送電用ケーブルが焼損
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3548/
2013年6月 赤坂見附駅で束ねてあった電気ケーブルから白煙
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2960/
2011年5月 名古屋市の住宅でパソコン配線が過密だったため出火
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/414/


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。