







2017年10月18日3時0分に朝日新聞千葉版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
工事現場などでの労災事故を防ごうと、千葉市美浜区で17日、仮想現実(VR)を体験できる機器を活用した講習会があった。
建築現場や工場で働く約70人が参加した。
専用のゴーグルとヘッドホンを着け、30階建てのビルからの転落、金属の切断時に火花で目をけがする事故といったことを仮想体験して、安全策の重要性を学んだ。
機器は視覚だけでなく、風音や足場の不安定な感覚も再現し、参加者が思わず叫び声を上げる場面も。
恐怖から途中でリタイアする人もいた。
習志野市の食品会社で働くKさん(男性、55歳)は、「危険性がよくわかった。日頃から注意したい」と話した。
人形を使った実験もあり、5mの高さから落ちた人を受け止めた網がどれくらいたわむかを確認した。
束にした電気コードが熱を帯び、火災の危険があることも実物で試した。
講習会は「あんしん財団」(東京都新宿区)が、電気機器メーカーの明電舎(東京都品川区)と協力して開催した。
明電舎は普段から、企業向けに講習会を開いている。
問い合わせは同社(03・6420・8540)へ。
出典
『千葉)労災事故防ぐため VRで転落事故体験 千葉市』
http://digital.asahi.com/articles/ASKBK4FQ3KBKUDCB004.html?rm=353
10月17日13時32分にNHK千葉からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
VR=バーチャルリアリティーの技術を使って、高層ビルからの転落事故を疑似体験して労災事故の防止に役立てる研修会が、千葉市で開かれた。
研修会は、労災事故の防止に取り組む財団法人が開き、東京や千葉県内の建設会社やコンサルティング会社などから30人あまりが参加した。
バーチャルリアリティーの技術を使って高層ビルからの転落事故を疑似体験するブースでは、専用のゴーグルをつけて歩くと足場から足を踏み外してしまう状況を、現実さながらの映像を見ながら体験することができる。
中には、思わず声を出してしまう参加者もいた。
厚労省によると、去年1年間に全国で労災で亡くなった人は928人にのぼっていて、このうち墜落や転落による事故で亡くなった人は232人と、最も多くなっている。
東京のエネルギーのコンサルティング会社で働く40代の女性は、「思った以上にリアルで本当に怖かった。改めて命綱の大切さを感じました」と話していた。
同じ会社の50代の管理職の男性は、「高い所にはよく行きますが、落ちることを前提に安全対策をしなければならないと実感しました」と話していた。
出典
『VRで労災事故を疑似体験』
http://www.nhk.or.jp/lnews/chiba/20171017/1080000371.html
(ブログ者コメント)
NHKの映像を見ると、ゴーグルを装着した被験者が、地面に置かれた足場板の上を歩くなどしていた。
報道された内容と合わせ考えると、かなりリアルな疑似体験ができるのかもしれない。
2017年10月15日0時48分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1981年以前の旧耐震基準で建てられたホテルや病院、小中学校などの建物のうち、一定規模以上の約8700棟の耐震性を診断したところ、約16%が震度6強~7の地震で倒壊や崩壊の恐れがあることがわかった。
国交省は改修などの対応を求めており、施設側は対応に追われている。
診断は、2013年11月施行の改正耐震改修促進法に基づくもの。
震度6強~7の地震でも倒壊・崩壊しないとする新耐震基準(81年6月導入)以前に建てられた3階建て5000m2以上の宿泊施設や病院、店舗、2階建て3000m2以上の小中学校といった、多くの人が利用する建物などが対象。
所有者が15年末までに診断を受け、報告を受けた自治体が結果を公表することが求められている。
国交省などによると、10月現在で北海道と東京都、和歌山県は公表に至っていないが、ほかの44府県の各自治体(大津市を除く)は結果を公表した。
棟数は計約8700棟で、その約16%にあたる約1400棟が現行の耐震基準を満たさず、震度6強~7の地震で倒壊、崩壊する危険性が高い、もしくは危険性があることが判明した。
県民会館や市民体育館、百貨店なども含まれ、診断結果を受けて廃業したホテルもある。
耐震工事に向けて動き出す施設も多い。
千葉県鴨川市の鴨川シーワールドは、9月から来春まで、耐震不足とされた一部施設を展示中止にした。
沖縄県恩納村のホテルみゆきビーチは、来年6月、一部建物の建て替えを予定。
岐阜・下呂温泉の老舗旅館「水明館」も、数億円規模の費用をかけ、一部の建物の改修を予定しているという。
一方、広島市こども図書館は改修の時期は未定で、「必要不可欠な施設」(同市の担当者)なため休館せず、今も運営を続けている。
自治体による補助はあるが、費用面の不安から改修に踏み切れない建物もあるようだ。
今回の診断対象は、倒壊すれば大きな人的被害の恐れがある建物のため、国交省は、耐震不足と診断された場合、改修や建て替え時期の報告も求めている。
具体的な建物の診断内容は、結果を公表している県や市など各自治体のホームページで確認できる。
出典
『耐震不足、旧基準建物の16% 「6強以上」倒壊の恐れ』
http://www.asahi.com/articles/ASKBG5FTXKBGUTIL01T.html
2017年9月15日14時29分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鉄塔など高所作業や重機使用での注意点を若手社員に確認してもらおうと、関西電力滋賀電力部は、同社の大津電力所(大津市秋葉台)で、バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)などを用いた体験研修を行った。
発電所、変電所の送電設備などで保守保全作業にあたる12人が参加した。
2年前に長浜市での荷吊り作業で、吊り上げた1.6トンの鉄板とトラックの荷台の壁に作業員が挟まれた事故をモデルとし、教訓を学ぶ研修も実施。
参加者は、実際に宙づりにされた約600kgの荷物の横で待機し、空中で揺れる重量物が当たった場合の衝撃などを体感した。
そのほか、VRを利用した研修では、上空から工具が落下してくる映像などを体験。
「これは気付いても避けられない」などの声があがり、注意点を確認した。
山口さん(男性、25歳)は、「リアルな体験をして、実感がわいた。事故にあう危険性を常にもつ当事者として、リスクヘッジを行っていきたい」と話した。
出典
『上空から工具落下…VRで危険をリアルに体感、関西電力滋賀電力部が研修会』
http://www.sankei.com/west/news/170915/wst1709150058-n1.html
2017年9月7日付の読売新聞紙面に、下記趣旨の記事が掲載されていた。
総務省消防庁は、市街地の火災について、風向や風速に応じて、延焼の速度や範囲を予測できるシステムを開発した。
今月下旬にも、全国の消防本部などに提供する。
2020年度までには一般市民がインターネットを通じて利用できるよう、改善する計画だ。
システムは、同庁の研究機関「消防研究センター」が開発した。
出火地点とともに風向と風速を入力すると、すぐに、時間の経過に沿って予測される延焼範囲が図示される仕組みだ。
建物の情報は国土地理院の地理情報を活用、木造と耐火造に区別して示される。
昨年12月に新潟県糸魚川市で発生し147棟が焼けた大火を、風速14メートルの南風で再現したところ、大火で焼けた範囲と近い結果が得られたとしている。
開発に協力する横浜市消防局は、消防団との訓練や市民向けの防災教室で予測を活用。
風速や風向で延焼範囲が変わることが具体的にイメージできる利点があるという。
また、木造住宅密集地域で耐火造りの建物や消火栓を増やすなどの対策にも役立ててもらい、市民が消火栓の位置を確認するなどの行動につなげる狙いもある。
ただ、このシステムは、現状では、地理情報を消防本部側で取り込まなければならないなど、利用するには習熟が必要。
このため、同庁は、今後、市民でも利用できるように改良するとともに、気象データなどをリアルタイムで反映できるようにして予測の精度を高め、一般向けに公開する方針だ。
開発に携わる東京理科大の関沢愛教授(建築・都市防災)は、「強風下の火災を想定した消火方法の構築や防火対策だけでなく、地域住民への啓発でも効果が期待できる」と話している。
※以下は、9月7日9時53分にネット配信されていた記事(一部)。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170907-OYT1T50011.html
(ブログ者コメント)
システムの概要は、平成29年2月24日付で、消防研究センターから公開されている。(全12ページ)
http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h28/itoigawa_daikibokasai/02/shiryo2.pdf
2017年6月27日22時39分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現行刑法では刑事責任を個人にしか問えないことから、重大事故を起こした企業に罰金などを科す「法人罰(組織罰)」の法制化を求める動きがある。
導入されれば、福島第1原発事故のようなケースでも、津波対策の不備などを問うことが可能だという。
だが、刑法との整合性などから、立法には壁がある。
平成17年に起きたJR福知山線脱線事故の遺族らを中心に、組織責任を問えない「司法の限界」が指摘され、行政組織も対象にする「組織罰」導入を求める声が高まった。
法人罰や組織罰の考え方は欧米を中心に広がり、英国では2007年、企業の刑事責任を問うための要件を緩和した法律が制定された。
企業として事故を防ぐ努力を怠っていれば代表者の過失が認められ、個人の能力を超えた法人の不備も責任を問える。
事故が起きれば存亡にかかわるとの強い危機感から、企業の安全対策が進むという見方もある。
実際、英国では制定後、事故件数が減少した。
だが、日本の刑法は、犯罪は意思を持つ人間が起こすもので、意思を持たない法人は想定していない。
具体的な予見可能性も前提となるため、「いつか事故が起こるかもしれない」といった抽象的な危機感では責任を問えないのが現状だ。
法人罰が導入されれば、罰則を逃れるため真相を話さず、事故原因の究明が逆に妨げられるとの意見もある。
これに対し、法人罰を研究する同志社大の川崎友巳教授(刑法)は、「米国では、原因究明に協力するなら、個人の刑事責任を免じる制度がある」と指摘。
日本でも、刑法以外の特別法では、600以上の法令で法人を罰する「両罰規定」が導入されており、「結果の防止が十分可能であれば、刑法でも企業の責任は問われるべきだ」との考えを示す。
ただ、企業に巨額の賠償を科せば、結果的に労働者や株主、消費者に転嫁される恐れがある。
川崎教授は、「米国のように、企業に法令順守態勢の構築を命令するなど、企業の保護観察制度を導入する案もある」と話している。
出典
『「組織罰」導入求める声も立法に壁』
http://www.sankei.com/affairs/news/170627/afr1706270034-n1.html
(ブログ者コメント)
組織罰法制化の動きについては、これまで2回ほど紹介している。
2017年5月12日10時14分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大分県佐伯市で磯釣り中に海へ転落し、約70分漂流した男性(62)の奇跡の救出劇があった。
救命胴衣を着用、波が荒れ漁を中断した帰港中の船が発見という、基本動作と偶然が重なったためだが、生死の最大の分かれ目は「浮力のあるクーラーボックスを抱えていた」ことだ。
佐伯海上保安署は、「自らの力で泳ごうとして体力を使うよりも、『浮くこと』を考えて体力を温存させて救助を待つことが何よりも大切だ」と強調している。
出典
『海転落 男性、漂流70分 クーラーボックス命救う』
https://mainichi.jp/articles/20170512/k00/00e/040/219000c
(ブログ者コメント)
海に落ちた場合、浮力確保のため、蓋をしたクーラーボックスとかペットボトルが効果ありとは、しばしば耳にするところだが、実際にそれで助かったという報道は珍しいと思い、紹介する。
2017年4月26日10時14分に徳島新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月26日付で毎日新聞徳島版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
徳島市消防局は、新型のはしご付き消防車1台を東消防署に配備し、25日、報道関係者に公開した。
国内のはしご車で最も高いマンション18階部分(約55m)の火災や救助に対応できる。
同型車が配備されるのは、石川県金沢市、愛知県岡崎市に次いで全国で3番目。
旧車両が老朽化したため、2億1762万円をかけて22年ぶりに更新した。
消防局によると、はしごの全長は54.8m。
はしごの先端にあるバスケット(定員3人)、地上とバスケットの間を移動する昇降機(2人)を同時に使えるのが特徴で、一度に5人を救助できる。
旧車両は高さ50mまで対応し、一度に救助できるのは2人だった。
新型車は,バスケットにカメラや遠隔操作できる放水銃を備えており、危険を伴うタンク火災などの際にはバスケットが無人でも放水できる。
市内には、高さ40m以上の建物が50棟、50m以上の建物が5棟ある。
屋上までカバーできない市内の建物は、旧はしご車では5棟だったが、このはしご車の導入で、JRホテルクレメント徳島と市役所を除く全ての建物に対応できるようになった。
3月30日に配備された後、署員が訓練を積んでおり、出動はしていない。
出典
『国内最高の新型はしご車配備 徳島市消防局』
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2017/04/2017_14931693106685.html
『徳島市消防局 日本一の高さで助ける 54メートル級はしご車導入』
https://mainichi.jp/articles/20170426/ddl/k36/040/424000c
2017年4月25日20時0分に神戸新聞から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
あわや大惨事!
駐在さんの即断が命を救う-。
25日午後0時半前、兵庫県養父市大屋町糸原の県道沿いの斜面が、高さ約30m、幅約20mにわたり崩れた。
養父署によると、崩落寸前、現場を通り掛かった同署門野駐在所の藤本巡査部長(29)が「ポロポロ」という異音に気付き、パトカーを停車。
目の前の斜面から直径10数cmの石が数個落ちてくるのを目撃したため、すぐさま道路を通行止めにした。
その直後、轟音とともに斜面が崩落したという。
「パトカーを降り、4、5台の車を止めたら、10秒後くらいに一気に(土砂崩れが)きた」と藤本巡査部長。
土砂は幅5.7mの道路をふさぎ、斜面の反対側のガードレールも突き破っていた。
止められた車に乗っていた近くの男性(62)は、「地面が揺れて土砂がドーっと崩れた。ほんの一瞬の出来事。駐在さんがいなかったら危なかった」と胸をなで下ろしていた。
現場は3月6日にも土砂崩れが発生し、同月末まで斜面の補強工事をしていた。
出典
『落石だ!駐在さん通行止め即決 直後に土砂崩れ』
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201704/0010129306.shtml
2017年4月23日7時0分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今年2月、18歳の女性アイドルが「致死性不整脈」とされる死因で突然亡くなられたことが話題になりました。
日本では1年間で約7万人、1日に約200人、8分に1人が、このような心臓突然死で亡くなっています。
致死性不整脈の中の「心室細動」という不整脈が、心臓突然死の大半の原因です。
心室細動は、心臓に異常な電気刺激が生じて心臓が痙攣してしまい、血液を全身に送り出せなくなる不整脈です。
心室細動が起きると、約10秒で意識を失い、約5分で死に至ります。
心室細動が起きて自然に治ることは、ほとんどありません。
心室細動から5分で死に至る最大の原因は、脳の障害です。
心室細動が起きて脳への血流が途絶えると、脳の細胞に血液中の酸素やエネルギーなどが供給されなくなります。
約10秒で脳の細胞は酸欠になり、エネルギー源であるブドウ糖も5分と持ちません。
脳の細胞が死んでしまう時間が、この5分です。
身体の他の臓器の細胞は、酸素やブドウ糖が不足しても、脂肪を分解するなど他の方法でエネルギーを補えるので、短時間で死ぬことはありません。
このように、脳は生命の維持に極めて重要な臓器で、この脳への血流で救命率が決まります。
心室細動を正常な脈に戻すには、自動体外式除細動器(AED)を使い電気ショックを与え、心臓のけいれんを解除する「電気的除細動」を一刻も早く行う必要があります。
119番通報から救急車到着までの平均時間は8.6分といわれており、約5分で死に至る心室細動は、救急車の到着を待っていると救命できません。
よって、救命のためには、周囲の人たちが直ちに「BLS」といわれる一次救命措置を行う必要があります。
まずは大勢の助けを呼び、皆で手分けをしてAEDを探し、人工呼吸や心臓マッサージを始めます。
心臓マッサージは、胸の真ん中に両手のひらを置き、胸が5cm下がるくらいの強さで1分間に約100回の速さで圧迫します。
心臓マッサージで脳への血流を保ち、AEDが到着すれば直ちに電気的除細動を行って、正常の心拍の再開を試みます。
AEDは、機器自体が操作方法を音声で指示してくれます。
誤作動もありません。
心拍の再開、すなわち脳への十分な血流が再開されるまでの時間が短いほど、確実に救命率が上がります。
年間7万人の心臓突然死の中の約2万5千人が、心停止時に周囲に人がいたとされており、救急車到着までの適切なBLSで救命できた可能性があります。
最近、学校や自動車教習所など、色々なところでBLSを習う機会が増えています。
身近な方の突然死を防ぐために、積極的にBLSを習ってみてください。
(和歌山県立医科大学 救急集中治療医学・脳神経外科 講師 藤田浩二)
出典
『5分で死に至る心室細動…119番だけではダメ、脳血流を保つため一次救命措置が重要』
http://www.sankei.com/west/news/170423/wst1704230005-n1.html
2017年4月18日付で中日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
アクセルとブレーキの踏み間違いが原因の人身事故が、県内でも後を絶たない。
啓発活動の効果か、件数自体は減っているが、65歳以上の高齢者の割合は、依然高い水準だ。
交通事故を研究する専門家は、「パニック時の反射行動で、つい慣れているアクセルを踏んでしまう」と分析する。
県警交通企画課によると、2007年からの10年間で、踏み間違いの人身事故の累計は981件。
ピーク時の08年は132件だったが、16年は59件に減った。
しかし、65歳以上の高齢ドライバーによる人身事故は、08年は35.6%で、16年も33.9%。
全体の3割以上を占める高い割合のまま推移しており、以前は年間0~1件だった死亡事故は、15、16年とも、2件ずつ発生した。
九州産業大の松永勝也教授=認知科学=は、「人間は、危機を感じると踏ん張る習性がある。ブレーキだと思い込み、反射的にアクセルを踏み込んでしまうため、車の構造を改善していくことも不可欠だ」と指摘する。
【急発進防ぐアクセル 名張の金属加工会社開発】
3月下旬、奈良県山添村のダム湖のほとり。
すぐ崖下の水面まで、約70mある、
足がすくむような駐車場の一角に1台のワゴン車が止まっていた。
「ガチャン」-。
車内で力強くアクセルを踏み込むと、ペダルのつなぎ目が外れる音が響き、車は加速せず、惰性でゆっくりと進む。
名張市蔵持町原出の金属加工業「三好製作所」経営の三好秀次さん(64)。
4年前に自身が開発した、車の急発進を防ぐ装置の性能を確かめるため、ダム湖めがけて、車内でアクセルを思い切り踏み込む実験に挑んでいた。
わざわざ危険な場所を選んだのは、撮影した動画を公開し、信頼性をPRするためだ。
装置は、ある一定の力でアクセルを踏み込むと、動力をエンジンに伝える連結棒が外れて、車がアイドリング状態になる仕組み。
アクセルを踏まなくても、車が緩やかに進み出すクリープ現象になるため、重大事故につながるのを防げるという。
装置を考案したきっかけは、アクセルとブレーキの踏み間違いが原因の事故が全国で後を絶たない現状を、ニュースで知ったことだった。
「お年寄りが安心して長く運転できる社会づくりに役立ちたい」。
金属製作の技術と経験を生かしたいと考え、2012年11月に「パニックレス・アクセルペダル」の商品名で特許を取得した。
大手自動車メーカーに装置を売り込んでいるが、まだ実用化には至っていない。
三好さんは「事故防止の技術として広めたい」と、協力してくれるメーカーを募っている。
出典
『踏み間違い事故後絶たず 車の構造、改善を』
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20170418/CK2017041802000016.html
2017年4月8日22時1分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月8日17時4分にNHK首都圏からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故(2005年)から25日で12年となるのを前に、重大事故を起こした企業などに刑事罰を科す「組織罰」の制定を目指すシンポジウムが、8日、東京都千代田区の日比谷コンベンションホールで開かれ、脱線事故の遺族らが、安全な社会を実現するために「法人も罪に問われるべきだ」と訴えた。
都内での開催は初めて。
脱線事故や、山梨県大月市の笹子トンネル天井板崩落事故(12年)などの遺族らでつくる「組織罰を実現する会」(事務局・兵庫県西宮市)の主催。
刑法の業務上過失致死罪に法人への罰金刑を加える特別法を制定する案を昨年公表し、立法に向けて署名活動などを続けている。
この日は、制定案に携わる元検事の郷原信郎弁護士も出席し、事故を起こした個人だけでなく、企業や組織の刑事責任も問えるようにすることを提案した。
長野県の軽井沢スキーバス転落事故(16年)で教え子4人を亡くした法政大の尾木直樹・特任教授は、「遺族の気持ちを直接聞いて、導入が必要だと強く感じました」と話していた。
脱線事故遺族の上田さん=神戸市北区=は、「乗客106人もの命が奪われたのに、誰も社会的責任をとらないのは許せない」と涙を流して強調。
トンネル事故遺族の石川さん=神奈川県横須賀市=は、「組織に責任感を持って安全対策に臨ませるための法整備が不可欠だ」と話し、軽井沢バス事故遺族の田原さん=大阪府吹田市=も、「行政罰や行政処分では、事故の未然防止には不十分。死亡事故を起こした会社を直接罪に問える刑罰が必要だ」と訴えた。
出典
『重大事故 組織罰」制定目指すシンポ 遺族ら訴え』
https://mainichi.jp/articles/20170409/k00/00m/040/067000c
『「事故の企業を罰する法律を」』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170408/5056751.html
(ブログ者コメント)
〇本件、過去に同会発足当時の記事を掲載している。
2016年4月20日掲載
『2016年4月13日報道 JR福知山線脱線事故の遺族らが4月23日に「組織罰を実現する会」を立ち上げ、法制化への働きかけを進めていく』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5831/
〇「組織罰を実現する会」のHPには、組織罰の必要性について、以下の記述がある。
・・・・
JR西日本福知山線脱線事故のような巨大事故のみならず、軽井沢バス転落事故や笹子トンネル天井板崩落事故のような巨大とまではいえない事故でも、その発生の原因が単に運転手あるいは安全管理者個人の注意力不足のみと考えることはできません。
そこには企業利益の確保のために安全性を軽視する企業風土があったと考えるのが自然です。
企業活動は、私たちの社会に大きな便益を与えてくれていますが、他方、必然的に社会に対し危険をもたらす存在でもあります。
従って、安全性を軽視する企業風土を改めない限り、人の生命を奪うような悲惨な事故の予防や再発防止はできないといえます。
また、安全性を軽視した企業活動の結果、犠牲となった方の遺族の無念の思いは容易に回復しがたいほど深く重いものがあり、そのような無念をそのまま放置することも正義とはいえません。
・・・・・
http://soshikibatsu.jp/custom1.html
〇組織罰については昔から議論があったらしく、以下は17年
前の参議院法制局HP?の記事。
(「立法と調査」NO.220・2000年11月)
『法制執務コラム 法人企業の処罰』
・・・・・・
刑法の総則では、刑を科されるべき者は実際に生きている人間、いわゆる自然人であることが前提とされ、この総則は、特別の規定がない限り、他の法令で刑を定めたものにも適用されます。
・・・・・・
特に行政法規の刑罰については、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前○条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する」というような形で、ある犯罪が行われた場合に、行為者本人だけでなく、その行為者と一定の関係にある法人をも処罰する旨の規定を置くことが多く、これを「両罰規定」と呼んでいます。
・・・・・・
http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column034.htm
2017年3月7日19時2分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がシミュレーション図付きでネット配信されていた。
原発の重大事故で、西日本の大半が避難を余儀なくされる。
そんな計算結果が、ひそかに関心を集めている。
日本の原発が舞台ではない。
海を挟んだ隣国、韓国での原発事故を想定した話だ。
シミュレーションをしたのは、韓国人の核物理学者で、現在、米ワシントンのシンクタンク「天然資源防衛委員会」(NRDC)の上級研究員を務める姜政敏(カン・ジョンミン)博士(51)ら。
カン博士が昨年10月末に韓国で発表し、その後も、日韓での核問題関連の集会で警鐘を鳴らしている。
国際会議で来日したカン博士に話を聞いた。
カン博士らがシミュレーションの舞台に選んだのは、韓国南東部、釜山市の海沿いにある古里(コリ)原発だ。
古里は、軍出身の朴正熙(パク・チョンヒ)独裁政権時代の1978年に1号機が完成した、韓国最古の原発。
韓国内で商業運転する25基のうち7基が海沿いに並ぶ、韓国最大規模の「原発銀座」だ。
ここでは、原発の運転で生じる「使用済み核燃料」を、各原子炉に隣接する貯蔵プールで冷却、保管している。
しかし、使用済み核燃料はどんどん増えており、間隔を詰めて「密集貯蔵」している。
このうち古里3号機には、韓国の原子炉別では最も多い818トン分の使用済み核燃料(2015年末)が貯蔵されている、とされる。
貯蔵プールが手狭になった1、2号機の使用済み核燃料も移送され、3号機で保管しているためだという。
カン博士は、こうした貯蔵方法の危険性を指摘する。
もし、災害やテロなど、何らかの原因で電源が喪失し、使用済み核燃料を冷やす機能が失われ、温度の急上昇で火災が起きたらどうなるのか。
博士らは、この3号機の使用済み核燃料プールで冷却機能が失われ、燃料プールの水位の低下で使用済み核燃料がむき出しになって火災が起き、さらに建屋内に水素ガスが充満して爆発した事態を想定。
使用済み核燃料に含まれる放射性物質セシウム137が次々と気体化して大気中に放出された場合、どのように拡散するかを検討することにした。
・・・・・・・・
その結果、明らかになったのは、最も大きな被害が予想されるのは、原発事故の当事国である韓国ではなく、日本になるということだ。
韓国では、最大54000km2が避難対象地域になり、最大2430万人が避難を余儀なくされる。
これに対し、日本では最大67000km2が避難対象地域になり、最大2830万人が避難を迫られる、というシミュレーション結果が出た。
被害は、南北軍事境界線を挟んだ北朝鮮や中国など広範囲に及ぶ。
セシウム137の半減期である30年が過ぎても、引き続き避難したままとなるのは、最悪の場合、韓国では1900万人、日本は1840万人、との計算結果が出た。
このような最悪の事態を起こしてはならないが、カン博士は「これまでは幸いにもこうした事故が起きていないが、早めに対策をとる必要がある」と主張する。
カン博士の今回のシミュレーションは、使用済み核燃料を想定対象としたが、古里原発を含めて、韓国の原発のうち19基は、日本海側の海沿いに並んでいる。
こうした原発で放射性物質が漏れ出すような事故が起きた場合、西から東へと吹く偏西風の影響によって、放射性物質は風に運ばれて海を越え、日本列島の広範囲に及ぶおそれがあるという。
カン博士は、原発を動かせば必ず生じる使用済み核燃料の危険性に気づいて欲しいと、このようなシミュレーションを試みた。
原発推進策をとる韓国だが、使用済み核燃料の最終処分方法は定まらない一方、原子炉ごとの使用済み核燃料プールは、どんどん余裕がなくなっている。
カン博士によると、プールで貯蔵する使用済み核燃料棒の間隔の幅を少しでも広げることで、火災発生の危険性を下げられるという。
そのため、「5年ほどは使用済み核燃料の熱をさげるために貯蔵プールで冷却し、その後は専用の密閉容器の中で空気で冷却する『乾式貯蔵』をとりいれるべきだ」と提案する。
さらに、カン博士が何よりも訴えたいことは、核の惨事において東アジアは「運命共同体」であるという点だ。
日本、中国、韓国とも、国策として原発の稼働や増設を推進し、商業炉は日中韓で計約100基に達する。
核実験を繰り返す北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にも、核開発関連施設が集まる。
地球儀を眺めれば、私たちが暮らす東アジアは、世界的にもまれな核施設の「密集地域」と言える、というのだ。
もし核の惨事が起きれば、その被害は、気象条件によっては東アジアの広範囲に及ぶおそれがある。
韓国で起きれば日本へ、中国で起きれば韓国、日本へと、被害地域は偏西風の流れに沿って東側に広がる可能性が高い。
カン博士は、「だからこそ、自国だけでなく隣国の核問題にも関心を持たなければならないし、使用済み核燃料をはじめ、核施設の安全管理の面で日中韓が協力しなければならない」と指摘する。
原発から出る使用済み核燃料をめぐっては、日本政府はこれを再処理してプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜたMOX燃料にして再び原発の燃料にするという「核燃料サイクル」政策を維持している。
だが、日本のプルトニウムの保有量は約47.9トン(2015年末、国内外)に達する半面、政府が描いた核燃料サイクルは、うまく機能していない。
日本のプルトニウム保有量が「核兵器約6000発分」に匹敵する膨大な量であることから、関係国の核専門家らは、「日本は潜在的な核武装能力を保持しようとしているのではないか」と懸念している。
ただ、こうした日本の核政策は、韓国の核推進論者の間で格好の「模範」とされ、「韓国でも使用済み核燃料の再処理の実施を」という主張を後押ししている。
核政策も、海を越えて、互いに影響を与えあっているのだ。
カン博士は、「日本でさらにプルトニウムの量が増えれば、地域の緊張を高め、周辺国にプルトニウム保有の口実を与えるだけだ」と警告する。
チェルノブイリや福島の原発事故を通して、私たちは、核惨事の被害に「国境」はないことを学んだ。
重大な事故が起きれば、隣国や周辺国に取り返しのつかない甚大な被害を与えるおそれがある。
福島の原発から6年。
私たちは、もう一度、教訓を思い起こし、日本はもちろん、近隣国の原発・核問題にも関心を持ち続けなければならない。
出典
『韓国の原発銀座で惨事なら 「西日本の大半避難」の推定』
http://www.asahi.com/articles/ASK36451LK36PLZU002.html?iref=com_rnavi_arank_nr04
2017年3月1日付で毎日新聞から、下記趣旨のコラム記事がネット配信されていた。
企業の変調を疑い、問題に気づくのは容易ではない。
「企業を訪ねると必ずトイレを借りた」と語るのは、信用調査会社の社員だ。
汚れや整理整頓具合から、社長の考えや社内の雰囲気、経営状況がうかがえたという。
投資助言会社「グッドバンカー」(本社・東京)は、社会貢献や環境への配慮、人材の多様性などを重視し、企業を評価する。
1998年に創業し、この分野では日本の先駆けだ。
これまで、いくつかの企業の転落を予見してきた。
筑紫社長や調査部長の倉橋さんに、企業名は記事にしない前提で聞いた。
似たような事故を繰り返す企業があった。
「原因分析やデータの蓄積が進まず、改善への対応が鈍い。内部管理に問題があるようだ」と疑った。
同業他社に聞くと、「よくある事故ではない。ずさんです」という答えだった。
経営上の数値は文句のつけようがなかったが、「重大な問題を起こしかねない」と、2010年春に評価を落とした。
助言を受けた運用会社は、夏までに、この企業の株を手放している。
翌年、「想定外だった」との言い訳に終始する、あの巨大事故を起こした。
多額の損失を抱えて、存続も危うい電機メーカーの異変は、6年前につかんだ。
さきの巨大事故の2カ月後、役員が言った。
「30年に1度の事故でしかない。原発稼働のメリットをふまえると吸収できるコストだ」。
耳を疑い、同業他社に尋ねた。
「こんな大変な時に、そんなこと言えない」と口をそろえた。
「社会の要請が読めていない。感度が鈍く共感力に欠ける」と判断し、「投資対象として要注意」とした。
グッドバンカーは、企業の公表資料のほか、独自のアンケートや担当部門へのヒアリングなどを通じて、総合的に、継続的に判断する。
「社長が交代し情報開示に消極的になるとか、担当者の態度がそっけなくなるとか、小さなことに異変の始まりがある」と倉橋さんは語る。
長く続けているから、小さなことを見すごさない。
「私たちは、潜水艦のソナーのようにピーンと電波をあてているだけです」と筑紫社長は説明する。
「すると、向こうから形や中身について、つまり、さまざまな問題にどういう姿勢なのか、どう対処しようとしているかが反響として戻ってくる。それをもとに判断すればいい」
判断の物差しは、「言動が常識からずれていないか」、「対応に不自然さはないか」だという。
当たり前の視点こそが大切なのだ。
出典
『水説 企業を見極める視点』
http://mainichi.jp/articles/20170301/ddm/003/070/078000c
(ブログ者コメント)
〇「整理整頓は安全の母」という言葉があるが、それと似通った話かもしれない。
〇「あの巨大事故を起こした企業」、おそらくは東京電力だと思うが、それほど多くの「似たような事故を繰り返していた」のだろうか?
そう考えていて、思い出した事例が1つある。
それは下記の事例だ。
2015年1月26日掲載
2015年1月19日 新潟県柏崎市の東京電力柏崎刈羽原発タービン建屋で機器点検中、設備の写真を撮ろうとしてグレーチング通路端のハシゴ昇降口から3.5m下に転落し重傷 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4589/
現場写真を見ると、ハシゴの昇降口に転落防止用のバーとか鎖が付けられていないようにも見えた。
まさか未設置?
いやいや、写真の写り具合の関係では?
半信半疑につきコメントとしては書かなかったが、今回の情報に接し、やはり未設置だったのだろうか・・・と思ってしまった。
2017年1月27日3時0分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、体験の様子を伝える写真付きでネット配信されていた。
マンションのベランダにあるお隣との間に立てられた仕切り板。
火災などの際に破って逃げるため設けられているものの、蹴破った経験のある住民は稀なはず。
そんな人たちに実物同様の仕切り板を蹴破ってもらうユニークな体験会が、26日、大分市であった。
大分市の防災設備会社「イグジット」が、自社で開いた。
同社は、仕切り板を蹴破る練習ができる「避難キット」をレンタルしている。
キットは、1m四方ほどの「ケイ酸カルシウム製」板。
この日参加した大分市の会社員の女性(37)は、思いきり足を繰り出した。
が、1度目は破れず。
2度目のキックで板は大きな音を立てて割れ、身をかがめてくぐれるほどの穴がぽっかりと空いた。
女性は、「意外と硬くて、かなり力を込めないと割れない」と苦笑いした。
同社は、以前から、消火器や避難はしごなど防災設備の点検に行くと、顧客から「どう使えばいいのか分からない」、「触ったらどうなるのか分からず怖い」という声を聞いていた。
仕切り板については、イグジットの社員の吉岡さん(女性、42歳)も、「どれくらいの強さで蹴ったら破れるんだろう」と興味を持っていた。
仕切り板は、火災や地震で自分の部屋の玄関ドアが開かず、避難はしごのある隣室のベランダに逃げるといった際に、蹴破ることが想定されている。
ただ、吉岡さんは、「本当に蹴破れるのかと躊躇してしまう人は多いのでは」と感じていた。「
蹴破った経験がいざというときの自信になるはず」と考え、手軽に体験できるキットの製作を思いついたという。
キットは、板を入れ替えれば何度でも体験可能。
消火器訓練など一式を含め、レンタル代は約1万5千円。
出典
『ベランダの仕切り、破れる? 大分で体験会』
http://digital.asahi.com/articles/ASK1V42NQK1VTPJB00D.html?rm=304
(ブログ者コメント)
写真によれば、1m程度四方の枠にはめ込んだ仕切り板を足で蹴破り、そこからかがんで避難する体験ができる模様。
2017年1月23日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大災害でトイレが使えなくなると被災者の健康問題に直結しかねないとして、あらかじめ復旧方法を決めておく下水道版の「業務継続計画(BCP)」策定が広まりつつある。
国交省によると、下水道を管理する全国1471自治体のうち、2016年3月末時点で、約36%の533自治体が策定していた。
ただ、地域のばらつきもあり、危機感に差が出ている。
BCPは、2004年の中越地震で災害復旧を担う人材や施設が被災したことを契機に、必要性が指摘され始めた。
下水道についても、処理施設の復旧が遅れると生活排水があふれる恐れがあり、国交省が自治体に整備を求めてきた。
11年の東日本大震災では、策定済みの自治体で初期対応を始める時間が未策定の自治体より早く、注目が集まった。
その後、国交省は15年、下水道を管理する全国1471自治体に、被害想定に基づいた点検、復旧作業の手順や、優先業務の洗い出しなどを盛り込んだBCPを、17年3月末までに策定するよう通知した。
現在、判明している16年3月末時点の策定状況は、栃木、石川、高知では全自治体がBCPを策定している一方、新潟、三重、大阪、佐賀など11府県は10%未満だった。
未策定自治体の多くは、災害時の連絡先などの基本事項をカバーした暫定的な簡易版BCPを作っている。
国交省は、今年3月末までに全自治体で完成させることを目指している。
BCPに詳しい名古屋工業大の渡辺研司教授は、「生活を支えるインフラのBCP策定率は、100%が望ましい。ただ、策定自体が目的ではなく、他部局や外部との連携を日ごろから培うための訓練や演習が欠かせない」と指摘している。
出典
『(災害大国 被害に学ぶ)トイレの復旧、備え広がる 下水道継続計画、
策定36%』
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12760689.html?rm=150
2016年12月25日0時41分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
化学大手が、研究開発中に失敗した実験のデータを保存、活用する仕組みをつくる。
住友化学は、2017年4月から電子材料の開発で、実験内容を成否と関係なく電子データとして記録する。
三菱ケミカルホールディングスも、17年度中に高機能材料で、同様の取り組みを始める。
データの共有によって、同じ失敗の繰り返しを防ぐほか、別の製品開発にも役立てる。
化学メーカーは、さまざまな実験をしながら、電子機器や自動車の部材に使う材料を開発する。
実験で思い通りの結果が出た場合は、これまでも量産化のためにデータを記録してきたが、研究者が「失敗」と感じた場合は、記録しなかったり、個人のノートに書くだけにとどまったりしていた。
住化は17年4月から、電子機器向け部材の研究開発部門の一部で、実験ノートをタブレット端末に切り替える。
成功した実験だけでなく、失敗した場合も、条件や化学反応の結果などをデータとして記録。
別の研究者が似たような実験をする時に、過去の事例をすぐに探せるようにする。
三菱ケミカルHDも、実験結果を共有データとして蓄積する。
このほど、IT(情報技術)企業と組み、データを入力するシステムの試作に着手した。
17年度中に、高機能材料を扱う一部の研究現場で利用を始める。
研究者の利便性を検証しながら、導入する現場を広げる。
両社は、研究者が互いに実験データを参照し合うようにし、失敗した実験を繰り返さないようにすることをめざす。
化学業界では、ある製品の開発で「失敗」と見なした実験結果が、他の製品の開発では貴重な資料になることも少なくない。
住化が16年に発売した和紙のような質感のフィルム「WAPO」は、別の製品の失敗作に研究者が注目したことで生まれた。
水のろ過に使う三菱ケミカルHDの中空糸膜も、別製品の実験で偶然できた材料が開発のきっかけになった。
両社が、失敗した実験データの保存に乗り出す背景には、大量の情報を扱うビッグデータ技術の発達がある。
多くのデータを保存し、そこから必要な情報を拾い出したり、新たな結論を導き出したりすることが容易になっている。
両社は、埋もれた情報を有効活用し、製品開発のペースを速める。
化学業界では、原油価格や市況の影響を受けやすい石油化学製品への依存度を下げ、収益性の高い特殊品に軸足を移す動きが広がっている。
住化は年間約1600億円、三菱ケミカルHDは年に約1400億円を研究開発に投じており、特殊品開発の拡大で、今後、さらに増える見通しだ。
世界で大規模な化学メーカーの合併・統合が相次ぐのも、研究開発の負担増が一因。
研究開発の改革は、業界の大きな課題になっている。
出典
『「失敗」実験をヒットの種に 化学大手、データ活用』
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO11052530U6A221C1TJC000/?n_cid=NMAIL003
(ブログ者コメント)
記事中、別表として、ポストイットなど、失敗や偶然から生まれた身近な商品や素材が6件紹介されている。
2016年12月5日12時0分にNHK福岡NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州大学などの研究グループは、鹿児島県内の風力発電所で地形による気流の乱れが風車に与える影響をシミュレーションで詳細に再現することに成功したと発表した。
今後、風車が破損する事態を予測し、未然に防ぐ手法の開発につながるとしている。
春日市の九州大学応用力学研究所の内田孝紀准教授や九電工の関連会社などのグループは、鹿児島県いちき串木野市の風力発電所に設置された11基のうち、風車がうまく回転しないケースが目立つ1基を選び、原因を探った。
具体的には、3枚ある羽根にセンサーを取り付け、ゆがみを測定するとともに、周囲の風向きや風速を計測し、シミュレーションで詳細に再現した。
その結果、風車の300m東にある標高およそ500mの山の影響で気流の乱れが大きくなる東風の時に、羽根がゆがむなどして風車がうまく回転しないことが分かったという。
研究グループは、さらに詳細な観測をもとに計測を繰り返し、シミュレーションの精度を高めることで風車が破損する事態を予測し、未然に防ぐ手法の開発につながるとしている。
内田准教授は、「日本は地形の影響で気流の乱れが起きやすいため、今後、予測の手法を確立したい」と話している。
出典
『風車ゆがみは気流の乱れ 再現』
http://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20161205/4819521.html
2016年11月29日8時14分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
お店などで滑って転んでけがをした人が、「床に問題があった」として裁判を起こす例が相次いでいる。
高齢者の死亡原因のうち、転倒事故は年間約5000件で、交通事故を上回る。
未然防止のため、床を滑りにくくする「防滑(ぼうかつ)」に取り組む事業者も出てきた。
大阪市の50代主婦は、4月、市内のリサイクル店を相手取り、約800万円の賠償を求める裁判を起こした。
雨でぬれた床で滑り、足の靱帯を切るけがを負った。
入院生活は約1カ月に及んだ。
主婦側は、訴状で「客が転ばないようにする義務があった」と主張。
足拭きマットを敷いたり、床の清掃回数を増やしたりするべきだったと訴えている。
一方、店側は「転倒には女性の過失が関係している」として、争う姿勢だ。
同様の訴訟では、店側に賠償を命じるケースも出ている。
岡山地裁は、2013年、「ショッピングセンターの床に落ちていたアイスクリームで滑って転んだ」とする70代女性の訴えを認め、店側に約860万円の支払いを命令した。
大阪地裁では、「餃子の王将」店内で転んだ40代女性に対し、店側が解決金100万円を支払う和解が、15年に成立した。
「昔なら『自分が悪い』となった事案でも、ここ10年ほどで提訴になることが増えたように感じます」。
建物内での事故訴訟に詳しい佐藤貴美弁護士(第一東京弁護士会)は話す。
インターネットの普及に伴い、同種事故の訴訟情報が入手しやすくなったほか、権利意識の向上も背景にあるとみている。
ただ、訴訟を起こしても、不注意だったとして、主張が全面的に認められることはまれという。
佐藤弁護士は、「いきなり裁判を起こすと、社会がギスギスする。店側、客側が丁寧な話し合いで歩み寄ることも大切です」と話す。
「防滑」に取り組む企業も増えつつある。
西日本高速道路(大阪市)は、バリアフリー新法が施行された2006年以降、サービスエリア(SA)の店舗など約300施設の床材を、国交省の示す指標に沿うよう選定。
部分的な補強には、特殊な薬剤を塗って対応している。
焼き鳥チェーン「鳥貴族」(同市)は、転倒が数件あったため、約1年前から床に滑りにくい加工をしたテープを貼った。
担当者は、「安全・安心確保は、飲食店を経営する企業の責任」と話す。
10年に設立された「防滑業振興協会」(東京)には、現在、建設業者など約40社が加盟。
独自の試験に合格した「すべり測定士」を派遣し、国交省の指標に合っているか、有償で測定。
10年度は2件だったが、昨年度は36件に増えた。
同協会事務局の田中さん(49)は、「床は時代とともに滑りやすくなった」と指摘する。
店舗の床材は、比較的滑りにくい塩化ビニール製が主流だったが、十数年前からセラミック製タイルが流行。
表面が滑らかで清掃しやすい半面、水や油分が付着すると滑りやすくなる可能性がある。
さらに、塩ビに比べて硬いため、転倒すると危険という。
デザイン重視の建築が要因になっているとの指摘もある。
大阪工業大学の吉村英祐教授(建築安全計画)は、「雨に降られる場所でも表面がつるつるの床を使うなど、配慮に欠けている建物がある。設計段階で安全重視の観点を採り入れないと、誰もが安心して利用できる施設にはならない」と指摘している。
国の人口動態調査によると、平らな場所で滑るなどして転倒し、亡くなった65歳以上の高齢者は年々増加。
2008年には交通事故死者を上回った。
15年は転倒死5337人、交通事故死3187人だった。
日本建築学会は、08年、床の安全を保つための指標として「床の滑りにくさ」を数値化したものを提案。
国交省も、12年、この指標を建物の安全性向上などを目的とした「バリアフリー新報」のガイドラインに明記し、床材選びや仕上げの参考にするように促している。
出典
『滑って転んで賠償請求、相次ぐ 「防滑」取り組み進む』
http://www.asahi.com/articles/ASJCG4V63JCGPTIL01M.html
(ブログ者コメント)
〇王将事例は下記参照。
2015年4月16日掲載
[昔の事例の顛末] 2012年11月 大阪府寝屋川市の餃子の王将で席に向かう途中に滑りやすい床で転倒し複雑骨折したとして客が損害賠償を求めた裁判で和解成立
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4783/
〇ブログ者も、半年ほど前、某中華料理店に初めて行った際、床が油でツルツルしていて滑りそうになったので、「滑るので気をつけろ」と、店員に聞こえるよう、わざと連れ合いに注意したことがある。
それが、1ケ月ほど前に再訪した際は、当該部分にマットが敷かれていた。
ブログ者の仕掛けが奏功したのかどうかは不明だが、今回の情報に接し、ふと、そういったこともあったなあと思い出した。
2016年11月28日19時0分にNHK札幌から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道内の空き家の数は年々増えていて、3年前には住宅の7戸に1戸にあたる38万8000戸あまりが空き家の状態となっている。
このなかでも、老朽化が激しく崩壊などのおそれがあるものは、去年施行された法律で、行政が代わりに撤去できるようになった。
この法律に基づき、道内で初めて、室蘭市が空き家を強制的に撤去する措置に踏み切り、撤去にかかった費用を所有者に請求した。
室蘭市内の空き家の所有者の中には、空き家を放置したままではさらに重い負担がかかるとして、思い悩みながらも、みずから撤去する動きも出てきている。
ことし8月、道内で初めて行われた行政による空き家の撤去では、長年放置された空き家の敷地から土砂が流れ出していて、隣の家に被害が及ぶ可能性が出ていた。
かかった解体費用は、民間で行った場合よりも高い、およそ840万円だった。
費用が膨らんだのは、公共工事特有の事情も背景にある。
公共工事の費用は、工事に関わるすべての費用を積み上げて計算する。
作業員の労賃や資材費などの直接の経費以外に、作業員の福利厚生や退職金に充てる費用まで計算する。
このため、費用は民間より2倍前後、今回のようにさらにかかるケースもあるという。
市内にある危険な空き家は1500棟あまり。
室蘭市の担当者は、「所有者みずからが対処していただくことによって、経済的にも所有者負担の軽減につながります。今後とも、適切な空き家の管理について、所有者の皆さまには自主的な管理をお願いしたい」と話し、行政が撤去に踏み切る前に、自主的に撤去してほしいと呼びかけている。
こうした中、市内では8月以降、所有者みずから撤去した空き家の数は31棟と、去年の同じ時期と比べて倍近くに増えている。
先月、自分で空き家を撤去した市内に住むMさん(男性)は、父親がかつては家賃収入を得ていた建物を相続した。
しかし、20年以上、空き家になっており、老朽化が進んでいた。
市からは「危険家屋」に指定され、解体を求められたが、すぐに解体に取りかかる気にはならなかったという。
Mさんは、「『早急に壊していただきたい、危険家屋なので』と言われたのですが、『わかりました、壊します』とはいきません。老後のせっかくためた資金をつぎ込んでしまうというのはせつないところがありまして、躊躇していました」と、当時の心境を話していた。
しかし、この夏、道内を直撃した台風10号が状況を一変させる。
この強風により壁が崩れて、隣の住宅を直撃。
保険に入っておらず、60万円の損害を賠償した。
解体には260万円かかり、Mさんは、危険な空き家を持ち続けるリスクを思い知らされたという。
Mさんは、「なけなしの老後の資金を切り崩して手当てしましたが、少なくとも台風や暴風雪が来ても飛ぶおそれはなくなったという、不安が1つ消えたというのはあります。同時に、老後の資金がなくなったという、新しい不安ができました」と話していた。
行政が撤去に乗り出せば、さらに費用を請求される中、危険な空き家を所有する住民の悩みは続く。
一方、室蘭市から解体費用840万円を請求されている所有者は、分割して支払う意向を示しているということで、現在、市との協議が行われている。
活用が難しい土地ほど放置されがちな空き家だが、旭川市や紋別市など道内の8つの市と町では、建て替えなどの活用が前提でなくとも、危険な空き家の解体の補助を行う対策を進めている。
出典
『空き家解体で負担悩む所有者』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161128/4619441.html
(ブログ者コメント)
ブログ者は、誰も住まなくなった実家の屋根から瓦が落ちたと聞き、固定資産税が上がることを承知で、10数年前に家を解体した。
昨今ほど、危険放置空き家が問題視されていなかった頃のことだ。
その辺の経緯は、下記記事にブログ者コメントとして記載済。
2011年11月2日掲載
[昔の事例の顛末] 2011年2月19日 下関市の空きビル外壁からタイルが落下、所有者は資金なしとの理由で8ケ月放置
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/934/
土地は90坪。うち40坪ほどが鉄骨スレートの平屋倉庫で、15坪ほどが2階建ての家だった。
その解体費用は、コンクリート基礎の撤去費も含め、工場と家で300万円強。
今回、室蘭市で強制撤去された家は、映像では一部しか映っていないが、イメージ1階建てで、ブログ者の実家よりは小さく見えた。
それで840万円。
地域差ならびに五輪や復興で工事費が高騰していることを考慮しても、公共工事として強制撤去されるよりは、自主的に民間業者に発注して撤去したたほうが、確かに安そうだ。
それにしても、今回の事例では、強制撤去する前に、所有者に対し、自主撤去したほうが安いという情報を提供していたのだろうか?
提供していたが、所有者が甘く考えていた?
それとも、提供していなかった?
2016年11月16日19時44分にNHK秋田から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
老朽化が進む道路や橋などの維持管理が課題となるなか、道路の傷み具合を自動で測定する画期的な装置の実証実験が16日から仙北市で始まった。
これは、仙北市が大手精密機器メーカー「リコー」などと始めた実証実験。
この装置は、一般の車の後部に取り付ける特殊なカメラ5台で走行中の路面を撮影するもので、道路のひび割れやわだちの深さなどの測定と解析を自動的に行い、道路のいわば“通信簿”を作成する。
実証実験は市内の8区間、全長3kmあまりを対象に、1週間程度行われるほか、積もった雪が解ける来年3月にも改めて測定して、冬を越した道路の傷み具合などを調べることにしている。
市や会社によると、実用化が進めば、職員の目視などで行っていた作業の労力や時間が大幅に削減されるほか、道路の傷みを効率よく把握して早い段階で補修を行えるため、道路を長く使うことができるという。
仙北市の門脇市長は、「データをもとに補修の優先順位を決めれば、最もコストパフォーマンスの良い補修計画が立てられる」と話していた。
リコーICT研究所の中村所長は、「この装置の実用化は、大きな損傷が起きる前に小さな補修で道路を維持することにつながる。このシステムをいずれは全国に広げたい」と話していた。
※以下は、音声のみの情報
中村所長談
こちらの機材で道路の3次元のコピーをとっている。
カラー画面は道路の表面の凸凹を色で表したもの、白黒画面は通常の画像。
こうしたカラー画像と高さの情報から、道路の健康度を測るようになっている。
出典
『道路の損傷 自動測定の実験』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/6014420771.html?t=1479328789847
(ブログ者コメント)
映像によれば、トラックの最後部にヒナ段を逆にしたようなものが取り付けられており、その段にカメラなどが下向きに設置されている。


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。