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2019年5月6日7時20分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
学校で心停止になった子どもにAEDが使われたかどうかを調べたところ、小学生と中学生では男女差がなかったのに対して、高校生では女子生徒に使われる割合が3割ほど低くなることが、京都大学などの研究グループの調査でわかった。
京都大学などの研究グループは、平成20年から27年にかけて全国の学校の構内で心停止になった子ども232人について、救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうかを調べた。
その結果、小学生と中学生では、男女の間で有意な差はなかったが、高校生では、男子生徒の83.2%にパッドが装着されたのに対して女子生徒は55.6%と、30ポイント近く低くなっていた。
AEDは心臓の動きを正常に戻す医療機器で、鎖骨の下などの素肌に直接パッドを貼る必要があり、研究チームでは、女子高校生の場合、近くにいた人たちが素肌を出すことに一定の抵抗があったのではないかと分析している。
心停止の状態で何もしないと救命率は1分たつごとにおよそ10%ずつ下がるため、救急隊の到着する前にできるだけ早く胸骨圧迫=心臓マッサージをしてAEDを使うことが大切だ。
研究グループのメンバーで京都大学健康科学センターの石見拓教授は、「パッドは服を完全に脱がせなくても貼ることができ、貼ったあとに服などをかぶせてもよい。命を救うため、女性にもAEDを迷わず使ってほしい」と話している。
倒れて意識がない女性に救命処置を行う場合、どんな配慮や工夫ができるのか。
京都大学健康科学センターの石見拓教授によると、
①声をかけ、意識がなければ119番に通報して、近くの人にAEDを持ってきてもらうように頼む。
②呼吸をしていない、またはよくわからなければ、胸骨圧迫=心臓マッサージを始める。
③AEDが届いたら電源を入れ、2枚のパッドを素肌に貼るが、服をすべて脱がす必要はなく、下着をずらして、右の鎖骨の下と左の脇腹の辺りに貼ることで対応できる。
④貼ったあとは、上から服などをかけても大丈夫。
石見教授は、「AEDのパッドは貼るべき位置に貼れば、服をすべて脱がさなくても問題はない。女性であっても男性と同じだけの救命のチャンスが与えられるべきで、訓練の場などで女性への対応の仕方を広く伝えていきたい」と話している。
出典
『AED 女子生徒に使われない!』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190506/0029328.html
2019年5月1日付で愛媛新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
松山市東消防署(道後湯之町)の渡辺亮平消防士長(37)が、多様な機能を備えたホースバッグを開発した。
ホース運搬に加え、負傷者の搬送や水損防止など、使い方はさまざま。
このほど、各職域の技術向上に貢献した個人を文部科学相が表彰する創意工夫功労者賞を受賞した。
従来のバッグは、ホースを出した後は用途がなく、消火活動終了まで放置されていた。
多機能バッグは縦90cm、横60cmで、最大縦2.7m、横3.6mに広げられる。
肩に掛けたり、背負ったりしてホースを運搬するほか、
▽負傷者を運ぶ布担架
▽プライバシー保護シート
▽高層建築物などの火災時に放水で下の階の電気設備などが損傷するのを防ぐ水損防止シート
▽負傷者の治療の優先度を判定するトリアージの際のシート
としても活用できる。
出典
『ホースバッグが担架に変身 松山の消防署員が開発』
(ブログ者コメント)
実際の使い方は、下記記事内の添付PDF参照。
(2019年4月9日 松山市HP)
『松山市消防局職員が科学技術分野の文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞を受賞しました』
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/hodo/201904/hyousyou.html
2019年4月29日19時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海の事件事故を通報する「118番」。
2018年に寄せられた約43万件の通報のうち、約99%が間違いやいたずらなどだった。
118番は、海上保安庁が00年に導入以来、無効通報の多さに悩まされ続けてきた。
連休中や夏場は海の事故も増える。
海保は適切な利用を呼びかけている。
「無言や間違い電話の対応で仕事にならない。何とかならない
か」。
東京・霞が関の海保本庁の担当者の元には、118番の窓口となっている全国11の管区から、こんな要望が毎年寄せられている。
18年に118番通報は43万4799件あったが、海難、人身事故や情報提供は1.2%の5028件だけ。
無言、すぐに電話が切れる即断、間違い、いたずらの各無効電話が98.8%を占め、42万9771件にのぼった。
通報件数が約901万件(17年)の110番や約844万件(同)の119番では、無効電話はいずれも2割程度。
118番の異様さが際立つ。
海保の場合、118番通報は各管区の運用司令センターの職員が数人で受けるが、無効電話は1日平均100件以上。
事件や救助で巡視船艇とやりとりしている時にも対応しなければならず、業務に支障を来すこともあるという。
00年5月の118番の導入当初は、もっとひどかった。
年約5000件の有効電話に対し、無効電話は170倍にあたる約85万件(01年)。
そのころ多かったのは、大手宅配会社との間違いだ。
不在票に書いてある受け取り番号が「118」で始まるものがあり、電話番号と間違えてかけてしまうケースが多かったという。
海保は宅配各社に、受け取り番号の先頭に「118」を使わないよう要請した。
11年ごろには携帯電話からの無言電話が急増し、無効も増加に転じた。
画面ロックを解除しなくてもワンタッチで118番などがかけられる仕組みのスマートフォンが普及し、誤発信するケースが多いことがわかった。
海保はここでも、携帯電話各社に頼んで仕組みを変更してもらった。
こうした対策により、17年は無効が37万件まで減っていた。
だが18年、5年ぶりに無効が約5万6000件の増加に転じた。
海保は当初、9月にあった北海道地震の安否確認などの影響を疑った。
札幌市やその周辺の市外局番が「011」のため、外線で「0」を押し忘れて「118」にかけてしまうことがあるからだが、実際は増加分のごく一部。
原因は不明だ。
連休もあり暖かくなる5月は、例年、水上バイクやミニボート、遊漁船などでの海難が増え、1年でもっとも通報件数が多い月の一つ。
海保の担当者は、「認知度の低さが影響しているかもしれない」とし、連休中もイベントなどを通じて118番を周知する方針だ。
出典
『海の緊急通報118番、99%無効 宅配会社と間違いも』
https://www.asahi.com/articles/ASM4T00VPM4SUTIL081.html
(ブログ者コメント)
118番への間違い通報については、過去にも本ブログで紹介スミ。
件数といい間違い率といい、3年間でさほど改善は見られないようだ。
『2016年7月31日報道 海上保安庁にかかってくる「118番」の99%は間違い電話や無言電話、しかし無言であっても海近辺からかかってきた電話には万一を考え対応している』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6154/
2019年4月29日8時8分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防・救急車両を過積載の状態で出動させていた道内の消防機関は、全58消防本部・組合のうち、少なくとも19本部・組合、計385台に上ることが28日、北海道新聞のまとめで分かった。
ほとんどがホースなどの資機材を増やす際、実際の車両総重量を計るなどの確認をしておらず、安全性に対する認識の甘さが露呈した形となった。
「当初、車両の総重量に制限があることを全く知らな
かった」。
恵庭市消防本部の担当者はそう語った。
同本部は、京都府内での消防車の過積載問題発覚を受け、昨年11月末~12月中旬に緊急車両の重量を計測。
計12台が車検証に定められた車両総重量や最大積載量を超えていたことが分かった。
にもかかわらず、安全性を確認しないまま約4カ月間にわたり、その状態を放置していた。
北海道新聞の指摘を受け、資機材を下ろすなどの対応を取り、過積載を解消させた同本部は、「安全のため、早急に対応するという意識が欠けていた」と後手の対応を認めた。
過積載状態が見つかった消防の多くが、納車以降、ホースなどの資機材を入れ替える際、車両総重量を計測していなかった。
オホーツク管内の斜里地区消防組合は、「新しい機能を備えた資機材に更新するたびに重くなった」と説明する。
車両総重量に制限があるとの認識を持たなかったことが問題につながったとみられる。
ただ、車両総重量に気を付けて運用している消防もある。
札幌市消防局と函館市消防本部は、納車前の車検時、実際の資機材を全て積載した状態で車両総重量を計測。
その後、新たに資機材を積む際には同重量の資機材を下ろすなど、車検証に定められた車両総重量を超えないように注意している。
札幌市消防局の担当者は「積載物の重量は常に意識している」と強調する。
過積載状態が発覚した19消防本部・組合は、いずれも資機材を下ろすなどして、過積載状態を既に解消させたという。
過積載状態の車両の中には、車検証に定められた車両総重量(19トン)を約8%、1.6トン上回った車もあった。
北海道科学大短期大学部の岩間大舗助教(自動車工学)によると、理論上は実際の車両総重量が10%増えれば、ブレーキをかけてから止まるまでの距離も10%伸びるという。
岩間助教は、「道内は冬が長く、緊急車両も凍結路面を走ることが多い。定期的に車両重量を計測することは安全性を確保する上で不可欠」と訴える。
出典
『道内19消防で過積載 計385台、総重量確認せず 安全性への認識に甘さ』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/301036/
(ブログ者コメント)
〇恵庭消防など4消防の個別事例は過去に本ブログで紹介スミ。
〇今回報じられた「新しい機能を備えた資機材に更新するたびに
重くなった」という件だが、それは変更管理の重要性を示唆
するものだ。
2019年4月26日12時33分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京消防庁は26日、心肺停止状態のため救急車で搬送される90代女性に、視覚障害のある家族が付き添おうとした際、「盲導犬は同乗できない」と誤った説明をし、医療機関への搬送が約5分遅れたと発表した。
現場の救急隊員に指示した総合指令室員の認識不足が原因。
搬送先の医師は、遅れによる容体への影響はないとみているという。
救急隊長や指令室幹部が家族に謝罪した。
身体障害者補助犬法は、公共施設や公共交通機関が盲導犬の同伴を拒んではならないと定めている。
東京消防庁によると、17日午後10時ごろ、東京都練馬区内で、搬送時に家族が付き添おうとした際、総合指令室が救急隊に「盲導犬は同乗できない」と指示した。
家族が「過去に同乗したことがある」と指摘し、誤りが判明した。
同庁は、総合指令室員の手引に盲導犬や介助犬は同乗できると記載するなどして、再発防止を図るとしている。
〔共同〕
出典
『救急車の盲導犬同乗を拒否 搬送5分遅れ、東京消防庁』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44237130W9A420C1000000/
4月26日12時26分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都練馬区で17日、東京消防庁の救急隊員が90代の女性を救急搬送する際、女性の家族に対し、「盲導犬は同乗できない」と誤った内容を伝えていたことがわかった。
同庁が26日、発表した。
直後に訂正し、影響はなかったという。
同庁は家族に謝罪した。
東京消防庁によると17日午後10時ごろの119番通報で救急隊が出動。
心肺停止状態の90代の女性を搬送する際、付き添いの家族には視覚障害があり、盲導犬の同乗を希望した。
現場の救急隊員は「搬送先の病院に盲導犬を入れられるか」と本部総合指令室の30代救急管制員に確認を依頼。
管制員は「救急車に盲導犬は同乗できない」と誤って回答した。
女性の家族が「過去には同乗させたことがある」と指摘し、誤りが発覚した。
この間の搬送の遅れは約5分で、病院からは「容体に影響する遅れではなかった」と説明されたという。
同庁は今後、担当者らの処分を検討する。
指令管制の手引には盲導犬の同乗についての記載がなかったといい、今後、記す方針だ。
出典
『「盲導犬は救急車に同乗できない」 東京消防庁が誤伝達』
https://www.asahi.com/articles/ASM4V36PCM4VUTIL012.html
2019年4月20日付で河北新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
仙台市消防局は19日、1998年度以降に購入した消防車54台が、車検証の最大積載量を超える過積載で出動していたと発表した。
はしごやホースは消防隊員の手荷物と同様で、積載量に含まれないと解釈していたことが原因。
1台平均570kgオーバーし、道交法違反の状態が長年続いてきた。
市消防局によると、過積載があったのは水槽付きポンプ車43台、化学消防車8台、泡原液搬送車2台、高発泡照明車1台。
最大積載量を106~827kg上回り、15台はメーカーが定める許容積載量も超えていた。
過積載による交通事故やトラブルはなかったという。
今年3月、千葉市で消防車の過積載が発覚したため、県警に消防車両の総重量に関する解釈を照会。
市消防局は「はしごやホースは簡単に積み降ろしが可能で、積載量には影響しない」と認識していたが、「固定的な資機材は車両総重量に含まれる」と指摘された。
市消防局は県警、東北運輸局と協議し、今後は、はしごやホースを乗員や積載物を除いた「車両重量」に含めることを確認。
車検証の車両重量を実態に合わせて変更する手続きを始める。
通常の消防業務に支障が生じないよう、順次進めるため、全54台の変更が完了するのは7月末ごろになる見通し。
当面は、ポンプ車に積載する水の量を減らしたり、資機材を必要性の高い物品に絞り込むなどして、早期に違法状態を解消する。
市消防局の結城次長は記者会見で「安全安心を守る消防が信頼を損ねて申し訳ない」と陳謝した。
出典
『<仙台市消防局>消防車54台が過積載出動 はしごなど手荷物扱い』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190420_13014.html
(ブログ者コメント)
京都市の事例を受けての対応かと思いきや、千葉市の事例を受けての対応とのこと。
しかし、その千葉市は、京都市の事例を受けての対応だった。
仙台消防には京都市の事例情報が届いていなかったということだろうか?
関連報道を時系列に整理すると、以下のようになる。
10月18日報道 京都市で過積載が発覚、資機材や水を減らした
12月 7日報道 京都府 京都市の事例を受け、過積載状態にある車は資機材や水を減らした
3月 5日報道 千葉市 京都市の事例を受け、過積載状態にある車は資機材や水を減らした
4月13日報道 恵庭市 京都市の事例を受け、過積載を把握したが、緊急時対応が後手に回る不安から、そのまま運用した
4月17日報道 千歳市 京都市の事例を受け、一旦は資機材を降ろしたが、その後、手荷物だからと誤解釈して積み直した
4月20日報道 仙台市 千葉市の事例を受け、過積載状態にある車は資機材や水を減らした
2019年4月19日12時37分にNHK宮崎から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
南海トラフ巨大地震などの大規模な災害が起きると、自治体の職員や消防の人手が足りなくなることが予想される。
これに備え、宮崎市は、大災害の時だけ出動して住民の避難誘導や避難所の運営などにあたる消防団員、「大規模災害団員」の制度を県内で初めて設けた。
この制度は、宮崎市が消防団員に関する条例を改正し、今月1日から、消防署の職員や消防団員を経験した80人余りの態勢でスタートさせた。
「大規模災害団員」は、南海トラフ巨大地震や集中豪雨などの大規模な災害で、多くの避難所が開設されるケースにだけ出動する。
そして、自分が住む地域の住民の避難誘導や安否確認を行うほか、避難所で市の職員と協力し、スペースのレイアウトを考えたり食料を配ったりするなどの運営にあたる。
大規模災害団員に対しては、ふだん年2回程度の訓練や研修が行われる予定で、年間5000円の報酬と出動1回につき3700円の手当が支払われる。
この制度の導入は、県内では宮崎市が初めてだという。
宮崎市では最終的には100人余りの態勢になる見通しだとしていて、「大規模な災害の際の市や消防の態勢が強化されることになる」と話している。
出典
『宮崎市に大災害時限定の消防団員』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20190419/5060003067.html
2019年4月19日9時38分にNHK東北から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
宮城県は、救急搬送の時間を短縮するため、スマートフォンやタブレット端末で受け入れ可能な病院が一目でわかるシステムを、仙台市周辺の自治体で導入することになった。
宮城県内でおととし、119番通報を受けてから医療機関に搬送するまでの平均時間は40.7分と、全国平均を1分以上上回っている。
県によると、救急隊員が搬送中に、医療機関に対して患者の受け入れを4回以上照会した割合が全国平均を上回っていて、搬送する病院をいかに早く見つけるかが課題となっている。
このため県は、救急隊員が救急搬送を行う際に、スマートフォンやタブレット端末で受け入れ可能な病院が一目でわかるシステムを今月23日から導入することになった。
このシステムでは、救急隊員は病院に照会した結果も入力することにしていて、次に救急搬送にあたる救急隊員は、病院側と消防側双方の情報を照らし合わせることで、病院の選択をより効率的に行うことができるという。
こうしたシステムは仙台市がすでに導入しているが、今回は、仙台市周辺の名取市や岩沼市、塩釜市など、5つの市と7つの町、1つの村で運用を始めるという。
出典
『救急搬送時間短縮へ新システム』
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20190419/0005279.html
2019年4月13日5時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
恵庭市消防本部の消防・救急車両計12台が、車検証で定められた上限の重量を上回って資機材や水を載せ、道交法違反などに当たる過積載の状態で現場に出動していたことが12日、同本部への取材で分かった。
同本部は昨年11月末~12月中旬に各車両の違反状態を把握した後も、約4カ月間にわたって対策を取っていなかった。
同本部によると、12台は、消防車4台、ポンプ車6台、救助工作車1台、救急車1台。
いずれも車検証で規定されている最大積載量(消防車以外は車両総重量)を、平均約400kg、最大670kg超えてホースや水などを積んでいた。
車両は1990~2017年に納入されたもので、納車時や車検時に総重量を量っておらず、違反状態が続いた期間や原因は不明という。
過積載ではブレーキがききづらくなり、事故の危険が高まる。
京都府内の消防で消防車の過積載が発覚したことを受け、恵庭市消防本部が昨年11月末から12月中旬、所有する緊急車両計23台のうち、市内のごみ処理場で計測可能な12台の総重量を調べ、全台が過積載状態だったことが判明。
同本部は、その後も資機材を減らすなどの対策を取らず、火災現場などに少なくとも計609回出動したが、該当車の事故やトラブルはなかったとしている。
同本部の車両が過積載で運行しているとの情報を北海道新聞が入手し、11日に同本部に指摘。
同本部は違反を認め、11、12の両日で積んでいるホースや水などを減らす対応を取り、道警にも報告した。
下ろした資機材は、必要であれば別の車で運ぶこととしたため、活動への影響はないという。
過積載状態を解消しなかったことについて、同本部は「どの資機材であれば下ろせるか検討していた」と説明した。
同本部は、今後、残る未計測の11台も北海道運輸局で総重量を量る方針。
林消防長は、「(違反状態が)分かってからも具体的な対策を取らず、市民の信頼を損ね申し訳ない。信頼回復に努めたい」と話した。
最大積載量を超えた過積載での車の走行は道交法で禁じられており、違反者には6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される。
出典
『恵庭消防、過積載で出動 車両12台 違反認識、4カ月放置』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/295989?rct=n_society
4月15日9時51分に朝日新聞からは、緊急時の対応が後手になるとの不安から重量オーバーの資機材を降ろす決断ができなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
恵庭市消防本部は、京都府内で消防車の過積載が表面化したことを受け、昨年11月から管理する車両23台のうち12台の総重量を計測した結果、規定を上回っていたことが判明。
しかし、その後も対策を取らないまま、火災現場などに計600回以上出動していた。
事故やトラブルはなかったという。
同本部では、一連の事実関係について警察に報告し、未計測の車両11台についても北海道運輸局で測定することにしている。
同本部の中川次長は、「災害や緊急時への対応が後手後手になる不安があり、資機材を減らすことを決断できなかった。違反を認識し、適正な車両運行で市民の安全、安心に取り組んでいきたい」と話した。
出典
『恵庭市消防12台 600回以上出動』
https://digital.asahi.com/articles/CMTW1904150100008.html?rm=170
4月17日10時22分に読売新聞からは、千歳市の消防では、(京都事例の横展開で)一旦降ろした水や資材を手荷物扱いだと誤解し積み直して出動していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道千歳市消防本部は16日、車検証で定められた総重量を上回る過積載の状態で、消防車13台が業務をしていたと明らかにした。
同本部によると、道外の消防で過積載が問題になった昨年11月に緊急車両全20台の重さを量ったところ、消防車13台が過積載だったため、積んでいた水や資機材を降ろした。
だが、水や消防機材は手荷物で、過積載にはあたらないという誤った解釈をし、2月に再度積み直して、最近まで業務を続けた。
このうち、水槽付きポンプ車は最大1.17トンの過積載だったという。
この間、事故などはなかった。
すでに水や資機材は降ろして過積載を解消する一方、一部車両は近く、札幌運輸支局で車検証の記載事項の変更を行う方針だ。
出典
『水・機材は「手荷物」…消防車13台、過積載』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190417-OYT1T50120/
4月16日21時37分に北海道新聞からは、北斗市の消防でも過積載のまま出動していたという記事がネット配信されていた。(記事転載は省略)
『南渡島消防も過積載 消防車両33台』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/297002/
4月16日21時39分に北海道新聞からは、渡島の消防でも過積載のまま出動していたという記事がネット配信されていた。(記事転載は省略)
『消防車と救急車の過積載 渡島管内4町でも判明』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/297004/
(ブログ者コメント)
〇恵庭市の事例が報道された3日後に、3消防の事例が報道
された。
そのタイミングから考えると、恵庭市事例の報道を受け、他でも確認した、調べ直した、ということかもしれない。
あるいは、道庁から再調査の指示があったとか・・・。
〇消防車の過積載事例については昨年10月、京都市で発覚した事例を初めて本ブログで紹介した。
その後、京都府や千葉市における横展開対応状況なども紹介している。
2019年3月26日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
総務省消防庁は、台風や集中豪雨の被災現場で人命救助にあたる専門部隊「土砂・風水害機動支援部隊」の創設を決めた。
近年相次いでいる西日本豪雨などの大規模災害に備える。
今月、徳島県で発足させたのを手始めに、6月までに全国で35部隊を配備し、将来的には全都道府県に最低1部隊を置く方針だ。
同庁によると、部隊は20人程度を想定し、水没エリアや斜面に強い水陸両用バギーや救命ボートのほか、これらを積載する「津波・大規模風水害対策車」、がれきなどを撤去する重機などを装備する。
隊員や機材の配置など、具体的な運用は各地の消防が担う。
昨年7月の西日本豪雨は、広島、岡山、愛媛3県を中心に土砂災害や洪水が発生した。
各地の現場で、「土砂崩れの現場に車両が入れない」といった理由から、救助に時間がかかったケースがあったといい、災害全般に対応する「緊急消防援助隊」とは別に、土砂・風水害に特化した部隊が必要と判断した。
同庁広域応援室は、「毎年のように大規模災害が起きる中、迅速に多くの人を助けるのが消防の使命。特殊車両を活用し、災害時により多くの人を救助したい」としている。
出典
『大水害専門の救助隊…全国で消防庁 バギーや重機装備』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190326-OYT1T50028/
(ブログ者コメント)
昨年11月、徳島県に水陸両用の災害対応車が消防庁から貸与されたという情報を紹介したが、それは、今回報じられた今年3月の徳島県「土砂・風水害機動支援部隊」発足に伴うものだったのかもしれない。
『2018年11月20日 徳島県北島町で水陸両用の災害対応車(消防庁が導入し徳島県と千葉県に貸与したもの)が公開された、岡崎市に配備されている水陸両用車と異なりスクリューもついている』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9093/
2019年3月15日8時19分に沖縄タイムスから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
那覇市消防局が全国で唯一所有する「ハイパーミストブロアー車」の「トミカ」(タカラトミーのミニカー)の贈呈式が14日、那覇市消防局であり、タカラトミーの小島社長が城間市長に贈った。
同トミカは16日から全国で発売される。
防災情報の発信に力を入れる同消防局が働き掛けて実現。
同社が消防側からの要望で制作したのは初めてという。
小島社長は、「おもちゃを通じて命を守る消防車両を知り、防災意識が高まるように貢献できたらうれしい」と話した。
同車は正式名を自走式大量噴霧放水大型ブロアー車といい、市が2017年に導入した。
秒速39mの風を発生させる大型ファンで水を霧状にして飛ばすことができ、火災現場の冷却や、煙や有毒ガスを除去する機能を備える。
ミニカーは90分の1スケールで、希望小売価格は税抜き900円。
出典
『那覇消防「全国唯一の車」のミニカー、タカラトミーが市に寄贈 16日から全国
発売』
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/396706
3月15日11時0分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
放水装置はリモコンで操作でき、アーケードなど、隊員が近づけない現場でも活動できる。
同社の消防車のミニカーとしては30番目だが、消防側からの要望で作ったのは初めて。
消火が仕事の消防車。
新たなミニカーブームの火付け役になれるか。
出典
『那覇市にしかない消防車、ミニカーに 大型ファンで放水』
https://www.asahi.com/articles/ASM3G4FZVM3GTPOB002.html
(ブログ者コメント)
当該ブロワー車は、那覇市のHPに写真付きで紹介されている。
以下は序文。
那覇市消防局では、沖縄県への入域観光客数が861万人を超え(※平成28年統計)、建物の高層化や大規模化が進む宿泊施設、商業施設、海底トンネルやアーケード施設等における火災及び多種多様な災害に対応するため、遠隔操作による自走式大量噴霧放水大型ブロアー車(通称:ハイパーミストブロアー車)を、全国で初めて整備しました。
『全国初!!ハイパーミストブロアー車の配備について』
http://www.city.naha.okinawa.jp/kakuka/fire/station/shintyaku/hypermistblower.html
2019年3月13日19時21分にNHK岐阜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防隊員が、室内の一部で発生した火災が短時間に一気に燃え広がる「フラッシュオーバー」という現象について学ぶ講習会が、岐阜県各務原市で開かれた。
ことし1月、秋田県能代市で火事の消火にあたっていた消防隊員2人が死亡し、2人は当時、室内の一部で発生した火災が短時間に一気に燃え広がる「フラッシュオーバー」に巻き込まれた可能性があるとされている。
これを受けて岐阜県羽島市の消防本部は、13日、各務原市にある県の消防学校で、消防隊員に「フラッシュオーバー」について学んでもらう講習会を開いた。
消防隊員たちは、はじめに、住宅に見たてた箱の中で木の棒や木くずなどに火がつけられ、「フラッシュオーバー」の前兆とされる煙が白から黒に変わる様子や、黒い煙に炎がはしる現象を見学した。
箱の中では、約5分後に黒煙が充満し、火元から90cmほど離れたところに置いた布に火が燃え広がっていた。
このあと、2階建ての家屋の模型を使い、消火活動の際に火元の部屋に通じるドアや窓を開けると、火の勢いが一気に増して燃え広がる危険性があることを学んだ。
講習会に参加した消防隊員は、「フラッシュオーバーの怖さを実感した。安全で確実な消火活動を行っていきたい」と話していた。
出典
『フラッシュオーバー学ぶ講習会』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20190313/3080001323.html
(ブログ者コメント)
以下は、放映された実験映像の主だったシーン。
[住宅に見立てた箱]
(ナレーション)2分後、煙の色が黒く変わってきた。天井部に煙がたまっていく。
(ナレーション)5分後には箱ではなくガスが燃えているのが確認できる。
(ナレーション)そしてフラッシュオーバーが起きて一気に火が燃え広がった。
[2階建ての家屋の模型]
[フラッシュオーバーを発生させるため家屋模型の下の扉を開けているシーン。
扉を開けた1~2秒後にフラッシュオーバーが発生した]
2019年3月5日5時0分に千葉日報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉市消防局が消防車の最大積載量を超えて消火用水や資機材など載せ、消火活動に出動していたことが4日、同局への千葉日報社の取材で分かった。
過積載で出動した台数は29台に上る。
千葉県外で消防車の過積載があったことを受けて同局で調べ、市も過積載出動だったと判明した。
過積載による事故などはなかったという。
市は現在、消防車の水や資機材を規定内の重量に調整し、運用している。
昨年10月に京都府の消防で消防車の過積載が判明し、市消防局は昨年12月~今年2月、貨物登録している消防車両41台を調査。
全24カ所の消防署・出張所で、最大積載量が300kg~10トンの水槽付きポンプ車など29台で、それぞれ1回以上、過積載で出動、または訓練で使用していたことが判明した。
ポンプ車1台は最大750kg超過していた。
いつから過積載出動が行われていたかは、今後、調べる。
県警には相談済みで、捜査幹部は「一般論では、道路運送車両法違反や道交法違反になる可能性がある」と指摘している。
京都で消防車の過積載が表面化するまで、市消防局では過積載の調査をしていなかった。
同局は、「調査する制度はなく、過積載の認識はなかった。現在は重量確認し、違反状態はない」と説明。
今後は適正運営するとしている。
出典
『消防車29台過積載出動 千葉市消防局、事故はなし』
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/575806
3月5日5時30分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉市消防局の消防車など29台が、車検証で定められた総重量を上回る水や資機材を積み、道路交通法違反(過積載)とみられる状態になっていたことが4日、市消防局への取材でわかった。
うち3台は昨年9月、大型トラックが横転して3人が死亡し、運送会社が過積載容疑で家宅捜索を受けた千葉市若葉区の事故現場にも出動していた。
市消防局によると、過積載が判明したのは1999~2017年度に配備された水槽車20台や化学ポンプ車5台など。
昨秋、京都市消防局で同様の問題が起き、調査していた。
車検証に最大積載量の記載がある41台を計量したところ、29台で総重量が750~30kgオーバーしていることが判明した。
積み荷の資機材や水を減らし、今年2月以降は全車両で過積載状態を解消した。
過積載による事故やトラブルは、これまで報告されていないという。
出典
『千葉市消防車、29台が過積載 水や資機材が積み荷』
https://www.asahi.com/articles/ASM346K7HM34UDCB00N.html
(ブログ者コメント)
京都市の過積載事例や、事例横展開としての京都府各消防本部での調査結果は本ブログでも紹介スミ。
京都府以外で過積載が報道されたのは、ブログ者の知る限り、初めてだ。
2019年2月5日8時52分に佐賀新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
内閣府は4日、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の事故を想定した2日の佐賀県原子力防災訓練でテレビ会議に参加できなかったトラブルについて、庁舎の点検に伴う停電が原因と明らかにした。
訓練の担当部署が点検日を失念しており、内閣府は4日午後、県に謝罪した。
内閣府の原子力防災担当によると、2日は内閣府の庁舎で電源の法定点検があり、全館が停電した。
停電は昨年10月に各職員へ通知されていたが、「通知から時間が空き、恥ずかしい話だが、訓練当日まで気づけなかった」と説明する。
当日は、原子力防災担当の政策統括官の代理として、課長補佐が1人で訓練に対応する予定になっていた。
課長補佐が登庁後、停電に気づき、テレビ会議システムを立ち上げられないため、唐津市の県オフサイトセンターに代役を頼んだ。
実際の事故時には、首相官邸に原子力災害対策本部が設置される。
内閣府の担当者は、「官邸であれば非常用電源が確保されており、停電はしない」と釈明する。
2日のテレビ会議の際は、オフサイトセンターの原子力規制庁の担当者が、本来の役割に加え、内閣府が担うべき5km圏内への避難指示もした。
県消防防災課は、「急きょ代役を頼んだ形で、実際のトラブル時の対応について、きちんとした意思決定がなされないのではと感じた」と疑問視する。
そのため、4日に副島副知事へ内閣府の担当政策統括官から謝罪の電話があった際には、
(1)責任のある人物が適切にトラブル時の対応を判断すること
(2)代役ではなく政策統括官が自ら訓練に参加すべき
という2点を申し入れた。
県消防防災課は、「テレビ会議での訓練参加に限るのではなく、電話でもよかった。当事者意識を持って臨んでもらいたい」とくぎを刺していた。
出典
『内閣府の原子力防災訓練テレビ会議不参加は停電日失念が原因 佐賀県「当事者意識を持って臨んでもらいたい」』
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/333941
2月5日15時0分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トラブルがあったのは、佐賀県知事や玄海町長、内閣府などが参加する情報伝達の訓練。
内閣府は避難や安定ヨウ素剤服用などを指示する立場だったが、直前に内閣府の庁舎の停電でテレビ会議がつながらないと判明。
唐津市のオフサイトセンターにいた原子力規制庁職員が急きょ代行した。
県消防防災課の宮原課長は、「県などが主催する訓練への国の参加のあり方に疑問を感じた。もっと当事者意識を持ってほしい」と話した。
出典
『内閣府が停電確認しないミス 玄海原発訓練のトラブル』
https://www.asahi.com/articles/ASM2466NCM24TTHB00R.html
(ブログ者コメント)
数か月前に停電計画の連絡があった以降、何も連絡がなかったのだろうか?
停電の数日前に、「計画通り○月○日○時~○時の予定で停電します」などと、当該庁舎で働く全員に確認の連絡があってしかるべしだと思うのだが・・・。
それとも、確認連絡はあったが、訓練参加者が気付かなかった、あるいは忘れていたということだろうか?
2019年1月31日4時37分にTBS NEWSから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「真っ赤に燃え上がる炎。住宅の屋根からは火の粉が舞っています。」
30日午後11時頃、八王子市宇津木町の住宅で「火が出ている」と、近所の人から通報があった。
東京消防庁のポンプ車など27台が出動し、消火にあたったが、2階建ての木造住宅およそ120m2が燃えた。
警察などによると、この火事で住宅から男性1人の遺体が見つかり、さらに消火活動にあたっていた東京消防庁の男性消防士(22)が意識が無い状態で病院に運ばれ、その後、死亡した。
住宅に住んでいた70代の女性は、煙を吸うなどして重傷。
住宅に住む70代の男性と連絡が取れておらず、警察は、遺体の身元の確認を急いでいる。
出典
『住宅火災で男性と消防士が死亡、東京・八王子市』
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3587008.html
1月31日23時37分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
30日午後11時ごろ、東京都八王子市宇津木町の住宅から火が出ていると、110番があった。
木造2階建て延べ240m2を全焼し、焼け跡から、消火活動中だった八王子消防署の馬場消防副士長(男性、22歳)=同日付で消防司令補に2階級特進=と住人の男性とみられる2遺体が見つかった。
東京消防庁によると、馬場消防副士長は別の隊員2人と、2階で逃げ遅れた人がいないかを探していた。
急激に燃え広がった炎に巻き込まれたとみられる。
警察によると、住人の70代男性の行方が分からなくなっている。
男性の妻もやけどを負い病院に搬送されたが、命に別条はないという。
東京消防庁の松井理事は記者会見で、「日ごろから真摯で、将来が楽しみな職員だった。痛恨の極みで、原因を検証したい」と話した。
出典
『救出中、炎に巻き込まれたか 八王子の住宅全焼、消防隊員ら2人死亡』
https://mainichi.jp/articles/20190131/k00/00m/040/262000c
(ブログ者コメント)
住宅火災消火活動中の消防士が殉職した事故は、今年1月、能代市であったばかりだ。
2019年1月29日付で河北新報から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
仙台市消防局は新年度、特に若手消防士の現場経験不足を補おうと、火災現場を疑似体験させる訓練施設の運用を始める。
火災は全国的に減る傾向にあるが、経験豊かな団塊の世代の職員が退職後、消防技術の維持が悩みとなっており、新しい施設は有効な手段として期待される。
実火災体験型訓練施設は、若林区の市消防局荒浜訓練場に設けた。
高さ約2.2m、幅約2.4m、奥行き約12mの鉄製コンテナ。
焼却棚で木製パレットを燃やし、炎や煙、熱を発生させる。
消防士6人前後が防火服を着用して内部に入り、炎や煙の動きを体感。
安全を確保しながら効果的な消火活動の仕方を学ぶ。
設置費は311万円。
主に採用5年目までの隊員約220人を対象に、消防署ごとに訓練に当たる予定。
現場を指揮する隊長も参加し、年間70日程度使う方針。
昨年12月にコンテナを設置し、燃え方や温度などを確かめ、安全性の確保に向けて調整を重ねている。
今年4月以降の運用を目指す。
施設導入の背景には、現場経験豊富な団塊の世代の職員が定年で大量退職した後、火災の減少に反比例し、経験の少ない消防士が増えているという事情がある。
仙台市と全国の火災件数の推移はグラフの通り。
仙台市内では2018年は254件(速報値)で、16年の250件に次ぎ、平成で2番目に少なかった。
消防法と市条例の改正で義務付けられた住宅用火災警報器の普及などが件数減少につながったとみられる。
仙台市消防局によると、コンテナ型の訓練施設は、東京都や北九州市などで使われている。
宮城県消防学校(仙台市宮城野区)には、大きさが仙台市の半分の訓練用コンテナがあり、各消防本部や消防局の新人隊員研修に活用されている。
市消防局の渡辺警防課長は、「火災の減少は喜ばしいが、同時に、隊員の経験値を上げる必要がある。安全で効率的な消火活動ができるようにコンテナを活用し、実際の火災への対応能力を上げたい」と話す。
出典
『火災減で若手経験不足 消防技術維持へ新施設』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190129_13023.html
2019年1月27日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9285/
(2019年2月1日 修正1 ;追記)
2019年1月27日付で秋田魁新報から、現場は消火活動が困難な場所だったという下記趣旨の記事が、現場周辺の見取り図付きでネット配信されていた。
火元となった男性(94)宅は、細長く特殊な構造をしていた。
周辺が木造住宅の密集地域だったこともあり、消火活動が難航したとみられる。
男性宅は、木造一部2階建ての店舗兼住宅。
北側の市道に面した店舗の奥に、男性が暮らす住宅があった。
店舗と住宅がクランク状に屋根でつながり、奥行きは約40m。
火元とみられるボイラー室は、店舗と住宅の中央付近に位置していた。
消防によると、家同士がほぼ密着していたほか、男性宅のボイラー室から煙が上がっていたため、屋内から進入する必要があると判断。
亡くなった消防士長・藤田さん(32)と消防副士長・佐藤さん(26)の隊を含む2隊が店舗脇の車庫から、残る1隊が家屋の西側から、それぞれ進入した。
同本部は、「消火活動の難易度が高い現場。かなり支障があった」と説明する。
男性宅の火の燃え広がりや隊の行動を調べる上で、間取りを正確に把握する必要があるが、男性宅に入ったことがある付近住民も少なく、警察と消防は調査に時間がかかるとみている。
出典
『能代火災の火元住宅 特殊な構造、消火活動難航の可能性』
https://www.sakigake.jp/news/article/20190127AK0002/
(2019年8月29日 修正2 ;追記)
2019年8月28日付で秋田魁新報から、フラッシュオーバーが発生した証拠はないなどとする報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 (新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
能代山本広域消防本部は28日、原因究明や検証のため設置した調査委員会の報告書を公表した。
消火活動中の2人が巻き込まれた原因を、「急激な濃煙に囲まれ、退避できない状況で炎にさらされたか、煙と同時に流れ込んだ炎にさらされた」と推定。
出火原因については、総務省消防庁消防研究センターの分析が続いているため、「調査中」とした。
公表した報告書によると、7時35分に出火場所とみられるボイラー室付近で、別の隊員らが黒煙の噴出を確認した直後、数秒間で炎が走り、延焼が急拡大。
しかし、爆発的な燃焼現象「フラッシュオーバー」が発生した証拠はないとしている。
火元の店舗兼住宅が、増改築を重ねた上、密閉性が高く、消火活動が難しかった点も指摘。
指揮系統について、同消防本部は「問題はなかったと断言できないが、目いっぱいの対応だった」とした。
再発防止策として、指揮体制や部隊管理体制を強化し、火災状況の変化に応じた危険予知や緊急退避などの訓練を充実させるとした。
報告書は県を通じ、消防庁に提出する方針。
https://www.sakigake.jp/news/article/20190828AK0034/
8月28日20時29分にNHK青森からは、退避命令を出した記録なしなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書には、2人への退避指示について記載されず、消防本部は記者会見で、2人に退避命令を無線で伝えた記録はないものの、消火にあたったほかの隊員はそれぞれが判断して退避したとして、当時の指揮対応に大きな問題はなかったという認識を示した。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20190828/6010004687.html
8月29日3時0分に朝日新聞からは、殉職した2人の消火活動状況などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によると、藤田さんと佐藤さんは午前7時7分の119番通報からまもなく、別々の車両で火災現場に到着。
火元の住宅兼店舗の奥のボイラー室周辺で煙が上がっているのを確認し、藤田さんと佐藤さんは建物に入った。
ボイラー室付近の物置部屋で藤田さんが放水していたところ、7時27分ごろ、別の経路でボイラー室にたどり着いた隊員と合流。
約3分後、建物の構造について情報を共有すると、藤田さんと佐藤さんの2人はその場を離れた。
その後の2人の活動は不明だが、36分に佐藤さんは放水を求める無線を送信。
約2時間後、2人の遺体が物置小屋付近で発見された。
佐藤さんが無線を送信した頃、他の隊員たちは黒煙や炎を確認し、濃い煙の後には火が燃え広がる危険性が高いことから、退避した。
実際、35分ごろから急速に延焼が拡大したという。
2人が死亡するに至った状況について、報告書では「急激な濃煙の流入と瞬間的な火炎の流動により(中略)退避できない状況に陥ったところへ室内全体に流動した火炎にさらされた」もしくは「濃煙と同時に流動した火炎にさらされ、致命的な損傷を受けた」と推定している。
会見で、今回の火災は「建物構造と延焼の拡大の仕方が我々の経験を逸脱していた」と表現された。
火元の建物は、1921(大正10)年ごろに建築されてから2010年代にかけて増改築を繰り返しており、一つの屋根の下に店舗や住宅、物置などが入り組む複雑な構造だった。
長門・八峰消防署長は、「あくまで『推定』」と強調した上で、その複雑な構造ゆえ、延焼拡大の直前まで煙に気付けなかった可能性を指摘した。
また、消防が建築物の消防上の問題点などを確認する「消防同意」を、火元の建物が届け出ていなかったことが会見で明らかになった。
そのため、建物内に入るまで複雑な構造を把握できなかったという。
今回の事故を受けて消防本部は、現場でより正確な指揮をとるため、指揮隊を常設。
これまでは、人員に余裕があるときのみ出動させていたという。
その他、研修や訓練も増やした。
伊藤消防長は、「今後、二度とこのような惨事を繰り返すことがないよう、安全対策等について逐次取り組む」としている。
消防本部は火災の2日後に調査委員会を設け、署員への聞き取りや、無線連絡の記録確認などをもとに調査した。
当初、調査報告書を3月末をめどにまとめるとしていたが、検証が難航したことや「複数の殉職者が出る火災は全国的にも例が少なく、報告に慎重を期した」ことから、火災から約7カ月後の公表となった。
https://digital.asahi.com/articles/ASM8W5WNSM8WUBUB00D.html?rm=376
(2020年2月22日 修正3 ;追記)
2020年2月22日6時40分に秋田魁新報から、多くの個人情報が含まれているので、出火原因が明らかになっても公表しないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能代山本広域消防本部は21日、現在も調査中の出火原因について、判明しても公表はしない方針を示した。
同日の能代山本広域市町村圏組合議会2月定例会で明らかにした。
消防本部は昨年8月に調査報告書を公表したが、出火原因については消防研究センター(東京)による調査が長引いているなどとして「調査中」とした。
議会の答弁で伊藤消防長は、「内容に多くの個人情報が含まれており、本部としては公開しない方針。ただ、情報公開請求などには応じる」と述べた。
同本部予防課によると、公表済みの調査報告書は任意で作成。
出火原因の調査結果を盛り込んだ火災報告書を消防庁へ提出しなければならない。
出火原因の調査は「終盤に入っている」としており、火元住民や殉職した消防署員の遺族らの調書などに多数の個人情報が含まれるという。
通常は出火原因を公表していないとして、今回も同様に対応するとした。
https://www.sakigake.jp/news/article/20200222AK0001/
(ブログ者コメント)
事故原因が世に出ない理由が、また一つ明らかになった。
個人情報の秘匿よりも再発防止のほうが重要だと思うのだが・・・。
2019年1月5日13時16分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年7月の西日本豪雨で被災した広島県で、医療機関の被災状況を共有する厚生労働省の広域災害救急医療情報システム「EMIS」(イーミス)への情報入力が当時の混乱で滞り、断水などの把握が遅れたことが、県などへの取材で分かった。
発生2日後でも各医療機関の入力率は約2割にとどまり、給水支援などが後手に回った。
国は、EMISで必要な情報を十分把握できなかったとして、入力の訓練強化や項目の追加などについて検討を始めた。
広島県によると、入力率は大雨特別警報が出た翌日の7日午前9時時点で、県内の全医療機関(診療所も含む)2015施設のうち19施設(1%未満)のみ。
警報直後に入力要請したが、8日午前9時でも426施設(21%)にとどまった。
12日になっても870施設(43%)で、半数に満たなかった。
各地で同時多発的に土砂崩れなどが発生し、患者搬送などへの対応に追われていたとみられる。
【水不足、最大5施設で透析できない状態に】
このため、関係機関への支援や調整を担う県や災害派遣医療チーム(DMAT)県調整本部では、断水して治療に支障が出ている医療機関や人工透析患者らの受け入れ先などの把握が難航。
主要な100施設以上に職員らが電話をかけ続け状況確認するなど、混乱した。
その間に給水車の手配が遅れ、道路寸断などの事情も加わり、水不足で最大5施設が透析できない状態に陥った。
集団で避難を検討した施設も複数あった。
内閣府の初動対応検証チームは、昨年11月、「水の充足状況の把握に時間を要し、断水地域の病院への適時適切な給水支援を行えなかった」と指摘。
県は、「入力率が低く、被災の全体像が不明で、判断にどうしても時間がかかった」として、災害後に広島市と福山市で入力研修を急遽、実施した。
被災地でも、岡山県では7月7日午後に、システムに登録する全336施設が入力し、8日未明に大雨特別警報が発令された愛媛県では同日午後に、全141施設で完了した。
全医療機関を入力対象とする広島に対し、他2県は対象を絞っているため、入力率の単純比較はできないが、愛媛では2015年から、毎月、141施設で一斉訓練を実施。
医療機関が入力できない場合は、管轄する保健所が代理入力するルールを作り、豪雨時も混乱はなかったという。
兵庫県では年に数回、EMISを使う訓練を実施。
また、台風で広範囲に停電した際、入力率が低い場合は県側が医療機関に事情を聴くなどして、大規模災害に備えている。
EMISに詳しい中山伸一・兵庫県災害医療センター長は、「システムがあっても、いざという時に使えなければ意味がない。南海トラフ巨大地震などに備え、医療機関は高い意識を持って入力訓練に取り組むべきだ」と話している。
【DMAT運用にも課題 「当日に応援要請していれば…」担当者悔やむ】
西日本豪雨の医療支援では、広域災害救急医療情報システム(EMIS)の入力に加え、災害派遣医療チーム(DMAT)の運用にも課題を残した。
広島県は2次災害を恐れ、県外からの応援要請を、大雨特別警報が出た昨年7月6日当日は見送り、2日後に一転、大量派遣を求めた。
広島市の安芸区エリアでDMATを取り仕切った県立広島病院救急科部長の多田医師(45)は、「当日に応援要請していれば、もっと多くの人を助けられたかもしれない」と悔しがる。
6日午後11時過ぎ、多田医師はDMATの活動拠点を置くため安芸消防署(広島県海田町)に到着。
救急要請の電話は鳴りやまず、ホワイトボードには「団地が流れた」などの情報が次々と書き込まれていた。
77人が死亡した2014年の広島土砂災害でも活動した多田医師は、それを上回る規模の災害と感じ、すぐに県庁のDMAT県調整本部に現状を伝え、県外からの派遣を要望。
さらに国のDMAT事務局にも、「負傷者は100人規模に上る見込み」と、直接、SOSのメールを送った。
しかし、県から「応援要請を見送る」との連絡があったのは、翌7日の午前9時前。
国の事務局からも、「県から要望がない」などと、取り合ってもらえなかったという。
その間、県内のチームが出動して、倒壊家屋に挟まった住民の治療にあたったが、ほかにも生き埋めなどの情報は多数寄せられていた。
多田医師は、「医療チームがもっといれば、違う現場にも出せた。安全が担保できないから誰も呼ばないでは、話が進まない」と訴える。
県は8日午前に、ようやく福岡や山口、島根各県に本格派遣を求めたが、到着した9日ごろには、既に負傷者がほとんどおらず、避難所での見回りなどが中心となった。
広島県の担当者は、「各地で道路が寸断するなどし、安全確保が難しいと判断した。今思えば、初めての応援要請で慎重になりすぎた面はあった」と振り返る。
国の要綱では、死者100人以上が見込まれる場合は、隣接する都道府県などに派遣要請するとの目安を示しているが、今回のような複数県にまたがる豪雨災害の想定はなかった。
派遣の調整を行う国の事務局も、「DMATは主に地震を想定しており、広域の豪雨は特殊な応用編だった」と、判断の難しさを認めた。
出典
『被災情報入力滞り、給水車手配遅れる 昨年の西日本豪雨』
https://mainichi.jp/articles/20190105/k00/00m/040/081000c
2018年12月24日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
23日午前2時40分ごろ、名古屋市中区栄4の雑居ビルの関係者から「火が出ている」と119番があった。
消防によると、4階の飲食店など約80m2を焼き、約4時間後に鎮火した。
消防隊員2人と警察官1人の計3人が約45分間、エレベーター内に閉じ込められた。
3人は救出され、飲食店オーナーの男性(67)を含む4人が病院に運ばれた。
4人はいずれも煙を吸い込んだが、命に別条はない。
男性は、検査のため入院した。
消防や警察によると、ビルは飲食店などが入る4階建てで、建物内に階段がある。
隊員ら3人は現場に駆け付け、午前2時50分ごろ、状況を確認しようとエレベーターに乗ったところ、4階で動かなくなり、内部に閉じ込められた。
消防隊がカッターでドアを切断して救助した。
消防によると、消火活動に影響はなかったという。
担当者は、「原則として、エレベーターは使わない。再発防止のため検証したい」とした。
出典
『ビル火災 消防士ら、現場で救助される エレベーターに乗ってしまい 名古屋』
https://mainichi.jp/articles/20181224/ddm/041/040/118000c
12月23日12時8分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、消火活動や状況確認のため4階に早く上がろうと、階段とエレベーターの二手に分かれたという。
出典
『消火活動中、エレベーターに一時閉じ込め 消防隊員ら』
https://www.asahi.com/articles/ASLDR3R84LDROIPE006.html
12月23日11時11分に中日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防は、「消火活動に影響はなかったが、どのような判断でエレベーターを使ったのか検証したい」としている。
警察によると、4階の飲食店の従業員が「油を火にかけたまま帰ってしまった」と話しているといい、火元とみて調べている。
現場は女子大小路と呼ばれる繁華街で、忘年会シーズンでにぎわう一角が、一時、騒然とした。
出典
『消防隊員ら一時エレベーターに閉じ込められる 名古屋・栄でビル火災』
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018122390111129.html
2018年12月13日17時32分にNHK栃木から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高電圧のバッテリーを積んだハイブリッド車などの交通事故で、救助活動を行う消防隊員が感電する二次災害を防ごうと、下野市で講習会が開かれた。
この講習会は、下野市などを管轄する消防本部が開いたもので、管内や近隣の消防本部からおよそ80人が参加した。
消防隊員たちは、はじめに、講師役の自動車販売会社の技術者から、高電圧のバッテリーを積んだハイブリッド車や燃料電池車について、スライドなどを使って基本的な構造や感電のおそれがある箇所などの説明を受けた。
続いて、実際のハイブリッド車と燃料電池車を用意して、屋外での実地講習が行われた。
そして、車種ごとに異なるバッテリーの場所や、高電圧が流れていることを示すオレンジ色のケーブルの場所を確かめた。
また、事故車両での救助活動を始める前に、計器パネルを見て、電流が流れていることを示すバッテリーのシステムの起動ランプが消えているかを必ず確認することや、起動していた場合には、運転席のスイッチを使うなど複数の方法でシステムを切る方法を学んだ。
27歳の男性隊員は、「詳しくわかりました。今後の活動に生かしたい」と話していた。
主催した石橋地区消防本部警防課の足助課長は、「ハイブリッド車の講習は10数年ぶりです。2次災害を防ぐため、安全対策を徹底してほしい」と話していた。
出典
『ハイブリッド車事故で感電防止を』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20181213/1090003419.html
(ブログ者コメント)
〇調べたところ、他の消防でも同様な訓練を行っているところが
あった。
〇また、事故時のハイブリッド車の危険性についても調べたところ、思いのほか多くの記事が見つかった。
それらの記事のいくつかをピックアップして読んでみると、
・ハイブリッド車は安全に設計されている
・過去の事故で二次災害として感電事故が起きたという報道はない
と書かれた記事も目についた。
以下に、ブログ者の目にとまった記事を紹介する。
(2014年4月14日 日本経済新聞)
普及が進むハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)。
通常のガソリン車と異なり、電気モーターと大容量で高電圧のバッテリーを搭載している。
ここで気になるのが、衝突事故など車が壊れる事故が発生したとき、感電など電気が原因の問題が起きないかどうかだ。
そこで、感電保護性能試験や、HVの事故を想定したレスキュー隊による被害者救出訓練の現場に潜入した。
自動車やチャイルドシートなどの安全性能評価試験を行っている独立行政法人の自動車事故対策機構(NASVA)では、HVやEVについて「電気自動車等の衝突時における感電保護性能試験」という、電気についての安全性を評価する実験を手掛けている。
これまで、この評価試験でチェックしてきた範囲は、乗っている人が感電しないという「車室内」だけだったが、平成26年(2014年)度からは、対象が「車室内・外」と変わり、「車外」も含まれるようになった。
事故によりバッテリーの電気が車外に漏れると、救助活動などに支障を来す恐れがあるからだ。
今回、感電保護性能試験の様子や、HVの事故を想定したレスキュー隊による被害者救出訓練を取材した。
・・・・・
今回、初の試みとして、衝突試験に使われて、あとは廃棄するだけになった車両を訓練に有効活用することになった。
・・・・・
EVやHVには、車種ごとにレスキュー時の取り扱いマニュアルが用意されていて、隊員はこれを参考にしてレスキュー作業を行っている。
このマニュアルによると、ボンネット部分などが「高電圧による感電の恐れがある箇所」となっている。レスキュー作業は、まずこうした部分を電気を通さない耐電シートで覆うことから始まった。
レスキューのノウハウ蓄積はまだこれから
レスキュー作業に当たる隊員は、耐電服や耐電仕様のグローブ、長靴を着用している。
さらに、漏電がないかどうかを確認するためのスティックを使って、感電しないようにチェックしながら作業を進めていく。
こうした作業が必要なため、EVやHVでは一般の車に比べて、レスキューにかかる時間が若干長くなるという。
・・・・・
出典
『大敵は「感電」、衝突ハイブリッド車の救出訓練に潜入』
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0203C_S4A400C1000000/
(2016年3月9日15時37分 YAHOOニュース ;自動車評論家の寄稿?)
ここにきて、「事故に遭ったハイブリッド車や電気自動車は感電の危険があるから、専門知識を持つ人以外触らないように」という情報が流れている。
これが本当なら、交通事故に遭ったり、他のクルマから火が移ってきたり、水没の可能性あるような時でも、ハイブリッド車から乗員を救出することなど出来ない。
人命に関わることなので、本来なら、自動車メーカーが周知徹底させなければならない。
なぜ、こういった情報になったのか探ってみたら、どうやら『自動車事故対策機構』という国交省の外郭団体で、そういったキャンペーンを行い始めたらしい。
確かに、感電すれば生命の危険があるほど高電圧のバッテリーを搭載するハイブリッド車や電気自動車は、危ない雰囲気を漂わせているように思う。
ハイブリッド車や電気自動車は危険なのだろうか?
ハイブリッド車は、すでに少なからぬ事故例がある。
例えば東日本大地震。この地震で大量のハイブリッド車が流された。
海水に電気を流せば最も危険。
電池が発熱することだって、可能性としてはありうること。
しかし、津波に流されたハイブリッド車は、激しく変形した車両であっても漏電した例は皆無だった。
茨城の水害の際、あるメディアが「水没したハイブリッド車は危険」という記事を出し、広まった。
この時も、少なからぬハイブリッド車が水没したものの、漏電例無し。
すでに世界中で800万台を超えるハイブリッド車が走り、事故を起こしているのに、やはり感電や漏電の類い無し。
こうなると、「なぜ漏電しないのか?」と思うかもしれない。
これは簡単。
自動車メーカーがハイブリッド車や電気自動車を開発する際、普通のガソリン車より過激な条件で衝突テストなど行い、安全を確認しているからだ。
そもそも、電池には敏感かつ確実に稼働するブレーカーが付いており、大きな衝撃を受けたり過剰な電流が流れたのを感知した瞬間に遮断する。
電池本体は、クギを貫通させても発火&漏電しない。
といった意味では、ガソリンより圧倒的に安全だ。
自動車事故対策機構が打ち出した事故時の指針は、
1)専門家の到着まで近づくな。
2)残っている電力を全て抜いてから救助しろ
という荒唐無稽な内容。
これだと、救急車が到着しても助けられない。
ガソリン車で言えば、「爆発するから近づくな。ガソリンを全て抜いてから救助しろ」と全く同じこと。
もう少し、常識的かつ今までの実績を考慮した事故対応方法を考えるべきだ。
そもそも自動車事故対策機構は、過度なくらいの安全基準を定め自動車メーカーに要求した国交省の努力を踏みにじっている。
このままでは、日本の自動車産業を支えているハイブリッド車や電気自動車に安心して乗れなくなってしまう。
出典
『事故を起こしたハイブリッド車は漏電の危険性あるから救助は専門家に任せよ?』
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunisawamitsuhiro/20160309-00055213/
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その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

