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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20212271030分にYAHOOニュース(COURRiER JAPAN)から下記趣旨の記事が、事例ごとの写真付きでネット配信されていた。

 

・・・・・

 

20世紀以降、経済発展の加速とともに、人類はビル、橋、ダムなど巨大建築物を建設し続けてきたが、それは人類の技術と自然との戦いだった。

 

いまも世界のどこかで数年に一度は巨大建築物の崩壊事故が起きている。

 

現在の巨大建築物とその管理の進歩は、過去の崩壊の惨劇による教訓をもとに築き上げられたものなのだ。

 

 

【史上最も犠牲者の多かった大型建築物崩壊事故】

 

「ニューヨーク・タイムズ」は、歴史上最も犠牲者の多かった大型公共建築物の崩壊事故として7つの事故を取り上げ、「建築物の崩壊事故は多くの犠牲者を出したが、発生のたびに多方面からの調査が行われ、その後の建築基準の改善に生かされていった」と伝えている。

 

 

『二度も崩落「ケベック橋崩落事故」』

 

1907829日、カナダケベック州で当時世界最長の橋になるはずだった建設中の橋の橋梁が崩れ、橋体がセントローレンス川に崩落した。

 

この事故で作業中の工事関係者と技術者が水中に落ち、約80名の命が失われた。

 

事故が起きたのは、ちょうど工事関係者が勤務を終えようとしたタイミングだった。

 

長さ1マイル半の吊りケーブルと橋梁が断裂する連鎖反応を起こしており、橋の建設を担当したエンジニアの責任が問われた。

 

また、この橋は1916年の再建の際にも、橋の吊り上げを行なっていた際に崩落を起こし、13名が死亡している。

 

 

『ダム崩壊で大洪水「セントフランシスダム崩壊事故」』

 

1928313日の明け方、ロサンゼルス近郊の山間部にあるセントフランシスダムが突然崩壊し、120億ガロンの貯水が海へ流れ出し、約500人の犠牲者を出した。

 

「巨大な洪水によって渓谷の両側にあった数百の牧畜施設が卵の殻のように破壊され、屋内にいた住民は多くが死亡した」と当時のニューヨーク・タイムズは報じている。

 

事故の後に、ダムは爆薬による爆発によって崩壊したとのデマが流れたが、災害を調査した当局は最終的な原因を、ダムの地盤に欠陥があったためであるとした。

 

 

『ダンス客の頭上に落下「ハイアットリージェンシー空中通路落下事故」』

 

 1981年7月、米カンザスシティのハイアットリージェンシーで、毎週恒例のダンスパーティが行われていた最中に、会場の天井部分にあった空中通路が落下した。

 

最上階の空中通路はロビーの天井から鉄筋ワイヤーによって吊り下げられていた。

 

落下によってロビー下階の二層が崩れ、そこにいた人々を押しつぶした。

 

これによって100人以上が亡くなり、アメリカで最も犠牲者を出した建築物崩壊事故のひとつとなった。

 

その後、落下する前に人々がダンスのリズムにあわせて空中通路を揺らしていたという報道がされたが、事故後の調査では、この空中通路の耐荷重が建築基準の4分の1しかないという設計上の問題が存在したことが明らかになった。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbcde33e72d26bda8c15422af7e76529e00807db

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

関連情報調査結果、2事例について、より詳しい情報が見つかった。

 

 

『設計に失敗した巨大建造物たち』

logmiBiz

 

・・・・・

 

2度も崩壊したカナダのケベック橋』

 

カナダのケベック橋は、建設が始まった1900年代、世界最長のカンチレバー橋となるべく設計されました。

 

しかし、1917年にその称号を得るまで、2度も崩壊しました。

 

カンチレバー橋は、比較的水平な中央部分と、それを支える両側の大きくて重い部分で成り立っています。

 

建設作業中、作業員はいくつかの支持部分に、あるべき状態よりも、歪みが生じていることに気が付いていました。

 

そこには、設計された圧力以上の負荷がかかっていました。

 

その原因の1つは、当初の計画よりも、橋の長さが延長されたからです。

 

しかし、時間と資金を削減するために、追加の支えが加えられることはありませんでした。

 

設計者は、建設作業が進むにつれて、この問題は修正されるだろうと考えていました。

 

しかし、1907829日、その日の作業の終わり頃、自らの重量により、橋の一部が崩壊。75人の作業員が犠牲となりました。

 

捜査官が原因を調査したのち、橋の建設は再開されました。

 

調査の主な結論は、橋の部材の強度が十分でなかった、というものでした。

 

そのため、より大きく高い強度で再建されることになりました。

 

しかし、追加で使われた鋼もまた、非常に重たいものでした。

 

1916年、中央部分を吊り上げる際、持ち上げる機械が破損し、中央部分が川に落下。

水没しました。

 

この時、13人の作業員が犠牲となりました。

 

 

・・・・・

 

 

1,600人集まったホテルが崩壊』

 

1980年代、ミズーリ州カンザスシティに、40階建てのハイアットリージェンシーホテルが開業しました。

 

開業してすぐ、非常に画期的なロビーで有名になりました。

 

ロビーには、特徴的な3つの長い空中通路があり、まるで空中に浮いているように見えまたことから、この空中通路は「スカイウォーク」と呼ばれました。

 

柱で支えるのではなく、それぞれのスカイウォークは天井から吊り下げ金具で吊り下げられていました。

 

2階通路は4階通路の下に吊り下げられており、3階通路は離れた場所で個別に設置されていました。

 

その独特なデザインによって、巨大なホテルホビーは、イベントやパーティの開催場所に理想的な場所だとして人気を呼びました。

 

1917717日、1,600人もの人々が集まり、ホテルのロビーでは数百人の人々がダンスや会話を楽しんでいました。

 

他の人々は、ホテルの周りをうろうろとしながら、有名なスカイウォークを見学していました。

 

そして、午後705分、一切の兆候なく、突然2つのスカイウォークが崩れ落ちました。

 

114人が犠牲となり、200人以上が負傷。

建築物の崩落による事故としては、20年後に911が発生するまで、アメリカ合衆国史上、最悪のものとなりました。

 

捜査官は、スカイウォークを吊り下げる金具に、直前に変更が加えられていたことに気が付きました。

 

それぞれが自らの重みを支える設計でしたが、実際には相互に接続されるかたちで設置されていました。

 

本来の設計では、吊り下げ金具は天井から4階スカイウォークを突き抜け、2階スカイウォークに接続する予定でした。

 

それぞれのスカイウォークの下の部品が、自身の重量を支える設計です。

 

 

しかし、計画変更後、2階スカイウォークは、4階から吊り下がるかたちになっていました。

 

 

つまり、4階を支える部品には、スカイウォークの129トンに及ぶ重量のみでなく、2つ分の重量がかかっていたということです。

 

また、経費削減のために、建築材料も本来求められる十分な強度がなかったことも上げられます。

 

ほんのわずかに見える変更であっても、悲惨な結果を招くことがあるのです。

 

・・・・・

 

https://logmi.jp/business/articles/187438#s2

 

 

 

 

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20212151314分にNHK富山から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

用水路事故の対策として設置する樹脂製のポールは3メートル以内の間隔にすると転落防止に最も効果的だとする実験結果を専門家がまとめました。


県は、設置費用を抑えられる効果的な対策だとして、さらに検証を重ね、本格的な導入を検討する方針です。

県立大学工学部の星川圭介准教授は、県からの依頼をうけて、樹脂製のポールの設置方法について実証実験を行いました。


実験は、射水市の住宅街を流れる用水路に沿って2メートルから10メートル間隔でポールを設置し、地域住民38人に感じ方を聞きました。


その結果、半数以上の人が3メートルの間隔では用水路に警戒するとともに対策に安心感を覚えると答えた一方、5メートル間隔では用水路への警戒感が大きく下がることが分かりました。


これをもとに、星川准教授は2メートルと3メートル、それに4メートルの間隔で設置したポールの脇にセンサーを取り付けて歩行者の動線を調査しました。


この調査では、3メートル以内の間隔で設置すると歩行者がポールを認識して用水路から離れて歩く一方、4メートル以上の間隔になると用水路に近づいて転落リスクが高まることが分かり、星川准教授は3メートル以内の間隔が転落防止に最も効果的であるという実験結果をまとめました。


県は、ガードレールやフタなどに比べて設置費用を抑えられる効果的な対策だとして、さらに検証を重ね、本格的な導入を検討する方針です。

 









 

 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20210215/3060006676.html

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

用水路転落防止のための取り組みについては、本ブログでも、これ以外、何件か紹介している。

 

 

 

 

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20211191529分にZDNet Japanから、下記趣旨の記事がイメージ図付きでネット配信されていた。

 

コニカミノルタは、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、MSADインターリスク総研と連携し、コニカミノルタの画像IoT技術を活用した物流エリアのフォークリフト事故低減サービスを開始した。

 

このサービスでは、屋内の物流エリアに、コニカミノルタ製撮影システムを3日間設置し、フォークリフトと作業者が近接した場面を記録。


カメラでの動画撮影に加え、近接センサーでフォークリフトと作業者の近接情報(時刻)を取得する。

 

撮影機材を屋内物流エリアから回収後、MSADインターリスク総研が記録動画を分析し、動線やレイアウトの変更などのリスク低減に向けた改善提案を約2週間で取りまとめる。

 

改善提案に基づいて作業方法や作業環境を見直すことで、フォークリフト作業における潜在的なリスクを改善するなど、労働災害の未然防止を図ることが期待できる。

 

日本では、フォークリフトによる労働災害で毎年約2000人が被災し、そのうち2030人が死亡しているという。

 

従来は多くの現場で、人の目や経験に頼った手法でフォークリフトや作業員の危険行動の把握に努めていたが、画像診断を加え、作業現場で抱える危険性を視覚的に把握できるとする。

 

MSADインターリスク総研は、労働安全衛生のリスクマネジメントに関するノウハウを有しており、これまで三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保を通じて、製造業、運輸・倉庫業などの顧客に対し、フォークリフト作業に関する事故低減に向けたコンサルティングを実施してきた。

 

同サービスで利用するコニカミノルタの「MOBOTIXカメラ」は、コニカミノルタのグループ会社のMOBOTIX AGが提供するネットワークカメラ。

非接触で表面温度を検知でき、独自の3D LiDARなどのセンシングデバイスと画像解析技術による現場作業員の行動を可視化する。

 

また、コニカミノルタ製撮影システムは、「ネットワークカメラ」「動画記録用PC・ストレージ」「フォークリフト設置の近接センサー」「電子タグ」で構成され、長時間の撮影であっても、フォークリフトと作業者が近接した場面のみピックアップしてリスク分析ができる。

 

なお、今回のサービスは202012月から製造業、運輸・倉庫業などの屋内の物流エリアを対象に、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の代理店を通じて試行運用を開始していた。

 

今後はユーザーのニーズをより深く把握し、その結果をサービスの内容に反映したうえで、本格販売を進めていく。

 

https://japan.zdnet.com/article/35165239/

 

 

 

 

 

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2021113111分にYAHOOニュース(JBpress)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

韓国国会は18日、労働者が仕事中に死傷した場合に会社の代表者と経営責任者を処罰するという「重大災害処罰などに関する法律(重大災害法)」を可決した。

 

この法律案が国会に提出された段階で、韓国の経済7団体は国会近くにある中小企業中央会で共同記者会見を開き、「重大災害法は世界に例がない過剰立法だ」として法制化の中断を求めていた。

 

そうした経過もあって、同法案は与野党の協議で一部修正されていたが、本会議を通過した。

 

成立した重大災害法は、論議に火をつけた正義党案より後退したという評価がある一方で、経済団体からは「企業に厳しすぎる」との悲鳴が上がっている。

 

【反企業体質を隠そうとしない文在寅政権】  

 

文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「最低賃金を上げれば、消費が増え国民所得も増大する」とする所得主導成長政策を掲げている。

 

しかし、これは世界の経済専門家にはまず見向きもされない発想だ。

 

それなのに文政権は、労働生産性を引き上げることもしないまま、最低賃金を最初の2年間で29%引き上げてしまった。

 

その結果、案の定と言うべきか、多くの自営業者や中小企業は廃業や倒産に追い込まれ、非正規雇用を中心に失業者が増大した。

 

人々が直面したのは、政権の意向とは裏腹に、所得格差の拡大という悲劇であった。  

 

今回の法律は、労働者や市民団体の声に押されたという点で、最低賃金引上げと根は同じだ。

 

深刻な労働災害が相次ぐ韓国で、企業や経営者に安全管理の徹底を促すという点では評価できるが、特徴は、産業現場の責任者のみならず、事業主・経営者の責任まで追及しようとしている点だ。

 

もちろん、事業主や経営者は、安全な労働環境の整備に責任を持たなければならないが、韓国国会で成立した重大災害法は、その基準も明確でなく、事故が起きた時に、恣意的に経営者や事業主の責任が追及されかねないとして、財界などから猛反発が起きている。  

 

最低賃金の引き上げでは民間企業が大打撃を受けた。

 

そのため、「韓国に投資するものは愛国者」というキャッチフレーズが叫ばれなければならないほど韓国への投資を敬遠する動きが広がったのだが、今回の法律の導入によって、今度は韓国から脱出する企業が続出しそうなのである。

 

【「全ての責任を企業に取らせ、過度の刑を科す」重大災害法】

 

重大災害法では、事業主らが安全教育・対策不備や不注意による事故で労働者が死亡した場合、安全対策を怠った事業主や経営責任者は、1年以上の懲役または10億ウォン(約9500万円)以下の罰金刑となる。

 

法人や機関にも50億ウォン以下の罰金が科せられる。

 

労災で複数人が大けがをした場合には、経営責任者を7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処すことも可能となった。  

 

さらに、法律には重大な労働災害を起こした事業主と法人に対し、最大5倍の懲罰的損害賠償を課すという内容も含まれた。

 

ただ、5人未満の事業所は法の適用対象から外し、50人未満の事業所には3年の猶予期間を与えた。  

 

労働組合などの支持を受け、本法案を推進した政党「正義党」は、「全国の事業体のうち5人未満が79.8%だ」として不満を述べ、採決を棄権した。  

 

法案の国会通過に経済界では衝撃が走った。

 

中小企業中央会は最後まで「事業主処罰条項の下限だけでも上限に変えてほしい」と要求したが、無視された。

 

また財界側は「事業主が守るべき義務規定の具体化と一部免責」を求めたが、これも実現しなかった。  

 

中小企業団体は「このまま法が施行される場合、元請け・下請け構造などで現場の接点になる中小企業はすぐにも法律違反者になるかもしれないという不安感に常に苦しむ」と、途方に暮れている。

 

【企業が韓国から逃げ出す】 

 

経済7団体の長は「ひどすぎる」と一斉に反発の声を上げた。

 

・・・・・

 

【危機管理ができない韓国政府】

 

・・・・・

 

【株価指数の上昇はバブル崩壊の前兆】

 

・・・・・

 

【バブル下で、なおもばら撒き画策の危険性】

 

・・・・・

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/0a6cc145c08f202fa9c5c3c726fc2b6ba8dd5b7b

 

 

※ちょと前、20201221172分にYAHOOニュース(ジャーナリストの寄稿文?)からは、この法律の制定を求めて国会前で断食闘争まで行われていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

毎日平均6人が労働災害で亡くなる韓国。

企業の経営効率化により繰り返される犠牲を食い止めるための法案をめぐり、激しい運動が起きている。

韓国社会の「闇」とも言える部分をまとめた。

 

【国会前で断食闘争中】

 

「労働者を軽くあしらうような、人間の価値がお金より低い世の中にならないよう、国は責任を果たすべきだ」

 

今月13日、ソウル市内の国会議事堂玄関前でキム・ミスクさんは筆者にこう語った。

 

この日はキムさんを含む産業災害(日本における労働災害)の遺族と市民運動家、そして第二野党・正義党の姜恩美(カン・ウンミ)議員を含む数人が『重大災害企業処罰法』の制定を求める断食闘争を始めて、4日目となる日だった。

 

ちょうど2年前の1211日、キムさんの息子で当時24歳だったキム・ヨンギュンさんがテアン火力発電所で石炭運送用のベルトコンベアに挟まれ命を落とした。

見回り作業の途中の出来事で、発見されるまでの約4時間のあいだ、遺体は放置されたままだった。

 

この発電所は韓国西部発電という公共機関が管理する国の施設であるにもかかわらず、守られるべき安全規則が無視されていた。

 

ヨンギュンさんは、本来ならば二人一組でやるべき作業を1人で任され、夜6時から翌朝7時半まで休憩時間もなかった。

事故が起きたのは午前320分過ぎだった。

 

本来ならば同僚が緊急停止スイッチを作動させ防げたはずのヨンギュンさんの死。

現実では、誰にも気づかれないまま、発電所は稼働し続けていた。

 

その後、明らかになったところによると、テアン火力発電所では2010年から8年間、12人の労働者が墜落など様々な事故で亡くなっていた。

 

さらに驚くことに、今年9月にも同発電所では貨物車の運転手が圧死している。

 

雇用労働部が同じ時期に同発電所の労働環境を監督したところ、10日間で377件の産業安全保健法違反が見つかっていた。

 

2年前の死は、その凄惨さに加え、キム・ヨンギュンさんが生前に非正規雇用者の待遇改善を求め、文在寅大統領に面会を求めるキャンペーンに参加していたことで、社会的に大きな関心を呼んだ。

 

死者1571人。

新型コロナウイルス感染症によるものではなく、今年1月から9月まで、韓国で産業災害(日本における労働災害。死亡者には事故と疾病を含む)により亡くなった労働者の数だ。

 

韓国の労働者は、20171952人・182142人・192020人(事故855人、疾病1165人)と、毎日平均6人が亡くなる異常な環境に置かれ続けている。

 

OECD(経済協力開発機構)諸国のうち、韓国の産業災害死亡率はトルコ、メキシコと並び、世界最悪の水準だ。

リベラルを謳う文在寅政権下でも、この大問題は放置され続けてきた。

 

これこそが、キム・ミスク氏が断食闘争を行ってまで『重大災害企業処罰法』の制定を求める理由だ。

 

「毎日『行ってきます』と仕事に出かけたまま、帰ってこられない人がいる」という切実な訴えを支持する人々は増え続けている。

 

そして昨日、断食闘争は10日目を迎えた。

 

国会のある汝矣島は中州であるため、冷たい風が吹くので有名だ。

 

20日、キム氏は体調を尋ねる筆者に「力が入らない」としながらも、記者会見では「こんな心が国会議員の皆さんに伝わっているのか、とてももどかしい」と声を張り上げた。

 

 

(2/2へ続く)

 

 

 

 

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(1/2から続く)

 

【背景に「危険の外注化」】

 

なぜ国会で断食闘争を行っているのかについては後段に譲るとして、産業災害事故が大きい背景をもう少し説明してみたい。

 

キーワードは「危険の外注化」だ。

 

公企業が下請け会社に仕事を丸投げし、その現場で事故が起きている。

 

2018年に亡くなったキム・ヨンギュン氏も、下請け会社に所属していた。

 

大元の韓国発電公社は、過去5年間に同社の仕事中の労働災害で亡くなった労働者33人のうち、32人が下請け会社だったと明かしている。

 

2016528日、午後6時頃にはソウルの地下鉄2号線九宜(クイ)駅で故障したホームドアを修理していたキム某氏(19歳、韓国メディアでは金君と呼ばれる)がホームドアと列車の間に挟まれ死亡する事件が起きた。

 

やはり二人一組で行うべき作業を、人数不足のため一人で行っていたことが死後に明らかになった。

 

地下鉄2号線を管理する「ソウルメトロ」は、ソウル市傘下の公共企業だ。

 

いずれのケースも、犠牲となった二人が安全規則をわざと破っていた訳ではない。

 

共通しているのは、二人とも下請け会社に所属する非正規雇用者で、安全規則が守られるような勤務条件の下にいなかったことだ。

 

さらに、危険な状況を発注元たる公企業がコスト削減などを理由に、普段から何ら問題視していなかったことが分かっている。

 

キム・ヨンギュンさんが亡くなった現場でも過去28度、労働者たちが環境の改善を求めてきたが、費用の問題で先延ばしにされてきた。

 

「企業による明確な殺人だ」(産業災害犠牲者遺族)との指摘は的外れではない。

 

危険な作業を下請けに任せることで起きる産業災害は、現代、ハンファといった韓国屈指の財閥企業でも同様に存在する。

 

今や世界一の半導体企業となったサムスン電子でも、政府が認めた産業災害の死亡ケースは27件にのぼり、その数倍の死亡事例が関連市民団体に寄せられている。

 

今年4月には、京畿道利川(イチョン)市の物流倉庫で起きた爆発により38人が亡くなったが、同じ利川市では20081月に冷凍倉庫火災で40人が亡くなっている。

 

いずれも燃えやすいウレタン素材に火がついたことが大被害の原因だった。

 

ニュースに接した多くの韓国市民は「またか」と思っただろう。

 

災害の教訓は何も生かされていなかった。

 

 

【重大災害企業処罰法とは】

 

・・・・・

 

【政界は足踏み、財界は反発】

 

・・・・・

 

【全泰壱50周忌の「けじめ」】

 

・・・・・

 

徐台教

ソウル在住ジャーナリスト。「ニュースタンス」編集長

群馬県生まれの在日コリアン3世。韓国・高麗大学東洋史学科卒。

1999年から延べ16年以上ソウルに住みながら、人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20201221-00213711/ 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

日本の労災死者数は、1970年ごろに6000人近かったものが、その後は漸減し、ここ数年は1000人弱程度にまで減っている。

 

韓国とは統計の取り方が違うかもしれないが、2000人前後というのは、20年ほど前の日本と同程度のレベルだ。

 

『図1 労働災害による死傷者数、死亡者数 (1965年~2018年)』

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0801.html

 

ただ、韓国の人口は約5000万人と、日本の半分程度。

そのことを考えると、40年ほど前の日本と同程度のレベルだという見方もできるかもしれない。

 

 


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2021113620分にYAHOOニュース(くるまのニュース)から、『なぜ「安全」といえばメルセデス・ベンツなのか? 「神話」が誕生した理由とは』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

メルセデス・ベンツは、1939年に安全の取り組みをはじめている。

 

日本では、その3年前の1936年に、トヨタ自動車がAA型と呼ばれる最初の乗用車をつくった時代に近い。

 

ガソリンエンジン自動車は、ドイツのカール・ベンツによって1886年に誕生しているので、メルセデス・ベンツにとっての1939年は、自動車づくりですでに53年もの経験を積んでいた時代になる。

 

それでも、当時はまだ、世界的に安全について語られることが少なく、ベラ・バレニーという技術者をメルセデス・ベンツが迎え入れたことは画期的な出来事といえる。

 

そして、衝突安全性についての研究をはじめたのである。  

 

バレニーは、メルセデス・ベンツに34年間在籍し、その間に2500件に及ぶ特許を取得した。

 

なおかつ、「エンジンよりも先に人間を」の基本的考えにより、特許はすべて無償公開している。  

 

バレニーの功績の一つが、今日ではすべての自動車に適用されている衝撃吸収車体構造だ。

 

これは、衝突する車体前後は潰れやすくすることで衝撃を吸収し、客室部分は堅牢な構造として人命を守る考えに基づいた車体設計である。

 

この設計を用いたメルセデス・ベンツ180は、1953年に発表されている。

トヨペットクラウンが誕生したのは、その2年後の1955年のことだ。

 

自社開発にこだわったトヨタがようやくクラウンを発売したとき、メルセデス・ベンツは衝突事故を視野に入れた乗用車を実現していたのである。

 

メーカー自身が事故の原因調査をすることで、安全性を高めていった

 

1969年には、メルセデス・ベンツの技術者みずから事故現場へおもむき、実態調査を行う事故調査を開始した。

 

その2年前には、エアバッグの開発にも着手している。  

 

みずから事故調査をおこなうことで発想されたのが、前面衝突事故でのオフセット衝突の考えだ。

 

実際の交通事故では、クルマの前面が一様にぶつかる例は限られ、むしろ前面の一部が障害物や対向車などと衝突している実態を目の当たりにしたから気づいたことである。

 

こうした実態は、書類のうえからだけではなかなかつかみにくい。

 

そして、オフセット衝突による衝突安全は、これもいまや世界の自動車が取り組んでいる安全技術だ。  

 

さらに、事故を起こさないようにする取り組みとして、メルセデス・ベンツは、ABS(アンチ・ロック・ブレーキング・システム)を1970年に発表した。

 

85年には、ASR(アクセレレーション・スキッドコントロール)を発表している。

 

それらは、順次すべての車種に搭載されていくことになる。  

 

メルセデス・ベンツの新車開発の根底にある思想は、「シャシーはエンジンよりも速く」である。

 

つまり、馬力にまかせて速く走ることよりも、高いシャシー性能によって安全に走行できるクルマづくりを目指すという意味だ。  

 

メルセデス・ベンツと同様に、スウェーデンのボルボも、安全なクルマとして世界的に知られている。

 

1927年に乗用車の生産を開始するにあたり、その試作段階で、試作車が道路をはずれ衝突する事故を経験した。

 

そこから、ボルボは気候条件の厳しい北欧で、人を中心とした安全かつ丈夫なクルマ作りを基本としてきたのである。

 

その取り組みのなかから、3点式シートベルトを1959年に開発し、その特許を無償公開している。

 

これも同じく、いまや世界の自動車の安全の基本なる装備だ。  

 

またメルセデス・ベンツと同様に、1970年からみずから事故現場へおもむいて調査する調査隊を結成し、車両の状態だけでなく乗員の様子なども調べあげ、安全技術や安全機能の作り込みに活かしている。  

 

日本では、たとえばオフセット衝突に対応したトヨタのGOAボディが採用されたのが1995年のことである。

 

ことにメルセデス・ベンツやボルボが安全なクルマとして広く認識され、信頼されている背景に、事故現場での調査など含め、取り組みの歴史と知見に他社と大きな開きがある。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/06bd6d7c2c746a6b9f0c87a7409e2d04859c22b1

 

 

 

 

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202012291610分にYAHOOニュース(乗りものニュース)から下記趣旨の記事が、施設内の写真付きでネット配信されていた。

 

ズラリ並ぶ巨大構造物 NEXCO東日本の研修施設に潜入 実物叩いて学ぶコンクリートの劣化

 

NEXCO東日本が20201215日(火)、東北道の岩槻IC内にある「総合技術センター」を報道陣へ公開しました。

 

今年3月のオープン時期に予定されていたものの、新型コロナの影響で延期となり、8か月越しの実施になりました。

 

総合技術センターは社員向けの研修・研究施設で、道路の点検・補修を体験的に学べるほか、各種技術開発の拠点にもなっています。

 

既存の道路をいかに維持するかが重要となる一方で、新規の道路建設が減り、現場で技術的な知識を身につける機会が少なくなっていることから、それを補完する施設として整備されたものです。  

 

施設は研修設備と研究・技術開発設備からなり、前者には高速道路の歴史や、忘れてはならない重大事故などを紹介する博物館のような展示室も備わっています。  

 

ここは、デジタルサイネージやタッチパネルを駆使して、体感的に理解できるようにしているとのこと。

 

このほか、VR(ヴァーチャルリアリティ)で橋の内部に生じた損傷などを疑似的に見ることができる設備のほか、屋外には料金収受の研修を行う「料金所の実物」まで備わっています。  

 

なかでも圧巻なのは、一見して空港の格納庫にも似た「開発・実習棟」です。

 

ここには、高速道路から撤去された橋の床版(しょうばん。舗装が載る道路の床板に当たる部分)を始めとした実際の道路設備や、コンクリート・舗装といった構造物のサンプルがズラリと並びます。

 

橋の一部をコンコン…「音が違うでしょ?」

 

撤去された床版などは、一見するとボロボロの巨大構造物ですが、これらは「生きた教材」。

 

なかには、NEXCO西日本管内から運んできたという、熊本地震で折れ曲がった九州道の橋桁や、タンカーの衝突によって壊れた関西空港連絡橋の一部も展示されています。  

 

実際の点検では、コンクリート構造物を手持ちのハンマーで叩いたり、指揮棒の先に金属製のローラーが付いたような「コロコロeye」と呼ばれる道具を使ったりして「音」を聞き取ります。

 

コロコロeyeを床版の上で動かしてみると、「ほらそこ、音が違うでしょう。内部でコンクリートが劣化し、鉄筋から浮きができている箇所です」と、総合技術センター技術企画課 課長代理の寺沢さんが教えてくれました。  

 

寺沢さんによると、この総合技術センターはNEXCO東日本関係者にとって、基礎的な土木の知識を学ぶ場とのこと。

おおむね入社10年目までの技術者を育てたいといいます。  

 

ちなみに、これだけ立派な施設を一般公開しないのか、という質問も出ましたが、新型コロナの影響もあり、現在のところ未定だそうです。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/4b325d6722586cc1367d6aa37c33a2a036cada48 

 

 

 

 

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202012162024分にYAHOOニュース(テレビ新潟)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

ダムに転落した人を連係プレーで見事救助したとして、男性2人に16日、警察から感謝状が贈られた。
その救出劇とは…  

 

11月17日に撮影された写真。

ぐったりとする男性を落ちないように斜面で支える男性。

手には1本のロープ。

このロープがダムに転落した男性の命を救った。  

 

事故があったのは11月17日午後3時ごろ。

新発田市にある内ノ倉ダム湖に1台の車が転落した。  

 

第一発見者の井浦さんは、「写真撮ってたら車がぶつかる音がして、辺りを見回したら車が落ちていたという感じです」と、当時の様子を話した。  

 

井浦さんはすぐにダム管理事務所に駆け込み、事務所で働く斎藤さんと現場に向かった。  

 

2人が到着したとき、男性は斜面にいて下半身が水に浸かり、ぐったりした様子だったという。  

 

斎藤さんは事務所に戻り、ライフジャケットとロープをもって再び現場に。

 

自分にロープを巻き付け、斜面の上では井浦さんたち男性2人がロープを支えていたという。  

 

斎藤さんは「手も限界で、自分が手を離したらダム湖に男性が落ちるっていうこともあった」と振り返る。  

 

時間にして約1時間…ようやく消防が駆け付け、引き上げたという。  

 

車に同乗していた妻は亡くなったが、男性は命に別状はないという。  

 

斎藤さん、井浦さんの勇気ある行動に対し、警察は16日、感謝状を贈った。  

 

斎藤さんは「奥さんが亡くなられたことはすごい残念なんですけど男性の方が助けられたってことが良かったと思います」と話した。  

 

新発田警察署の増田署長は「迅速的確、かつ献身的な救護活動だった」と話している。

 







 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/5a76d647ed24ef3d94bc9cfcf8663db7ff29de78

 

 

1218933分に朝日新聞からは、ロープの端は木に結んだなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

ダム湖に転落した80代男性を救助したとして、新潟県警新発田署は16日、男性2人に感謝状を贈った。

 

自分の体にロープをくくりつけて斜面を下りるという、映画さながらの救出劇だった。

 

感謝状を贈られたのは、県新発田地域振興局ダム管理課職員の斎藤さん(63=新発田市=と、自動車整備士の井浦さん(41=阿賀野市。

 

現場は、新発田市中心部から南東に約15キロの内の倉川上流にある内の倉ダム。

 

先月17日の午後3時すぎ、紅葉を撮影中、湖中に転落した車を見つけたのが井浦さんだった。

 

近くのダム管理事務所に車で向かい、斎藤さんを現場に案内した。

 

斎藤さんは木と自分の体をロープで結び、約15メートル下の湖面まで斜面を下りた。

そして、湖中の男性にもロープを巻き付けて岸に引き上げる。

その間、井浦さんは2人が転落しないよう、斜面上でロープを引っ張って支え続けた。

 

午後5時過ぎ、消防隊が男性を救助した。

 

斎藤さんは「とにかく救助しなければという一心だった」、井浦さんは「助けられて良かった」と振り返った。

 

増田署長は「(転落した男性には)命の危険があった。ありがとうございました」と話した。

 

https://www.asahi.com/articles/ASNDK7R2RNDJUOHB008.html

 

 

 

 

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20201210436分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

遊戯施設や家庭にあるトランポリンで、骨折などの大きなけがをする事故が相次いでいるとして、消費者庁などは安全な利用を呼びかけています。

 

消費者庁などによりますと、トランポリンに関する事故の情報は、ことし9月までのおよそ10年間に、医療機関から100件報告され、消費者庁などが運用している事故情報データバンクにも40件報告されているということです。

遊戯施設や家庭、それに学校などで子どもが、けがをするケースが多く、

▽遊戯施設のトランポリンで遊んでいた10代の男性が外に落下し、左ひじの関節を脱臼骨折する大けがをしたケースや、

2歳の子どもが転んだ際、同じトランポリンで跳んでいた大人に踏まれて太ももの骨を折ったケース、

▽それに、12歳の子どもが学校のトランポリンで宙返りをして着地した際、ひざがあたって顔の骨を折ったケース

などがあったということです。

消費者庁は、トランポリンは2人以上で同時に使用すると衝突などのおそれがあるため、1人ずつ使用することや、初心者は徐々に体を慣らしていき、いきなり高く跳んだり宙返りをしたりしないことなど、安全な利用を呼びかけています。

消費者庁消費者安全課の鮎澤課長は、「正しく使わないと、けがをする危険性が高まる。施設のルールやトランポリンの性能を確認し、安全に利用してほしい」と話しています。

 

 

【高く跳べるトランポリン設置も】

 

消費者庁が全国の遊戯施設を対象に行ったアンケートでは、公式競技に使われるような高く跳べるトランポリンが設置されているケースもあるということです。

 

こうしたトランポリンを、複数の人が同時に使った状態を想定した国民生活センターの実験では、重さおよそ25キロのおもりが跳ね上がる高さは、近くで跳んだ人の着地のタイミングによって、低いときは20センチでしたが、高いときは1メートル50センチほどと、大きく異なったということで、複数の人が同時に跳ぶと、思わぬ高さまで跳ねて体勢を崩し、けがにつながるおそれがあるということです。

 





 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201210/k10012755671000.html

 


1211160分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。

 

遊戯施設や家庭でのトランポリンによる事故が相次いでいる。

 

消費者庁によると、2年前から増加傾向にあるといい、使うときは注意するよう呼びかけている。

 

今年3月、大阪府の遊戯施設で、遊んでいた10代男性がトランポリンの外に落下し、左ひじの関節を脱臼骨折した。

 

これを受け、消費者庁が全国の消費生活センターから寄せられた事故情報を調べたところ、20104月~今年9月に40件起きていた。

 

17年までは年4件以下だったが、18年に7件、19年に8件、今年は9月末までに5件と増加傾向だ。

 

14歳の少年が同じトランポリンで遊んでいた子どもと衝突して落下し、口から大量に出血して歯が抜けた」という事例もあった。

 

発生場所は遊戯施設が23件と最多で、家庭7件、学校など5件。

 

けがの内容は、骨折12件、すり傷やねんざなど7件、刺し傷・切り傷6件と続いた。

 

消費者庁によると、トランポリンを設置する屋内遊戯施設がここ数年で増えており、高く跳躍できる競技用の製品で気軽に遊べるようになった。

 

トランポリンで遊ぶことを主な目的としている全国の28施設を調べたところ、24施設でこの5年に利用者がけがをしたことがあったという。

 

消費者庁は

▽トランポリンを初めて使うときは、低めの高さから徐々に体を慣らす必要がある

▽宙返りなど、難易度の高い技には安易に挑戦しない

▽一つのトランポリンを2人以上で同時に使用すると、着地のタイミングによっては思わぬ高さまで跳んでしまうため、1人で使用する

といった注意を呼びかけている。

 

https://www.asahi.com/articles/ASNDB6SC7NDBUTFL009.html 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

以下は、国民生活センター発表の動画(1分43秒)。

 

前出のNHK映像は、複数人使用時の跳ね返り高さを比較した実験だが、それ以外、一般用と競技用の跳ね返り高さ比較などの映像がある。

 

http://www.kokusen.go.jp/douga/data/vn-20201209_1.html

 

 

 

 

(2021年3月25日 修正1 ;追記)

2021324140分にYAHOOニュース(毎日新聞)からは、ホワイトボードに直近の負傷者数や負傷した時の状況などを記載することで利用者に注意喚起している遊戯施設もあるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

遊戯施設に設置されたトランポリン用の跳躍器具で大けがをする事故が多発している。

消費者庁が調査したところ、跳躍器具による遊びをメインにする全国の遊戯施設での脱臼や骨折が、20209月までの5年間で約170件も発生。

直近の事故件数を掲示して利用者に注意を呼びかける施設もあるが、治療に当たる医師からは「利用者が気をつけるだけでは不十分。事業者が安全対策を徹底するよう国が指導すべきだ」との声が上がる。  

「今週のケガ人1人、今月ケガ人6人(救急車2台)、先月ケガ人2人(救急車1台)」。

50台の跳躍器具を設置する大阪府内の遊戯施設を3月中旬、記者が訪れると、負傷者の発生状況を書き込んだホワイトボードが受付に置かれていた。

壁には「1213日、宙返りの着地ミスで右足首骨折」などと、具体的な内容を書き込んだ紙も張られている。  

運営会社の社長は「バランスを崩して着地し、けがをする人が多い」と認めつつ、「危険な跳び方をしないなど、ルールを守ることや、けがや事故の責任を店は一切負わないことについて入場の際に伝え、誓約書にサインしてもらっている」と説明した。

跳躍器具は5年前から設置して、監視員も配置しているが、これまでに30人ほどの重傷者が出ているという。  

 

【国がガイドライン作成を】

消費者庁が209月、トランポリン遊びがメインの全国28施設にアンケートしたところ、回答のあった24施設全てで事故が発生。

5年間で脱臼103件、骨折63件、切り傷・裂傷53件、捻挫・打撲45件に上った。

同庁は調査結果を同年12月に発表し、いきなり高く跳ばないことや、1人ずつ器具を使うことを呼びかけたが、利用者への注意喚起であって、事業者への指導ではない。  

遊戯施設の指導や監督を所管する経済産業省によると、安全対策としては、ショッピングモールなど商業施設内の施設のガイドラインを166月に作成しているが、目的は子供向けのジャンピング遊具などでの事故防止で、大人も使う跳躍器具は想定していないという。

前出の大阪府内の施設の運営会社社長は、「同様の施設は、ここ数年で増えており、業界団体もないため、統一的な安全対策マニュアルはない」と話す。  

この施設で負傷した利用者がよく運ばれる総合病院の医師は、「30例近く診察したが、けがは子供より20代前後の若者の方が多い。足首や肘、腰などを骨折し、後遺症が残りそうな人も少なくない」と指摘。

1人ずつ跳ぶなどのルールを守っていても重傷を負っており、営業自粛を求めてもおかしくない状況だ。死亡事故などが起きる前に国がガイドラインを作成するなどの安全対策に乗り出すべきだ」と訴える。  

日本体操協会の石田広報委員は、「安全に着地できれば、大きな事故は減らせる。初心者には施設側が数分間、安全な跳び方や膝を上手に使った着地を指導するなど、対策の仕方があるのではないか」と話している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/98172132d14014eb4aacff251912ad008c07cddf

 

(ブログ者コメント)

昨年の報道では10年で100件とか40件とか報じられていたが、今回の報道では5年で170件と報じられている。

いずれが正かは不明だが、大勢に影響ないので調査は割愛した。

 

 

 







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2020819755分にYAHOOニュース(産経新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

JR東日本高崎支社の社員とグループ会社員のための安全教育施設「安全の学び舎~刻苦勉励舎(こっくべんれいしゃ)」が高崎駅構内に誕生した。

 

過去の事故などから学ぶ取り組みを推進するのが目的で、新幹線高架下に整備された。

広さは約330平方メートル。  

 

目を引くのは、昭和25年6月に信越本線・熊ノ平駅構内で発生した土砂崩落事故や52年3月の上越線・津久田-岩本駅間で起きた落石による急行列車脱線事故など、8件の重大事故を写真などで取り上げたパネルコーナーだ。

 

それぞれの経緯や原因を示したうえで、「どのように行動するか」など、具体的な勉励のポイントなども提示した。  

 

労働災害事故、昨年の台風19号の自然災害状況などをまとめたコーナーもあり、教訓などが記された。  

 

「事故の減少傾向が続く中で事故の怖さを伝えたい」と、3D映像を映し出す仮想現実(VR)ゴーグルを使った「安全体感VRトレーニング」も導入。

 

鉄道車両屋根上での作業と配電作業に伴う危険体験、構内整備業務中の触車体験がリアルに経験できる。  

 

各コーナーで学んだ後は、社員同士で「取り組むべきこと」を共有するためのミーティングの場も設定されている。  

 

今後2年間で関係社員全員が施設を利用する見通し。

 

JR東の「安全のプロ」に認定されている同支社の深田安全企画室副課長は、「社員一人一人が主体的に考え、行動できるよう安全に対するレベルアップを図りたい」と話した。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/4ee013c675bf446052ac565c042190c216ddbff2

 

 

 

 

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202073070分にYAHOOニュース(ブックバン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

労働災害・交通事故・医療事故など、ヒューマンエラーの最前線を研究し続けてきたからこそ見えてきた、「事故ゼロ」「失敗ゼロ」を目指す安全対策の弊害と限界とは。

 

『失敗ゼロからの脱却』著者の芳賀繁先生にお話を伺いました。

 

【事故原因は「不注意」、安全対策は「注意喚起」!?

 

Q:

芳賀先生は、ヒューマンエラー、ヒューマンファクター研究の第一線で長く活躍されてきました。

つまり、ずっと「失敗ゼロ」を目指してきたのではなかったのでしょうか? 

 

芳賀:

私は1977年(昭和52)に国鉄(日本国有鉄道、現・JR)に就職したのですが、当時は国鉄だけで毎年100人以上の人が労働災害で死亡していました。

 

全産業では3千人くらい。

交通事故で死ぬ人は1万人近く。

 

世界に目を向けると、大型ジェット旅客機はあちこちで落ちるし、化学プラントでの爆発や有毒物質の漏洩も後を絶ちませんでした。

 

Q:

それほど多かったのですか。

 

芳賀:

そんななか、社会や産業界ではヒューマンエラーやヒューマンファクターズに対する関心が高まっていきました。

 

大学で認知心理学を勉強して国鉄の研究所(鉄道労働科学研究所)に就職した私は、注意やヒューマンエラーの研究で事故防止に貢献したいと考えたのです。

 

鉄道でも、信号を見間違えて事故が起きたり、停まるべき駅を通過してしまったりするトラブルがちょくちょく起きていました。

 

当時は,ヒューマンエラーで事故が起きると、原因は「不注意」、「漫然作業」、対策は「注意喚起」「確認の励行」などと報告書に堂々と書かれていました。

 

だから,まず、ヒューマンエラーを科学的に理解して背景要因を解明すること、それに基づく効果的な対策をうつことの重要性を、多くの人に理解してもらう必要があったのです。

 

 

【過剰な安全対策が現場を疲弊させる】

 

Q:

実際、先生のご著書『失敗のメカニズム 忘れ物から巨大事故まで』(角川ソフィア文庫)はロングセラーになっています。

 

つまり、先生がおっしゃったような状況やヒューマンエラーに対する関心は、現在も少なからず続いているのでは、と感じます。

 

にもかかわらず、なぜいま『失敗ゼロからの脱却』という逆説的なタイトルの本を書こうと思われたのでしょうか? 

 

芳賀:

『失敗のメカニズム』の初版から約20年の間に、ヒューマンエラー対策はずいぶん進みました。

日本の安全水準もずいぶん上がりました

 

そんな状況で、ぐりぐりと安全対策を進めて「事故ゼロ」を目指すだけでは、却って弊害が目立つようになったのです。

 

労災関係の国のある会議では「小さな事故でも報告書に必ず再発防止対策を書いてください」と安全担当者に呼びかけています。

 

先日、ある大きな工場の安全大会に出席したのですが、工場長が1年間に起きた労災事例を紹介していました。

カッターで指を切ったとか、階段で足を踏み外して捻挫したとか、そんな話ばかりです。

それでも、労災をゼロにするため「みんなで頑張ろう」と檄を飛ばしていました。

 

結果としてどういうことが起こるか。

カッターで手を切るのを防ぐ対策としてカッターナイフの使用を禁止するとか、階段で足を踏み外さないために階段昇降時に必ず手すりを持つルールを決めるとか、そういう対策が大真面目に行われるのです。

現場は仕事がやりにくくて仕方がない。

 

Q:つまり、安全対策をやりすぎている、ということですね。

 

芳賀:

ええ。小さな事故を防ぐために過剰な対策が行われ、仕事がやりにくくなっています。

 

本来、仕事をする目的は、よい製品を作ること、よいサービスを提供することです。

事故を起こさないことやトラブルを起こさないことではありません。

 

現場第一線はよい仕事をしようと頑張っているのに、失敗を避けることだけを考えている安全マネジメントが足を引っ張っている。

 

安全マネジメントだけではありません。

経営も、教育も、行政も――日本社会はあらゆる側面で「失敗を避けること」に汲々として、しなやかさを失っていると思います。

 

 

【現場の仕事は99.9パーセント以上うまくいっている】

 

Q:「しなやかさ」とはどういう意味ですか? 

 

芳賀:

本書の副題を「レジリエンスエンジニアリングのすすめ」としました。

レジリエンスとは、「弾力性」「復元力」といった意味です。

 

ダイナミックに変動する環境の中で果たすべき機能を維持する力、機能が損なわれたときには素早く回復する力がレジリエンスです。

 

システムのレジリエンスを高めるにはどうすればよいか

それを考えるのがレジリエンスエンジニアリングですが、システムがレジリエントであるためには、現場第一線もレジリエントである必要があります。

 

現場第一線のレジリエンスを、私は「しなやかな現場力」と呼んでいるのです。

 

Q:

現場では、つねに想定外の事態も起こり得ます。個人も組織もガチガチでは、対応しきれなくなりますね。

 

芳賀:

これまで、安全はリスクの少なさや、事故の数の少なさで評価されていました。

 

たとえて言えば、これは料理の美味しさを表現するときに「不味くない程度」を使うようなものですね(笑)。

 

レジリエンスエンジニアリングでは、安全を「うまくいくことが可能な限り多いこと」と定義します。

 

この新しい安全の定義が、本書のなかで述べている「セーフティII」という概念です(本書59P以降)。

 

Q:

なるほど!

「事故が半減して安全になった」と言うのは「不味さが半減して料理が美味しくなった」と言っているに等しいとすれば、かなり違和感がありますね。

 

芳賀:

安全管理者は失敗ばかり調べています。

そして、安全マネジメントは事故や事故のもとになるエラーの数を減らすことを目標にしています。

 

でも、現場の仕事は99.9パーセント以上うまくいっています。

どのようにして現場はうまくやっているのか、よく見て、そこからもっと学ぶべきです。

 

そうすれば、現場第一線が変化する状況に柔軟に対応して成功を続けていることが分かるでしょう。

 

そして、それをもっと続けもっと増やすにはどうすればよいかも見えてくるはずです。

 

 

(2/2へ続く)

 

 

 

 

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(1/2から続く)

 

3.11で気づいたプロフェッショナルたちの仕事】

 

Q:

ところで、先生が最初にレジリエンスエンジニアリングと出会ったとき、どんな印象を持たれたのですか? 

 

芳賀:

初めて聞いたときは、従来のヒューマンファクターズの考えとあまりに違うので戸惑いました。

 

Q:

そうでしょうね。

ずっと「失敗ゼロ」を目指してきたわけですから(笑)。

 

芳賀:

これまで、エラーは結果であり、システムの設計を改善することで人のエラーを減らし、人がエラーをしても事故が起きないシステムを作るべきだと言い続けてきました。

 

それなのに、人の柔軟性がシステムを守っている、システムの機能を維持するためには人や組織の力を付けなければならないなんて、古い考えのように思えたんです。

 

「しなやかな現場力」などという言葉を当時の私が聞いたら、「そんな精神論ではダメです」と一喝したでしょう。

 

Q:

何か転機になる出来事があったのでしょうか? 

 

芳賀:

じつは、2011311日に東日本大震災を経験して考えが変わりました。

 

私は東京の池袋で地震に遭遇し、おなじ池袋にある勤め先の大学に戻って一夜を明かしたあと、電車が動き始めるのを待って駅に向かいました。

 

運転本数が極めて少なかったので、大変な混雑だったし時間もかかりましたが、迂回ルートを経由してとにかく帰宅し、家族の無事を確認することができました。

 

その後も、東京では計画停電があったり、福島原発の状況も不安定だったりして大変な状況でしたが、首都圏の鉄道は運転本数を減らして走り続けていました。

 

あとで聞いた話ですが、担当者は毎日の列車ダイヤを編成する作業で、徹夜続きだったそうです。

 

震災から数日間、あるいは数週間、あるいは数ヶ月間、日本の様々な会社や役所で、その道のプロフェッショナルたちが、彼らが担っているシステムの機能を回復させようと、あるいは可能な限り高い水準で維持しようと努力していたのです。

 

Q:

余震も頻繁でした。また何が起こるかわからない不安が続くなか、たしかに首都圏のインフラやライフラインは保たれていたように思います。

 

芳賀:

そうです。それに気づいた私は、エラーを防ぐこと、失敗から学ぶことばかり強調していたことを反省しました。

 

電車を走らせなければ事故は起きません。

地震の翌朝に無理をして電車を走らせなくてもよかったのです。

 

駅は人であふれていて、電車を走らせると人身事故が起きるかも知れない。

線路か路盤のどこかが痛んでいるかも知れない。

強い余震が来るかも知れない。

 

つまり「安全」だけを考えれば、復旧はもっと遅くてもよかったのです。

 

それでも鉄道会社の社員たちは、一刻も早く都心に残った人たちを帰宅させようと頑張ってくれました。

 

そして、もちろん鉄道だけでなく、同じように頑張った人たちは、空港、道路、海運、警察、病院、薬局、福祉施設、工場、店舗、役所、学校など、ありとあらゆる業種に存在したのです。

 

レジリエンスエンジニアリングは、このようなプロフェッショナルの誇りとやりがいを支え、想定内でも想定外でも変化する状況に対応してシステムの機能を高い水準に維持するのに貢献する、新しいマネジメントのパラダイムだと確信しました。

 

以来、レジリエンスエンジニアリングの研究と、企業や学会での紹介に取り組んできたのです。

 

 

【コロナ禍に求められる「しなやかな現場力」】

 

Q:

新型コロナウイルスの脅威が続いています。

一方で「自粛」「延期」「回避」等が長引くほど、実生活や社会経済が立ち行かなくなるというアンビバレントな問題に直面しています。

コロナ禍の現在こそ、まさにレジリエンスエンジニアリングの発想が求められているのではないでしょうか。

 

芳賀:

感染対策のため、今までとは全く違った仕事のやり方、働き方が突然あらゆるところで必要になりました。

 

緊急事態宣言の解除後、あるニュース番組を見ていたら、「早くガイドラインを決めてくれないと店を開けられない」と取材に答えている方がいました。

 

一方では自分で対策を考え、政府や自治体のガイドラインを待たずに店を開けた方もたくさんいました。

 

Q:

政府や自治体の対応自体も、遅々として一律には進みませんでしたね。

 

芳賀:

110万円の特別定額給付金を私がやっと受け取ったのも、7月中旬でした。

 

でも北海道東川町は、国会での補正予算成立を待たず、早くも430日午前に、申請のあった一部町民に対し金融機関を通じて10万円の先払いを実施しました。

後日、国の特別定額給付金を充てる形で町が本人に代わって返済したのだそうです。

 

人口の多い町では手続きに時間がかかっているところが多いのですが、人口74万人の練馬区では、6月末までに85パーセントが支給されたそうです。

 

先手先手を打って準備を進め、担当職員を柔軟に配置して対応したのが功を奏したらしいのです。

 

Q:

先生が「あとがき」で挙げられていた「人知れず任務に励む人たち」という言葉を思い出します。

一人ひとりが発揮するプロフェッショナリズムこそが、仕事に対する責任と誇りを生み、実社会を支えていくのですね。

 

芳賀:

一つの会社の中でも、あらゆる部門で新しい方法を模索しなくてはならないとき、いちいち会議を開き、部長や社長がそれを決裁して、などとしていたらキリがない。

 

求められるのは、現場第一線、それは個人であったり、作業グループであったり、一つの課や部だったり、支店だったりするのでしょうが、そういう末端組織で、できること、やるべきことを考えて実行していく――これからの社会には、まさに本書で述べた「しなやかな現場力」が必要なのです。

 

本書の最後(第7章)に、現場第一のレジリエンスを高める教育・研修・経営施策の実践を紹介しています。

ぜひ、ご覧下さい。

 

▼芳賀繁『失敗ゼロからの脱却 レジリエンスエンジニアリングのすすめ』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ) https://www.kadokawa.co.jp/product/321811001066/ []カドブン KADOKAWA カドブン 2020722日 掲載

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/76168864bcb0b02a9e09def07967a086478977e7

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

昔、安全セミナーで話を聞いたことのある芳賀氏。

その芳賀氏が見事に宗旨替え?したということで、興味深く読ませてもらった。

皆さまにもご参考まで。

 

 

 

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2020720日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。

 

「これは防災業界が猛省すべき事件だ」――。

 

京都市伏見区の「京都アニメーション」で1年前に起きた放火殺人事件は、国内トップクラスの消火器メーカーにも衝撃を与えた。

 

スタジオ内にまかれたガソリンは瞬時に燃え広がり、社員ら36人が死亡、34人が重軽傷を負う平成以降最悪の惨事となった。

 

火災は、なぜ食い止められなかったのか。

今後、同様の事態を防げるのか。

 

事件を機に、新しい防災機器を開発した技術者らの挑戦を追った。

 

事件は2019年7月18日午前10時半ごろに起きた。

 

殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕された青葉容疑者(42)は、鉄骨3階建てのスタジオに侵入。

1階の入り口付近でガソリンをまき、簡易ライターで放火したとされる。

 

揮発性の高いガソリンが充満し、一気に燃え広がる「爆燃現象」が起きたとみられ、多くの社員らは逃げる間もなく犠牲になった。

 

青葉容疑者は「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と供述。

現在は、心理状態などを調べる鑑定留置が行われている。

 

東証1部上場の消火器メーカー「日本ドライケミカル」(本社・東京都)の技術顧問、高橋さん(男性、58歳)は、「事件で、自分たちが手掛ける製品が否定されたように感じた」と打ち明ける。

 

同社は消火器や火災報知機から、石油コンビナートなどの防災設備まで幅広く手がけるが、これまで製品開発で重視してきたのは「発火後にどう対応するか」という視点だった。

 

しかし、ガソリンはひとたび火がつけば爆発的に燃え広がり、なすすべもない。

 

それならガソリンに薬剤を吹き付け、事前に引火を抑える機器を作れないか。

「消火」から「引火抑制」へ――発想の転換だった。

 

おりしも、同社は数年前から、海外で続発していた大型バスの炎上事故に着目。

漏れた燃料に引火するケースが多いことから、薬剤を高速噴射して消火する技術を開発していた。

 

これをさらに広範囲に噴射できるようノズルを改良。

薬剤についても成分の微調整を重ねた。

 

泡と膜でガソリンの気化を抑え、引火を防ぐ新しい防災機器が誕生した。

 

製品名「クイックスプラッシャー(火災抑制剤放射器)」。

重さは約5キロと一般的だが、約10平方メートルの範囲に2・5リットルの薬剤をわずか1・8秒で噴射する。

30~60秒かかる一般的な消火器と比べると差は歴然だ。

 

同社の実験動画では、一般的な消火器は噴射に時間がかかり、ガソリンに火を近づけると瞬時に引火し、炎上してしまう。

 

一方、同社の新製品は、高速噴射した薬剤がガソリンの気化を抑え、燃え広がらなかった。

 

引火したガソリンに吹き付けた場合でも、5秒ほどで火勢が弱まった。

 

過去に消防署長などを務め、実験にも立ち会った公益財団法人「市民防災研究所」(東京都)の坂口事務局長は、「ガソリンは、いったん火がつくと消すのが難しい。引火抑制に成功したのは画期的だ」と評価する。

 

ガソリンによる放火事件は、過去にも多くの犠牲者を出してきた。

 

03年9月、名古屋市東区のビルに男が立てこもった事件では、床にまかれたガソリンが爆発・炎上し、3人が死亡、41人が重軽傷を負った。

 

09年7月に大阪市此花区のパチンコ店で起きた事件では5人が死亡、10人が重軽傷を負った。

 

大阪市消防局によると、ガソリンに特化した装備はなく、消火には通常の泡消火剤を使う。

 

屋内にまかれた場合は、換気して、気化したガソリンを外に出すが、消防隊員にとっては最も危険な現場の一つだ。

 

日本ドライケミカルの新製品は、こうした火災や交通事故現場でのガソリン漏れ、公共交通機関や大規模イベントでのテロ対策などに活用してもらうことを想定しているという。

 

同社は現在、引火抑制や噴射などの技術について特許出願中で、防災週間(8月30日~9月5日)中の発売を目指している。

 

高橋さんは「京アニのような被害を二度と出したくない」と強調した。

 

https://mainichi.jp/articles/20200720/dde/041/040/027000c

 

 

 

 

 

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20207151755分にNHK四国から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

伊方原子力発電所の1号機と2号機の廃炉作業で活用してもらおうと、コンクリートの切断などに使う高圧の水が当たってもやぶれにくい新たな防護服を西条市のメーカーなどが開発し、15日、県庁で紹介されました。


開発したのは、西条市にある防護服メーカー「トーヨ」と愛媛大学で、代表者が四国電力の長井社長とともに県庁を訪れ、中村知事に報告しました。

 

四国電力が進める伊方原発の1号機と2号機の廃炉作業では、高圧の水を使って建物の解体や除染などを行う可能性があるということですが、新たな防護服は、ナイロンや数種類の「高強力ポリエチレン」などを重ねて強度を増し、生地の表面に凹凸を作って水圧を分散させることで、高圧の水が当たってもやぶれにくくなっているということです。

 

メーカーなどによりますと、新たな防護服は金属が素材だったこれまでの防護服より、20パーセントほど軽く、作業性も向上しているということです。

 

トーヨの渡邊社長は、「2年間試験を重ねてきました。どのような素材を組み合わせれば強度が高まるかという点で苦労しました」と話していました。

 

四国電力では、長井社長は「廃炉作業のどの場面で活用していくか検証していきたい」と話していました。

 

https://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20200715/8000007098.html

 

 

716日付で愛媛新聞からは、四国電力主催の廃炉に向けた技術検討会が企業や大学の協力を得て開発したという、同趣旨の記事がネット配信されていた。

 

原発廃炉に向けた技術的な研究を行う四国電力の「廃止措置研究に係る検討会」は、このほど、県内企業や愛媛大と協力し、高圧ジェット水対応の防護服を開発・商品化した。

 

四電の長井社長らが15日、県庁を訪れ、中村時広知事に報告した。

 

産業用防護服製造のトーヨ(西条市)が愛媛大の流体・材料力学研究者の協力を受けて製造

 

原発の解体、除染などで高圧ジェット水を使う作業が想定される中、高強力のポリエチレン不織布、透湿防水ナイロンなど多層構造の生地を採用し、作業に耐える強度と軽さ、動きやすさを実現させたという。

 

同検討会による商品化は、通気性に優れた防護服に続き2例目。

 

試着した中村知事は、「先行事例のない原発の廃炉において、地元企業の技術を取り入れた対応に感謝する」と述べた。

 

長井社長は、「今後も継続して成果を追求していく。伊方原発1、2号機の廃止措置については安全を大前提に着実に進めていきたい」と話した。

 

四電によると、まずは3着の納入を受け、火力や水力の発電所も含めて用途を検討する。

 

https://www.ehime-np.co.jp/article/news202007160017?utm_medium=social&utm_content=%2Farticle%2Fnews202007160017

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

以下は映像の2コマ。

最初の1コマは、試験布にジェット水を噴射している実験映像の一部。

ジェット水をモロに受けても布は破れなかったようだが、その布で作った防護服を着用した場合、どの程度、人体へのダメージが軽減されるのだろうか?

 








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2020713530分に沖縄タイムスから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

海の安全「見守り人」引退 毎日夕暮れに灯火チェック 無事故に誇り「肩の荷が下りた」

 

灯台やブイ(灯浮標)などの航路標識の光を確認する「灯火監視協力者」の交代式が7日、うるま市津堅島の離島振興総合センターであった。

 

2006年9月から協力者を務めた新屋さん(男性、79歳)に中城海上保安部の東城部長から感謝状が贈られた。

海の安全を守る重責を担ってきた新屋さんは誇らしい表情で受け取った。

 

灯火監視協力者は、航路標識の光の色や点滅の間隔などを監視し、異常があれば海上保安庁に通報するボランティアで、特に台風後など海保が即座に確認できない時に重要な役割を担っている。

 

県内では現在、約70の個人と団体が協力している。

 

新屋さんは農業を営む傍ら、毎日、夕暮れに合わせて津堅島灯台や中城湾口灯浮標など7基の航路標識について歩いて目視した。

 

「長く続けられるとは思わなかった」と話すが、責任を持って監視に取り組み、異常を発見して海保に報告したことも数回あったという。

灯台周辺の草刈りなどもした。

 

「最初はできるか心配だったが、やがて見守るのが楽しくなった。務めている間、灯台や船舶に関わる大きな事故がなかったのがうれしい。今は肩の荷が下りた感じ」と日々を振り返った。

 

東城部長は、「毎日暗くなってからチェックするのは大変な苦労があったはず。頭が下がる思い」と感謝した。

 

新屋さんは4月に後任と交代。

新型コロナウイルス感染症対策のため、交代式の実施は延期されていた。

 

協力者の役割は島内の緑間さん(42)と新里さん(45)に引き継がれた。

交代式で協力依頼状を受け取った緑間さんは、「海の安全のため、新屋さんのようにできるだけ長く続けたい」と意気込んだ。

 

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/599170 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

関連情報調査結果、この表彰は全国的に灯台記念日(11月1日)に行われていた。

 

以下は、おそらくはどこかの県で表彰された記事に用語解説として掲載されていた表彰制度の概要。

 

『灯台記念日と灯火監視協力者』

20081101日 朝日新聞朝刊)

 

1868(明治元)年11月1日に神奈川県横須賀市の観音埼で日本初の洋式灯台が着工されたことを記念し、1949(昭和24)年に定められた。

 

各地の灯台が無料公開される。

 

51年に始まった灯火監視協力者制度は、灯台の近くの住民や企業、漁協などに海上保安庁が委嘱している。

 

県内の灯台147基のうち、機器で故障などを判断するのは約2割程度。

残りは肉眼で確かめている。

 

https://www.asahi.com/topics/word/%E6%B5%B7%E4%B8%8A%E4%BF%9D%E5%AE%89%E5%BA%81.html

 

 

 

 

 

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2020611652分にYAHOOニュース(FUNQ)から、下記趣旨の記事が劣化ヘルメットの写真付きでネット配信されていた。

 

「このご時世のせいか、自転車に休日に乗る人が増えています。

久々にホコリを被ったロードレーサーを引っ張り出してきたバイクを乗っている人を見かけるようになりました。

ぜひ、この機会に、お近くの自転車屋さんで整備してもらって、自転車ってこんなに楽しいスポーツだったのかと思い出して貰えると嬉しいです。

それと、ヘルメットにも使用年数があるにはご存知でしょうか?」


と言うのは、NHKの自転車番組「チャリダー☆」のロードレース男子部でおなじみの筧五郎さん。

 

 

【使用開始から3年経ったヘルメットは本当に使えないのか?】

 

「サイクリストの安全を守るヘルメット。

丈夫そうだし、頭を打つなどの強い衝撃を与えなければずっと使えそうな気もしますが、実は寿命があります。

製品安全協会と日本安全帽工業会では、ヘルメットの耐久性を考慮し、有効期間を『購入後3年間』と定めているのです」


と説明するのは、自転車専門誌などでライターをする浅野真則さん。

 

ヘルメットは事故に遭ったり、転倒時に頭を打ったり、高いところから落としたりしていなくても、なぜ3年で交換する必要があるのでしょうか?

 

それは、使っていくうちに紫外線や汗にさらされて、衝撃吸収性が低下してしまうからです。

 

「割れたりひびが入っているわけではないし、見た目は大丈夫そうだけど、どうしても使えないの?」


そんな疑問にお答えします。

 

この記事のトップの写真は同じモデル、同じカラーのヘルメットですが、左は3年間使い続けたもの、右はほぼ未使用の新品同様の製品です。

 

一見、ほとんど違いがないように思われますし、使えそうな気がします。

 

しかし、ライナーをよく見てみると、左側の使用後のものは、汗や紫外線で劣化しているのがお分かりいただけるかと思います。

 

樹脂製のアジャスターも、紫外線を浴びて退色しているのが分かります。

 

新品と見比べると、その差は一目瞭然ですね。

 

スポーツバイクに乗るときに使うヘルメットの多くは、外側にあるシェルと呼ばれる硬い部分と内側にある発泡スチロール製の衝撃吸収ライナーが組み合わされてできています。

 

使っているうちに汗や紫外線を受けて、シェルや衝撃吸収ライナーが劣化していきます。

 

特に衝撃吸収ライナーの劣化は、ヘルメットの安全器具としてのキモである衝撃吸収性が低下することを意味します。

 

つまり、古いヘルメットでは、いざというときに頭を衝撃から守ることができない可能性が高いのです。

 

 

【劣化した衝撃吸収材は 海岸に流れ着いた発泡スチロールと同じ】

 

海岸などに漂着している発泡スチロールは、長期間、海水の塩分と直射日光にさらされ続け、とてもスカスカになってもろくなっているはずです。

 

これと同じことが、ヘルメットの衝撃吸収材であるライナーでも起こっているのです。

 

スカスカになってもろくなった衝撃吸収材で、本当に頭を衝撃から守ることができるのでしょうか?


答えはNOです。

 

 

【ヘルメットには製造年月が書いてある!】

 

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、通勤や通学、移動に自転車を使おうという方で、久しぶりに自転車に乗る方にお願いです。

 

古いヘルメットを使うのはやめましょう。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/ff1c507ce5ddada3f103ab9522d77af4227dd292

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

〇ヘルメットの強度などの規格はJISに定められているが、運用面の基準は定められていない。

 

今回の報道を機に改めて調べたところ、運用面の基準は、日本ヘルメット工業会のHPに、Q&Aという形で掲示されていた。

 

ただ、理屈は分かっていても、3年で交換となると、現実的には難しいところがある。

 

Q1 産業用ヘルメットの耐用年数は?


A 
材質や使用状況で異なりますが、(一社)日本ヘルメット工業会では、PCABSPE等の熱可塑性樹脂製保護帽は、外観に異常が認められなくても、使用開始より3年以内、FRP等の熱硬化性樹脂製保護帽は、外観に異常が認められなくても、使用開始より5年以内に交換をしていただくようお願いしています。

 

Q2 産業用ヘルメットの耐用年数は、製造年月又は使用年月のいずれですか。法的に規定しているのですか?


A 
(一社)日本ヘルメット工業会でまとめている保護帽の交換時期、耐用年数は、各社の屋外暴露試験等の結果をふまえて耐用年数を定めました。

ただし、法的な規制ではなく、あくまでも目安です。

 

理由としては、個々の使用頻度、取扱い状況、保管等が違うため、はっきりとした耐用年数を定めることができません。

 

ヘルメット工業会が発行しています「保護帽取扱いマニュアル」に使用前の点検実施項目が記されていますので、一つでも該当する場合は、耐用年数を迎える前に交換するようにお願いします。
(
保護帽の取扱いマニュアルはメーカーに問い合わせてください)

 

Q4 産業用ヘルメットのあごひも、着装体の交換を1年とした根拠を教えてほしいです。


A

あごひも、着装体(ハンモック、汗止め)等は合成繊維製がほとんどで、使用することにより縫目がほどけたり、やぶれたり、また材料が劣化します。


また、頭髪油、汗、汚れ等が落ちにくく匂い等で衛生上芳しくありません。

 

このような使用状況を踏まえて、1年以内の交換を推奨しています。

(詳細は「保護帽の取扱マニュアル」をご参照ください。)

 

・・・・・

 

http://japan-helmet.com/faq/index.html

 

〇本ブログ内で「ヘルメット」+「死亡」というキーワードで検索すると、ヘルメットを着用していたが死亡した事例が何件も出てくる。

その中には、ヘルメットにヒビが入っていた、割れていたという事例もある。

 

ヘルメット劣化と死亡との関係が報道されることは、まずないが、作業員の方のヘルメットが頻繁に交換されているとは思えないので、そういった事例の中には、報道当時はヘルメットの強度を上回る過大な力がかかったのだろう程度にしか思っていなかったものの、ヘルメットの劣化が関与していた事例もあったのかもしれない。

 

 

 

 

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202013020分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事が写真や図解付きでネット配信されていた。

 

長さ140ミリメートルもの疲労亀裂が走り、破断寸前に至った新幹線「のぞみ34号」(博多発・東京行、N70016両編成)の台車事故。

201712月にJR西日本が運行する車両で起き、製造を手掛けたのは川崎重工業であることは広く報じられた。

 

国土交通省の運輸安全委員会は、この事案を重大インシデントに認定し、193月には調査報告書を発表した。

 

多くは、この事故を特定企業による特殊事例であり、報告書が公表された段階で「一件落着」とみなす。

 

だが、「決して対岸の火事で済ませてはならない」と、日本の製造業にも川崎重工業の内情にも詳しい識者が警鐘を鳴らしている。

 

注意すべきは、作業者の「腕(技術や技能、ノウハウ、スキル)」に依存して仕上げる製品だ。

 

具体的には、少量生産の大物部品や、いわゆる「一品物」と呼ばれる受注製品、開発側が決めた配合通りにはなかなか出来ない化学製品など、生産現場での調整作業を要する製品である。

 

高速車両や船舶、航空機の部品といった大物機械部品は、まさにこの製品に相当し、件(くだん)の台車事故が示した通り、一つ間違えば人命を危険にさらす大事故に発展しかねない。

 

 

【大物部品製造は難易度が高い】

 

調査報告書は、川崎重工業の生産現場における管理の杜撰(ずさん)さを断じている。

 

だが、「単に生産部門の管理を強化するだけでは不十分だ」と識者は指摘する。


結論を先に言えば、より大切なのは「設計の意図を生産現場に伝えること」だ。


この台車の場合、「図面の意図を生産現場が十分に把握していなかった可能性が高い」(同識者)。

 

まず押さえておくべきは、台車のような大物機械部品は、決して「コモディティー製品ではない」ということだ。

 

確かに、新幹線は1964年に運行を開始して、2020年で56年目を迎える長い歴史がある。

しかも、台車の構造自体はそれほど複雑ではない。


これをもって、台車の製造は簡単であり川崎重工業の生産現場が手を抜いたのだ、という理解は間違いだ。

 

大物機械部品は寸法精度を満たすのがとても難しい。

大きくて重い上に、台車の場合は高速で長距離を移動するため、精密な精度を要求されるのだ。

 

部品を外注し、図面通りの部品が納入されたとしても、簡単には製品(台車)に組み上がらない。

デジタル製品とは異なり、単純な組み立て型製品には該当しないからだ。

 

加えて、与えられたコストを満たすために、1人もしくは2人といった少数でさまざまな調整を施しながら組み上げていく必要がある。


それを実現する武器は、「職人技」と呼ばれるような作業者の腕だ。

 

もちろん、川崎重工業の生産現場には、作業手順を記した作業標準書がある。

一般に、調整の手順もその作業標準書にできる限り記載しようと生産現場は努めるのだが、限界があるという。

 

調整作業のイメージを身近な例で分かりやすく伝えよう。

例えば、「テーブルの水平出し」だ。

 

ある家屋のリビングの床(水平とは限らない)に対し、テーブルの天板を極めて高い精度で水平に設定する作業を想定してほしい。

この場合、4本ある脚の長さをそれぞれ調整する必要がある。

天板の傾きを確認しながら、長過ぎる脚を見つけて少し削っては確認し、また削るという作業を繰り返すことになるだろう。

 

だが、この作業を正確に作業標準書に記載することはできない。

削る脚や箇所、削る量は「現物」を見てみない限り、分からないからだ。

 

そのため、多くの場合、この作業は「天板の水平度(平面度)を製品の規格(仕様)に合わせること」などと、大ざっぱな表現で作業標準書に記載されることとなる。

 

 

【図面の意図を作業者が知らなかった】

 

台車に亀裂が生じた直接の原因は、部品(側バリ)を削り過ぎたことにある。

そうしないと、要求された寸法精度を満たせなかったからだ。

 

設計では、加工後に側バリ下面(下板)の板厚を7ミリメートル以上確保しなければならなかったのに対し、最も薄い箇所で板厚が4.7ミリメートルになるまで研削していた。

 

これに対して調査報告書は、作業指示を作業者にきちんと伝えていなかった生産現場のマネジメントの責任を指摘している。

 

確かに、作業標準書の内容を正しく伝えなかったり、間違った解釈をしたりした生産現場の管理者の責任は重い。

 

だが、こうした調整作業は先述の通り、作業標準書に正確に記載することが難しい上に、作業方法が作業者個人の判断に委ねられるケースが間々あると識者は言う。

 

納期やコストの圧力も受ける作業者は、組み立てが完了した後に、最終的に精度を満たせばよいと考えがちだ。

 

では、なぜ作業者は削ってもよいと判断してしまったのか。

その理由こそ、「作業者が図面の意図を十分に理解していなかった」(識者)ことにある。

この台車事故の真の原因はここにあると、識者は指摘する。

 

 

【従来はベテランがカバーしていた可能性】

 

この台車事故から学ぶべき教訓は、管理者が設計者の考えをくみ取り、図面の意図を作業者にしっかりと伝えることだ。

 

ただし、図面の全情報を作業者に伝えるのは、管理者にとっても作業者にとっても負担が大きい。

 

そこで、機能や品質、安全などにおいて極めて重要な情報に絞って、管理者が作業者に伝えるのである。

 

「製造上、絶対に守るべき点とそれほどでもない点を識別し、守るべき点について設計の意図をしっかりと作業標準書に記載して作業者に伝えることができなかった。これが台車事故につながった川崎重工業の生産現場の実態である」と識者は指摘する。

 

従来は問題にならなかったのは、熟練者が作業していたり、熟練者が他の作業者に教えていたりしたからだろうと識者は推測する。


つまり、経験や知見が豊富なベテランが、設計の意図を作業者に伝える管理者の代わりを担っていたという指摘だ。

 

ところが、定年退職などでベテランの多くが職場を去ったことを機に、重要な設計の意図を作業者に伝えることがなくなり、結果、欠陥のある台車を造ってしまったのではないか──。

これが識者の見立てだ。

 

ある造船会社は、図面の読み合わせ会を開始した。

図面の意図を正確に生産現場に周知させる必要性を痛感したからだ。

 

きっかけは、やはりベテランが減ったことだった。

併せて、作業標準書の読み合わせ会も行い、いわゆる勘やコツに依存することからの脱却を目指しているという。

 

 

【設計は完璧だったのか】

 

調査報告書は生産現場の責任を指摘するが、この台車の場合、設計が完璧とはいえなかった可能性も払拭できないと識者は言う。

 

というのは、「重大インシデントになるほど重要な箇所であれば、7ミリメートル以上といったざっくりとした指示ではなく、生産側にもっと注意を喚起しているはずだ。当時の解析技術では、亀裂の発生を設計者が想定できていなかったのではないか」(同識者)。

 

実は、大物機械部品の分野では、自動化や標準化、コンピューター化などが他の分野に比べて遅れている。

そのため、部品単体の強度はシミュレーションしていても、組み立てた製品の強度まではシミュレーションできていないケースが結構あるという。

 

果たして、この台車では、台車構造全体の強度評価ができていたのか。板厚を削って薄くなった際にどうなるのか、すなわち亀裂が生じる可能性があるということを想定できていたのか疑問が残るという指摘である。

 

「この薄さになると、この強度になるため、こうした事象になる」ということを経験則ではなく、シミュレーションを通じて理論的な知見として獲得する。そして、その理論的な知見を基に図面を作成し、かつ生産規格(作業指示)を決めていたのか──。もしもこのことを当時の川崎重工業ができていなかったとすれば、欠陥のある台車を造った責任は生産現場ではなく、むしろ設計側にあると識者は指摘する。

 

こうした事態を防ぐには、経験則から脱却してシミュレーションを徹底し、トラブル源を洗い出すことが基本だ。

 

最新の解析技術を駆使して理論的な知見を増やすのが理想である。

だが、当時の解析技術ではそれができていなかったのかもしれない。

 

図らずも台車事故で露呈した川崎重工業の生産現場と設計現場の実態や課題を、対岸の火事と言い切れる日本企業は少ないのではないだろうか。

 

[日経 xTECH 202018日付の記事を再構成]

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54456080W0A110C2000000/?n_cid=NMAIL007_20200130_Y

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

新幹線の台車枠削り過ぎ事例は本ブログで第9報まで掲載している。

 

 

 

 

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2019518633分にYAHOOニュース(北海道新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

15日深夜に札幌市南区の市道で乗用車と接触したヒグマは、当時、自転車を追いかけ、危険な状況だったことが分かった。

 

車を運転していた同市清田区在住の焼き肉店主・渡辺さん(男性、62歳)は、「自転車とクマの距離は5mぐらい。とっさに車で割って入り、阻止できて良かった」と振り返った。

現場は南区石山1の2の「石山陸橋」をくぐる石切山トンネル西側の一方通行路。

 

渡辺さんは南区の知人を訪ねて妻と帰る途中で、道路左を向こうから走ってきた自転車を、体長1m余りのクマが追う姿がヘッドライトに浮かんだ。

 

「えっと思い、ハンドルを切った。接触時はドンという音がした」。

クマは2回転し逃走。

自転車は止まらずに去った。

「自転車の人はイヤホンで音楽を聴いていてクマに気付かなかったようだ。若い人だった」という。

渡辺さんは住宅街にクマが入らないように車を降りてクマを追い、すぐに引き返した。

 

「昔、大型犬を飼っていたのと、今もボクシングをしているので怖いと思わず追ったが、妻には怒られた」。

 

車にはクマの血液や泥が付いていた。

 

「衝突後も自転車2台が現場を通った。注意しないと危険だ」と話す。

 

出典

「クマは自転車追っていた」 札幌 車で衝突の男性証言

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190518-00010000-doshin-hok 

 

  

 

 

 

 

 

 

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ちょっと前、201939204分にSankeiBizから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

JFEホールディングス(HD)傘下のJFEスチールは9日、製鉄所の災害対策を強化するため、約50億円を投じる方針を固めた。

 

排水設備を増強するなどして災害時も稼働を維持し、供給責任が果たされない事態を防ぐ。


昨年7月の西日本豪雨で一時操業がストップし、業績にも悪影響が及んだことから、最優先課題として取り組む。

 

11日には東日本大震災の発生から丸8年を迎える。

各社の防災意識が改めて高まりそうだ。

 

JFEスチールは西日本豪雨の際、西日本製鉄所の倉敷地区(岡山県倉敷市)と福山地区(広島県福山市)が冠水。

主要設備の損傷はなかったものの、所内の物流などに影響が出て、操業を一時的に止めた。

 

排水処理能力は過去の瀬戸内地方の降水量をベースに設定していたが、想定を上回る量の雨が降ったという。

 

このため、「異常気象がいつでも起こりうる前提で対策に取り組む」(柿木社長)として、まず倉敷と福山の両地区で豪雨対策を推進。

排水処理設備の増強に加えて、集水井戸の掘削やポンプ車導入、雨水流入を防ぐ壁の設置も進める。

 

その後は、西日本の対策を踏まえつつ、降水量が多く、排水能力が高めに設定されている東日本製鉄所についても、対策を検討する。

 

鉄鋼各社は、2020年東京五輪もあり、旺盛な需要に恵まれる一方、昨年から今年にかけ、西日本豪雨や台風、北海道地震など相次ぐ災害の影響を受けたほか、不具合などの操業トラブルも頻発。

 

JFEスチールは、倉敷の第2高炉と東日本製鉄所千葉地区(千葉市)の第6高炉が一時停止し、やはりトラブルのあった福山の第4高炉は、今も通常操業を回復していない。

 

親会社のJFEHDは、平成31年3月期の粗鋼生産量が昨年7月末時点の予想に比べ200万トン下回るほか、連結経常利益は400億円押し下げられる見通しだ。

 

鉄鋼大手では、新日鉄住金と神戸製鋼所も災害やトラブルの影響を少なからず受けた。

 

もともと、設備老朽化やベテラン技術者の大量退職による能力低下が指摘されてきた中、国内製鉄所の再強化は業界共通の課題となっている。

 

出典

JFEスチールが自然災害対策に50億円

https://www.sankeibiz.jp/business/news/190309/bsc1903092004003-n1.htm 

 

 

 

 

 

 

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2019317日の朝、新聞のテレビ欄で、『でんじろうTHE実験 混ぜたらどうなるの?100リットル超えの液体窒素vs100リットル熱湯バトル」という番組が20時からフジテレビで放送されることを知った。

 

液体窒素と熱湯では、300℃近い温度差がある。

それを100リットルずつ混ぜると大爆発が起きるのではないかなど、興味をひかれたので録画した上で視聴した。

 

結果、液体窒素や液体酸素の、これまではおぼろげにしか想像できなかった性質・挙動を映像を通して教えてもらったので、ここにそのポイントを紹介する。

 

①液体窒素5ℓ程度を水槽に流し込む実験

→激しく蒸発するかと思いきや、意外とおとなしく?蒸発して、水面から蒸気が立ち上っただけだった。

また液体窒素(比重0.81)は水より軽いため、水中には沈まず、水面に浮いた状態で周辺の水を凍らせ、結果、水面には冷やされてできた多数の氷が浮かぶという状況だった。

 ※温度差のある物体同士(例えば溶けた鉄と水、あるいは熱した油と水)が
  混じりあうと、温度が低いほうが爆発的に蒸発するとばかり思っていた。

  それが今回は、あれだけの量の液体窒素を注いだのに、おとなしく蒸発
  しただけだった。委細不明。
  ※低温液化状態でタンカーで運搬あるいはタンクに貯蔵しているLNG
  (比重0.46程度)が海に漏れた場合も、このような動きをしつつガス化
  するのかもしれない。
  漏れた規模によっては、様相が異なるかもしれないが・・・。

     

 

②液体酸素5ℓ程度を水槽に流し込む実験

→おとなしく水面から蒸気が立ち上るのは液体窒素の場合と同じだが、液体酸素(比重1.14)は水より重いため、一旦は液滴のまま水中に沈むが、沈んだ液滴は周囲の水に温められて蒸発し、結果、また浮かび上っていった。

     

 

 

③液体酸素を磁石を使って持ち上げる実験

→プラスチック製のコップの中に磁石を入れ、コップを液体酸素の中に浸けた後、コップを持ち上げると、コップの底に液体酸素がくっついたまま上がってきて、底から液滴が垂れていた。

知識として、酸素は常磁性ということを知ってはいたが、実際に目で確認するのは初めてだ。

液体酸素が青いということも同様。

 

 

 

④液体酸素に火のついた線香を沈める実験

→ベーパーゾーンで線香を燃やした時よりも、さらに激しく燃えた。

 

 

⑤ドラム缶半分の熱湯とドラム缶半分の液体窒素を同時に水槽に注ぐ実験

→爆発状態を呈するかと思ったら、さしたる音もなく、蒸気が大量に発生しただけだった。

注いだ水槽から数m離れた場所にいるスタッフやタレントにも、驚いた様子は見られなかった。
ただ、水槽の木枠が壊れていたことから考えると、衝撃を伴って蒸発した模様。

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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